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パニック障害ってどんなもの?症状や特性に合った働き方とは

更新日:2022年03月30日

パニック障害ってどんな障害?症状や特性に合った働き方とは

パニック障害があり一般の企業で働いている方は、その他の精神障害があり働いている方と比べても少なくありません。パニック障害がある方は、「また発作が起こったらどうしよう」という不安を抱えていることから生活の質が低下しがちですが、パニック障害という病気の特性や発作時の対処法を知ることで、パニック障害と上手に付き合いながら生活や仕事を続けていくことができるようになり、生活の質の低下も最低限に抑えることができます。ここではパニック障害という病気の特性や、就職や転職を行う際に注意すべき点について解説していきます。

パニック障害とは

パニック発作とは不安障害と呼ばれるもので、これといった理由もないのに動悸・めまい・発汗・吐き気・手足の震えといったパニック発作と呼ばれる発作を起こし、生活に支障を来している状態のことをいいます。

 

このパニック発作は発作を起こしている本人には「死んでしまうのではないか」と思うほど強いものであり、自分でコントロールができないことから「いつまた発作が起ってしまうのか」という恐怖に苛まれてしまいます。

 

このような発作が起こりやすいのは、例えばエレベーターや電車の車内といった閉じられた空間で「逃げられない」と感じた場合に、発作が起こるのではないかという恐怖が起ります。

 

パニック障害の症状

パニック障害の症状には、大きく分けてパニック発作、予期不安、広場恐怖の3つのものがあります。

ここでは、この3つの症状について解説していきます。

 

パニック発作

パニック発作は、いつ起こるか予測できないという大きな特徴を持っています。

そしてパニック発作が起こると強い不安感に襲われ、激しい動悸やめまい・呼吸困難などの身体症状が起ります。

パニック障害の症状にはこれ以外にも、手足の震えや発汗、冷や汗、口の渇き、吐き気、自己統制ができない恐怖感などがあります。

このような症状が現れると、死の恐怖を感じてしまう人もいます。

 

予期不安

パニック発作は一回だけで治まるというのは非常にまれなケースで、ほとんどの場合何度も繰り返すという特徴があります。

そのため、発作を何度も繰り返すうちに「またいつ発作が起きるのか」という不安に苛まれるようになり、それが不安や恐怖感となってしまいます。これを、予期不安といいます。

予期不安は、パニック発作を繰り返すごとに徐々に強まっていくという特徴があります。

 

広場恐怖

予期不安がひどくなると、発作を起こした場所やシチュエーションを避ける「回避行動」をとるようになるケースが多くなります。

そのためパニック発作を起こしたことがある場所などを「危険な場所」として認識するようになり、その場所に近づいたりシチュエーションに近い状況になった場合に「パニック発作が起こるのではないか」という思考に陥ってしまい、徐々に通勤や外出までもが困難になってしまいます。

この広場恐怖は、パニック障害がある人の約80%以上の人に伴う症状であるといわれています。

パニック発作の治療法とは

パニック発作の治療法には、薬物療法と認知行動療法の2つのものがあります。

ここでは、この2つの治療法について解説していきます。

 

薬物療法

薬物療法の第一の目的は「パニック発作を起こさない」こと、第二の目的が「予期不安や広場恐怖の軽減」です。

一般的にパニック障害の薬物療法に使われる薬は、選択的セロトニン再取り込み阻害剤をはじめとした抗うつ薬の一種で、安定剤が使われることもあります。

しかし、この薬物療法の効果の出かたは人によって異なるため、医師がその効果を確認しながら薬の量を増減していく必要があります。

また、症状が起らなくなったからといって自分の判断で服薬を止めてしまうと、めまいや発汗、吐き気などパニック症状と似た症状の断薬症状が出てしまうため、自己判断で服薬を止めることのないようにしましょう。

 

認知行動療法

「ものの見方」や「現実の受け取り方」のことを認知といいますが、「認知療法・認知行動療法」はこの認知に働きかけて、心にかかるストレスを軽くしていく治療法のことをいいます。

認知には、何かの出来事に遭遇した際に瞬間的に浮かぶイメージや考えがあり、これは「自動思考」と呼ばれています。

この「自動思考」が生じることによって、人は気持ちがさまざまに動いたり行動を起こしたりします。

ストレスに強い心を育むためには、「自動思考」に気付いてこの自動思考に働きかけることが、パニック障害の治療に役立ちます。

パニック障害の方の復職に向けた準備

パニック障害のある方が復職しようと思った場合には、以下のポイントを抑えて行動する必要があります。

 

復職の際は必ず主治医に相談を

パニック障害のある方の症状が出なくなった場合、復職を考えることが一般的ですが、このときに自己判断で復職してしまってはいけません。

自分で完治したと思っていても、主治医の目から見たらまだ治療と休養が必要なケースがあるためです。

そのため、復職したいと考えるようになったらまず主治医にその旨を伝えて判断を仰ぐようにしましょう。

 

生活リズムを整える

夜十分な睡眠をとることができるようになると、朝決まった時間に起きることができるようになり、日中もだるさや眠気を感じることがなくなります。

日常生活のリズムをこのように整えることで、復職しても体調を崩したり発作を起こしたりする可能性が低くなります。

 

リワーク支援の活用

リワーク支援とは職場復帰支援とも呼ばれ、パニック障害などの精神的な不調により休職した人がスムーズに復職するためのプログラムのことをいいます。

通勤・就業から感じるストレスへの対処方法を学ぶために、毎日決まった日にちの決まった時間にリワーク支援を行う施設へ通い、対人コミュニケーションのロールプレイや演習を行います。

このようなプログラムを利用することで、復職をスムーズに進めることができるだけではなく、再休職を防ぐことができる可能性も高くなります。

 

復職に向けた職場との話し合い

復職する場合には、職場との話し合いも大切です。

混んだ公共交通機関などで発作を起こしやすい場合には、通勤や退勤の時間をずらしたりテレワークによる勤務が可能かなど、発作が起こりやすい場面を避けて就業することが可能かどうかという点を職場と擦り合わせておくことで、復職をスムーズに進めることが可能です。

パニック障害の症状と付き合いながら仕事をしていく方法とは

パニック障害の症状と上手く付き合いながら仕事をしていくための方法には、以下のようなものがあります。

 

時差出勤や在宅勤務で働く

パニック障害のある方は、混み合った公共交通機関が苦手な方が少なくありません。

そこでラッシュアワーを避けた時差通勤を行う、公共交通機関自体が苦手な場合は在宅勤務で働くという方法をとることをおすすめします。

 

不安になりやすい状況や場所を避けて仕事をする

パニック障害の広場恐怖のある方は、閉じられた空間や広い場所などにいると発作が出やすくなります。

そのため、仕事を行う部署をエレベータを使わずに済む階に異動にしてもらったり、広いオフィスであっても出入り口に近い場所にデスクをおくようにしてもらったりすることで、発作を起こりにくくすることができます。

 

ストレスを溜めないようリラックス法を身に付けておく

パニック障害の一番大きな敵は、ストレスです。

そのため、仕事に関わらず生活全般においていかにストレスを溜めずに生活していくか、ストレスが溜まってしまった場合にはどのようにしてリラックスすればよいかという方法を身に付けておく必要があります。

自分なりのリラックス方法を見つけて、ストレスを感じた時はそれを実行しストレスを溜めないようにしましょう。

 

発作が起きた際の対処法を周囲の人に伝えておく

職場でパニック障害の発作が起きてしまった場合の対処法を周囲の人に伝えておきましょう。

パニック障害の発作が起こっても慌てて救急車を呼ぶ必要はなく命の危険はないこと、休んでいれば発作は治まることを周囲の人が知っていれば、職場で発作を起こしてしまった場合でも周囲の人に適切な対応をしてもらうことができます。

 

仕事を休む勇気を持つ

パニック障害のある方は、時に心身に不調を感じることもあるでしょう。そのような場合は、思い切って仕事を休むことも大切です。

心身の不調を抱えたまま無理して仕事を続けていると、さらに不調が増してパニック障害自体を悪化させてしまうことにつながる可能性もあるためです。

パニック障害のある方の転職や再就職の際の仕事の探し方とは

パニック障害のある方が転職や再就職を希望する際に利用できる機関には、以下のようなものがあります。

 

ハローワーク

ハローワークには「専門援助部門」というものがあり、ここでは障害や難病のある方の就職や転職をサポートしてくれます。

 

障害者就労・生活支援センターなどの行政サービス

障害者就労・生活支援センターは通称「なかぽつ」と呼ばれる機関で、障害や難病のある方の就業及び生活上の支援を行ってくれる機関です。

 

就労移行支援

就労移行支援とは、障害や難病のある方向けの福祉サービスで、就職支援を行ってくれます。

この就労移行支援では、体調管理の方法から職場でのコミュニケーションのスキルに至るまで身に付けることができます。

 

障害者専用転職サービス

障害者専用転職サービスとは、企業と障害のある方にどのような配慮や対処が必要かを共有し、最適な求人を提案してくれます。

atGP(アットジーピー)とは?

atGP(アットジーピー)とは、株式会社ゼネラルパートナーズが運営する各種障害者就職および転職支援サービスの総合ブランドです。

20年以上障害者の就職や転職の支援を行ってきた日本の障害者雇用のパイオニアともいえる存在が、このatGPです。

就職や転職に関するサービスは、基本的に無料で受けることができます。

障害や難病のある方に将来のビジョンも含めて、ひとりひとり異なる不安や悩みに関して専属のエージェントが二人三脚で寄り添い、サポートを行ってくれます。

パニック障害のある方が就職や転職をしたいと思った場合には、atGPに相談することをおすすめします。

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まとめ

ここまでパニック障害の症状や治療法、パニック障害と付き合いながら仕事を続けていく方法について解説してきました。

パニック障害であってもきちんと治療を受け、会社側に適切な配慮をしてもらい、自分でもストレスを溜めない工夫を行うなどの方法で、復職したり仕事を続けたりすることができるようになることがお分かりいただけたと思います。

しかし、復職などの大きな決断は自分一人ではなく、必ず主治医に相談してから行うようにしましょう。

 

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ライター:atGPLABO編集部(監修:戸田重央)

障害者専門の人材紹介として15年以上の経験とノウハウを活かし、障害者の雇用、就労をテーマとした情報発信活動を推進しています。 【監修者:戸田 重央プロフィール】 株式会社ゼネラルパートナーズ 障がい者総合研究所所長。 企業の障害者雇用コンサルタント業務に携わった後、2015年より聴覚障害専門の就労移行支援事業所「いそひと」を開所、初代施設長に。 2018年より障がい者総合研究所所長に就任。新しい障害者雇用・就労の在り方について実践的な研究や情報発信に努めている。 その知見が認められ、国会の参考人招致、新聞へのコメント、最近ではNHKでオリパラ調査で取材を受ける。 聴覚障害関連で雑誌への寄稿、講演会への登壇も多数。

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