就労移行支援を利用するとどんな業種や職種に就職できる?
更新日:2025年02月04日
就労移行支援は、障害や難病のある方に就職に必要な知識やスキルを身につける、就職の準備、就職後の職場定着などの支援を行う障害福祉サービスです。では、就労移行支援を利用した方は、どのような業種や職種に就職できるのでしょうか。
目次
就労移行支援を利用した後の就職先
就労移行支援を利用した後には、どのような就職先があるのでしょうか。
就労移行支援を利用した後に就職できる割合
厚生労働省の資料によると、就労移行支援のサービスを終了した人が、一般就労に移行した割合は、年々増加しており令和4年は57.2%でした。
参考:厚生労働省「一般就労への移行者数・移行率の推移(事業種別)」
産業別の就職先
厚生労働省が発表した「令和5年度障害者雇用実態調査結果報告書」によると、障害のある方が多く雇用されている産業は次の通りです。
・身体障害者の産業別雇用者数の割合
1位:製造業 21.3%、2位:卸売業・小売業 21.2%、3位:サービス業 14.9%
・知的障害者の産業別雇用者数の割合
1位:卸売業・小売業 32.9%、2位:製造業 15.4%、3位:サービス業 13.2%
・精神障害者の産業別雇用者数の割合
1位:卸売業・小売業 25.8%、2位:製造業 15.4%、3位:サービス業 14.2%
・発達障害者の産業別雇用者数の割合
1位:卸売業・小売業 40.5%、2位:サービス業 14.6%、3位:製造業 10.2%
職業別の就職先
同じく、「令和5年度障害者雇用実態調査結果報告書」によると、職業別の割合は次のようになっています。
・身体障害者の職業別雇用者数の割合
1位:事務的職業 26.3%、2位:生産工程の職業 15.0%、3位:サービスの職業 13.5%
・知的障害者の職業別雇用者数の割合
1位:事務的職業 23.2%、2位:運搬・清掃・包装等の職業 22.9%、3位:販売の職業 16.8%
・精神障害者の職業別雇用者数の割合
1位:事務的職業 29.2%、2位:専門的・技術的職業 15.6%、3位:サービスの職業 14.2%
・発達障害者の職業別雇用者数の割合
1位:サービスの職業 27.15%、2位:事務的職業 22.7%、運搬・清掃・包装等の職業 12.5%
具体的な職種の例を挙げると、次のようなものがあります。
良い就職先を見つけるポイント
就労移行支援を利用して、希望する就職先を見つけるには、どのような点に気を付けたら良いのでしょうか。ポイントを紹介します。
自分にあった事業所を選ぶ
就労移行支援の事業所は、全国に3,300か所以上もあり、それぞれの事業所で対象としている障害の種別、実施されるプログラム、サポートの内容などが異なります。
そのため、自分に合った事業所を選ぶことが大切です。実際に複数の事業所を訪問して、見学や体験を行った上で確かめましょう。
希望する業界や職種を決める
就労移行支援事業所の中には、IT関係や会計業務など職種に特化したプログラムを受けることができる事業所もあります。希望する業界や職種が決まっている場合には、必要なスキルや知識が学べる事業所を選びましょう。
ただし、最初から業界や職種を絞り過ぎると、就職は難しくなります。支援員などとも相談しながら、自分にはどんな仕事が向いているのかを考えてみることも大切です。
就職実績が多い事業所を選ぶ
就職実績が多い事業所を選ぶことも重要です。厚生労働省の資料によると一般就労への移行率が20%を超える事業所が41.3%ある一方で、移行率が0%の事業所も3割以上ありました。
就職実績が多い事業所は、現場で役立つ実践的なカリキュラムを組んでいたり、障害の特性に合った求人を紹介したりと、就職から職場定着まで考えてサポートを行っていることが多いようです。ただし、就職実績が無い事業所でも、自分が身につけたい知識やスキルが学べて自分に合っていると思える場合には、どのような就職活動のサポートが受けられるのかなど確認して判断しましょう。
通院や服薬を続ける
通院や服薬が必要な人は、主治医の指示に従って続けましょう。体調が良かったり、就職活動が忙しくなったりすると、自分の判断で止めてしまいがちです。しかし、就職して仕事を続けるには、体調を安定させて健康な状態でいる必要があります。
就労移行支援を利用して就職先を見つけるメリット
就労移行支援を利用して就職先を見つけるメリットには、次のようなものがあります。
生活のリズムや体調が安定する
決まった時間に事業所に通うことで、生活のリズムが整っていない人も、だんだんと生活リズムが整うようになり、体調も安定してきます。また、通所を続けられたというという実績は、企業が採用する際の評価ポイントになります。
自分の強み弱みを把握できる
就労移行支援では、訓練によって自分の強みと弱みを把握することができます。就職活動において、自分の強みと弱みを把握することは、自分への理解を深めるだけでなく、自分に合った仕事を見つけるためにも重要です。
コミュニケーション能力が向上する
一般企業などで働く場合、職場の上司や同僚とのコミュニケーションは不可欠です。就労移行支援は、数ヶ月〜2年間にわたって通所して、支援員や他の利用者と一緒にプログラムを実践します。そのため、コミュニケーション能力や協調性が身につきます。
就職後も職場定着のサポートが受けられる
就労移行支援では、職場定着支援として就職後の悩み相談などにも応じています。自分自身や障害についてよく知っている事業所のスタッフが、就職後もサポートをしてくれるのは、利用者にとって大きなメリットです。