50代における障害者雇用の現状と転職方法について
更新日:2024年05月31日
障害のない方でも、50代の転職は難しいと言われています。法定雇用率の引き上げによって、障害のある方の雇用は年々増えてきていますがまだまだ十分ではありません。そのような雇用環境の中で50代で障害のある方が転職する、あるいは初めて障害者雇用で働くにはどのような点に気をつけて転職活動を進めたらよいのでしょうか。この記事では障害雇用の現状や、50代の障害者の方が転職する際のポイントなどについて解説します。
目次
障害者雇用の現状について
障害者雇用促進法では、すべての事業主に「法定雇用率」以上の割合で障害者を雇用する義務を定めています。これにより障害者の雇用数は増加傾向にありますが、現状について振り返ってみましょう。
障害者の法定雇用率とは
法定雇用率とは、常時雇用している労働者の人数に対して、雇用が義務づけられた障害者の割合のことです。障害者雇用促進法という法律によって定められていて、昭和51年に義務化されて以降、これまで何度か見直されています。
義務化された時には1.5%でしたが、その後昭和63年に1.6%、平成10年に1.8%、平成25年には民間企業は2.0%、国・地方公共団体等が2.3%、都道府県等の教育委員会が2.2%へと段階的に引き上げられています。
そして平成30年には民間企業が2.2%、国・地方公共団体等が2.5%、都道府県等の教育委員会で2.4%となり、精神障害者も雇用義務の対象に加えられました。
令和3年4月からは、さらに0.1%引き上げられて民間企業が2.3%、国・地方公共団体等が2.6%、都道府県等の教育委員会で2.5%となっています。
全体での就労状況について
法定雇用率が引き上げられていることもあって、障害者雇用は増加傾向にあります。厚生労働省が公表している「令和2年 障害者雇用状況の集計結果」によると、令和2年6月1日現在で民間企業(45.5人以上規模の企業:法定雇用率2.2%)に雇用されている障害者の数は、は578,292.0人で、17年連続で過去最高となっています。
障害者枠での転職をお考えの方は、障害者専門の転職エージェントに一度相談してみることをおすすめします。
ハローワークにおける障害者の新規求職申込件数についても、令和2年は新型コロナ感染症の流行の影響もあって、平成11年以来21年ぶりに減少しましたが、令和元年までは毎年増えています。
障害別(身体・知的・精神)の就労状況について
民間企業で雇用されている578,292.0人の障害別の内訳は、 身体障害者が356,069.0人、知的障害者が134,207.0人、精神障害者が19,077.5人となっていて、身体障害者が全体の6割以上となっています。
産業別雇用状況について
障害者を多く雇用している産業は、製造業で153,446.0人(26.5%)、次いで卸売業・小売業の86,358.5人(14.9%)、医療・福祉の83,466.5人(14.4%)、サービス業の67,724.0人(11.7%)となっています。
50代の就労状況について
「令和5年度障害者雇用実態調査結果」で雇用されている障害者を障害別・年齢階級別でみると次のようになっています。
精神障害者の年齢別割合
知的障害者の年齢別割合
発達障害者の年齢別割合
身体障害者の年齢別割合
民間企業で雇用されている障害者の障害別の内訳では、身体障害者が全体の6割以上となっています。つまり、障害者雇用を考える企業の身体障害者へのニーズも高いと考えられます。
また、年齢階級別で見ると身体障害者では、50代では32.2%と最も多くなっていて、身体障害者の50代の方が多く雇用されているのがわかります。
50代の方は定年退職までの期間が短いため、転職というチャレンジをせずに、現在の会社でそのまま我慢しようと考える方も多くいらっしゃいます。
しかし、売り手市場が続いた影響で人材を採用したくても採用できず、人手不足で困っている企業は多くあります。また、ベンチャー企業やスタートアップの企業などは、若い社員ばかりのため、知識やスキルを持ったベテランを採用したいと考えているケースも多いようです。これまで転職を考えていなかった障害を持つ50代の方にとっても、転職のチャンスは十分にあります。
自分に合った企業の求人は何かな?
など、障害者枠での転職をお考えの方は、一度障害者専門の転職エージェントに相談してみることをおすすめします。
障害者雇用と一般採用の違い
障害のある方が就職・転職する際には、障害者雇用枠の求人に応募するケースと、一般雇用枠に応募する2つの選択があります。それぞれにはメリットとデメリットがありますので、応募する際には理解しておきましょう。
障害者雇用
前述の通り、障害者雇用促進法では、企業に対して障害者を雇用する割合(法定雇用率)を義務付けています。このルールによって企業は、障害者手帳を持った障害者の方に限定して求人を行うケースがあります。この求人枠を障害者雇用枠といいます。
障害者雇用では、障害に対する職場の理解が得られやすく、業務内容や通院などに配慮してもらいやすいことがメリットとなります。一方で障害者雇用枠での求人は、一般の求人に比べて件数が少なく、任せられる仕事も限定されるといったことがデメリットと考えられます。
障害者枠での転職をお考えの方は、一度障害者専門の転職エージェントに相談してみることをおすすめします。
一般雇用
障害がある方でも、障害者雇用枠ではなく一緒の求人に応募することは可能です。この際、障害のことを企業に伝えるオーブンと、障害のことを伝えずに働くクローズの2つのケースがあります。一般雇用での求人は、障害者雇用枠でも求人に比べると数が多いため、自分がやりたい仕事を見つけやすいといったメリットがあります。一方で、職場からの十分な配慮が得られないというデメリットもあります。
転職する際のポイント
50代で障害のある方が、転職する際の心構えやポイントについて解説します。
実務経験やスキルをアピールする
企業が20代や30代前半の若い方を採用する際には、「入社後にどのくらい成長が期待できるか」が選考基準のひとつとなります。一方で、企業が50代の方を採用する際に期待するのは、即戦力としてのスキルや実務経験を持っているかです。
応募書類や面接試験の自己PRや志望動機で、自分が持っている知識やスキルを応募企業でどのように活かせるか具体的に伝えるようにしましょう。
環境の変化に馴染めるか
50代の方が転職する際には、環境の変化に対応できるかも重視されるポイントです。経験が豊富な分、若い方より環境変化に対応するのに時間がかかったり、これまでの経験に囚われすぎる人もいます。
自分の障害についてきちんと伝える
障害者雇用枠に応募する際には、自分の障害の特性やできることとできないこと、配慮して欲しいことなどについて、企業にきちんと伝えることが大切です。障害者を雇用する企業は、対象となる社員に対して合理的配慮をする義務があります。自分の障害について企業に伝えることができていなければ、入社後に必要な配慮を得られずに働きにくさを感じる原因となりかねません。
謙虚な姿勢を持つ
50代の方の中には、豊富な経験や知識を持っている人も多くいることでしょう。しかし、障害雇用枠での仕事は、障害があってもできるような単純作業のケースが多くあります。50代の方が転職する際には、スキルや経験をアピールすることは必要ですが、年齢やキャリアに関係なく新人として働く謙虚な姿勢を持つことも大切です。
仕事の探し方
障害のある50代の方が仕事を探す際には、どのような方法があるのでしょうか。代表的なものをご紹介します。
ハローワーク
「ハローワーク」は、厚生労働省が設置している公共職業安定所のことです。全国に500カ所以上設置されています。ハローワークには、障害についての専門知識を持った職員や相談員が配置されている障害者専用窓口があります。ハローワークでは、求人の紹介だけでなく、就職・転職に関するさまざまなアドレスを受けることもできます。また、求人は障害者雇用枠の求人だけでなく一般雇用枠の求人も紹介してくれます。
障害者専用転職サービス
ハローワークは国が運営する職業紹介所ですが、民間企業が運営する転職情報サイトや転職エージェントもたくさんあります。それらの中には、障害者の転職に特化したものもあり、障害者雇用枠での求人を多く扱っています。
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「atGP(アットジーピー)」は、障害のある方の就職や転職に特化した支援サービスです。障害者の転職について知識を持ったキャリアプランナーが、個別に面談を行って希望する条件や障害の状況を伺い、最もマッチした求人を紹介します。
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まとめ
障害のない方でも、一般的に50代からの転職は難しいと言われています。特に障害者のある50代の方は、転職するのは非常に難しいというイメージを持っているかもしれません。しかし、厚生労働省のデータを見ると、身体障害者の方では50代の方が最も多く雇用されていました。
50代の方は、豊富な実務経験や知識、スキルを持っています。ベンチャーやスタートアップなど、若い社員ばかりの企業では、知識やスキルを持ったベテランを採用したいと考えている企業も多いようです。
現在の職場で働きにくさを感じていたり、仕事にやりがいを感じられないなど不満があるなら、転職を考えてみるのはいかがでしょうか。転職活動では、障害者雇用に詳しい担当者からアドバイスを受けられる転職支援サービスを利用するのがおすすめです。