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パニック障害のある方の、日常生活の過ごし方はどうすべき?

更新日:2023年10月11日

パニック障害の発作を一度でも起こしたことがある方は、もうあのような恐ろしい体験をしたくないと思うでしょう。パニック障害の発作は電車に乗っているときなどに起こることが多いのですが、生活していく上で通勤のために電車などの公共交通機関を利用しないで済むという方はあまりいないのではないでしょうか。しかし、電車内や職場でパニック発作が起きたらどうしようと心配になる人がほとんどだと思います。ここでは、パニック障害とは何かということや、発作が起きた時の対処法、普段の生活で気を付けることなどについて解説していきます。

パニック障害とは

パニック障害とは、特に体に病気などの異常がないにも関わらず突然動悸や呼吸困難、めまいなどの発作(パニック発作)を繰り返し、そのため発作への不安が増して外出などが困難になる病気のことです。

パニック障害が長引くと仕事ができなくなったり、うつ病になったりすることもあります。

そのため、専門医による適切な診断と早期の治療を行うことが大切です。

パニック障害は、日常生活においてストレスをため込みやすい環境の方がなりやすい傾向があります。

その後、またパニック発作が起こったらどうしようという強い「予期不安」を抱えてしまうことが多いのが特徴で、100人のうち1人から2人程度に見られます。

診断には、気分の基調の確認が大切になります。

治療を行うことで、予期不安そのものから解消することができます。

パニック障害の治療法

パニック障害の治療法には、「薬物療法」と「認知行動療法」の2つがあります。

ここでは、この2つの治療法について解説していきます。

 

薬物療法

パニック障害で薬物療法を行う場合には、主にSSRIを使用します。

この薬には即効性がないため、効果が出るまで3週間ほどかかりますが、この時期を乗り越えると治療がスムーズに進みます。

パニック障害は体の変化に敏感になるため、薬が体に馴染むまでに副作用が出ることもあります。

「副作用で大変なことになる」という不安が大きくなってしまう方もいらっしゃいますが、この時期は治療に非常に重要な時期なので、自己判断で薬を飲むことを中断することは絶対にやめましょう。

一方、飲むとすぐに効果があらわれる「発作止め」や「お守り薬」とも呼ばれる、ベンゾジアゼピンなどの安定剤を使用することもあります。

この薬は以前は良く使われていましたが、あくまで発作を抑えるための頓服であり、根本的な治療にはなりません。

それだけではなく、パニック障害の長期化や慢性化など、かえって症状を悪化させてしまうこともあります。

パニック障害の治療は、「薬に頼らなくても自分の力で対処できる」という自己効力感を持てるようになる治療を行うことが大切です。

 

認知行動療法

パニック障害のもう1つの治療法に、認知行動療法があります。

認知行動療法は、薬物療法で発作をコントロールしながら行うのが一般的です。

認知行動療法によってパニック障害を正しく理解し、パニック障害を引き起こす考え方や行動を変化させて行きます。

認知行動療法は時間がかかることもありますが、正しい対処法を身に着けることで再発防止に役立ちます。

パニック障害を持つ方の日常生活の過ごし方

パニック障害のある方は、日常生活の中でも注意すべき点があります。

ここでは、その注意すべき点について解説していきます。

 

規則正しい生活を送る

体調不良や睡眠不足の状態の場合には、パニック発作が出やすくなります。

睡眠のリズムを整えるなどの方法で規則正しい生活を行い、適度な運動をすることで自律神経が整い、症状の改善に繋がります。

 

カフェインやアルコールは避ける

パニック障害のある方は、カフェインを摂取することで発作を起こしやすくなります。

カフェインは脳を刺激するため、パニック発作を誘発してしまいます。

また、アルコールも不安を誘発してしまうため、これらを摂取することは避けましょう。

 

症状が不安定なときはゆっくりと休む

パニック発作はストレスが引き金になることが多いため、心や体に負担をかけないようゆとりのある生活を心がける事が大切です。

仕事や人間関係といった精神的なストレスだけではなく、睡眠不足や過労といったものも身体的なストレスとなるため、注意が必要です。

このようなストレスに晒されて症状に不安を覚えた場合には、ゆっくりと休むようにしましょう。

 

家族やパートナーに協力してもらう

パニック障害は身体症状が強く、不安や恐怖が大きいため、周囲の人のサポートが必要不可欠です。

そのため、家族など周囲の人にパニック障害について理解してもらうことで、気持ちが楽になります。

 

服薬をきちんと行う

前述したようにパニック障害に使用する薬が効果を発揮するまでは、3週間程度の時間がかかります。

その間に自己判断で服薬をやめてしまうと、パニック障害の治療自体を中断してしまうことになります。

そのため、薬の効果が出るまでしっかりと服薬を行うようにしましょう。

また、症状がなくなった場合でも医師の指導の通りにきちんと服薬を行うようにしましょう。

 

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パニック発作が出たとき・起こる前にできること

パニック発作が起きたとき、または起こりそうなときは頓服薬を飲むのが一番ですが、発作が出たときや起こる前に自分でできることには、以下のようなものがあります。

 

乗り物や部屋では出口に近い位置にいる

通勤などでバスや電車を利用している場合には、座る位置や立つ位置を扉の傍にすることをおすすめします。

このように扉の傍にいることで、「何かあったときにはすぐに逃げることができる」と考えることができます。

このような意識を持つことで、少しではありますが不安が軽減されます。

同じようなことで、教室でパニック発作を起こしてしまった学生が一番後ろの出入り口に近い場所に座ることで、パニックを起こさなくなったという例もあります。

「発作が起きても目立たない席なら安心して授業を受けることができる」という安心感が、パニック発作を抑えるのに役立った可能性が高いです。

そのため、大勢が参加する会議などの場合でも出入り口に近い席を選んで座るという工夫をすることで、パニック発作が起こりにくくなる可能性が高くなります。

 

他のことに意識を向ける

パニック発作が起こってしまった場合には、動悸が激しくなります。

自分が死んでしまうのではないかと感じて、思わず胸に手をあててしまったり、無意識に動悸に強く気持ちを集中させてしまったりしがちです。

このような場合に、パニック障害の方は「死んでしまうかもしれない」「動悸が激しい」「苦しくなったらどうしよう」と確認する行動を取ると、不安に対する無意識の「確認行為」が強く働きすぎて、自分で自分の不安や緊張を高ぶらせてしまう傾向があります。

つまり動悸が激しくなっていることを確認すると、余計に動悸がひどくなって不安感が止まらなくなってしまうのです。

何もしないでいると意識が動悸に向いてしまい、余計に不安感が強くなってしまいます。

それを変えるためには、他のものに意識を向ける必要があります。

意識の向け方としては、「声には出さずに頭の中で好きな歌を歌う」「時計の秒針を見て数を数えながら呼吸のペースを一定にする」「指を追って順番に数字を数えてみる」「音楽を聴く」「飴を舐める」などの方法があります。

 

深呼吸をして呼吸を整える

呼吸を整えることで発作が徐々に落ち着いてくることもあるので、意識的に深呼吸を行うのも発作が起こった場合の有効な対処法です。

4秒吸って6秒吐くなど、規則をつくってゆっくり呼吸を行うことが大切です。

しかし、普段行っているリラックスのための呼吸法がある場合には、そちらも発作を抑えるために有効です。

パニック障害になったら仕事はどうする?

 

パニック障害になってしまった場合には、仕事はどうすれば良いのでしょうか。

ここでは、パニック障害になった場合の仕事に関する対処法について解説していきます。

 

パニック障害は休職できる?

パニック障害になった場合に、仕事と治療を両立することが難しい場合には、休職するのも1つの方法です。

休職して一度仕事から離れることで、落ち着いて治療を行うことができます。

休職制度の有無や休職できる期間は、その会社によって異なるので休職を検討する方は会社の人事部に確認するようにしましょう。

 

復職を目指すときのポイント

パニック障害の方が復職をする際に気をつけたいことは、パニック障害は再発することが多いため、復職の前に必ず主治医に相談するということです。

また、体調が良いときにパニック障害や、自分自身の症状・状態などに関する自己理解を深めておきましょう。

電車やバスなどの公共交通機関を利用して通勤する必要がある方は、通勤時間をずらしラッシュアワーを避けることができるよう上司に相談するなど、なるべく自分が働きやすい環境を整えるようにしましょう。

 

就職や転職を目指すときのポイント

就職や転職を目指す際のポイントは、時差出勤ができる会社や在宅勤務ができる会社がおすすめです。

また、発作が出た際の対処法をあらかじめ周囲の人に伝えておくことで、周囲の人の理解を得やすくなるでしょう。

それ以外には、障害者雇用を検討することも有効な方法です。

障害者雇用を行っている会社は、障害についての理解や配慮がある企業が多いため、自分が働きやすい環境をつくりやすいためです。

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atGPとは、株式会社ゼネラルパートナーズが運営する各種障害者就職および転職支援サービスの総合ブランドです。

20年以上障害者の就職や転職の支援を行ってきた日本の障害者雇用のパイオニアともいえる存在が、このatGPです。

atGPが提供する就職や転職に関するサービスは、基本的に無料で受けることができます。

障害や難病のある人の将来のビジョンや金銭的な課題も含めて、ひとりひとり異なる不安や悩みに関して専属のエージェントが二人三脚で寄り添い、サポートを行ってくれるというものです。

パニック障害のある人が生活や就労に関する困りごとを抱えている場合には、atGPに相談することを念頭に置いておくことをおすすめします。

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まとめ

ここまで、パニック障害やその症状、治療法、パニック障害の方の仕事について解説してきました。

パニック障害はしっかりと治療すれば、発作が起こった時も自分なりの対処法を知っておくことで発作を回避したり軽くしたりすることができることなどがお分かりいただけたと思います。

また、仕事をしている場合に休職して治療に専念することも視野に入れておきましょう。

就職や転職を希望する場合には、自分に合った環境を整えられる会社を選ぶことも大切です。

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ライター:atGPLABO編集部(監修:戸田重央)

障害者専門の人材紹介として15年以上の経験とノウハウを活かし、障害者の雇用、就労をテーマとした情報発信活動を推進しています。 【監修者:戸田 重央プロフィール】 株式会社ゼネラルパートナーズ 障がい者総合研究所所長。 企業の障害者雇用コンサルタント業務に携わった後、2015年より聴覚障害専門の就労移行支援事業所「いそひと」を開所、初代施設長に。 2018年より障がい者総合研究所所長に就任。新しい障害者雇用・就労の在り方について実践的な研究や情報発信に努めている。 その知見が認められ、国会の参考人招致、新聞へのコメント、最近ではNHKでオリパラ調査で取材を受ける。 聴覚障害関連で雑誌への寄稿、講演会への登壇も多数。

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