関節リウマチがある方の仕事や働き方について
更新日:2021年12月28日
関節リウマチによる、関節の痛みや腫れ、関節の変形で苦しんでいる人は、日本で数十万人いると言われています。しかし、その中には関節リウマチの治療をしながら仕事と両立をしている方もたくさんいます。関節リウマチの方は、仕事をする際にはどのような点に気を付けているのでしょうか?この記事では、関節リウマチの方が働きやすい職場や業界、仕事の探し方などについて紹介します。
目次
■関節リウマチとは
関節リウマチの症状
関節リウマチの症状には、次のようなものが見られます。
初期症状では手首や足首の関節が腫れてこわばりや痛みを感じる
初期に現れやすい関節リウマチの主な症状には、朝のこわばり、関節の痛みや腫れ、微熱や倦怠感、食欲不振などがあります。
・朝のこわばり
朝起きてすぐに、手が開きにくい、体を動かしにくいといったこわばりが現れます。症状は起きて30分ほどで消えますが、関節リウマチの状態が悪いと長く続きます。
・関節の痛みや腫れ
関節に痛みが生じたり、熱をもって腫れたりします。左右対称に症状が現れるのが特徴で、多くの関節で症状が起きたり、症状の部位が移動することもあります。
・微熱や倦怠感、食欲不振
関節リウマチは関節だけの病気ではなく、免疫異常による全身病のため、微熱が出たり、倦怠感や貧血、食欲不振などの症状も現れます。
重症化すると手足の変形、膝や肘の炎症や骨の破壊など
全身の関節に進行していく患者さんの場合、重症化すると指や手首の関節が破壊されて、指が短くなったり、関節が脱臼して変形することがあります。また足の指にも変形が起こります。
頸椎に炎症が起こると、首の一番上の部分の背骨が前にずれて脊髄が圧迫され、手足が麻痺したり、呼吸がしにくくなる場合もあります。
関節リウマチの治療について
身体障害手帳について
関節リウマチは全身の関節に障害を残すため、身体障害者手帳の交付を受けることができる可能性があります。
主治医に相談した上で、身体障害者手帳を申請することが可能
身体障害者手帳を持っている方に対しては、所得税の減免や医療費の軽減、交通費の割引、手当の支給、福祉サービスなどさまざまな支援が行われています。なお、身体障害者手帳の等級は、障害の程度によって1級から6級に分けられていて、等級や所得などによって受けられる支援が異なります。
身体障害者手帳を取得するには以下の手続きが必要です。
①市区町村の窓口で相談
市区町村の窓口で相談して、「身体障害者手帳交付申請書」「申請用の診断書用紙」「意見書用紙」を入手します。
② 指定医を受診
用紙を持参して、都道府県知事の指定を受けた医師(指定医)を受診します。指定医がわからない場合には、市区町村の窓口で紹介してもらいましょう。関節リウマチの場合、指定医は主に指や肘、肩、膝、足などの関節機能がどの程度の障害かを診察して、診断書と意見書を作成します。
③身体障害者手帳交付申請書・診断書・意見書を持って市区町村の窓口へ申請
身体障害者手帳申請書、診断書、意見書を提出して申請した後、都道府県などで審査が行われて身体障害者手帳が交付されます。交付までの期間は、地域によって異なりますが申請から1~2ヵ月間程度はかかります。
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関節リウマチがある方が仕事で気をつけること
関節リウマチを発症すると長期の治療が必要となりますが、症状が軽い場合には仕事と治療の両立が可能です。しかし、仕事を続ける場合でも身体に負担をかけないような工夫が必要です。
長時間の立ち仕事は避ける、もしくは同じ姿勢が続かないようにこまめに休憩をとる
長時間の歩行を伴う仕事や長時間の立ち仕事は避けるようにしましょう。
デスクワークの多い方は、同じ姿勢が続かないよう、時々足を左右に動かしたり、一定時間ごとに休憩を取って席を立つなど関節に負担がかからないように心がけましょう。
関節を冷やさないようにする
関節リウマチは、関節を冷やすと関節の痛みが強くなったり、関節が動かしにくくなることがあります。
寒い時期だけでなく、事務所内では冷房で冷えることもあるので、関節を冷やさないように、長袖や長ズボンを着用したり、ブランケットを用意するなど工夫しましょう。
ものを拾うことが大変になるときもあるため、マジックハンドなどを準備しておく
重たい物を持ち上げたり運ぶときには、できるだけ他の人に手伝ってもらいましょう。マジックハンドを用意しておくと、床に落ちてしまったものや離れた場所にあるものを取る時に便利です。
関節リウマチがある方が働きやすい職場・業界・職種とは
関節リウマチに限りませんが、障害がある方が継続して働くためには、働きやすい仕事や職場を選ぶことが大切です。
関節リウマチといっても、人によって症状はさまざまですが、一般的に働きやすいと思われる職場や業界、職種をご紹介します。
働きやすい職場
関節リウマチでも、日常の自己管理や通院、服薬、リハビリテーションなどを続けながら、仕事を続けることは可能です。
しかし、急な痛みや腫れなどの体調不良や通院やリハビリテーションのために、仕事を休まなければならないこともあります。そのような時の欠勤や遅刻・早退に理解があり、体調に合わせて仕事ができる職場は働きやすい環境と言えるでしょう。
また、令和3年に公布された改正障害者差別解消法では、民間事業者にも合理的配慮の提供が義務づけられています。
厚生労働省の公表している合理的配慮指針に沿って職場環境の改善や調整をしている職場は働きやすいといえます。
指針では、職場のバリアフリー化、通勤への配慮、勤務時間や通院などが合理的配慮の例として示されています。就職や転職で応募企業を選ぶ際には、これらへの対応が行われている、または対応に前向きな職場を選ぶと良いでしょう。
参考:厚生労働省「合理的配慮指針集 第3版」
おすすめの業界
厚生労働省の「令和2年 障害者雇用状況の集計結果」によると、関節リウマチのある方を含めて身体障害者の方が多く働いている産業は、製造業、卸売業・小売業、医療・福祉、サービス業です。
これらの産業の中でも、積極的に障害者を雇用している企業は、働きやすい職場環境や合理的配慮が期待できます。また、医療関係や福祉、介護関係は、障害者や病気にに対する理解が高いためおすすめの業界です。
参考:厚生労働省「令和2年 障害者雇用状況の集計結果」
おすすめの職種
人によって症状が異なりますが、一般的に関節リウマチのある方は、重い物を持ったり運んだりする仕事や、長時間の歩行を伴う仕事など身体に負担をかける仕事は避けた方が良いと考えられます。そのことからも関節リウマチのある方におすすめするのは、次のような職種です。
・事務職
・エンジニア、技術職
・デザイナー
・商品管理などの軽作業
また、新型コロナウイルスへの感染予防対策として、テレワークやリモートワークによる在宅勤務を進める企業が増えています。在宅で働ける仕事は通勤の負担がないため働きやすいといえます。
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仕事の探し方
関節リウマチで身体障害者手帳を持っている方は、一般雇用と障害者雇用の両方の求人への応募が可能です。
障害者雇用は、障害があることが前提で企業は採用するため、障害への理解や配慮を受けやすくなります。
一方で、一般雇用に比べると、求人の数が少なかったり職種が限定されるなどのデメリットもあります。関節リウマチのある方が、就職や転職で仕事を探す際には、次のサービスを利用するのがおすすめです。
ハローワーク
ハローワークは、厚生労働省が運営する公共職業安定所のことです。全国に500カ所以上あり無料で利用できます。ハローワークには、障害者専用の窓口が設置されていて、障害について専門の知識を持った職員や相談員が配置されています。
求人紹介は、障害者雇用だけでなく一般雇用の求人も紹介してくれます。また、窓口では求人紹介だけでなく、就職に関するいろいろな相談もできます。
障害者専用転職サービス
民間企業が運営する求人紹介サービスには、転職情報サイトや転職エージェントがあります。転職エージェントは人材紹介サービスで、キャリアプランナーなどの担当者が、応募から面接、入社までの転職のさまざまなサポートをしてくれます。
転職エージェントには、幅広い求人を扱う総合型と、地域や業界・職種など一定の条件の求人を主に扱う特化型があり、なかには障害者の転職に特化した転職エージェントもあります。
atGP(アットジーピー)とは
まとめ
関節リウマチになると、関節が炎症を起こして、関節が腫れたり激しい痛みが起こって、日常生活や仕事に支障が生じます。しかし、関節リウマチの治療と仕事を両立している方はたくさんいます。
関節リウマチの方が仕事を続けるには、「身体への負担が少ない仕事」や「通院やリハビリテーションを続けられる仕事」「体調に合わせてできる仕事」を選ぶことが大切です。就職や転職で仕事を探す際には、関節リウマチの症状に対する理解や配慮がある職場を選ぶようにしましょう。
ハローワークの障害者専用窓口や障害雇用に特化した転職エージェントサービスは、障害者雇用に精通した担当者が配置されているので、自身の希望する条件や関節リウマチの症状に合った仕事を紹介してもらえる可能性があります。どちらも無料で利用できるので、まずは相談してみましょう。