摂食障害のある方の、お金の負担を軽減させる方法とは
更新日:2023年08月02日
摂食障害という病気をご存じでしょうか。摂食障害とは、食事の摂り方に何らかの障害があり、日常生活に大きな影響を及ぼしてしまう精神疾患です。摂食障害のある方は摂食障害の症状以外に、金銭的な悩みを抱えている方も少なくありません。ここでは、摂食障害の方に良くあるお金に関する困り事や、利用できる支援やサポートについて解説していきます。
目次
摂食障害とは
摂食障害は、食事の摂り方に問題が出てしまう精神疾患であることは冒頭で解説しました。
摂食障害は、食事の摂り方の問題の種類で2種類に分類することができます。
その2種類とは、神経性やせ症と神経性過食症です。
神経性やせ症の症状は食事をほとんど摂らなくなってしまうという疾患で、神経性過食症とは極端に大量の食べ物を食べてしまうという疾患です。
多少の過食や拒食は、強いストレスを受けた際にほとんどの方が経験したことがあるでしょう。
しかしこのような食行動の異常が過度になってしまうと、体重が極端に減少しても拒食が止まらず食べ物が食べられなかったり、過食を続けてしまい体重が増加してしまう恐怖から食べたものを吐き戻してしまったりという状態になってしまいます。
また、過食を行った後に下剤を使用して体重の増加を避けようとするのも、摂食障害の一種とされています。
摂食障害は10代のうちに発症することが多く、神経性やせ症は10代の女性に、神経性過食症は20代の女性に現れ、患者の約90%は女性です。
このような状態を、専門の医師の治療を必要とする摂食障害といいます。
摂食障害によくあるお金の困り事
摂食障害を抱えている方は、同時にお金に関する困りごとを抱えているケースが多くあります。
ここでは、神経性過食症の人が抱えるお金に関する困り事について解説していきます。
食費が増える
神経性過食症の方は、過食をするために大量の食べ物を購入するため食費が増えてしまい、その費用は1日につき平均2,000円程度といわれています。
社会人として働いている場合には自分でお金を稼ぐことができるため、好きに使うことができどんどん過食のためにお金をつぎ込んでしまいがちです。
未成年に多い親からお金をもらっているケースでは、子どもが過食嘔吐をするためにお金を使っていることを知りながら親がお金を渡してしまうケースもあります。
このような場合には、親がどのような対応をすればよいか分からないままお金を渡し続けることもあります。
下剤や利尿剤の購入費用が必要になる
大量に食品を食べて、その後下剤や利尿剤で体外に排出しようとするのも、摂食障害の1つです。
このような場合には、市販の下剤や利尿剤の購入費用がかさむようになります。
そのため、医療機関で適切な治療を行う必要があります。
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摂食障害の方が受けられる支援制度やサポート
摂食障害の方が受けられる支援やサポートには、以下のようなものがあります。
自立支援医療制度(精神通院医療)
精神科に通院して治療を受ける際に、必要となる費用を抑えることができる制度です。
この制度を利用すると、精神疾患の治療費や薬代、デイケアの使用料、訪問看護の使用料の自己負担額を3割から1割に軽減することができます。
ただし、入院治療を行う場合には利用することはできません。
この制度の自己負担上限は、世帯収入によって上限が設定されています。
申請は、市区町村の障害福祉窓口で行います。
精神障害者保健福祉手帳
精神障害者保健福祉手帳は、精神疾患があるために日常生活や社会生活に制約を受けている方に交付されます。
この手帳の交付を受けることで各種税金の控除を受けられたり、福祉サービスの利用や公共料金の減免など、さまざまな社会的優遇を受けることができます。
さらに仕事に就く際に、障害者枠の求人に応募することもできるようになります。
障害者枠で仕事に就くことで、摂食障害の方は職場や周囲の人の理解を得やすくなり、病気の治療と仕事を両立させやすくなるでしょう。
精神障害者福祉手帳を持っている方に提供されるサービスの内容は、障害の程度によって異なります。
全国均一で提供されるサービスもあれば、お住いの自治体でのみ提供されるサービスもあるので、一度お調べになることをおすすめします。
初めて病院にかかった日(初診日)から6か月以上たつと申請を行うことができますが、申請には担当医の診断書が必要となります。
申請は、お住いの自治体の担当窓口で行います。
高額医療費
高額医療費とは、ある月の初めから月末までの間に医療機関や薬局で支払った医療費が一定の自己負担額を超えた場合に、超えた分の金額が払い戻される制度のことです。
自己負担額は、摂食障害のある方の年齢や所得状況によって代わってきます。
入院する場合には、事前に「所得区分」の認定書を発行してもらうことにより、医療機関の窓口での支払いを負担の上限額までに留めることができます。
さらに、世帯合算や多数回該当というしくみを利用することで、最終的な自己負担額がさらに軽減されることもあります。
この制度は、摂食障害のある方が加入している医療保険の担当窓口で申請を受け付けています。
障害年金
摂食障害以外の病気や怪我であっても、それによって生活や仕事が制限されるようになった場合に、現役世代も含めて受け取ることができる年金のことを障害年金といいます。
障害年金には、「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の2つの種類があり、病気や怪我で始めて医師の診療を受けた時に国民年金に加入していた場合には「障害基礎年金」を、厚生年金に加入していた場合には「障害厚生年金」を請求することが可能です。
なお、障害厚生年金に該当する状態よりも軽い障害が残った場合には、障害手当金(一時金)を受け取ることができる制度もあります。
障害年金を受け取るには、年金の納付状況などの条件が設けられています。
摂食障害の治療をしながら仕事をするためには
摂食障害のある方が治療をしながら仕事をするために大切なのは、治療と仕事を両立できる環境の職場を選ぶことです。
時短勤務が可能な職場であれば、定期的な通院も無理なく行うことができます。
また摂食障害のある方は、他の健康な方と比較すると疲れやすいことが多いのですが、時短勤務が可能な職場であれば疲れが蓄積しにくいため、長期就労につながりやすくなります。
さらに、摂食障害のある方は職場で「食べる」という行為を行うことに非常に大きな抵抗を感じます。
そのため、飲み会などへの参加が強制されないかも事前に調べておくことをおすすめします。
atGPとは
atGPとは、株式会社ゼネラルパートナーズが運営する各種障害者の就職および転職支援サービスの総合ブランドです。
20年以上障害者の就職や転職の支援を行ってきた日本の障害者雇用のパイオニアともいえる存在が、このatGPです。
atGPが提供する就職や転職に関するサービスは、基本的に無料で受けることができます。
障害や難病のある人の将来のビジョンや金銭的な課題も含めて、ひとりひとり異なる不安や悩みに関して専属のエージェントが二人三脚で寄り添い、サポートを行ってくれるというものです。
摂食障害のある人が生活や就労に関する困りごとを抱えている場合には、atGPに相談することを念頭に置いておくことをおすすめします。
まとめ
ここまで、摂食障害の方が受けることができる金銭的な支援やサービス、仕事をする際の職場の選び方などについて解説してきました。
摂食障害は治療しないままでいると多額の食費が必要となるだけではなく、体の健康も損なってしまう病気です。
働きながら治療を続ける際には、体調を崩さず治療と仕事を両立していくために、通院のための時間を確保しやすい職場を選ぶようにしましょう。