障害福祉サービスとは?どんな種類があって申請の方法は?
更新日:2023年06月07日
先天的に障害を持っている人や後天的に障害を持つようになった人が、生活上の支援を必要とする場合には、障害福祉サービスを受けることができます。では、この障害福祉サービスとは、どのような人が利用することができ、どれぐらいの費用がかかるのでしょうか。ここでは、障害福祉サービスを受けることができる人や必要になる費用、そして申請の方法などについて解説していきます。
目次
障害福祉サービスとは
障害福祉サービスとは、障害者総合支援法で定められる、障害者や難病者の自立と社会参加を支援するサービスです。
障害者に対する支援やサービスは、生活を送る上で必要になる仕事や動作に関する能力を身に付けさせたり、向上するための訓練を行う「訓練等給付」と、介護サービスである「介護給付の二つに分けることができます。
障害の程度や物事の得手・不得手は人により異なるため、同じ障害であっても同じサポートや支援が役に立つとは限りません。
個人個人で必要な支援は異なるので、障害の程度がどれぐらいであるか、どのような支援が必要かということを考慮した障害福祉サービスを利用することになります。
障害福祉サービスの種類
障害福祉サービスの種類には、訓練や就労のためのサービスと、介護のためのサービスの二つがあります。
ここでは、この二つのサービスについて解説していきます。
訓練や就労のためのサービス
訓練や就労のためのサービスには、以下のようなものがあります。
・生活訓練、機能訓練
生活訓練とは、精神障害者と知的障害者を対象とした訓練で、社会生活をスムーズに行うための能力の向上を目的とした訓練です。
事務所へ通所や障害福祉サービスの利用者の自宅を訪問し、訓練が行われます。
もう一方の機能訓練とは、身体障害者の身体機能の維持や回復のための訓練を提供するサービスで、理学療法士や作業療法士によるリハビリテーションなどが行われます。
・就労移行支援
就労移行支援とは、一般企業への就職を目指す障害がある人に対して行われる訓練で、就職に必要な知識やスキルを身に付けるためのサービスです。
就職後も原則6か月間は、就労移行支援事業所からの定着支援を受けることができます。
・就労継続支援A型
就労継続支援A型は雇用型とも呼ばれ、原則として利用者は事業所と雇用契約を結びます。
そのため労働基準法や最低賃金が適用され、給料が支払われます。
この就労継続支援A型での訓練を経て、働く機会の提供や一般企業への就職に向けた支援を受けることができます。
・就労継続支援B型
就労継続支援B型は非雇用型と呼ばれ、利用者と事業所は雇用契約を結びません。
給料の代わりに、行った作業に対する「工賃」が支払われます。
このような作業を通じて就労移行支援や就労継続支援A型への移行や、一般企業への就労に向けた訓練を行います。
・就労定着支援
就労定着支援は、就労移行支援や就労継続支A型・B型などを利用して一般企業などに就職した人に向けて、継続して働き続けるためのサポートを行う障害福祉サービスです。
利用者の日常生活や社会で困りごとが起きた際に相談に乗り、解決のためのアドバイスを提示したり、企業側と連携して職場環境を整えたりします。
このサービスは、就職後6か月以上経過したした人が対象となり、利用期間は三年間となっています。
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居住支援
・居宅介護
居宅介護とは、ホームヘルパーが介護が必要な障害者の自宅を訪問し、日常生活を送る上で障害者自身が行うのが困難な事柄に対して、援助を行います。
この援助には、身体介護、家事援助、通院等介助、通院等乗降介助の四つがあります。
・重度訪問介護
重度の障害がある人の自宅にホームヘルパーが訪問し、支援を行うサービスです。
入院時にも支援を受けることができるという点が、居宅介護とは異なる点です。
・同行支援、行動援護
同行支援とは、視覚障害がある方が外出する際に必要な情報の提供を行ったり、同行したりするサービスです。
移動の支援以外にも、排泄や食事の介護、役所や病院での代筆代読、危険回避のための支援を行います。
対象となるのは日常生活のための買い物や通院、公的機関への外出、余暇活動などでの外出です。
行動援護とは精神障害者や知的障害を持つ人が介護を必要とする際に、行動に伴なう危険を回避するための援護を行う支援のことを言います。
行動や感情のコントロールが難しい場合の外出時に行われる介護です。
・重度障害者等包括支援
重度障害者包括支援とは、重度の障害がありさまざまな支援が必要な障害者に対して、包括的なサービスを提供するものです。
居宅介護や行動支援など、さまざまなサービスを切れ目なく提供します。
・短期入所(ショートステイ)
障害者を介護する人が不在となる際に、要介護者に対して一時的に施設で預かり介護や支援を行う事業所のことです。
このサービスを利用することによって障害者本人だけではなく、家族などの介護者の負担を軽減することもできます。
・療養介護
療養介護とは医療機関に入院し食事や排泄の介助だけではなく、医療行為も提供するサービスです。
長期間入院する場合や、常時入院の必要がある人が対象になります。
・生活介護
生活介護とは、支援施設へ通所し日常生活上の支援を受ける他にも、創作活動や生産活動を行うサービスのことを言います。
手芸やパンの製造などを行うことで、社会生活への参加意欲を高めることを目的としています。
・施設入所支援
施設入所支援とは日中に就労移行支援や自立訓練を利用している人に対して、夜間の支援を提供するサービスです。
施設に入居し、主に夜間の入浴や排泄、食事などの介助を受けることができます。
(参考:厚労省障害福祉サービスについてhttps://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/service/naiyou.html)
障害福祉サービスの利用対象者
障害福祉サービスは障害者総合支援法によって定められた障害を持つ人が利用できるサービスです。
障害者手帳の交付を受けていないと利用できないと思われがちですが、障害者手帳の交付を受けていなくても支援が必要な場合には利用することができ、介護給付や訓練費などの給付を受けることができます。
障害者総合支援法で定められている障害福祉サービスの利用者は、以下のような人になります。
・身体障害者福祉法第4条で規定された18歳以上の身体障害者
・知的障害者福祉法で定められた18歳以上の知的障害者
・精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第5条に定められた18歳以上の精神障害者(発達障害も含む)
・治療法が確立していない疾患、その他特殊の疾患で政令に定めるものによる障害の程度が厚生労働大臣が定める程度の疾患、つまり難病のある18歳以上の人
ただし、障害があれば誰でもサービスが受けられるわけではなく、また「障害支援区分」によって受けられるサービスは異なるため、注意が必要です。
【障害福祉サービスの利用には受給者証が必要】
障害福祉サービスを利用する場合には、住んでいる自治体に申請を行って「障害福祉サービス受給者証」を取得しなければなりません。
障害福祉サービス受給者証とは、障害福祉サービスを利用できることを証明するものです。
障害福祉サービス受給者証には利用できる障害福祉サービスの内容や、支給量(利用可能な日数)が記載されていて、サービスに必要になる費用の一部を行政に負担してもらうことができます。
【65歳以上の人は介護保険サービスが優先される】
障害福祉サービスのうち、介護保険を利用して受けられるサービスと重複するものがある場
合には、原則として介護保険が優先されることが障害者総合支援法第7条によって定められています。
例えば障害がある方が受けられる障害福祉サービスのうち、身体介護、生活介護、短期入所(ショートステイ)などは障害福祉サービスと介護保険が重複するサービスなので、障害がある方が65歳になった時点で介護保険のサービスが優先されるようになります。
障害福祉サービスの費用はどれくらいかかる?
負担額は障害福祉サービスの利用者やその世帯の所得を考慮した「応能負担の原則」によって決定されますが、ほとんどの場合は一割負担となります。
しかし、生活保護世帯や低所得世帯では、負担なく利用することができます。
負担額の上限は以下の通りです。
・生活保護世帯・・・0円
・市町村税非課税世帯で概ね世帯収入300万円以下・・・0円
・市町村税非課税世帯で概ね世帯収入600万円以下・・・9,300円
(利用者が障害児の場合は概ね世帯収入概ね890万円以下)
・上記以外の世帯・・・37,200円
障害福祉サービスの申請や利用までの流れ
ここでは、障害福祉サービスの申請と利用までの流れについて解説していきます。
住んでいる自治体の窓口で申請を行う
障害福祉サービス申請は、住んでいる自治体の窓口で行います。
窓口の名称は「障害福祉課」などの名称が多いですが、市区町村によって異なることもあるので、役所に問い合わせてみることをおすすめします。
訓練給付の申請と利用の流れ
訓練給付の申請と利用の流れは、以下のようになります。
1.相談と利用申請
住んでいる自治体の窓口にどのような支援が必要であるかを相談し、利用申請を行います。
2.サービス等利用計画案の提出依頼
指定特定相談支援事業所に、サービス等利用計画案の提出を依頼します。
3.認定調査(アセスメント)
心身の状況による106項目のアセスメントを、自治体が行います。
4.サービス利用意向の聴取
サービスを利用する意向があるかどうかを、利用者本人や家族から聴取します。
5.サービス利用計画案の提出
指定特定相談支援事業所に作成を依頼していたサービス利用計画案を、自治体の窓口に提出します。
6.サービス等の暫定支給決定
自治体により、サービス等の暫定支給が決定されます。
7.個別支援計画
どのような支援が必要になるのかを、利用者の障害の特性などを考慮し計画を立てます。
8.支給決定通知書・受給者証の交付
サービスを一定期間利用した結果を踏まえて、正式に障害福祉サービス受給者証と支給決定通知書が交付されます。
9.利用契約
指定特定相談支援事業者は、障害福祉サービスの利用計画を作成します。
10.サービス利用開始
サービスの利用を開始します。
介護給付の申請と利用の流れ
介護給付の申請と利用までの流れは、以下のようになります。
1.相談と利用申請
居住する自治体の窓口に申請を行い、障害支援区分認定を受けます。
申請者がどのようなサービスを希望しているか、どのようなサービスが必要としているかを利用者本人や家族に聞き取りを行います。
2.サービス等利用計画案の提出依頼
指定特定相談支援事業者に、サービス等利用計画案の提出を依頼します。
3.障害支援区分の認定調査
住んでいる自治体の障害者認定区分を受けます。
一次審査は認定調査員による訪問調査の結果と主治医の意見書などをもとにして、コンピューター判定が行われます。
二次判定では、認定調査員による特記事項なども考慮したうえで、非該当または1~6区分を判定します。
4.障害者支援区分認定の通知
一次判定、二次判定が終了したら、障害支援区分認定の通知が行われます。
5.サービス等利用計画案の提出
指定特定相談支援事業者は、決定事項に基づいてサービス利用計画を作成します。
6.支給決定と受給者証の交付
障害福祉サービス受給者証の発行と、支給が決定します。
7.利用契約
サービス提供事業者と契約を交わします。
8.サービスの利用開始
サービスの利用を開始します。