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パニック障害とはどんな病気なのか?特徴や仕事への影響および対処法について

更新日:2021年07月08日

ある日突然、仕事の出勤時に電車に乗ると激しい動悸、息切れ、目まいに襲われた。それ以降、何回か同じ状況で同様の発作が起き、また同じ状態になるのが怖くて電車に乗れなくなった。その後、電車でなくても同じように人が多い狭い空間を避ける、また外出自体を怖がり家に引きこもりがちになった・・・これは典型的なパニック障害の症状ですが、(まれなケースで)自然に治る人もいれば、適切な治療をしないと重症化し社会的活動に支障をきたす場合もあります。そんなパニック障害を抱えたまま仕事はできるのか?パニック障害とはどんな障害なのかと共に解説していきます。

パニック障害とはどんな障害なのか?その特徴とは?

パニック障害は、不安障害という精神障害の一種です。以前は不安神経症と呼ばれていました。不安障害はパニック障害以外に、原因が特定できない様々な出来事への不安が長期に渡って続く全般性不安障害や、〇〇恐怖症のような特定の恐怖症の三つに分類されます。

 

パニック障害の特徴(診断基準)を国際的な精神障害の診断基準の一つであるアメリカ精神医学会のDSM(精神障害の分類と統計マニュアル)の最新版であるDSM-5の診断基準から見てみます。

 

パニック障害は、繰り返される予測できないパニック発作が生じる不安障害で、少なくとも1回の発作と1カ月かそれ以上のまた発作が起きるのではないかという恐怖を感じる期間があり、それにより、多くの場合そのような発作が起きそうな状況を避けるような行動の変化が生じることを指します。パニック発作は4つまたはそれ以上の以下の症状によって特徴づけられます。

 

・動悸

・発汗

・震え

・息切れ

・窒息感

・胸の痛み、不快感

・吐き気、腹部の不調

・目まい、ふらつく感

・非現実感、離人感

・自己制御ができない、狂いそうな恐怖感

・死の恐怖感

・凍えたような感覚麻痺、かじかんだ感覚

・寒気またはホットフラッシュ

 

上記の様なパニック発作の後に、また発作が起きるのではないかという予期不安を感じるようになり、さらにパニック発作を繰り返し経験する中で、パニック発作が起こる状況や場面に遭遇することに恐怖を覚え、そのような状況や場面を避けたいと考えるようになります。

 

さらに不安がひどくなると、どこに行ってもパニック発作になるのでは?と考える(妄想する)ようになり、そもそも外出せず家にこもるようになり、学校に行く、職場に行く、その他の社会的交流ができないなど社会活動に支障を来たすようになります。これを広場恐怖と呼びます。このパニック発作、予期不安、広場恐怖がパニック障害の診断基準となる特徴的な症状となります。

 

当然、非常に高いストレスに晒されますので、うつ病などの精神障害を併発する可能性も高く、パニック障害と診断された人のうつ病の罹患率は過半数以上というデータもあり、逆にうつ病からパニック障害を併発するケースもあります。

パニック障害の原因と罹患者の傾向

 

しばしば、有名芸能人や著名人がパニック障害であることをカミングアウトしてメディアに取り上げられるなどし、パニック障害はある一定の認知度がありますが、原因については一般的には知られていません。どれくらいの罹患率でどんな人がなりやすいなど傾向があるのでしょうか。

 

日本の罹患率は、厚生労働省の調査では0.8%となっており、イギリスでは1.4%、アメリカでは3.5%というデータがあります。平均的には2%台とされていますが、日本の数値は受診率の低さが影響しているとも言われています。

 

海外での男女比では1:2と女性の方が多くなっている一方で、日本ではほぼ1:1の比率です。これも女性が受診する際のプロセスの問題があるかもしれません。罹患者の年齢的傾向としては、平均的に20代半ばから30歳ぐらいまでに多く見られ、うつ病の好発年齢が40~60代なのに比べると、比較的若い年代で起きる精神障害と言えます。

 

【脳機能の誤作動】

直接的な原因としては脳内の危険や有害な事象を伝達し、不安を起こさせるシステムの誤作動という説が有力です。実際に危険ではない状況でもこのシステムの誤作動により恐怖心が生じ、交感神経脳が刺激され興奮して発作が起きるのですが、パニック障害になりやすい傾向がある人には共通点もあるようです。

 

【性格的傾向】

うつ病になりやすい人との共通点も多いのですが、基本的には真面目でストレスを受けやすい人です。責任感が強い、完璧主義、神経質、他者の評価が気になる、緊張しやすいなどが挙げられます。

 

【生育環境】

心的なストレスを受けやすい生育環境、DV、虐待、離婚、PTSD、HSP(ハイリーセンシティブパーソン)、薬物依存、アルコール依存、共依存などの経験がパニック障害の根本的原因である場合、これらの原因が取り除かれないと治療に効果がない場合もあるようです。

 

【薬物】

パニック発作の症状に呼吸器に関連するものが多いため、喫煙は発作の発症を助長する可能性があり、若年時からの喫煙もリスクを高めると指摘されています。またアルコール、カフェイン、鎮静剤などの乱用もパニック障害によくない影響があるようです。

パニック障害の治療法は投薬と心理療法

 

パニック障害と診断された場合、その治療は多くの精神障害と同様に薬物と心理療法が中心となります薬物治療においては、うつ病全般に効果があるとされる抗うつ薬のSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)などに加えて抗不安薬であるベンゾジアゼピン系の薬剤が使用されます。心理療法では、認知行動療法を用いて、患者の不安要素に対する考え方を変えることで不安を和らげ、行動を正常化していきます。

 

また曝露療法として、投薬で発作の症状が落ち着いてきたら、実際にパニック発作が起きた、あるいは起こりそうな不安がある場所や状況、外出そのものに少しずつ自身を曝して慣れていくことで、不安を取り除いていきます。

 

さらに、広場恐怖で家に閉じこもりがちになった場合は、規則正しい生活リズムが乱れ、自律神経がバランスを崩し、それがより一層治療を難しくします。その場合は決まった時間での起床、就寝、食事、外出などの訓練をする必要も出てきます。

パニック障害の人が利用できる、就労に関する支援制度

 

現在、パニック障害と診断されている方の中にはその症状と向かい合いながら、一般の事業所で働きたいと思っている方も多いかと思います。これから学校などを卒業して就職しようという方もいれば、今まで働いていてパニック障害で離職した方もいらっしゃるかもしれません。

 

ここではパニック障害を含む障害を抱えた方が利用できる就労に関わる制度をご紹介します。

 

【就労移行支援事業】

就労移行支援事業は、障害者総合支援法(2013年)に定められた、一般の事業所で働くことを希望する障害者に訓練等の機会や場所を提供し、企業などへの就労へ繋げるための通所で利用する事業です。サービスの利用ができる期間は原則2年です。

 

就労移行支援事業所では、より実際の労働環境に近い環境で、会社や労働に慣れる、自分の障害特性に必要な支援を受け、職業適性などについてのアセスメント(評価)をもとに、自己理解の促進、就労意欲を高め、ハローワークや障害者就業・生活支援センターなどの関係機関との連携で行う職場開拓・マッチング、就職後の長期継続のためのフォローアップなどのサービスが提供されます。

 

事業の利用にあたっては所得に応じた自己負担(上限あり)があります。詳細や利用の希望はお近くの福祉事務所や障害者就業・生活支援センターに問い合わせてください。

 

また、しごとLABOの運営元atGP(アットジーピー)では、障害ごとに特化したコースが特徴の就労移行支援事業所「atGPジョブトレ」を運営しています。首都圏・および大阪に事業所があり、随時個別相談会や見学会を実施しております。ご興味ありましたら是非お問い合わせください。

 

 

 

【障害者就業・生活支援センター】

障害者就業・生活支援センターは、障害者の身近な地域において就業面と生活面の一体的な相談と支援を無料でおこなう事業です。

 

就業面での支援には、就職に向けた準備(職業準備支援、職場実習の斡旋)の紹介、就職活動、職場定着、障害者を雇用しようとする事業所への助言などがあります。

 

生活面での支援には生活習慣や健康、金銭などの自己管理、住居、年金、余暇活動など日常生活・地域生活に関する助言などがあります。

 

障害者就業・生活支援センターは、就労、生活に関する総合的な相談所と言ってよいでしょう。就労に関しては、一般就労を目標にされている方、障害者雇用枠の利用や就労移行支援事業の利用を考えられている方、現在、就労していて悩みがあるなど様々なケースに対して適切なアドバイスや支援をおこなっています。

 

パニック障害を発症したときの仕事での対処法

 

障害があってもなくても、家族の経済的な援助がある場合や、十分な貯蓄や財産がない限り、仕事をしないという選択肢は難しいものです。障害年金だけで自立した生活をすることは難しく、生活保護は最低限度の生活を保障するだけのもので、様々な制限も受けます。パニック障害のように予期不安や発作がある場合、どのように対処すればよいのかについて一例をご紹介します。

 

 

【職場にパニック障害への理解・配慮を求める】

まず大前提として、就職活動する時も、既に働いていてパニック障害と診断された場合も、職場にパニック障害があることを隠さず申告し、理解や配慮を求めましょう。雇用者が病気や障害を理由に採用しないのは違法であり、解雇する場合も段階を踏んだ手続きが必要なのです。

 

逆に被雇用者側がパニック障害を隠して働き、症状が出た場合、同僚は突然の発作や不安を回避する行動に驚いたり不信に感じ、仕事が捗らないという弊害もあるかもしれません。そうした事情を知らされないことで職場内の信頼関係が崩れる恐れもあるでしょう。

 

そうならないためにも、職場にパニック障害の症状や、症状が出た場合の自分の取る行動、その際に周囲に求める配慮などをしっかりと伝えておく必要があります。

 

【予期不安への対処】

通勤のために電車(あるいは満員電車)に乗れない場合、電車以外の交通手段、マイカー、バイク、自転車などを利用することが可能か、電車には乗れるが満員電車が不安という場合は、満員の時間を避けた時差出勤が可能かを職場に相談してみましょう。

 

職場の特定の場所、状況が不安な場合、デスクや会議室での席は出入口の近くや窓際など、自分の気がまぎれる位置にしてもらう、エレベーターが怖い場合は階段を使う、スマホを確認したり音楽を聴く、本を読むなどで気を紛らわすなどの対処が考えられます。

 

人によって不安になる場所や状況は変わってきますので、普段から気が紛れる物、位置、行動(自分に言い聞かせる、暗示、おまじない、ツボを押す、呼吸法など)を予め職場に伝えて可能なものを実践するようにしましょう。

 

さらに、どうしても出勤できない状態になった場合、在宅勤務(テレワークなど)の可能性についても職場に確認しておきましょう。

 

 

【パニック発作が起きた時の対処法】

予期不安の段階でうまく不安をコントロールできればそれに越したことはありませんが、どうしても職務を遂行する上で、避けられない場面や状況が発生した場合、パニック発作が起きてしまうこともあると思われます。

 

その際は普段からどのような対処をすれば楽になるのかを理解し、なるべくそれを実行できることが最善の策です。

考えられる対処法としては、

 

・自力で移動できる場合はイスやベンチのある場所に移動し、できない場合はその場で楽な体勢を取る(イスに座って前かがみになる、ベンチなどにうつ伏せになるなど)

 

・過呼吸など過度の呼吸の乱れがある場合は深呼吸をする

 

・側にいる人と会話したりアメをなめるなど気を紛らわせる

 

・発作が収まるまでじっと待つ

 

などがあります。

 

楽な体勢や気を紛らわせる方法も人によって様々ですので、普段から自分に合ったものをよく理解しておきましょう。また職場の同僚には、発作が起こった時に驚かず、冷静に対処してくれるように事前に発作や対処について説明し、協力を求めましょう。

 

知らなければ間違った処置(紙袋の使用や適切でない薬を飲ませる)をされたり、救急車を呼んだり、恥ずかしさや迷惑をかけたという感情が余計にストレスになることもあります。

 

 

【重症の場合休職も考える】

パニック障害を含む精神障害の多くは、ストレスを感じることで、長期化、重症化することがあります

 

 

仕事を続けることで過度のストレスや過労がある場合、予期不安や発作が強くなり、職場に出勤したくないと感じるぐらいならば、思い切って休職するという判断も必要です。パニック障害になる人は真面目で責任感が強いことが多く、この判断は一人では難しいので治療を受けている病院の医師やカウンセラーに相談をしてください。

 

ドクターストップが出た場合、無理をせず医師の指示に従いましょう。休職をして治療に専念することは、前進するための小休止と前向きに考えましょう。

パニック障害とうまく付き合うことで社会生活はできる

パニック障害は治らない病気ではありませんが、短期間で治るものでもありません。人によっては薬がよく効き、症状が抑えられ治ったかのように感じることもありますが、受診や服薬は完全に治るまで続けることが重要です。治療を続けるなかで、自分の不安要素の分析や発作が出た時の有効な対処の仕方が自然と見つかり、うまく付き合えるようになります。そのようにしながら仕事も含めて社会生活が出来ている人が多くいるのも事実です。無理をせず、自分の障害を理解し、周囲にも理解してもらい、根気よく、うまく付き合う気持ちでいることが仕事を続けていく上でも大事です

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ライター:atGPLABO編集部(監修:戸田重央)

障害者専門の人材紹介として15年以上の経験とノウハウを活かし、障害者の雇用、就労をテーマとした情報発信活動を推進しています。 【監修者:戸田 重央プロフィール】 株式会社ゼネラルパートナーズ 障がい者総合研究所所長。 企業の障害者雇用コンサルタント業務に携わった後、2015年より聴覚障害専門の就労移行支援事業所「いそひと」を開所、初代施設長に。 2018年より障がい者総合研究所所長に就任。新しい障害者雇用・就労の在り方について実践的な研究や情報発信に努めている。 その知見が認められ、国会の参考人招致、新聞へのコメント、最近ではNHKでオリパラ調査で取材を受ける。 聴覚障害関連で雑誌への寄稿、講演会への登壇も多数。

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