特別障害者手当と特別障害給付金の違いとは
更新日:2023年08月02日
特別障害者とは、障害者の中でも特に重い障害を持っている方のことを言います。具体的には、身体障害者手帳に身体上の障害の程度が一級または二級と記載されている方、精神障害者保健福祉手帳に障害等級が一級と記載されている方、重度の知的障害と判定された方、いつも病床にいて複雑な介護を受けなければならない方などのことを言います。
このような特別障害者と言われる方が受けられる支援に、特別障害者手当支援と特別障害者給付金があります。ここでは、この二つの支援の違いや申請の流れなどについて解説していきます。
目次
特別障害者手当とは
特別障害者手当とは、身体または精神などに重い障害を持っているために常に日常生活の介護などが必要な方を対象として国が給付する手当のことを言います。
その目的は、重度の障害による精神的・経済的な負担の軽減です。
支給額は令和2年4月現在で一律月27,350円で、申請を行い認定されると受給できます。
障害の程度や状況が変化しない場合には特別な手続きを行うことなく受給を続けることができる「無期認定」となりますが、時間が経過すると障害の程度が変化する場合には「有期認定となり、認定時に決められた一定の期間受給することができます。
特別障害給付金とは
病気や怪我により心身に重い障害を負い、初めて病院に行った日(初診日)に国民年金に任意加入しておらず、障害基礎年金などの支援を受けることができない方を金銭的に救済するための制度を、特別障害給付金といいます。
特別障害給付金という制度は、「特別障害者に対する特別障害者給付金の支援に関する法律」によって定められているもので、障害年金とは異なる制度です。
支給される金額は、令和元年度時点で障害基礎年金2級に該当する方の基本月額が41,960円、障害基礎年金1級に該当する方の基本月額が52,450円となっています。
特別障害者手当・特別障害給付金の対象と基準
特別障害者手当と特別障害給付金の対象となるのはどのような方で、どのようにして決められるのでしょうか。
ここでは、それぞれの対象となる方やその基準について解説していきます。
<特別障害者手当>
特別障害者手当の対象となる方は、20歳以上の在宅で生活する人で、身体または精神に著しく重度の障害があるため、日常生活において常時特別な介護を必要とする状態(概ね身体障害者手帳1級または2級程度、もしくは療育手帳1または2程度の障害が重複している状態、またはこれらと同等の疾病・精神障害がある状態)にある方です。
ただし受給資格者(特別障害者)の前年の所得が一定の金額を超えるとき、またはその配偶者または受給資格者の生計を維持する扶養義務者(同居する父母などの民法が定める者)の前年の所得が一定以上の金額を超えるときは、支給されません。
受給対象であるかどうかは、本人の障害の状況や診断書によって自治体が判断します。
障害の程度は「特別児童扶養手当等の支給に関する法律施行令」を目安としますが、詳細は「障害児福祉手当及び特別障害者手当の障害程度認定基準について」が基準とされます。
<特別障害給付金>
特別障害給付金の支給対象となる方は、心身に障害を負ったため病院を受診した初日(初診日)の時点で国民年金に加入していなかったため、障害基礎年金などを受給権を有していな方で、障害によって初めて受診した日(初診日)が昭和61年4月1日(新法施行日)から平成3年3月31までの間にあり、国民年金任意加入対象であった学生の方か、昭和61年3月以前に国民年金任意加入対象であった厚生年金被保険者(共済組合員)の被扶養配偶者です。
ただし、受給者本人が65歳の誕生日の2日前までに障害状態にあることが条件となります。
また、受給者本人の前年の所得が4,721,000円を超える場合には給付金の全額が支給停止となり、3,704,000円を超える場合には支給額の2分の1が支給されなくなります。
受給の対象となるかどうかは、「特定障害者に対する特別障害給付金の支給に関する法律」で定められています。
特別障害者手当・特別障害給付金の支給額
特別障害者手当と特別障害給付金の支給額は、以下の金額になります。
<特別障害者手当>
特別障害者手当の金額は、令和5年4月現在で27,980円となり、支給時期は原則として毎年2月、5月、8月、11月にそれぞれ前月分までが支給されます。
<特別障害給付金>
特別障害給付金の金額は、令和5年度の時点で障害基礎年金1級相当に該当する方は基本月額53,650円、障害基礎年金2級相当に該当する方は基本月額42,920円が支給されます。
この金額は、前年の消費者物価指数の上昇または下降にあわせて毎年自動的に見直しがなされます。
支払いの時期は2月、4月、6月、8月、10月、12月の年6回で、前月分までが支給されます。
特別障害者手当・特別障害給付金の申請の流れ
特別障害者手当と特別障害給付金の申請の流れは、以下のようになっています。
<特別障害者手当>
1.申請
・申請は、居住している市区町村の障害福祉窓口で行います。
・事前に診断書などの必要となる書類や用紙は自治体によって異なるケースがあるため、あらかじめ窓口に問い合わせておきましょう。
・一般的に申請を行う際に必要となる書類には、以下のようなものがあります。
①特別障害者手当認定申請書(申請用紙)
②特別障害者認定診断書
③戸籍抄本または謄本
④受給者本人の預金通帳
⑤持っている場合には身体障害者手帳または療育手帳
⑥受給者の年金証書
⑦マイナンバーカードや免許証、パスポートなどマイナンバーと本人確認ができる書類
2.審査から認定
審査期間は居住している市区町村により異なりますが、大体1か月程度を目安にして申請のタイミングを考えておくようにしましょう。
3.受給開始
・受給資格が認定されると、申請の翌月分から毎年2月、5月、8月、11月に前月分までの手当がまとめて支給されます。
・受給中は毎年8月に「現況届」を自治体に提出し、その時の施設入所状況や入院状況、年金受給状況などを伝える必要があります。
この手続きを怠ると支給が打ち切られてしまう可能性もあるため、必ず行いましょう。
<特別障害給付金>
1.申請
・申請は市区町村の障害福祉担当窓口で行います。
・事前に診断書などの必要となる書類や用紙は自治体によって異なるケースがあるため、あらかじめ窓口に問い合わせておきましょう。
・一般的に申請を行う際に必要となる書類には、以下のようなものがあります。
①特別障害給付金認定請求書(申請用紙)
②基礎年金番号通知書または年金手帳の基礎年金番号を明らかにすることができる書類
③障害の原因となった傷病についての診断書
④呼吸器系結核、肺化のう症、けい肺またはこれに類似するじん肺症の場合にはレントゲンフィルム及び心電図所見がある場合には心電図の写し
⑤病歴及び就労状況等申立書
⑥受診状況等証明書(③の診断書が初診時に治療を受けた病院と異なる場合)
⑦特別障害給付金所得状況届
⑧生年月日などについての住民票などの市区町村の証明書または戸籍抄本
⑨公的年金制度等から年金等を受給している場合、その受給額を明らかにする年金額改定通知書など
2.審査から認定
審査期間は年金機構が行います。大体1か月から3か月程度を目安にして申請のタイミングを考えておきましょう
3.受給開始
・受給資格が認定されると、申請の翌月分から前月分までの手当がまとめて支給されます。
その他の支援制度やサポートについて
特別障害者に対してのその他の支援やサポートには、以下のようなものがあります。
自立支援医療制度(更生医療・育成医療)
自立支援医療の対象となるのは、精神通院医療で継続した治療が必要な疾患を持っている方です。
対象となるのは外来での受診、投薬、デイケア、訪問看護で、入院時の医療費には提供されません。
生活保護
さまざまな理由により生活に困窮している方に対して、生活保護により憲法が定める健康で文化的な最低限度の生活を保障し、積極的にそれらの人々の自立した生活ができるように援助を行う制度です。
傷病手当金
傷病手当金とは、病気休業中に被保険者とその家族の生活を保障するために設けられた制度で、病気や怪我のために会社を休み事業主から十分な報酬を受けられない場合に支給されます。
障害者手帳による税金の控除や公共料金の割引など
障害者手帳を持っている人は、障害者控除として27万円(特別障害者の場合には40万円)が所得から差し引かれます。
また、公共の交通機関や施設の使用料の割引を受けられることもあります。
「障害者割引って何?」「手帳を取るメリットは?」など、障害にまつわるお役立ち情報をLINEでゲットできる!
自分に合った仕事探しは就職エージェントを活用しよう
障害を持っている方でも、働きたいという考えをお持ちの方も少なくないでしょう。
そのような場合には、障害者専門の就職エージェントを利用してみてはいかがでしょうか。
障害者専門の就職エージェントは、仕事を求める障害者と障害者を雇用したい企業のマッチングを行ってくれます。
その中でもatGPは、株式会社ゼネラルパートナーズが運営する各種障害者の就職および転職支援サービスの総合ブランドです。
20年以上障害者の就職や転職の支援を行ってきた日本の障害者雇用のパイオニアともいえる存在が、このatGPです。
atGPが提供する就職や転職に関するサービスは、基本的に無料で受けることができます。
障害や難病のある人の将来のビジョンや金銭的な課題も含めて、ひとりひとり異なる不安や悩みに関して専属のエージェントが二人三脚で寄り添い、サポートを行ってくれるというものです。
障害のある人が生活や就労に関する困りごとを抱えている場合には、atGPに相談することを念頭に置いておくことをおすすめします。
まとめ
ここまで、特別障害者手当と特別障害給付金の違いや申請方法などについて解説してきました。
重い障害を負ってしまった際には国民年金に加入していれば特別障害者手当の支給を受けることができますが、加入していない場合には支給を受けることができません。
そのような場合の救済措置として特別障害給付金が存在するので、国民年金に入っていなかったからといってあきらめるのではなく、こちらの給付を受けることができるよう申請を行ってみることをおすすめします。