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認知行動療法とは?認知行動療法の種類や効果、治療を受ける際のポイントを解説

更新日:2022年03月30日

認知行動療法って何?どんなことをするの?

認知行動療法は、副作用がなく薬物療法と同じぐらいかそれ以上の効果が期待できることから、うつ病や不安障害、不眠症、統合失調症、摂食障害などさまざまな精神疾患の治療に用いられている療法です。この記事では、認知行動療法の種類や効果、メリット、そして治療を受けるにはどうしたらよいのかを詳しく解説します。

認知行動療法とは

見る、覚える、受け止める、行動するといったメンタル活動を「認知」と言いますが、この「認知」に働きかけて、心のストレスを軽減して気持ちを楽にする精神療法(心理療法)を「認知行動療法」と言います。

 

心にストレスを感じると、私たちは悲観的になってしまい問題解決できないような心の状態に自分を追い込んでいきます。認知行動療法では、そうした心のバランスを良い方にとって、ストレスと上手に対応できる心の状態をつくっていきます。

 

「認知療法」と「行動療法」

「認知行動療法」は、もともと別々に発展してきた精神療法の「行動療法」と「認知療法」を、1980年代にイギリスの心理学者ポール・サルコフスキスが統合したものです。彼は、強迫性障害の治療に応用しました。

 

 

・認知療法とは

「認知療法」とは、偏った物事の捉え方「認知の歪み」を修正させて、より柔軟的で現実的な考え方や「行動」ができるように手助けをする精神療法です。うつ病の患者などは、自分や周囲に対して否定的、悲観的に考えてしまう考え方の癖があります。それが心に悪い影響を及ぼすため、考え方を修正させることで症状の改善を図ります。

 

「認知療法」は、初期から中期までのうつ病に効果があると言われていますが、恐怖症性不安障害や人格障害などの治療にも用いられています。

 

 

・行動療法とは

「行動療法」は、意識や無意識といった心理に働きかけるのではなく、外から測定できる「行動」が対象です。そして、行動を「強化」または「弱化」して制御することを目的としています。

 

例えば、恐怖症の方に対して「徐々に恐怖の対象に近づいて慣れさせる」といった訓練を通じて、不適切な反応を修正します。

 

 

「認知行動療法」の治療対象

「認知行動療法」は、うつ病の治療に開発された療法ですが、抗うつ薬と同等かそれ以上の治療効果があるため、世界中で広く用いられるようになりました。現在では、うつ病の他に、パニック障害、強迫性障害、統合失調症、不眠症、摂食障害などに有効性が報告されています。

 

「認知」と「行動」の関係性

同じ体験をしても、人それぞれ考え方や捉え方が異なるため、その時に感じる気持ちは違ってきます。気持ちだけでなくからだの反応や行動も違ってきます。

 

自分の外側で起こっている出来事がインプットされるのが「認知」ですが、起こった「事実」と自分の「考え」が混同してしまって、「事実」と「考え」の区別がつかなくなるケースがあります。また、起こった出来事のうち心が「嫌な出来事」だけを抽出する場合があります。このようなケースでは、心の中を整理をするために、「認知」の修正が必要です。

 

一方、「行動」は自分の外側へのアウトプットです。コミュニケーションで相応しくない発言や行動をした場合、相手から予想していない返事が返ってきて、混乱してしまう場合があります。このようなケースでは、「行動」を修正することで混乱を避けることができます。

 

さらに、「認知」を変えることで「行動」が変化することがわかっていて、「行動」を変えることで「認知」も変化するとされています。このように、「認知の歪み」が起こることで生じるうつ病やパニック障害などの精神疾患を解決するために、「認知」や「行動」を変えることを促すのが「認知行動療法」の基本的な考え方です。

認知行動療法はどこで受けられる?

「認知行動療法」での治療を希望する場合は、まずは近くの精神科や心療内科の診察を受けましょう。主治医の判断で「認知行動療法」の専門家に紹介されるケースが多いようです。

 

 

治療が受けられる医療機関

どの医療機関でも必ず「認知行動療法」が受けられるわけではありません。「認知行動療法」が受けられる機関でも、特定の「認知行動療法」を専門にしているなど特徴がある場合があります。受診する前に確認しましょう。

 

また、医療機関以外でも精神科や心療内科と連携しながら「認知行動療法」を提供しているカウンセリング機関もあるので、ホームページなどで調べてみましょう。

 

近くに治療を行える機関がない、費用が不安という方には、自分で「認知行動療法」を行うセルフケアという方法もあります。しかし、やり方によっては逆効果になる可能性もあります。自分で行う際には、WEBや書籍でしっかりと方法を学んで行いましょう。

 

 

どのくらいの時間や期間がかかる?

「認知行動療法」の治療は、1回あたり30分〜1時間程度で週1回〜隔週のケースが多いようです。治療回数は5〜20回に設定されていることが多いですが、治療期間は相談内容の種類や状態によっても変わります。

 

治療が終わってからも、間隔をあけながら時々通院して、身につけた内容をリフレッシュする(ブースターセッション)もよく行われます。

認知行動療法の種類

「認知行動療法」で行われている主な手法を紹介します。

 

 

エクスポージャー法(暴露療法)

「エクスポージャー法(暴露療法)」は、不安や不快を感じさせる状況や刺激に対して、逃げるのではなく、段階的に向き合うことで、不安や不快を克服する療法です。簡単に言うと、不安や不快に慣れさせていく方法です。

 

不安症やPTSD、強迫症など不安や不快の対象がはっきりしている病気に効果的で、薬物療法と合わせて用いられます。

 

 

リラクセーション法

「リラクセーション法」とは、過剰な緊張が低下するように、心身をリラックスさせて不安な気持ちをやわらげる方法です。人はストレスを感じると、心身の緊張という反応を起こします。過剰な緊張が長く続くことでストレスに反応して、さまざまな症状につながってしまうことが見られます。

 

リラクセーション法には、ストレス反応を自分で予防したり、緩和したりする効果が期待でき、うつ症状や不安症状、心身症、睡眠障害などに有効と言われています。

 

 

認知再構成法

「認知再構成法」は、不適応な心の声(認知の歪み)を、状況を客観的に捉えることで、現実的なものへと促していく療法です。つまり認知に働きかける手法で、「非機能的思考記録表」や「コラム法」とも呼ばれます。

 

 

セルフモニタリング法

「セルフモニタリング法」は、自分の行動や認知、気分などを観察、記録、評価する行動療法です。自分の状態を客観的な事実として理解できるようになり、目的行動の強化やモチベーションを上げる効果が期待できます。

 

観察や記録の仕方は症状によって異なりますが、多くの場合は困難な状況の内容や症状の強さ、気分やその場で浮かんだ考えなどを記録させます。

 

 

問題解決法

「問題解決法」は、問題となっている状況に対して解決や改善に向けた具体的な計画を立てるスキルや、解決のための考え方を身につけていく手法です。「どう対処したらよいかわからない状況」を、取り組みやすいように小さな課題に整理して、実際の対処法を探していきます。

認知行動療法の効果

「認知行動療法」には、薬物療法と同等かそれ以上の治療効果があります。ここでは「認知行動療法」で期待できる効果とメリットについて紹介します。

 

 

認知行動療法の効果

認知行動療法は、うつ病や不安障害(パニック障害、社会不安障害、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害)、不眠症、統合失調症、摂食障害など、多くの精神疾患に効果があることが実証されています。

 

具体的には、考え方がポジティブになったり、認知の歪みがなくなり思考がすっきりしたり、精神疾患の改善や予防といった効果が期待できます。

 

 

認知行動療法のメリット

①取り組みやすい

「認知行動療法」は、取り組みやすい療法です。生活での出来事を具体的に振り返っていくため、問題点や変化が分かりやすく、少しずつでも変化が見えることで、治療への希望につながります。

 

②副作用がない

「認知行動療法」は、状態がある程度落ち着いている患者さんでは幅広く効果があります。認知行動療法では、認知を柔軟にして考え方のバランスをとっていくため、症状を選ばずに治療ができ、精神療法としてはきわめて副作用が少ない治療法です。

 

③薬と併用すると治療効果が高まる

「認知行動療法」は、薬物療法と同等かそれ以上の治療効果があるという分析報告があります。また薬物療法と認知行動療法を併用すると、さらに効果的であるとの報告もあります。

 

④再発予防効果が高い

認知行動療法は、不調のきっかけとなった認知の歪みを見つけ出して、それを柔軟な考え方に修正していく治療法です。不調になった要因に直接アプローチするため、再発防止効果の高さが認められています。

 

■まとめ

「認知行動療法」は、薬物療法と同等かそれ以上の効果が期待できることから、世界中でうつ病や不安障害、統合失調症などのさまざまな精神疾患の治療に用いられている療法です。

薬物療法と併用することで、さらに治療効果が高まる、副作用がない、再発予防効果があるなどメリットも大きいため、今後も「認知行動療法」に対する期待は高まると予想されます。

 

「認知行動療法」は、セルフケアでも行うことができますが、やり方を間違うと逆効果になることもあるので、まずは精神科や心療内科の医療機関やカウンセリング機関に相談するとよいでしょう。

 

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ライター:atGPLABO編集部(監修:戸田重央)

障害者専門の人材紹介として15年以上の経験とノウハウを活かし、障害者の雇用、就労をテーマとした情報発信活動を推進しています。 【監修者:戸田 重央プロフィール】 株式会社ゼネラルパートナーズ 障がい者総合研究所所長。 企業の障害者雇用コンサルタント業務に携わった後、2015年より聴覚障害専門の就労移行支援事業所「いそひと」を開所、初代施設長に。 2018年より障がい者総合研究所所長に就任。新しい障害者雇用・就労の在り方について実践的な研究や情報発信に努めている。 その知見が認められ、国会の参考人招致、新聞へのコメント、最近ではNHKでオリパラ調査で取材を受ける。 聴覚障害関連で雑誌への寄稿、講演会への登壇も多数。

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