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てんかんがある人はどのような仕事に向いている?仕事上の注意点とは

更新日:2022年03月18日

てんかんとは慢性的な脳の病気ですが、適切な治療を継続することで症状が安定することがほとんどです。てんかんのある方は、少し前までは美容師や医師などになることはできませんでしたが、現在は治療法の発達とてんかんに関する理解の深まりから可能になっています。しかしてんかんという病気の特性上避けたほうが良い仕事というものは存在します。ここでは、てんかんとはどのような病気でどのような症状があるのか、向いている仕事と避けたほうが良い仕事にはどのようなものがあるのかということについて解説していきます。
 

てんかんとは

てんかんとは慢性的な脳の病気であり、突然意識を失い反応もなくなるなどの発作を繰り返し起こすという特徴があります。

 

てんかんの原因や症状は人によって異なり、乳幼児のころに発症する人もいれば高齢になってから発症する人もいます。

 

患者の数はおおよそ100人に1人といわれているため、誰でもかかる可能性がある珍しくない病気であるといえます。

 

てんかんの発作が起こる原因は、脳の一部の神経細胞が突然一時的に異常な電気活動を起こすことですが、脳のどの部分にこの異常が発生するかによって起こる発作の症状に違いが生じます

 

この発作の症状は基本的に一過性のもので、発作が治まったら通常の状態に回復するという特徴があります。

てんかんの症状

てんかんの症状には、どのようなものがあるのでしょうか。

ここでは、てんかんの症状について解説していきます。

 

①部分発作

てんかんの部分発作とは、発作が始まる時点で脳の一部に異常な電気活動が起こる発作のことをいいます。

部分発作は、さらに以下の3つの種類に分類されます。

 

 

単純部分発作

単純部分発作とは、てんかんのある方の意識がはっきりした状態でおこる発作のことをいいます。

意識がはっきりしているため、発作中に起こった症状を自分で自覚することができます。

発作で起こる症状には、手足や顔の突っ張り、ねじれ、光や色が見える、人の声が聞こえる、片側の手や足のしびれ、吐き気などがあります。

 

 

複雑部分発作

複雑部分発作を起こした場合、てんかんの方は発作の間意識がないためどのような症状があったかを覚えていません。

発作が続く時間は通常1分から3分程度で、単純部分発作に続いて起こることもあればいきなり複雑部分発作が起こることもあります。

脳のどの部分に異常な電気活動が起こるかによって、症状に違いが出てきます。

 

側頭部に異常な電気活動が起った場合を例にとると、衣服をまさぐる、口をもぐもぐと動かすまたはぺちゃぺちゃと鳴らす、うろうろ歩き回るといった一見すると無意味な行動をとります。

前頭葉に異常な電気活動が起った場合には、体をばたばたと動かしたり、自転車をこぐような動きをします。

 

 

二次性全般化発作

二次性全般化発作は、全般性発作の強直間代発作と合わせて広義の意味で大発作と呼ばれます。

単純部分発作または複雑部分発作の状態から、異常な電気活動が脳全体に拡大して全身の痙攣につながります。

発作の後半の症状は、全般性発作の強直間代発作と似ています。

 

②全般発作

全般性発作とは、脳の広い範囲に異常な電気活動が発生する場合に起こる発作のことで、以下の4つの種類に分けることができます。

 

強直間代発作

強直間代発作は狭義の大発作で、もっともよく知られているてんかんの発作です。

この発作には前兆がなく、いきなり全身の痙攣が起こります。

発作が起こる直前に、叫び声やうめき声が出るという特徴があります。

痙攣が始まると、手足を硬く伸ばした状態で全身が硬直する状態が数秒から10数秒続き、これを強直期といいます。

その後、手足を一定のリズムでがくがく揺らすけいれんに移行し、この状態を間代期といいます。

この発作の間は歯を硬く食いしばる状態になるため、舌や口の中を噛んでしまったり、呼吸が停止してしまったりします。

 

この発作は前兆がなく突然起こるため、転倒による怪我にも注意が必要です。

発作は約1分程度で治まることが多いのですが、そのまま睡眠状態に入ったり、意識が朦朧とした状態が続いたり、失禁してしまうこともあります。

意識は15分から30分程度で回復することが多いのですが、意識の回復後も頭痛や筋肉痛、嘔吐などの症状が見られることもあります。

 

 

欠神発作

欠神発作とは、突然ぼーっとしたり、今まで行っていた動作が止まってしまったり、会話が途切れたり、反応がなくなったりといった症状が出る発作のことをいいます。

 

この欠神発作は5秒から20秒程度で治まるため、周囲の人にてんかんであることが気付かれにくいのですが、発作が連続して起こることもあり、寝起きに発作が起きやすいという特徴があります。

 

 

ミオクロニ―発作

ミオクロニ―発作とは寝起きに起きやすい発作で、突然手足がびくっとけいれんするという症状が起ります。

単発で起こることもあれば、連続して起こることもあります。

 

 

脱力発作

脱力発作とは、その名前の通り突然全身に力が入らなくなり、頭ががくんと垂れて倒れこんでしまうという発作です。

発作が継続する時間は1秒から2秒程度と短いのですが、突然転倒するために怪我をする可能性が高く、特に頭部を保護する必要があります。

てんかんの治療

てんかんの治療法には、どのようなものがあるのでしょうか。

ここでは治療法について解説していきます。

 

定期的な通院

てんかんの人は定期的に通院を行い、継続して治療を受ける必要があります。

 

抗てんかん薬を用いる薬物療法

抗てんかん薬とは、脳の異常な電気活動が発生することを抑えたり、他の神経細胞に伝わったりしないようにすることで、発作の症状を抑える薬のことです。

薬物療法を行う際には、抗てんかん薬を毎日規則正しく服用する、暴飲暴食や睡眠不足を避け生活リズムを整える、医師の許可なく抗てんかん薬の服用を中断しないという3つの注意点を守る必要があります。

抗てんかん薬にはいくつかの種類があり、発作のタイプや年齢、性別を考慮して処方されます。

1種類の薬のみで発作を抑える方法が一番望ましい形ですが、1種類の薬のみで発作を抑制することができない場合には、複数の薬を処方されることもあります。

 

てんかんのある方に向いている職業

てんかんのある方が問題なく、てんかんのない方と同じように働くことができる仕事には、以下のようなものがあります。

 

 

パソコンを使ったデータ入力業務

パソコンを使ったデータ入力業務はデスクワークであり、取引先の会社に出向く機会もほぼない仕事であるため、てんかんのある方でも他の人と同じような成果を上げることができる仕事です。

タイピングの速度に自信がある方には、特に向いている仕事であると言えます。

 

 

システム開発

システム開発の仕事は、1日中パソコンに向かってシステムを構築することが主な業務となるので、車を運転する機会がほぼないことからてんかんのある人であっても安全に働くことができる業種です。

高いスキルと向上心が求められる仕事ですが、経験を積みスキルを身に付ければフリーランスとして活躍することも可能です。

 

 

ライティングやデザインなどのデザインワーク

ライティングやデザインの仕事は、主にパソコンを使って行いますが、打ち合わせなどがあり外出する機会もあります。

 

その際には公共交通機関を利用することで、交通事故を起こしてしまう危険性を低く抑えることができるでしょう。

 

在宅でこのような仕事をする場合には、納期さえ守ればスケジュールを自分のペースに合わせて自由に決めることができるのも、この仕事の大きな魅力のひとつです。

 

 

店舗での接客、商品の陳列、加工

現在のところ販売業では人手が不足している傾向があるため、経験が少ない、またはない場合でも採用されやすいというメリットがあります。

 

販売業の中でも商品の陳列や加工は人と話すことが苦手な方に向いており、また接客業は人と接することが得意な人に向いている職種です。

 

ただし、このような職種の場合勤務時間が不規則なケースもあるため、抗てんかん薬を決まった時間に飲むことができるよう勤務先に配慮してもらうなどの工夫が必要になることもあります。

仕事をする際の注意点

てんかんのある方は、仕事をするうえでいくつかの点に注意する必要があります。

ここでは、てんかんのある方が仕事を行う際の注意点について解説していきます。

 

発作時の対応や日常生活の管理を自分で行う

てんかんのある方が社会で働くためには、規則正しい生活と服薬を欠かさないよう自分で生活を管理する必要があります。

職場で発作を起こすことが考えられる場合には、自分で発作が起きた場合の対処法を身に付けておくと同時に、周囲の人に発作時の対処法を周知しておいてもらうことも大切です。

 

 

運転免許が必要な仕事は避ける

てんかんのある方も、「運転に支障するおそれのある発作が2年間ない人」であれば運転免許証を取得することは可能です。

 

しかし、この先運転中に絶対に発作を起こさないという保証はないため、運転免許が必要な仕事は避けるようにしましょう。

 

 

てんかんであることを職場に告知する場合には詳しく説明を行うこと

職場に自分がてんかんであることを告知する場合には、提示するタイミングが非常に重要になります。

 

てんかんの告知を行った場合メリットを得ることができますが、同時にデメリットが生じる可能性があるためです。

 

告知によって受けるデメリットを最小限にとどめるためには、採用前の面接の時点でてんかんがあるが薬で発作をコントロールできていることと、万が一発作が起こった場合でも自分で対処できるため職場の人に迷惑をかける可能性は低いということについて積極的にアピールしておくことをおすすめします。

 

 

休職をする時には職場や主治医と相談してから

てんかんの症状が重くなり、仕事を続けることが困難であると感じるようになった場合、休職したいと考える方も多いと思います。

そのような場合には、自分一人で休職について決めるのではなく職場や主治医と相談して適切な時期と期間で休職するようにしましょう。

 
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てんかんのある方の仕事の探し方

てんかんのある方が仕事を探す際に利用できる機関には、以下のようなものがあります。

 

ハローワーク

ハローワークは一般の方の就職を支援する機関であると思われがちですが、障害や難病のある方の就職を専門的に支援してくれる窓口もあります。

そのため、てんかんのある方であってもハローワークを利用して仕事を探すことが可能です。

 

 

障害者就業・生活支援センターなどの行政サービス

障害者就業・生活支援センターは、通称「なかぽつ」と呼ばれ障害や精神疾患を含む疾患を抱えている方の就労や生活に関する支援を行ってくれる機関です。

就職準備のための職業訓練や、必要書類の書き方などのサポートを行ってくれます。

 

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就労移行支援

就労移行支援とは、障害者総合支援法に基づいた就労支援サービスのひとつで、職業訓練や面接対策、必要書類の添削などの就職活動に関するサポートを受けることができます。

 

 

障害者特化型転職サービス

障害者特化型転職サービスとは、障害者の転職をサポートしてくれる民間の企業が行うマッチングサービスで、企業と障害のある求職者にどのような配慮や対処が必要かを共有し、相談しながら最適な求人を提案してくれます。

 

atGPエージェント

atGP(アットジーピー)とは

atGPとは、株式会社ゼネラルパートナーズが運営する各種障害者の就職および転職支援サービスの総合ブランドです。

 

20年以上障害者の就職や転職の支援を行ってきた日本の障害者雇用のパイオニアともいえる存在がこのatGPです。

 

atGPの就職や転職に関するサービスは、基本的に無料で受けることができます。

 

障害や難病のある方に将来のビジョンも含めて、ひとりひとり異なる不安や悩みに関して専属のエージェントが二人三脚で寄り添い、サポートを行ってくれます。

 

てんかんのある方が就職や転職をしたいと思った場合には、atGPに相談することも選択肢として入れてみてはいかがでしょうか。

atGPエージェント

まとめ

てんかんという病気やてんかんのある人に向いている仕事と向いていない仕事、仕事を選ぶ際の注意点や利用できる機関などについて解説してきました。

 

てんかんがある方がてんかんのない方と同じように成果を挙げることができる仕事は沢山ありますが、てんかんという病気の症状のために避けたほうが良い仕事もあることがお分かりいただけたと思います。

 

てんかんのある方が就職や転職を希望する際に支援してくれる機関もあるため、そのような機関を利用して就職や転職を行うことも視野に入れてみてはいかがでしょうか。

atGPエージェント

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ライター:atGPLABO編集部(監修:戸田重央)

障害者専門の人材紹介として15年以上の経験とノウハウを活かし、障害者の雇用、就労をテーマとした情報発信活動を推進しています。 【監修者:戸田 重央プロフィール】 株式会社ゼネラルパートナーズ 障がい者総合研究所所長。 企業の障害者雇用コンサルタント業務に携わった後、2015年より聴覚障害専門の就労移行支援事業所「いそひと」を開所、初代施設長に。 2018年より障がい者総合研究所所長に就任。新しい障害者雇用・就労の在り方について実践的な研究や情報発信に努めている。 その知見が認められ、国会の参考人招致、新聞へのコメント、最近ではNHKでオリパラ調査で取材を受ける。 聴覚障害関連で雑誌への寄稿、講演会への登壇も多数。

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