ASDのある人が仕事に就く時に気をつけるべき4つの事
更新日:2022年06月14日
以前はメディアで取り上げられることがほとんどなかった「発達障害」。近年は発達障害によって生き辛さを感じ、仕事に支障をきたしている方が目立つようになったからなのか、メディアも発達障害を取り上げるようになりました。そこで今回、この記事では発達障害の中の一つ、ASDについて取り上げ、ASDの人が仕事に就く時に気をつけるべきことを4つに分けてご紹介致します。
目次
ASDの人が仕事に就く上で考慮すべき事項
【1】コミュニケーション
まず、ASDの人が仕事に就く時に気をつけることは、「コミュニケーション」についてです。
■あいまいな表現を理解するのが苦手
例えば、あいまいな表現を理解するのが苦手な場合は、具体的な指示にしてもらうようお願いすることが大切になってきます。
例:
・3時の会議に間に合うように資料ができると助かります
・3時の会議に間に合うように2時50分までに資料を作成してください。と言ってもらえば理解しやすい
このように具体的な指示を下さいとお願いしましょう。
■報告・連絡・相談のことが良く分からない
何をいつ誰にどのくらいの頻度で「報告・連絡・相談」すればよいのかがわからないことがある方は、相談者を具体的に明示してもらいましょう。
定期的に相談や確認ができる機会を設け、「報告・連絡・相談」についてルールを決めてもらうことで、こういった悩みを解決することが出来ます。
報告・連絡・相談は仕事を行っていく上での基本となることですので、ここをしっかりと解決しておかないと仕事を上手く行うことが出来ません。
ですので、必ずこの悩みは解決しておきましょう。
■大きな声で注意、叱責されると過剰に不安を感じる
大きな声で注意、叱責されると過剰に不安を感じる方は、穏やかで冷静な口調で話しかけてもらうように会社側に配慮して貰う必要があります。
事前に伝えて配慮して貰えるようにしておきましょう。
人によっては自分で大きな声で注意、叱責していると気が付いていない場合があります。
だからこそ、事前に伝えておいて相手側に意識してもらう必要があります。
■場にそぐわない発言をしてしまう
ASDの特徴の一つの例として、「場の空気が読めない」という特徴を持った方がいます。
そういった場の空気が読めない方は、場にそぐわない不適切な発言をしてしまう場合があります。
場にそぐわない発言をしてしまったときは「それは不適切ですよ」とその場で注意してもらうようにしてもらうことで、場の空気が読めない部分をカバーすることが出来ます。(言われれば改めることができるからです。)
これも事前に伝えておきましょう。そうしないと、相手側は遠回しな言い方で注意を行ってしまう場合があります。
自分は遠回しに伝えられても分からないことを伝えることはこういった理由からも大切なのです。
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【2】業務
では次に、業務について説明させていただきます。
業務では様々なことが起こり得ます。
臨機応変に対応しないといけない業務やマルチタスク(複数の業務を同時にこなす)を行わなければならないなど、本当に様々なことが起こるのが業務です。
そこで、ASDの特性の例を挙げて、こういった場合にはこう対応しておくといいですよ、といったことを書いていきます。
■臨機応変が苦手
臨機応変が苦手な方は、接客やクレーム対応などの業務を就職先にすることを避けたほうが良いでしょう。
接客やクレーム対応などは予期せぬことがよく起こる業務です。いわゆるアドリブといったような臨機応変に対応する能力が問われます。
臨機応変が苦手な方には向いていない業務ですので、避けるようにしましょう。
■複数同時にこなす業務が苦手
複数同時にこなす業務が苦手な場合は、シングルタスク(単一業務)の仕事に就くようにしましょう。
しかし、シングルタスクの仕事でも、仕事が複数存在してしまう場合があります。
どうしても仕事が複数ある時には、優先順位をつけてもらうようにしましょう。
■感覚過敏がある
感覚過敏がある、短期記憶が弱いという自覚がある場合は電話対応業務を避け、電話応対が頻繁な業務は避けるようにしましょう。
電話対応が頻繁な業務として挙げられるのは、コールセンターでの業務などですが、コールセンターは周りの方も皆、電話での対応を行っているので雑音が多いです。
聴覚過敏などの感覚過敏がある方には向いていない業務ですよね。
こういった「自分には向いてない業務」を洗い出して避けるようにすることが、仕事を長続きさせるコツです。
■聴覚からの情報より視覚からの情報が理解しやすい
聴覚からの情報より視覚からの情報が理解しやすいという症状がある場合があります。
聴覚からの情報より視覚からの情報が理解しやすい方は、指示は口頭よりもマニュアルを用意してもらったり、メモを取らせてもらったり、メールで指示するなどしてもらうようにしましょう。
しかし、どうしても口頭で指示をしなくてはならない状況が起きる場合もあります。
やむなく口頭での指示をもらう場合は自分でメモを取り、かつ指示内容を復唱(確認)する時間を確保してもらうようにすることで、口頭での指示を聴覚からの情報から視覚への情報へ変えることが出来ます。
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【3】職場環境
業務に就いたら、職場環境に慣れないといけません。しかし、ここまで書いてきたようにASDには様々な特性を持った方がいます。
例えば、感覚過敏(あるいは感覚鈍麻)がある場合それぞれの特性に応じた配慮を検討してもらうようにする(聴覚過敏ならイヤーマフの着用を許可してもらう、触覚過敏ならネクタイ着用の免除、私服通勤の許可、体温の変化に気づきにくい場合は温度を変えやすい窓際などに席を配置してもらうなど)ことでASDの方でも職場に慣れることが出来ます。
「自分にはこういう特性がありますが、こういう対応を取れば対処可能です。ですので、これを許可して下さい。」
といった具合に自分で解決策を提案し、職場に許可を貰いましょう。
【4】休憩など
ASDの方によっては、定期通院や適度な休憩が必要な場合があります。
■定期通院が必要
定期通院がある場合はあらかじめ予定を上司に申し出て休暇、早退、遅刻を許可してもらいましょう。
■過集中になる傾向がある
・過集中になる傾向がある人は職場で時間毎にアラームを鳴らすことを許してもらったり、適宜声をかけてもらったりなど独自の休憩ルールを作ることを理解してもらい、許可していただきましょう。
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ASDの人の就労 まとめ
ここまで、ASDの人が仕事に就く時に気をつけるべきことを、4つに分けて紹介してきました。
ASDには様々な特性を持った方がいますので、自分にあった特性をまずは自分自身で理解し、そして周りに伝える能力を身に着け、周りの方に理解してもらう、といったことが大切になってきます。
その為には、自分自身も自分の障害の特性について学ぶ必要があります。自分で自分の障害のことを理解出来てない場合、周りの方はもっと理解してくれません。
自分の最大の理解者は自分なのです。
この記事が少しでもお役に立てれば幸いでございます。
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ライター:atGPLABO編集部(監修:戸田重央)
障害者専門の人材紹介として15年以上の経験とノウハウを活かし、障害者の雇用、就労をテーマとした情報発信活動を推進しています。 【監修者:戸田 重央プロフィール】 株式会社ゼネラルパートナーズ 障がい者総合研究所所長。 企業の障害者雇用コンサルタント業務に携わった後、2015年より聴覚障害専門の就労移行支援事業所「いそひと」を開所、初代施設長に。 2018年より障がい者総合研究所所長に就任。新しい障害者雇用・就労の在り方について実践的な研究や情報発信に努めている。 その知見が認められ、国会の参考人招致、新聞へのコメント、最近ではNHKでオリパラ調査で取材を受ける。 聴覚障害関連で雑誌への寄稿、講演会への登壇も多数。