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就労移行支援が向いていない人の特徴と対応策

更新日:2025年02月04日

就労移行支援は、障害や病気がある方を対象とした障害福祉サービスです。就労移行支援では、一般就労に必要なスキルや知識を身につけることができます。厚生労働省の資料によると、就労移行支援の事業所は全国に3,000か所以上あり、利用者はおよそ37,000人と多くの方が利用しています。 しかし、利用者の中には就労移行支援に向いていない人もいます。本記事では、就労移行支援に向いていない人の特徴や向いている人の特徴、向いていない時の対処法などについて解説します。

就労移行支援とは?

「就労移行支援」は、企業への就職や在宅で就労や起業を希望する障害のある方に働くために必要なスキルや知識の向上のサポートや、適性にあった職場探し、就職後の職場定着のための支援を行う障害福祉サービスです。

 

就労移行支援は、次の条件を満たしている人が利用することができます。

・18歳以上65歳未満の人
・障害または難病を抱えている人
・一般就労を目指している人
・障害福祉サービス受給者証を持っている人

就労移行支援が向いていない人の特徴

前章で紹介した4つの条件を満たしている場合には、就労移行支援を利用することができます。しかし、中には就労移行支援が向いていない方もいます。

 

健康状態が良くない

就労移行支援は、通所型の障害福祉サービスです。そのため、健康状態が良くない方や体調が安定していない方は、通所が難しくなります。

 

健康状態が良くない方は、まず治療や休養を優先することが大切です。働くことを想定して、徐々に通所回数を増やしていくという方法もありますが、無理をしてさらに体調を悪化させてしまうリスクがあるため、慎重に考える必要があります。

 

就職先の紹介のみが希望

「就労移行支援」は求人の紹介も行っていますが、就職に必要な知識やスキルを身につける準備から就職、職場定着までを総合的にサポートするサービスです。

 

求人の紹介だけが目的であれば、ハローワークの障害者専用窓口や障害者向けの求人情報サービスを利用する方が、多くの求人に出会える可能性があります。すでに知識やスキルが十分にある人は、就職の準備ができている人は、就労移行支援のサポートが不要な場合があります。

 

専門的なスキルアップが目的

「就労移行支援」で身につけることができるのは、基本的なビジネスマナーやコミュニケーションスキル、パソコンの基本的な使い方、書類の作成方法などです。

 

なかには専門的なスキルを学べる就労移行支援事業所もありますが、より高度なスキルを身につけたい場合には、就労移行支援ではなく専門のスクールに通うのがおすすめです。

 

利用中の生活費の目途が立たない人

就労移行支援は、就労継続支援と違って給与は支払われません。また、基本的にアルバイトも禁止されています。

 

そのため、貯金がある程度ある方、家族からの援助を受けることができる方、障害年金や失業給付などを受けている方などは問題ありませんが、経済的に厳しくて利用中の生活費を賄えない場合には、利用が難しいことがあります。

 

すぐに就職したい人

「就労移行支援」で、就職に必要な知識やスキルを身につけるには、短くても数ヶ月、最長で2年間の利用が必要です。一般的に「就労移行支援」では、就職活動のサポートとして、以下のようなプログラムが用意されています。

 

・通所前期(基礎訓練期)

 基礎体力向上、集中力・持続力等の習得、適性や課題の把握など

・通所中期(実践的訓練期)

 施設外就労、職場見学・実習、職業習慣の確立、マナー・挨拶・身なり等の習得

・通所後期(マッチング期)

 求職活動、職場開拓、トライアル雇用、職業習慣の確立

 

このようなプログラムに沿って、トレーニングが行われるため、就職するまでには一定の期間が必要です。そのため、すぐに就職したい人には向いていません。

 

関連記事:就労移行支援事業所は具体的に何をしてくれるの?訓練内容は?

 

本人に就労意欲がない場合

障害がある本人が、そもそも就職を希望していない場合は、就労移行支援は向いていません。就労移行支援の多くは通所型です。数ヶ月から2年程度、就労移行支援事業所に通う必要があるため、自分の意志ではなく家族に言われて仕方なく利用を開始した人は、継続するのが難しいかもしれません。

 

そもそも、就労移行支援を利用するには「一般就労を目指している人」という条件があります。本人に就労意欲が無い場合には、利用できない可能性があります。

就労移行支援が向いている人の特徴

前章では、就労移行支援に向いていない人の特徴を解説しました。では、就労移行支援の利用が向いているのは、どのような人なのでしょうか。

 

今すぐに就職する自信がない

ビジネスマナーがよくわからない、業務に必要なスキルがない、就職活動の進め方がわからないなど、就職活動に不安を持っている人は、就労移行支援のサポートが役に立ちます。

 

就労移行支援を利用して不安を解消しながら、就職活動の準備を進めるのが効果的です。事業所の職員の方に相談しながら、就職までの計画を立てて行きましょう。

 

自分ひとりでは就活が上手く進められない

自分ひとりで就職活動をしているけど、なかなかうまくいかず何度も失敗している。そのような方は、次のような原因が考えられます。

 

・自分の障害に対する理解が不足している
・自分に合った仕事や会社を理解していない
・基礎的なビジネススキルや知識が不足している
・コミュニケーションが上手くできない

 

これらの原因は、就労移行支援を利用して、就労に向けたトレーニングや就職活動のサポートを受けることで、解決できる可能性があります。

 

金銭的に余裕があり、時間がかかってもスキルを身につけたい

就労移行支援の利用期間は、最長で2年間です。2年間経たずに就職することもできますが、希望する職種に必要なスキルや経験を身につけるのは、時間がかかることがあります。前述した通り、就労移行支援は給与や報酬の支払いはありません。

 

そのため金銭的に余裕があって、時間がかかってもじっくりスキルを身につけたい方に向いています。

就労移行支援が向いてないときの対策と代替案

実際に就労移行支援を利用してみたけど、自分には向いていないのではないかと悩んでいる方もいることでしょう。そのような時の対策と代替案を紹介します。

 

就労移行支援の利用をやめる

就労移行支援が向いていない人の特徴を紹介しましたが、自分がその特徴に当てはまっていて、通所するのが辛いと感じるようであれば、就労移行支援の利用を辞めるという方法もあります。

 

就労移行支援は障害福祉サービスのひとつで、雇用契約ではないため本人が希望すれば辞めることができます。ただし、就労移行支援では、就職に向けた訓練が行われているため、就職が決まる前に本当に辞めて良いのか、もう一度考えてみましょう。

 

事業所を替える

事業所のプログラムや雰囲気が合わないということもあります。そんな場合には、事業所を変更する方法もあります。

 

就労移行支援の利用期間は原則2年間ですが、期間内であれば今の事業所を辞めて、違う事業所に変えることができます。事業所を変更する際には、再びミスマッチを起こさないように、しっかり調べて慎重に選びましょう。

 

担当スタッフを変更してもらう

担当の支援員と相性が合わないという場合もあるでしょう。支援員と言っても性格や考え方は人それぞれ違います。そのため合う・合わないという問題が起りがちです。担当の支援員とどうしても合わないと感じた時には、事業所の長であるサービス管理責任者に相談してみましょう。

 

就労継続支援の利用を検討する

現時点で、就職することに不安を感じている方は、就職移行支援ではなく就職継続支援の利用も検討してみましょう。

 

就職継続支援は、障害や病気のために一般企業などに就職するのが困難な方たちを対象にした障害福祉サービスです。就労継続支援にはA型とB型があります。A型は、事業所と雇用契約を結んだ上で、一定の支援を受けながら働くことができます。雇用型とも呼ばれ定められた給与が支払われます。B型は、事業所との雇用契約はありません。非雇用型とも呼ばれ、作業に応じて工賃が支払われます。就労移行支援と就労継続支援(A型・B型)の違いについては、下記の関連記事をご覧ください。

 

関連記事:障害者就労継続支援とは?支援サービスの種類や内容について解説

 

転職エージェントを利用して就職活動をする

就職に必要な知識やスキルが十分にあり、すぐに就職できる状況であれば転職エージェントを利用する方法もあります。転職エージェントは、就職したい人と採用したい企業を結びつけるサービスです。就職や転職に詳しいプロのサポートを受けながら、就職活動を進めることができます。

転職エージェントの中には、障害のある方の就職に特化したサービスもあります。atGPエージェントは、障害者の就職・転職に精通したキャリアプランナーが、就職相談を通じて1対1でサポート。あなたと求人とをマッチングします。

就労移行支援を利用する際の注意点

就労移行支援を利用する際には、次の点に注意しましょう。

 

自分にあった事業所を選ぶ

厚生労働省が公表した「令和4年社会福祉施設等調査の概況」によると、就労移行支援事業所は全国に3,393か所あります。それぞれの事業所で、対象の障害種別や提供されるプログラム、支援の内容が異なります。就労移行支援事業所を選ぶときには、複数の事業所を実際に訪問して、自分に合うかどうかチェックしましょう。

 

チェックするポイント
・自分の障害や病気を対象としている事業所かどうか
・自宅から通いやすい場所に事業所があるか
・プログラムや訓練、サポートの内容が自分に合っているか
・支援員や利用者など事業所の雰囲気が自分に合っているか
・就職実績はどうか

 

障害福祉サービス受給者証が必要

就労移行支援を利用するには、「障害福祉サービス受給者証(受給者証)」が必要です。受給者証は、居住する市区町村の障害福祉課などの窓口で申請書を提出すると交付されます。

 

受給者証の交付には、申請書の受理から認定調査やサービス利用計画案の作成など、さまざまな手続きが必要です。交付されるまでの日数は、市区町村によって異なりますが、早くて2週間程度、長い時には2ヶ月程の期間がかかります。できるだけ早く就職したいと考えている方は、早めに受給者証の申請を行いましょう。

 

就労移行支援を利用している間の収入

就労移行支援を利用している期間は、原則としてアルバイトも禁止されているため、収入がない状態になります。家族がサポートしてくれる場合は良いですが、家族の支援が得られない場合には、その間の生活費をどうするのか考えておく必要があります。

 

仕事で得る収入以外に、「障害年金」「雇用保険の基本手当(失業給付)」「傷病手当金」「生活保護」が利用できる場合があります。近くの「障がい者就業・生活相談支援事業所(通称:ナカポツ)」に相談してみましょう

 

参考:厚生労働省「令和4年社会福祉施設等調査の概況

障害者の転職サービス業界No.1が運営する就労移行支援サービス

「atGP(アットジーピー)ジョブトレ」は、障害者の転職サービス業界No.1の「ゼネラルパートナーズ」が運営する就労移行支援サービスです。障害のある方の就職に必要なスキルの習得や就職活動のサポート、就職後の職場定着までをサポートしています。

 

「うつ病コース」「発達障害コース」「統合失調症コース」「聴覚障害コース」「難病コース」といった5つの障害に特化したコース制なので、就職後も自身の障害とうまく付き合いながら「働き続ける」ためのスキルが身につきます。また、ITエンジニアやデザイナーのスキルを身につけたい方には「atGPジョブトレIT・Web」もあります。

まとめ

今回は、就労移行支援に向いていない人の特徴や向いている人の特徴、向いていない時の対処法などについて解説しました。

 

これから就労移行支援の利用を考えている人は、ぜひ自分が就労移行支援に向いているのか向いていないのかチェックしてみてください。現在利用していて、向いていないのではないかと悩んでいる方は、事業所の支援員やサービス管理責任者に相談してみましょう。

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ライター:atGPLABO編集部(監修:戸田重央)

障害者専門の人材紹介として15年以上の経験とノウハウを活かし、障害者の雇用、就労をテーマとした情報発信活動を推進しています。 【監修者:戸田 重央プロフィール】 株式会社ゼネラルパートナーズ 障がい者総合研究所所長。 企業の障害者雇用コンサルタント業務に携わった後、2015年より聴覚障害専門の就労移行支援事業所「いそひと」を開所、初代施設長に。 2018年より障がい者総合研究所所長に就任。新しい障害者雇用・就労の在り方について実践的な研究や情報発信に努めている。 その知見が認められ、国会の参考人招致、新聞へのコメント、最近ではNHKでオリパラ調査で取材を受ける。 聴覚障害関連で雑誌への寄稿、講演会への登壇も多数。

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