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傷病手当金とは?支給される条件や金額、支給期間について解説

更新日:2023年03月17日

傷病手当金という制度をご存じでしょうか、正式には健康保険傷病手当という、健康保険等の被保険者が傷病等で一定の条件下で休職した場合に申請できる手当金です。日本の社会保険制度は非常に手厚く、種類も豊富ですが、”知らなければ損をする”ということもよくあります。働きたいけど、傷病がなかなか治らない場合、傷病の辛さもありますがその経済的負担や家族への影響も大きな不安となります。今回は傷病手当金の申請や支給、逆に申請できないなどの条件や、支給期間や支給額などについて詳しく解説していきます。傷病が理由で休職、離職した場合は傷病手当を申請し、必要であれば治療や療養にまずしっかり専念し、その後に職場復帰や再就職などを考えるようにしましょう。

傷病手当金とは?

傷病手当金は正式には健康保険傷病手当金といいます。

 

これは健康保険の被保険者(被雇用者)とその家族の生活を保障するための制度で、健康保険の被保険者である被雇用者が傷病のために休業するなどした場合に会社から十分な給与がもらえないことを想定している手当です。

 

同制度では、健康保険以外にも、国民健康保険、船員保険、共済組合などの被保険者も対象としています。ここでは健康保険における傷病手当金に焦点を当てます。傷病手当金は大企業など、独自の休業手当や保障制度などが充実している場合は、支給の要件に満たないこともありますが、それはそれで十分手厚い制度を会社が整備している(むしろ傷病手当に関する知識もいらず、申請の必要もない)ので問題はありません。

 

被雇用者の大多数はそのような手厚い制度が整った大企業に務めているわけではありませんので、事前に傷病手当金やその他の社会保障制度について知っていることは大きなメリットとなると言えます。

傷病手当金支給の条件

まず、傷病手当金の支給条件を確認します。この手当金を受給するためには以下のすべての条件に当てはまる必要があります。

 

①療養を要する病気やケガが業務外の事由によること

②病気やケガの療養で仕事に就けないこと

③連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと

④病気やケガで休んでいる間に給与の支払いがないこと

 

それでは①~④までの条件を詳細に見ていきましょう。

 

①療養を要する病気やケガが業務外の事由によること

傷病手当金の対象となる傷病は業務外の理由で生じたものでなければなりません。仕事中や通勤中などに生じた傷病は労災保険の給付対象となるからです。業務外で生じた傷病については、健康保険給付の対象ではない診療、つまり自費で受けた診療についても、そして療養期間についても傷病手当の対象となりますが、その傷病によって働くことができないという診断書等の証明が必要となります。

 

②病気やケガの療養で仕事に就けないこと

全国健康保険協会では実際にその傷病で仕事をすることができないかどうかは、療養担当者の意見を基に判断するとしており、療養担当者とは多くの場合は診療をした医師となります。また、申請書には療養担当者の意見記入欄があります。しかし、健康保険法の99条(傷病手当金)ではその判断は必ずしも医学的見地に基準によるものではなく、社会通念に基づくとしており、傷病の症状はもとより、病院が遠いため通院に時間がかかる、場合によっては本来の仕事ができなくても現状でできる副業や内職をしたり、職場で軽微な他の労務をしても傷病手当金の対象となることもあるようです。

 

③連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと

傷病手当金を受給するためには、その傷病による休みが連続して3日あることが条件となります。間に出勤日があると条件は成立しません。これを”待機”と呼びます。待機期間が連続して3日あった後、4日目以降から傷病手当金の給付対象日となります。待機の3日間は連続していれば本来の出勤日である必要はなく、有給休暇、土日、祝日も含まれます。

また、就労時間中に傷病となり仕事ができなくなった場合、その日が待機の初日となります。また、待機3日が成立後、出勤することがあったとしても、その後の同一の傷病による休業(4日目以降)は支給の対象となります。

 

④病気やケガで休んでいる間に給与の支払いがないこと

さらに傷病手当金は休業した期間に会社側から給料が支払われていれば支給されません。傷病中の生活を保障することを目的とした制度ですので当然の条件と言えるでしょう。ただし、その給与額が傷病手当金の額より少ない場合は差額が支給されます。

 

 

傷病手当金の支給期間と支給額

次に傷病手当金の支給期間と支給額を見てみます。

傷病手当金が支給される期間は?

傷病手当金はどれくらいの期間まで支給されるのか、傷病が思わず長期化する場合も対応してくれるのか気になるところです。実際のところ、同制度では傷病手当金の支給は、同一の傷病で最長で1年6カ月となります。その間に働ける程度に回復し、仕事に復帰、そしてまた同じ傷病で休業した場合、その復帰していた期間も1年6カ月に含まれてしまいます。

傷病手当金を受給中に他の傷病が理由で休業する事態になった場合は、その新たな傷病で休業し始めて4日目からその傷病に対する支給が開始されます。その場合はその支給開始から新たに1年6カ月まで支給されますので、結果的には期間は延長されることになりますが、その前の傷病での支給金は受給できなくなります。二重取りなどはできないようになっているのです。また、傷病手当金受給中も健康保険の被保険者ですので、手当金は報酬ではないため保険料は控除されません。

 

傷病手当金でもらえる金額は?

支給金額は、健康保険の被保険者としての期間が12か月以上あるかないかで違いがあります。その1日あたりの金額の算定方式は以下のとおりです。

 

 ・健康保険の被保険者期間が継続して12カ月以上ある場合
  支給開始日以前の継続した12カ月の標準報酬月額÷30日×2/3

 ・健康保険の被保険者期間が継続して12カ月に満たない場合
  ア)支給開始日の月より前の継続した各月の標準報酬月額
  イ)全被保険者の前年度の標準報酬月額の平均

  上記ア)かイ)いずれか低額となる方÷30日×2/3

 

実際の月給12カ月の平均を日割りして2/3にするということですので、例えば月給の平均が30万円の時、30日で割ると1万円、1万円の2/3=6667円となります。あくまでも生活保障の制度のため、給与額をそのまま支給するものではないことを理解しておきましょう。

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傷病手当金の手続き・申請方法

支給申請書の記入

傷病手当金の申請はまず申請書を手に入れるところから始めます。正式には「健康保険傷病手当金申請書」といい、全国健康保険協会のホームページからダウンロードできますダウンロードできるのはA4サイズの手書き用申請書、手書き用記入例、入力用申請書、そして、現事業所で12カ月の資格期間がない場合の別添書類があります。それぞれ、記入例をよく見て、記入してください。申請書は手書き用、入力用共に4ページ構成で、最初の2ページが被保険者本人記入欄、3ページが事業主記入欄、4ページが療養担当者(医師)の記入欄となっていますので、順番のとおりに記入して、必要な個所への押印、該当項目に応じた添付書類を用意して同封します。

 

記入項目の概要

・被保険者の記号・番号

・氏名・住所

・払込先指定口座

・記号・番号が不明な時のマイナンバー記入欄

・申請内容:傷病名や申請する期間、仕事内容など

・確認事項:該当する欄に記入

・事業主が証明するところ:出勤日、休業日や支給した賃金等の記入

・療養担当者(医師)の意見書

 

保険者への提出

健康保険の”保険者”とは加入している全国健康保険協会(協会けんぽ)の都道府県支部となります。完成した書類は支部への持ち込み、または郵送が可能です。申請の期日はその傷病で休んだ日の翌日から2年以内となっていますので注意しましょう。

 

傷病手当金を受け取れない条件

給与の支払いがあった場合

傷病手当金を申請する被雇用者の雇用主が独自の制度などによって、傷病で休業する期間に給与を支払っている場合は支給対象となりません。

 

障害厚生年金もしくは障害手当金を受けている場合

傷病手当金を受給していて、同一の傷病で障害厚生年金や厚生年金法の障害手当金を受給するようになった場合は傷病手当金は支給されません。ただし、障害厚生年金と障害基礎年金の合計額の日割り額(÷360日)が傷病手当金の額より少ない場合は差額が支給されます。

 

障害基礎年金のみ支給となった場合は傷病手当金は支給されます。障害厚生年金の受給条件よりも軽い障害の場合に支給される障害手当金を受給している場合、障害手当金の支給額を傷病手当金の額が満たす日まで傷病手当金は支給されません。

 

老齢年金を受給している場合

健康保険の被保険者としての資格喪失後も継続しての傷病手当の支給(継続給付)が認められていても、老齢(退職)年金を受給する場合は傷病手当金は支給されません。資格喪失後の継続給付は、資格喪失の前にすでに手当金を受給している場合、または退職日の前日まで1年以上の被保険者期間があり、支給条件の①~③をクリアしていれば受給することができます。

 

労災保険から休業補償給付を受けている場合

傷病手当金を申請しようとする傷病と同一の傷病で過去に労災保険から休業補償給付を受給している場合は傷病手当金の対象とはなりません。また、労災保険の休業補償給付を支給されている期間中は、まったく別の傷病であっても傷病手当金は支給されません。労災保険の休業給付金の金額が傷病手当金の額よりも少ない場合はその差額を支給することができます。

労災保険の休業補償給付とは、いわゆる一般的に労働災害と認識される業務上、または通勤中の傷病で休業した場合に支給される給付金です。条件は①業務上の災害であること、②仕事に就けないこと、③賃金が出ないことで、3日間の待機期間があるのは傷病手当と同様です。休業補償給付を受給している間は給与に見合う額をもらっているため、違う事情で傷病手当金の受給資格があったとしても、同期間で両方を受給することはできません。

 

出産手当金を受けている場合

出産手当金は労働基準法第65条において、出産期前後の女性に出産6週間前と出産8週間後まで認められる産休に伴う手当金制度です。出産手当金の補償内容は傷病手当金とほぼ同様の内容となります。通常、事業主は産休中の給与を補償する必要はないため、独自の制度等がある以外は産休期間中は無給となるために、その生活を保障するためにある手当金です。この出産手当金を支給されている場合は傷病手当金は支給されません。

 

申請に際しての注意点

国民健康保険の傷病手当金は任意給付

傷病手当金は基本的には健康保険、国民健康保険、船員保険、各種共済組合などの公的医療保険において支給される制度ですが、健康保険と船員保険においては申請があり、条件を満たせば必ず支給されるものですが、国民健康保険においては任意給付となっています。これは制度として給付できないのではなく、市町村の国民健康保険で条例で定めた上で実施することになっており、実際のところ、給付実績がないというだけのことです。国民健康保険の加入者の多くは自営業者であったり、パートやアルバイトであるためニーズが少ないことが理由として考えられます。

しかし、今回の未曾有のコロナ禍で、令和2年3月にコロナ感染症対策本部において、国民健康保険、後期高齢者医療保険の被保険者がコロナウィルスに感染し、仕事を休業した場合に市町村が傷病手当金を支給すれば国が全額を支援する特例を発表しています。支給条件は健康保険の傷病手当金とほぼ同一となっています。また、支給金額の算定は原則以下の計算式で行われます。あくまでもコロナウィルスに感染した場合の特例ですが、今後様々なケースへの前例となると考えられます。

直近の継続した3カ月間の給与収入の合計額を就労日数で除した金額×2/3×日数

仕事に復帰するときは?

仕事に復帰するときの考え方

この傷病手当金ですが、多くの国の生活保障制度と同様に給与の2/3ほどの額となっています。そう考えると、早く健康な状態になって職場に復帰する方が、収入面でも合理的と言えます。

 

そもそもこの手当金は実際に傷病で休業した場合に申請するものですので、医師と相談し仕事に復帰できるのであれば、事業主と相談をした上で復帰してください。保険者である保険協会にはその都度知らせる必要はありません。一度復帰したからと言って、そのまま仕事を続けられるかはわからないものです。実際にうつ病などの精神疾患などでは調子がよくなったと思って復帰しても、すぐにまた悪化して休業せざるを得ない状況になることがよくあります。経済的な観点や職場に迷惑がかかるなどが理由で職場復帰を焦ると、逆に傷病を悪化させることにもなりかねません。

 

傷病手当では、一度復帰した期間に関しては手当金は支給されませんが、同一の傷病で再度休業した場合、手当の支給期間内であれば支給の対象となりますので、不安がある場合でも思い切って復帰してみてもよいでしょう。しかし、長い目で見てみると、しっかりと医師の指導を聞いて、傷病を治すことにまず専念し、再度休業するような状態にならない方が色々な面で得策と言えます。

 

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しかし、傷病が治らないときはどうしたらよいのでしょうか。事故や病気の末に身体障害になったり、うつ病のような精神疾患になることもあり得ます。このような場合は焦っても仕方がありません。障害と呼ばれるものには治るものもあれば、治らないものもあります。医師の診断により、身体障害、精神障害などになったら障害を受け入れ各種障害者手帳を発行してもらうことも考えましょう。障害者手帳を発行してもらうことにより、障害者として手厚い社会保障や福祉サービスを低料金、または無料で受けることが可能となります。

 

そのちの代表的なものとして、障害者の就労支援サービスがあります。障害者手帳を持っていることで一般企業の障害者採用枠で就労できたり、就職や継続に関してもさまざまな機関や施設でサービスを受けることができるのです。障害者として再就職する際に利用したいのが障害者の就職や再就職の支援に特化した、いわゆる就職・転職エージェントといわれる事業所です。

 

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まとめ

傷病手当金は健康保険制度の被保険者(被雇用者)であれば、ある一定の条件の下、傷病により休業したときの補償が本来の給与の日割り額の2/3程度支給されるというものです。支給の条件とは、業務外の理由で傷病になったこと、仕事に就くことができないことを療養担当者が意見書を提出すること、その傷病が理由で連続して3日の待機があること、休業期間中、事業主から給与の支払いを受けていないことです。また障害厚生年金、老齢年金、労災保険の休業給付金、出産手当金など同じように生活を保障するための支給金が出るものと併用できない点に注意しなければなりません。

 

日本の社会保障制度や福祉サービスの多くは申請することによって開始されます。つまり知らなければ申請せずに終わってしまうということも多いのです。ただ単に「知らなくて損をした」というレベルで終わればまだよいのですが、経済的な困難は場合によっては家族に大きな迷惑をかけたり、場合によっては生活を脅かすこともあり得ます。

 

今回ご紹介した健康保険の傷病手当金も手厚い日本の社会保障制度の一つですが、この制度も実際に知らずに申請しなかったという人が多いようです。是非、今回の記事で傷病手当金の概要を理解していただき、万が一、傷病で休業するときは条件を理解し申請してみてはいかがでしょうか。

 

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ライター:atGPLABO編集部(監修:戸田重央)

障害者専門の人材紹介として15年以上の経験とノウハウを活かし、障害者の雇用、就労をテーマとした情報発信活動を推進しています。 【監修者:戸田 重央プロフィール】 株式会社ゼネラルパートナーズ 障がい者総合研究所所長。 企業の障害者雇用コンサルタント業務に携わった後、2015年より聴覚障害専門の就労移行支援事業所「いそひと」を開所、初代施設長に。 2018年より障がい者総合研究所所長に就任。新しい障害者雇用・就労の在り方について実践的な研究や情報発信に努めている。 その知見が認められ、国会の参考人招致、新聞へのコメント、最近ではNHKでオリパラ調査で取材を受ける。 聴覚障害関連で雑誌への寄稿、講演会への登壇も多数。

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