障害者雇用の支援機関について ~その種類と支援内容について~
更新日:2023年06月08日
障害者雇用促進法を中心とした国の障害者雇用促進政策は、例年のように雇用者数が増加していることから順調に進んでいるといってよいでしょう。少子高齢化が深刻な日本では、高卒、大卒の新卒戦力はもちろんのこと、労働人口の減少に伴い、どのように必要な人材を確保するかは事業主にとって大きな課題となりつつあります。そこで注目を浴びているのが障害者雇用です。と言っても、障害者雇用はどうすればよいのか、どのように運営、継続していくのか、障害者雇用をこれから始める予定、といった事業主の皆様には不安があると思います。障害者雇用は国が推進する政策ですので、公的な支援をする機関が設置されています。今回はそのような障害者雇用を支援してくれる公的機関やその役割をご紹介していきます。
目次
障害者雇用の支援機関とは
障害者雇用の支援機関とは、「障害者」と「障害者雇用を検討している事業主」の双方をサポートする公的機関もしくは公設民営の事業所などのことです。企業等が受けることができるこれらの支援機関のサービスは原則無料です。障害者の利用についても、後述する就労移行支援事業所、就労定着支援事業所以外は原則無料です。
このような支援機関との協力体制が整うことで、支援が必要なときはすぐに支援員に対応してもらえ、雇用した障害者本人をはじめ、家庭や医療機関などとの連携もスムーズになり、企業と障害者の双方にメリットがありますので利用しない手はありません。
支援機関の種類
ハローワーク
ハローワークの正式な名称は公共職業安定所です。就労を希望する方に求人を紹介したり、その他の就労に必要な情報や知識、訓練を提供する一方で、雇用をしたい事業主に対しては求人の受け付けやその他の雇用支援をおこなう行政機関です。いわば、就労・雇用支援の中心となる機関で、全国に500ヶ所以上のハローワークが設置されています。
ハローワークは障害者の就労・雇用支援の中心でもあり、就労したい障害者と障害者を雇用したい事業主とを結びつける役割を果たします。障害者雇用(制度上の障害者雇用率にかかる障害者枠での雇用)をおこなうためのさまざまなノウハウや雇用に伴う問題などについて必要な支援をしてくれます。障害者雇用の初歩から給付金のことや制度の理解など、基本的なことはハローワークに相談しながら進めるとよいでしょう。
就労移行支援事業所
就労移行支援事業所は障害者総合支援法の訓練給付の対象となる就労移行支援サービスを提供する事業所です。就労移行支援事業所は一般企業等での就労(一般就労)を希望する障害者で且つ、就労できる見込みがある人に対して通所で行うサービスです。内容としては就労移行支援事業所内での様々な訓練や作業(ビジネスマナーやパソコンスキルなど)、企業での実習などをおこないます。
企業に対してはその事業所から就労した障害者についてのアドバイスや、就労定着支援サービスに至る前の定着支援をおこないます。求人紹介をするサービスではありませんが、就労移行支援事業所は独自に見学や実習、その他の就労につながる関わりを積極的に企業と持とうするところも多いようです。
就労定着支援事業所
障害者の離職率が高いという課題に対して、障害者総合支援法に新たに設けられたサービスです。就労定着支援のサービスを受けれるのは以下の条件に当てはまる人です。
生活介護
自律訓練
就労移行支援
就労継続支援(A・B)
上記のサービスのいずれかを受けて一般就労を6か月継続した人
就労して6か月以内は原則として、その障害者が利用していた各事業所が就職後のフォローをおこなっています。その後も就労を継続するのに問題がある場合に最大3年の就労定着支援のサービスが利用できます。利用するのは個々の障害者ですが、これらの条件をクリアしていることを企業側がわかっていればそういうサービスがあることを本人に伝え、利用を促すこともできます。上記のサービス提供事業者の多くはそもそも事業所から一般就労者が出た場合、定着支援をおこなっていた経験・ノウハウがあるため、就労定着支援事業者としても認可を受けているか、申請中の事業者も多いようです。
地域障害者職業センター
独立行政法人高齢障害求職者支援機構が運営する障害者の就労に関わる相談や支援(専門的職業リハビリテーション)をおこなう機関です。具体的には職業評価、職業指導、職業準備訓練および職場適応援助を提供しますが、企業に対しても、雇用管理上の課題の分析、雇用管理に関する専門的な助言、ジョブコーチの派遣、その他の支援をおこなっています。
障害者就業・生活支援センター
障害者雇用促進法に規定される障害者の就業と生活両面での相談支援を実施する機関です。雇用、保健、福祉、教育等の関係機関と連携し、障害者の問題をきめ細やかに、具体的に解決します。一方で、企業に対しては障害者の障害特性を踏まえた上での雇用管理についてアドバイスをおこないます。
特別支援学校
特別支援学校は支援機関ではなく学校(高等部)です。教育を受けたり、これからの社会生活を行うに当たって特別な配慮や支援が必要な障害を持つ児童が通っています。しかし、当然ながら、卒業後の進路に一般企業での就職を希望する学生がいるため、就労に必要な指導やサポートもおこなっています。
一般企業で、特別支援学校の学生を採用したい場合は、直接特別支援学校に相談し、企業の特徴や労働内容などを知らせます。
適切な学生がいればその企業で実習を行ない、その結果合格すればハローワークをとおして指名求人を出すことができ、学生の応募があれば採用できます。特別支援学校に直接求人票を送ることはできません。採用実績ができるなど、良好な関係を築くことができれば、その後も実習の依頼や相談がくるようになります。
支援機関との連携方法
これらの支援機関との連携の取り方ですが、まずは社内で障害者雇用を計画する段階から相談に乗ってもらえるのはハローワークです。
就労移行支援事業所と就労定着支援事業所は主に自社に就職した障害者がその事業所を利用していた場合に連携が取れます。就労移行支援事業所とは、そこに通っている障害者が自社の求人に対して興味を持った時点から関わりが始まります。就労定着支援事業所は自社で就労する障害者が定着に問題を抱えているようであれば前述の条件をクリアしたうえで利用できます。
各機関や事業所の特徴や支援の内容を理解し連携を取るようにしましょう。どの機関や事業所もハローワークやその他の事業所と相互に連携を取っていることが多く、障害者雇用支援の中心であるハローワークに相談することでも連携が取れるでしょう。もちろん、これらの機関には直接連絡を取ることもできますが、しっかりと自社の雇用方針や対象となる障害者の情報、支援してほしい内容をしっかりと伝えるようにしましょう。
相談内容別の支援機関例
例1:求人の掲載や、障害者の紹介をしてほしい場合
→ ハローワーク、就労移行支援事業所、地域障害者職業センター、特別支援学校
ハローワークは障害者雇用のすべてに関する支援が期待できます。自社の方針や仕事内容などに合わせて雇用計画などにも豊富な事例から適切なアドバイスをしてもらえるでしょう。また社員への障害者理解のための研修なども行なってくれますし、なによりも求人票を扱っているのは公的機関ではハローワークだけです。
就労移行支援事業所や地域障害者職業センターは求人を扱っているわけではありませんが、相談に応じて利用者である障害者を紹介してくれる場合があります。
特別支援学校は、高校新卒で雇用をしたい場合に相談してみるとよいでしょう。また出身者については就職後も本人と会社の両方に対してよいアドバイスをしてくれるでしょう。
例2:障害者の職場定着に悩んでいる
→ ハローワーク、就労定着支援事業所、障害者就業・生活支援センター
雇用した障害者の定着についてはどの機関でも相談に乗ってくれますが、特に障害者が就労定着支援事業所に指定されている就労移行支援事業所や就労継続支援事業所などの出身であれば、その障害者のことをよく理解しているので、利用していた事業所に相談してみるのが一番確実といえるでしょう。
例3:雇用管理の方法が分からない
→地域障害者職業センター、障害者職業・生活支援センター
地域障害者職業センターと障害者職業・生活支援センターは、主に障害者の雇用管理について具体的に助言や指導をしてくれるでしょう。ハローワークに相談して解決できる場合もありますが、雇用管理についてはハローワークも地域障害者職業センターや障害者職業・生活支援センターと連携をとっています。
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