就労移行支援利用中はアルバイト禁止?アルバイトがバレた時のリスク
更新日:2025年02月04日
就労移行支援の利用を検討する際に、1番不安なのは最長で2年間通所する間の生活費ではないでしょうか。アルバイトで収入を得ながら就労移行支援の利用を考えている人や、貯金など金銭的な余裕がないので就労移行支援の利用を諦めている人もいることでしょう。今回は、就労移行支援を利用している期間のアルバイトについて解説いたします。
目次
就労移行支援を利用中は「原則」アルバイトができない
就労移行支援を利用している期間は、原則的にアルバイトは禁止されています。
禁止されている理由は、就労移行支援制度の対象者から外れてしまうからです。厚生労働省では、就労移行支援の利用者を「就労を希望する者であって、単独で就労することが困難であるため、就労に必要な知識及び技術の習得若しくは就労先の紹介その他の支援が必要な者」と規定しています。
就労には、正社員や契約社員、パート社員だけでなく、アルバイトも含まれます。そのため、アルバイトができるということは、就労支援の必要がないと判断される可能性があります。
参考:厚生労働省「障害福祉サービスについて」
アルバイトがバレる2つの理由
内緒でアルバイトすれば、大丈夫と考えている方もいるかもしれませんが、次のような理由でバレる可能性は高いでしょう。
住民税が発生する
アルバイトによって、収入が一定以上になると住民税が発生します。就労移行支援の利用料の負担上限額は、世帯(本人と配偶者)の収入状況によって設定されています。そのため、就労移行支援を利用する際には、居住する市区町村が住民税の課税状況を確認します。
この課税情報によって、アルバイトで収入があった場合にはバレる可能性が高くなります。
就労移行支援を利用する日数や時間が減る
就労移行支援は通所型の障害福祉サービスなので、平日の日中は事業所に通う必要があります。平日の日中にアルバイトをすると、事業所を休まなければなりません。夜間や土日にアルバイトをしても、その疲れから事業所に通えなくなることもあります。
遅刻や早退、欠席が増えることで、事業所の支援員にアルバイトをしていることを気づかれるかもしれません。
就労移行支援利用中の生活費はどうする?
これまで説明してきた通り、就労移行支援を利用している間は、原則アルバイトも禁止されているため収入が無い状態になります。就労移行支援の利用期間は最長で2年間です。その期間は、貯金を切り崩して生活費に充てる必要があります。貯金が足りなかったり、家族に頼ることができなくて生活費に困った時には、次の制度が利用できないか確認してみましょう。
障害年金
障害年金は、病気やケガによって、日常生活や仕事などが大きく制限されるようになった方が受給できる年金です。障害年金には、「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の2種類があり、障害の原因となった病気やケガで初めて医師の診療を受けた日(初診日)によって、利用できる障害年金が異なります。
障害年金は、生まれつきの障害だけでなく、うつ病、双極性障害、統合失調症などの精神疾患やがん、糖尿病といった病気やケガも対象です。障害年金を受給するには、請求手続きが必要です。居住している市区町村や年金事務所などで確認しましょう。
傷病手当金
傷病手当金は、会社員など健康保険に加入している人が、病気やケガなどで働けなくなった場合に支給される手当金です。傷病手当金は、支給開始日から通算して1年6ヵ月支給されるため、会社を辞めて就労移行支援を利用していても、受け取ることができます。ただし、雇用保険の基本手当(失業保険)との併用はできません。
雇用保険の基本手当
雇用保険の基本手当は、一般的に「失業給付」や「失業保険」と呼ばれています。離職した人が、失業中の生活を心配することなく、再就職できるように支援するために支給される手当です。離職した理由や雇用保険の被保険者期間、離職時の年齢に応じて受給期間は異なりますが、最大で240日受給できる可能性があります。
生活保護
生活保護は、生活に困窮している人に対して、健康で文化的な最低限の生活を保障するための公的な支援制度です。生活保護の受給要件は、世帯の資産や所得が基準となります。主な要件は次の3つです。
①収入が最低限の生活費に満たない
②貯金や売却できる資産がない
③親族から経済的な援助が見込めない
生活困窮者自立支援制度
生活困窮者自立支援制度は、現在生活保護を受給していないが、生活保護に至る可能性があり、自立が見込まれる人を対象にした制度です。自立相談支援事業と住居確保給付金は、必須事項ですが、その他の任意事業は自治体によって取り組みが異なるので、住んでいる自治体に確認してみましょう。
アルバイトがバレたときに考えられるリスク
アルバイトが認められるケースがある
原則として禁止されているアルバイトですが、事情によっては自治体や事業所の許可を得たうえでアルバイトができることもあります。アルバイトが認められるケースには、次のような場合がありますが、自治体によって判断が異なります。事前に事業所の支援員に相談して、自治体に確認してもらいましょう。
・親などの家族も収入がなく金銭的に頼ることができない
・貯金が全くない。または貯金が底をついた
・アルバイトで働くことで、今後働き続けられそうか試してみる