統合失調症のある人がエンジニアやWEBデザイナーとして働くには
更新日:2023年07月03日
統合失調症とは思春期から30代ぐらいに多く発症する精神疾患です。日本での発症率はおよそ100人に1人で、うつ病とならぶとてもメジャーな精神疾患と言えます。統合失調症には発症期、急性期、消耗期、回復期という段階があり、どのような仕事をするにせよ、主治医とのコミュニケーションを密にして、回復期から徐々に準備を始めていただくことが前提です。さて、今回はそのような統合失調症の方がIT系のエンジニアやデザイナーなどの専門的知識や技術を要する仕事をする際の準備やポイントについてお伝えしていきます。これらの職業は在宅勤務もしやすい職業として注目されている方も多いと思いますが、実際のところはどうなのでしょうか。ご参考になればと思います。
目次
統合失調症のある方はエンジニアやデザイナーに向いている?
IT関連の職種としてプログラマーやエンジニア、Webデザイナーなどがありますが、一般的にはそれぞれの仕事内容は詳しくは知られていません。これらの職種も特化した職務内容により細分化され、働く環境もさまざまです。
また、IT系の仕事であっても、主にパソコンの技術や特化したアプリケーションが使えればそれが仕事のすべてではないということを念頭に置く必要があります。
どのような仕事であっても、「自身の障害の特性と合った環境や業務内容」であるかどうかが重要なポイントです。自身の特性について理解を深めることで働きやすい環境や、自分に合った仕事を見つけやすくなるでしょう。
統合失調症のある方がエンジニアやWebデザイナーになるためには?
「エンジニア」や「デザイナー」など自分のやりたい仕事を理解する
まずはエンジニアやデザイナーについて、基礎的な研究をするところから始めましょう。一口にエンジニアやデザイナーと言っても、活動する業界は多岐にわたるため、企業によって求められる知識やセンスは少しずつ異なってきます。十分な情報収集をしたうえで、主治医や公的な支援機関、実際にそれらの仕事に従事している人の事例などを参考にして、自分に合っているか判断しましょう。
就労移行支援やオンラインスクールで知識を学ぶ
実際にエンジニアやデザイナーの知識を習得する場合は、就労移行支援サービスやオンラインスクールなどを活用して学ぶのがおすすめです。特に就労移行支援サービスでは知識を学べるだけでなく、就職サポートもしてくれるうえ、障害者総合支援法下のサービスですので、利用者の負担は所得に応じて最大で1割で済みますが、諸々の利用条件があります。
一方、オンラインスクールはすべての受講がオンラインのみで完結し、自宅にいながら他者との交流を必要とせずに学ぶことができます。ただし、受講料は障害の有無にかかわらず一律です。
また、ハローワークの求職者の対象になれば職業訓練としてエンジニアやデザイナーのスキルを学ぶこともできます。
自分自身の障害の特性や性格など自己理解も重要
どのような職業・職種で働く場合でも、まずは自分の得意なことや苦手なことなどを知ることで、自分に合った仕事や環境を選びやすくなります。就活の第一歩として、自己分析や自己理解を行い、自分自身のことを周囲に伝えることで理解してもらいやすくなる部分も重要です。
エンジニアの種類と仕事内容
一般的に「エンジニア」と呼ばれる職種は「システム・エンジニア(SE)」のことを指しています。コンピューターシステムやソフトウェア開発の責任を一貫して担うポジションで、顧客の要望に応じたシステムを設計し、プログラマーなど他の職種と協力しながら、システムの構築、納品までをおこないます。そのため、他者との円滑なコミュニケーション能力は必須となります。
また、エンジニアには、システム・エンジニア以外にも多様な種類があります。
インフラエンジニア
システムを動かす基盤を構築し、サーバーやネットワーク、端末などが問題なく稼働するように監視、メンテナンスもおこなうエンジニア
セキュリティエンジニア
ハッキングや機密保持の対策としてセキュリティの構築や保守を専門に行うエンジニア
上記以外にも、AIエンジニア、IoTエンジニア、Webエンジニアなどがあります
どのようなエンジニアでも、プログラマーの上位職にあたるため、自ら手を動かしプログラミングを行う機会よりも、プロジェクト全体を取り仕切り、クライアントと現場の架け橋のような役回りを担う機会のほうが多くなることを覚えておきましょう。
プログラマーの種類と仕事内容
プログラマーは、エンジニアが作成した設計書に基づき、プログラミング言語を用いたプログラミング業務やコーディングを担うポジションです。プログラミングとはプログラムを動かすための作業全般で、コーディングとはコンピューター言語を用いてソースコードを入力する作業のことです。主にJavaやPerl、PHPなどのプログラミング言語の習得が必須となります。プログラマーの代表的なものとしては以下のものがあります。
Webプログラマー:
例えば不動産サイトの物件表示やショッピングサイトの構築などを行う
アプリケーションプログラマー:
PC・スマホにおけるアプリケーションのプログラム作りを行う
ゲームプログラマー:
ゲーム制作に携わる
プログラマーは、エンジニアに比べて外部に出たり、顧客と話す機会は少ないですが、それでもエンジニアや他の協働者との意見交換などは最低限必要となります。
デザイナーの種類と仕事内容
デザイナーは製品やポスター、雑誌書籍の表紙やレイアウト、Webサイトなど、さまざまなもののデザインを手がけます。求められる知識やセンスは企業によって少し異なるものの、どのデザイナーにも共通していえることは、「クライアントや依頼者の求めに応じたデザインを考案する仕事」であり、こちらも依頼者とのコミュニケーションは必須となります。
デザイナーの種類にもよりますが、HTML,CSSの基礎知識や、Illustrator, Photoshopなどのアプリケーションの知識やスキルなどが主に必要となります。
デザイナーの種類としては以下のものが代表として挙げられます。
Webデザイナー:
企業や個人から依頼されたさまざまなWebサイトのデザインを行う
グラフィックデザイナー:
ポスターや雑誌の広告、フライヤー、商品のパッケージなど、主に印刷物をデザインする
サービスデザイナー:
モノではなく、サービスそのものをデザインする
他にも、二次元や三次元のコンピューターグラフィックス(CG)を制作する「CGデザイナー」などがあります。
統合失調症のある方の働き方や環境選びのポイント
症状の予兆を把握しておく
幻覚・幻聴や妄想などの症状がでやすい状態を自身で把握しておくようにします。例えば、睡眠時間が減ってきた、ストレスがたまっているなどです。仕事や人間関係で不安が大きい場合などは症状が出やすくなります。症状が出た場合どうするか主治医と相談したり、周囲の人と対処法をあらかじめ決めておくとよいでしょう。
同時に、通院治療をしている場合は、前兆期、急性期、消耗期、回復期のどの段階にいるのか主治医に確認しましょう。段階によって症状が変化します。基本は回復期に入ってからのリハビリ、就活がおすすめです。
在宅勤務や短時間勤務を検討する
エンジニアやデザイナーは在宅勤務の多い職種でもあるので、周囲の人が気になって集中できないなどの症状が強い方は在宅勤務ができる職場を選ぶのがおすすめです。仕事に慣れれば、フリーランスの可能性も出てくるでしょう。また、統合失調症の方は疲れやすい傾向もあるため、短時間勤務も視野に入れておくとよいでしょう。
質問や相談できる相手を職場の中で1人はあらかじめ決めておく
不安や焦り、緊張、恐怖等の感情を職場内で共有できるように、質問や相談できる相手を1人は決めておくと話しやすく、精神的な安定を保ちやすくなります。
統合失調症の方が働く時のポイントにについて詳しく知りたい方はこちらの記事もご参照ください:統合失調症と上手につきあうための働き方と環境選びのポイント | atGPしごとLABO
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まとめ
エンジニアやデザイナーなどのコンピューター上での仕事がメインとなる職種では、他の職種よりも在宅でできる可能性は高く、他者との協働やコミュニケーションは最低限度避けられませんが、大勢の同僚や顧客を相手にするということは、まずないといってよいでしょう。しかし、一口に統合失調症と言っても、一人一人で症状やストレス要因が違ったり、またどの段階にいるかによっても対処法や生活の仕方を変える必要があります。しっかりと治療を継続し、主治医と相談しながら、自分の症状を把握した上でエンジニアやデザイナーを目指していただきたいと思っています。