障害者雇用促進法とは?2026年の改正内容をわかりやすく解説
更新日:2026年05月01日

障害者雇用促進法は、段階的な法定雇用率の引き上げや、短時間労働者のカウント方法の変更など、近年アップデートが続いています。特に2026年7月には2.7%への引き上げが控えており、人事担当者が今把握しておくべき情報は多岐にわたります。本記事では、同法の基礎知識から2024年・2026年の改正ポイント、企業に課せられる5つの義務、そして雇用達成に向けたステップまで分かりやすく解説します。
障害者雇用の専門チームによる監修記事
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目次
「障害者雇用促進法」とは?
正式名称は「障害者の雇用の促進等に関する法律」。1960年に制定された「身体障害者雇用促進法」が元となり、様々に改正され現在定められているのがこの法律です。障害者の安定した就労を実現するための具体的な方策が定められています。「法定雇用率(障害者雇用率)」も障害者雇用促進法の中に定められた「障害者雇用制度」の一つです。
障害者雇用については、「障害者雇用促進法」という法律で義務付けられていますが、障害者雇用促進法には、他にも障害者差別の禁止や合理的配慮の提供の義務などが定められています。
障害者雇用にまつわるメリット・デメリットをはじめ、最低限知っておきたい基礎知識をご紹介する資料がダウンロードできます。
この資料でわかること
・障害者雇用とは?
・障害者を雇用するメリット
・障害者を雇用しないデメリット
・障害者雇用が進まない企業が抱える課題
・課題を解消するポイント
・押さえておくべき障害者雇用の法律・制度
「障害者雇用促進法」の目的

障害者雇用促進法の第一条では、障害者雇用促進法は、障害者が自立して職業生活を送れるよう促す取り組みを総合的に支援することで、障害者の安定した就労を実現することを目的としていることが定められています。
また、障害者雇用促進法の第三条と第四条では、この法律の基本的理念を定めています。
「第三条 障害者である労働者は、経済社会を構成する労働者の一員として、職業生活においてその能力を発揮する機会を与えられるものとする。
第四条 障害者である労働者は、職業に従事する者としての自覚を持ち、自ら進んで、その能力の開発及び向上を図り、有為な職業人として自立するように努めなければならない。」
第三条は、ノーマライゼーションに触れ、障害者が健常者と同様に社会の一員として力を発揮していくように定められています。
第四条ではそのために障害者自身が「自律」をして「自立」に向けて行動を起こしていく必要があると定められています。
噛み砕くと、社会側は障害者が安心して就労できる環境を整え、障害者側は社会側への一層の貢献を求めるという内容となっています。
継続して行われる障害者雇用促進法の改定
障害者雇用促進法は、障害者の職業安定と社会参加を目的として、定期的な法改正が行われています。近年の改正は、障害者がその能力を最大限に発揮できる環境を整えることを主眼としており、法定雇用率の段階的な引き上げや、短時間労働者(週10時間以上20時間未満)の雇用義務対象への追加など、取り組みが拡大しています。あわせて、事業主の負担を調整するための納付金制度や各種助成金の拡充も進められています。今後も働き方の多様化や情勢の変化に応じた改正が続くと考えられるため、常に最新情報に注意を払うことが重要です。
以下、障害者雇用促進法の過去の主な改正内容と今後の改正予定について表にまとめました。

※2024年4月より、週10時間以上20時間未満で働く「特定短時間労働者」も実雇用率の算定対象(0.5人カウント)となっています。
障害者雇用促進法の「対象」とは
対象企業の定義
障害者雇用の義務が発生する「対象企業」とは、常用労働者数に法定雇用率を乗じた際に、雇用すべき障害者数が1人以上となる事業主を指します。
2024年4月からの法定雇用率2.5%下では、従業員40.0人以上の企業が対象ですが、2026年7月の2.7%への引き上げに伴い、対象範囲は従業員37.5人以上へと拡大します。 これまで義務がなかった38人〜39人規模の企業も、今後は新たに対象となるため注意が必要です。自社の従業員数を正確に把握し、段階的な引き上げスケジュールに合わせた採用計画の策定が求められます。
また、建設業や船員など一部業種には雇用率を軽減する「除外率制度」が設けられていますが、現在は廃止に向けた縮小期間中です。将来の完全廃止に備え、対象業種であっても早期の業務切り出しや体制構築を進めることが、リスク回避の鍵となります。
対象となる障害者(求職者)の定義
対象となる人(「対象障害者」)はどんな人達なのか?第二条一項が定義する「障害者」には、障害者雇用促進法が全般的に適用されますが、企業に障害者雇用を義務付ける「雇用義務制度」の対象となるのは「障害者手帳を持つ人」のみが対象です。
| ● 身体障害者手帳を保有する身体障害者
● 療育手帳を保有している・または判定機関の判定書を保有する知的障害者 ● 精神障害者保健福祉手帳を保有する人のうち症状が安定し、就労が可能な状態にある精神障害者 |
そのため、障害はあるが障害者手帳を取れる程ではない場合、または難病でも障害者手帳を取ることができない場合などは算定の対象にならないのが現状です。
厚生労働省は難病患者も含める方向で検討中
厚生労働省は、企業に義務付けられている「障害者法定雇用率」の算定対象に、障害者手帳を所持していない難病患者を含める方向で検討を開始しました。現行の制度では、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳のいずれかを持つ人のみがカウントの対象となっています。しかし、手帳の交付基準には至らなくとも、症状の変動や倦怠感といった難病特有の事情により、就労に大きな制約を受ける患者は少なくありません。
難病患者は「外見からは分かりにくい障害」を抱えていることが多く、職場での理解不足や、治療と仕事の両立の難しさが課題となってきました。算定対象に含めることで、企業側が難病患者を積極的に雇用するインセンティブを高め、短時間勤務や通院への配慮など、柔軟な働き方の普及を促す狙いがあります。対象とする疾患の範囲や、客観的な証明方法などの具体的な制度設計については、今後、厚労省の審議会で議論が進められる見通しです。
障害者雇用にまつわるメリット・デメリットをはじめ、最低限知っておきたい基礎知識をご紹介します。
障害者雇用促進法の改正内容
法改正が行われる背景
今回の法改正の根底にあるのは、「障害のある方が、より自らの希望に沿った働き方を選択できる社会」の実現です。
これまで国は、雇用施策(ハローワーク等)と福祉施策(就労移行支援等)を連携させながら支援を行ってきましたが、時代の変化とともに新たな課題も浮き彫りになってきました。
● 働き方の多様化への対応: テレワークの普及や新しい生活様式の定着により、就労を目指す障害者の方々のニーズも多様化しています。これまでの枠組みでは捉えきれなかった「新しい働き方」への対応が求められています。
● 「制度の谷間」の解消: 雇用と福祉の連携が十分でないために、必要な支援を受けられていない方や、支援の空白期間が生じてしまうケースがありました。こうした「谷間」をなくし、切れ目のない支援体制を構築することが急務となっています。
● 企業の責務と能力開発の明確化: 単に「雇用する」だけでなく、障害のある方の職業能力を継続的に開発・向上させることが、事業主(企業)の責務として改めて明確化されました。
これらの課題を解決し、障害の有無にかかわらず誰もが能力を発揮できる社会を目指して、2024年・2026年の段階的な法定雇用率引き上げや、短時間労働者の算定改善といった具体的な改正が進められているのです。
出典:厚生労働省「障害者雇用・福祉施策の連携強化に関する検討会報告書」
法定雇用率の引き上げ(2024年4月・2026年7月の段階的改定)
民間企業の法定雇用率は、2024年4月に2.5%(対象:従業員40.0人以上)へ引き上げられました。
さらに、2026年7月からは2.7%への再引き上げが決定しており、義務対象も「従業員37.5人以上」の企業へと拡大されます。
この段階的な改正により、これまで対象外だった中小企業を含め、より多くの企業で雇用義務が生じます。企業側は目標達成に向けて早期の採用計画策定や職場環境の整備を迫られており、求職者の皆さまにとっては、活躍のフィールドがさらに広がる大きなチャンスの時期と言えます。
【改正ポイント】
● 民間企業の法定雇用率
2.5% → 2.7%(2026年7月以降)
● 雇用義務 対象企業の従業員数
40.0人以上 → 37.5人以上(2026年7月以降)

除外率の引き下げ(2025年4月〜)
除外率制度とは、障害者の就業が難しいと認められる業種に適用される制度です。雇用労働者数を計算する際、除外率によって一部の労働者が控除されることで、障害者の雇用義務が軽減されます。
2025年4月から各除外率設定業種ごとにそれぞれ10ポイント引き下げられ、引き下げ後の除外率は以下のように変わりました。なお、これまで除外率が10%以下であった業種については、除外率制度の対象外となりました。

出典:障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化について|厚生労働省
短時間雇用と障害者雇用率算定の改定(2024年4月〜)
2022年に障害者雇用の促進等に関する法律の改正に伴い、2024年4月以降、雇用率計算の対象が拡大され、「週10時間以上20時間未満」で働く障害特性上長時間の勤務が困難な精神障害者や重度の身体・知的障害者も含まれるようになりました。旧法では、「週30時間以上」または「週20時間以上30時間未満」の障害者のみ対象でした。
雇用率の計算は、障害者の労働時間や障害の種類・程度によって異なります。

障害者雇用調整金・報奨金の支給が減額(2024年4月〜)
障害者雇用に関する改正では、事業主が一定数以上の障害者を雇用する際に支給される障害者雇用調整金・報奨金の支給方法が見直されました。
2025年度の支給については、2024年度の実績に基づき、一定数を超えた場合に調整(減額)されることが決まっています。

出典:障害者雇用調整金・報奨金の支給調整について|厚生労働省
障害者雇用納付金助成金の整理と拡充(2024年4月〜)
今回の改正では、障害者雇用に関する既存の助成金の拡充と新たな助成金の創設も行われました。

詳細内容を確認したい方は、厚生労働省の下記のPDFをご確認ください。
障害者雇用促進法が定める5つの義務
障害者雇用促進法における企業が守るべき5つの義務があります。

1. 雇用義務制度
企業は、全従業員数に対して一定割合(法定雇用率)以上の障害者を雇用する義務があります。
| ● 現在の状況(2026年4月)
民間企業の法定雇用率は2.5%です(従業員40人以上の企業が対象)。 ● 今後の予定 2026年7月より2.7%に引き上げられ、対象も従業員37.5人以上の企業へ拡大されます。 |
未達成かつ一定規模以上の企業には「障害者雇用納付金」の支払い義務が生じます。

2. 差別禁止と合理的配慮の提供義務
合理的配慮の提供義務とは、障害者の採用活動において、健常者と同等の機会を与えなければならないということです。例えば障害状況を理由として採用を拒否することなどです。
採用するとなった場合に、賃金の決定や教育訓練の実施、福利厚生施設の利用などの待遇において、障害を理由に不当に差別的取扱いをしてはならないと定めています。ただし、健常者とは異なる取り扱いを行った際に、その取り扱いに合理的な理由が認められる場合のみ禁止の対象とはなりません。
事業主は差別禁止と共に合理的配慮の提供義務が発生します。
障害者が働くにあたって支障を改善するための措置が義務付けられています。例えば聴覚障害者を雇用するのであれば筆談の配慮、車椅子を使用している障害者であれば段差にスロープを設置するなどのインフラ面の整備などです。事業主にとって過重な負担となる場合には、現時点では合理的配慮の提供義務はありませんが、過重ではないのに対応や支援を行わない場合は「差別」と見なされます。
なお、障害者差別解消法の改正に伴い、2024年4月1日から事業者においても合理的配慮の提供が義務化されました。

障害者は差別がある・合理的配慮がなされないと感じた際には、事業主に苦情を申し立てることができます。社内で自主的に解決するよう努力する義務がありますが、話し合いによって自主的に解決することが難しい場合には、各都道府県の労働局や紛争調整委員会などの支援を受けることができます。
3. 障害者職業生活相談員の選任義務
障害者雇用促進法第79条に基づき、障害のある労働者を5名以上雇用している事業所では、「障害者職業生活相談員」を選任する義務があります。この制度は、障害者が職場に適応し、その能力を十分に発揮して安定した職業生活を送れるよう、専門的な知識を持った相談員が直接的な指導や相談を行うことを目的としています。
選任される相談員には、厚生労働省令で定める資格が求められます。具体的には、高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)が全国で実施している「障害者職業生活相談員資格認定講習」を修了した労働者や、一定の実務経験・資格を有する者の中から選ばなければなりません。
相談員は、障害特性に応じた仕事の割り振りや職場環境の改善、さらには精神面でのフォローなど、定着支援の要となる役割を果たします。義務が生じる前に、計画的な講習受講とサポート体制の整備を進めることが重要です。
4.障害者雇用状況の報告義務(ロクイチ報告)
従業員数40人以上(2026年7月からは37.5人以上)の企業は、毎年6月1日時点の障害者雇用状況をハローワークに報告する義務があります。この報告は通称「ロクイチ報告」と呼ばれ、毎年7月15日が提出期限です。
対象企業には報告用紙が送付されますが、電子申請による手続きも可能です。注意すべき点は、障害者を一人も雇用していない場合であっても報告は必須であることです。提出を怠ったり、虚偽の報告をしたりした場合には、法律に基づき30万円以下の罰金が科される可能性があります。行政が雇用実態を把握するための重要な手続きですので、期限内に必ず届け出ましょう。
5.障害者の解雇届出の提出
事業主が障害者を解雇する場合、管轄のハローワークへ「障害者解雇届」を遅滞なく提出する義務があります。これは、離職した障害者に対して行政が迅速な再就職支援を行うために必要な手続きです。もしこの届出を怠った場合、障害者雇用促進法第86条の規定により、30万円以下の罰金が科される可能性があります。雇用時だけでなく、離職時においても適切な法的手続きを遵守することが事業主には求められます。
障害者雇用未達成時のペナルティ
障害者雇用促進法において、法定雇用率の達成は企業の義務であり、単なる努力目標ではありません。万が一未達成となった場合には、段階的な措置が講じられます。これらは大きく分けて「経済的負担(納付金)」「行政指導」「社会的信用の損失(社名公表)」の3つのフェーズに分類されます。特に2026年(令和8年)7月の雇用率引き上げ(2.7%)を控え、未達成時のリスク管理は企業経営において避けて通れない課題となっています。
障害者雇用納付金制度
障害者を雇用する際、作業施設の改善や職場環境の整備が必要となるため、障害のない人を雇用する場合に比べて企業には経済的な負担が生じることがあります。こうした負担を社会全体で調整し、障害者雇用の水準を高めることを目的として「障害者雇用納付金制度」が設けられています。
具体的な仕組みは以下の通りです。
| ● 未達成企業(常用労働者100人超):法定雇用率に不足する人数分を「障害者雇用納付金」として国へ納付。
● 達成企業:納められた納付金を原資として、「調整金」や「報奨金」を国から受給。 |
また、障害者を雇用するために作業施設や設備の設置などで多額の費用を負担した場合には、その費用の一部を補填する「助成金」も用意されています。
行政指導が行われる
雇用状況が著しく改善されない企業に対しては、公共職業安定所(ハローワーク)による厳しい行政指導が行われます。
まず、実雇用率が著しく低い企業には「障害者雇入れ計画作成命令」が出されます。これは2年間で不足人数を解消するための具体的な採用計画を策定・提出させるもので、実施状況は半年ごとに報告義務が生じます。
計画の進捗が芳しくない場合は「適正実施勧告」が行われ、さらに改善が見られない場合には、各都道府県の労働局による「特別指導」へと移行します。この段階になると、企業幹部が直接呼び出しを受けるなど、非常に強い心理的・実務的プレッシャーがかかることになります。
企業名の公表
行政指導や特別指導を受けてもなお、正当な理由なく雇用状況を改善しない企業に対して下される最終的な措置が「企業名の公表」です。厚生労働省のホームページなどで全国に公開されます。
かつては「社名が出るだけ」と楽観視する向きもありましたが、現代のビジネス環境においてそのダメージは計り知れません。昨今のESG投資の普及やDE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)への関心の高まりにより、公表は「コンプライアンス違反の企業」というレッテルを貼られることを意味します。
これは、既存顧客からの信頼失墜、新規取引の停止、採用市場でのブランドイメージ低下など、納付金以上の甚大な経営損失を招くリスクを孕んでいます。
障害者雇用を達成するメリット
障害者雇用の達成は、社会的責任の遂行だけでなく、企業の経済的・組織的成長に大きく寄与します。単なる義務としてではなく、企業価値を高めるための戦略的なメリットとして捉えることが重要です。
調整金や報奨金による直接的な経済的恩恵
最大の利点は、法定雇用率を超過した際に支給される「障害者雇用調整金」や「報奨金」です。常時雇用する労働者が100人を超える事業主なら超過1人につき月額2万9,000円、100名以下の中小企業でも条件次第で2万1,000円が受給可能です。これらは、義務を果たしている企業を経済的に評価し、その負担を軽減するための公的な仕組みです。
環境整備を支える充実した助成金制度
雇用環境の整備に対する助成金も非常に豊富です。バリアフリー化を目的とした施設整備費や、業務をサポートする職場介助者の配置費用など、受け入れに伴う初期投資や維持コストをカバーする支援が用意されています。これらを活用すれば、財務負担を抑えながら適切な就労環境を構築し、安定した雇用継続を実現できます。
在宅就業支援に伴う特例措置の活用
直接雇用が物理的に難しい場合でも、在宅就業者に業務を発注することで「特例調整金・報奨金」が得られます。通勤が困難な障害者の自立を支援することで経済的恩恵を享受できるため、多様な働き方を推進しながら、雇用率達成と同様の効果を得られます。自社の状況に合わせた柔軟な社会貢献が評価される制度です。
採用支援事業の活用と組織の活性化
実習や定着支援事業を活用することで、採用ノウハウを蓄積しつつ多様な職場を構築できます。雇用を「義務」から「投資」へと変革すれば、組織全体の活力が向上し、持続的な成長を支える強固な経営基盤となります。誰もが能力を発揮できる環境作りは、結果として全従業員の働きやすさや企業の競争力向上に直結します。
障害者雇用促進法に対して企業がすべきこと
1. 自社の雇用率を確認する
障害者雇用促進法への対応において、最初に行うべきは自社の「常用労働者数」を正確に算出することです。これにより、自社に障害者を雇用する法的義務があるかどうかを判断します。
常用労働者とは、正社員、パート、アルバイトといった雇用形態に関わらず、1年以上継続して雇用されている、またはその見込みがある従業員を指します。まずは全従業員の週の所定労働時間を洗い出すことから始めましょう。
常用労働者数は、週の労働時間に応じて以下のように計算されます。20時間未満の従業員は、算定の対象には含まれません。

算出された人数が40人を超える場合、法定雇用率2.5%に基づき1人以上の障害者を雇用する義務が生じます。
| 【例1】30時間以上が31人、20~30時間が19人の場合: 31人 + (19人 × 0.5) = 40.5人となり、雇用義務が発生します。 |
| 【例2】30時間以上が13人、20~30時間が50人の場合: 13人 + (50人 × 0.5) = 38人となり、現時点では雇用義務はありません。 |
今後の制度変更に注意が必要です。現在は「40人以上」が義務対象ですが、2026年7月からは「37.5人以上」へと対象が拡大されます。現時点で義務がない企業も、将来の基準を見据えて、早期に採用活動や受け入れ体制の準備を進めることが重要です。
2.障害者雇用計画を立てる
実雇用率の確認後、具体的な計画を策定します。「いつまでに何人雇用するか」という目標と採用スケジュールを明記し、活用可能な助成金も盛り込みましょう。計画が進まない場合は、業務設計や配属先の見直しが不可欠です。社内業務を改めて洗い出し、個々の特性を活かせる仕事を見出すことが重要です。目標達成に向け、体制の再構築を含めた具体的なアクションプランを練ることが、着実な雇用への第一歩となります。
3.障害者の受け入れ態勢を整える
雇用計画が固まったら、障害者が安心して働ける環境作りを進めます。
まず重要なのは、法的に義務付けられている「合理的配慮」の提供です。段差の解消や補助器具の導入といった物理的環境の整備に加え、個々の障害特性に応じた通院への配慮や、指示の出し方の工夫など、柔軟なソフト面の対応が求められます。
次に「業務の切り出し」と「サポート体制の構築」です。本人の能力を最大限発揮できるよう、既存業務を整理して適切な職務を割り当てます。また、職場内での孤立を防ぐため、相談窓口の設置や指導担当者(メンター)の配置を行い、周囲の従業員の理解を深めるための社内研修も不可欠です。
障害者本人が戦力として定着するには、周囲が過度な遠慮をせず、対等な立場で接する組織文化の醸成が鍵となります。ハード・ソフト両面からの備えが、長期安定雇用に向けた強固な基盤となります。
4.公的支援と助成金を利用して障害者雇用を進める
障害者雇用を自社だけで完結させる必要はありません。公的機関による無料のサポートや、経済的負担を軽減する助成金を最大限に活用することが、安定した雇用を実現するための鍵となります。外部の専門性を活用することで、採用のミスマッチを防ぎ、現場の教育コストを大幅に抑制することが可能です。
● 採用を支援する主な公的機関
各機関には得意分野があり、連携することでスムーズな採用・定着が可能になります。「採用はハローワーク、専門指導は職業センター、生活フォローはなかぽつ」と使い分けるのが最も効率的です。

● 職場適応援助者(ジョブコーチ)支援事業
障害者が職場に馴染めるよう、専門家(ジョブコーチ)が事業所へ赴き、本人への直接指導や現場社員への接し方のアドバイスを一定期間集中的に行います。企業側の負担なく、現場の教育コストを削減できる制度です。ジョブコーチには以下の3つの種類があります。

出典:厚生労働省 職場適応援助者(ジョブコーチ)支援事業について
● 助成金
障害者雇用に伴う経済的負担(賃金、環境整備、教育など)を軽減するため、フェーズに合わせた多様な助成金が用意されています。

※ジョブコーチ助成金詳細ページ:
・訪問型職場適応援助者助成金
・企業在籍型職場適応援助者助成金
5.職業リハビリテーションを利用して定着率をあげる
「職業リハビリテーション」の利用は、企業にとって法的な義務ではありません。しかし、障害者雇用促進法の本質である「雇用の継続と安定」を実現する上で、極めて有効な手段です。
採用後に「業務指示がうまく伝わらない」「周囲との連携に課題がある」といった壁に直面した際、自社内だけで解決しようとせず、外部の専門機関による「職業リハビリテーション」を人事の課題解決ツールとして活用しましょう。
定着支援の代表的な手法が、ジョブコーチ(職場適応援助者)の導入です。
専門家が職場に赴き、当事者には「業務スキルの習得」を、企業側には「特性に合わせた指導法や環境整備」を直接アドバイスします。プロが第三者の視点で介在することで、現場の負担を軽減しながら、早期離職を防ぐことが可能です。
障害者雇用促進法に基づき、以下の3つの機関が職業リハビリテーションを担っています。それぞれの強みを理解し、状況に応じて使い分けることが重要です。
● ハローワーク
ハローワークは厚生労働省が設置・運営している「公共職業安定所」の通称です。全国に設置され、職業紹介・雇用保険・雇用対策について業務を行っています。障害者の就労について専門的な知識を持った相談員もいて、就職の相談や案件の紹介、職業訓練を紹介します。また入社後もフォローをすることで職場への定着支援を行っています。
● 障害者職業センター
障害者職業センターでは障害者に対して専門的な職業リハビリテーションサービス実施し、障害者の就労専門のカウンセラーによって職業の能力を評価する「職業評価」や「職業指導」などを行っています。障害者側へのサポートだけではなく、事業主に対する障害者の雇用管理に関する相談・援助、地域の関係機関に対し助言・援助しています。
● 障害者就業・生活支援センター
ここでは障害者・難病のある方の就業とそれに伴う生活面での支援を総合的に行っています。全国に338センター(2025年4月1日時点)あり、公益法人(社団または財団)や社会福祉法人、特定非営利活動法人(NPO)などが運営しています。
障害者雇用促進法の目的のひとつは、障害のある人の能力に応じた職業への就労を促す方策を行うことで、障害のある人の職業の安定を図ることです。この目的を達成するための方策として、職業リハビリテーションの推進が定められています。

まとめ
ノーマライゼーションの概念が浸透してきている現代では、障害者雇用を取り巻く環境はめまぐるしく変化してきています。現在は過去と未来の転換期にあると言えます。今後はきっと紆余曲折を経て、障害者・健常者という垣根をなくしひとりひとりがより働きやすい環境で、より自律して社会へ貢献していくような時代になっていくのでしょう。
OUR PHILOSOPHY
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私たちゼネラルパートナーズは、2003年の創業から20年以上にわたり、2,000社を超える企業様と向き合い、1万件以上の障害者雇用を支援してきました。
障害を「よく知らない」ことから生まれる差別や偏見の壁を壊していくことで、活躍の機会が生まれ、人材不足の解消やDE&Iの浸透にもつながると信じています。
人材紹介・求人サイト・スカウト・面接会・総合コンサルティングなど、幅広いサービスの提供を通して、新たな価値や機会を創造することに挑戦し続けます。
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