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今後の法定雇用率の引き上げはいつなのか?どれぐらいになるのか?

更新日:2023年09月15日

法定雇用率は障害者雇用促進法に規定される企業や公共団体などに一定の割合での障害者雇用を課すものです。法定雇用率は1976年に採用され、その後の改定で段階的に上昇し、2021年には2.3%となりました。2022年の法改正により、2026年には2.7%まで引き上げられることが決定され、今後法定雇用率は段階的に引き上げられる予定です。法定雇用率が上昇すれば、対象となる事業所の規模が変わったり、大きな事業所では雇用人数が変わる可能性もあります。この稿ではこれまでの法定雇用率の変動や次回の改定値などについて説明していきます。

法定雇用率とは

法定雇用率とは、障害者雇用促進法に規定される法定障害者雇用率のことです。日本全体における労働者と障害者である労働者の割合などから算出するものです。

 

法定雇用率は一定条件下の一般事業所や国、地方公共団体、都道府県等の教育委員会に達成義務があります。達成できない場合は雇用義務違反となり、雇用納付金を納付することとなります。

現在の雇用率とこれまでの雇用率の変化

2024年4月以降の法定雇用率について

2021年3月から民間企業の障害者雇用率は2.3%でした。

 

2022年に法定雇用率の根拠法である障害者雇用促進法が改正され、2026年7月以降の民間企業における障害者雇用率は2.7%と定められました。2024年4月からは、激変緩和措置として、法定雇用率が段階的に2.5%に引き上げられます

これに伴い、民間企業における対象事業主の範囲も、43.5人以上の事業主から、40.0人以上、37.5人以上と引き下げられています。

 

法定雇用率の変動について

法定雇用率は1976年から2012年までは約10年ごとに、その後は5年ごとに見直しされるようになっています。法定雇用率の数値は労働者の総数や、障害のある労働者の数などから算出されるため労働者数や障害のある人の数が変動すると、法定雇用率も変動する仕組みとなっています。具体的には障害のある労働者が増えると法定雇用率も上昇する計算式となっているようです。

これまでの法定雇用率の変動は以下のとおりです

1976~1987: 1.5%

1988~1998: 1.6%

1999~2012: 1.8%

2013~2017: 2.0%

2018~2021: 2.2%

2021(3月)~:    2.3%

2024~2026: 2.5%

2026(7月)~:2.7%

 

実雇用率の算定方法と法定雇用率の対象

実雇用率の求め方、カウント方法

事業所において何人の障害者を雇用しているかは以下の式を使用します

 

実雇用率=対象となる障害者数÷常用労働者数

 

対象となる障害者:

身体障害者(身体障害者手帳所有)※

知的障害者(療育手帳所有または知的障害者判定機関の判定書を持つ人)

精神障害者・発達障害者(精神保健福祉手帳所有で症状が安定し、就労可能な人)

 

上記のうち、身体障害者と知的障害者1人を雇用する場合は週30時間以上の常用労働者の場合は1人、週30時間未満、20時間以上の短時間労働者の場合は0.5人とカウントします。また重度の身体障害者、知的障害者1人を雇用する場合はダブルカウントとして常用労働者は2人として、短時間労働者は1人としてカウントできます。

 

精神障害者にはダブルカウントはありませんが、常用労働者でも短時間労働者でも1人とカウントできます。

 

常用労働者:

従業員のうち、週30時間以上の労働時間のものを常用労働者1人と数え、週30時間未満、20時間以上の短時間労働者を0.5人と数えます。

法定雇用率引き上げに伴って企業担当者が困るポイントと解決策

母集団形成

法定雇用率を達成することが目的の場合、自社において(またはグループ内で)何人の障害者を雇用することが必要で、その数の障害者を雇用するにあたって必要な求職者を母集団といいます。

 

雇用率達成に必要な母集団を形成するには適切な募集計画・プロセスが必須となります。募集人数が多い場合、どれぐらいの期間で達成するのか、一度にたくさんの障害者を雇用しても適切な対応ができるか、業務があるのか慎重に考える必要があります。

 

障害者枠の選考フロー設計

障害者の募集採用をスムーズに進めるためには求人募集、書類選考、面接、内定、入社の選考フローを確立することが重要です。障害者の選考フローでは障害特性に配慮した対応が必要となります。

 

業務の切り出し

障害者雇用をする場合には採用する人数や一人一人の特性に合った業務を切り出す必要があります。障害者に任せられる適切な業務がない場合、新しく業務を創出することも考えましょう。

 

障害者雇用に困ったら

これらの障害者雇用のポイントでうまくいかない場合は、ハローワークなどの障害者雇用の専門機関に相談するとよいでしょう。ハローワーク以外にも、障害者雇用に関連したした公的機関として地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センターがあります。また、費用がかかりますが、障害者雇用支援の事業所にこれらの障害者雇用のプロセスを委託することができます。必要に応じてうまくこのような機関や事業所のサポートを受けるようにしましょう。

まとめ

法定雇用率は現在の障害者雇用の好調を受け、1976年の適用以降、上昇を続けています。次回の改訂は2023年と見られていますが、関係者の予想によりますと、現在の法定雇用率よりも確実に上昇し、2.5~2.6%となると見られています。せっかく現在、法定雇用率を達成していても、次回の改訂では雇用すべき障害者が増える可能性もあります。特に従業員数の多い大規模事業所の場合、複数人数を雇用しなければいけない可能性もあります。事業主の皆様におかれましては、次回の法定雇用率改定に向けて、法定雇用率を確実に理解し、障害者雇用の準備をしていただきたいと思います。

 

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ライター:atGPLABO編集部(監修:戸田重央)

障害者専門の人材紹介として15年以上の経験とノウハウを活かし、障害者の雇用、就労をテーマとした情報発信活動を推進しています。 【監修者:戸田 重央プロフィール】 株式会社ゼネラルパートナーズ 障がい者総合研究所所長。 企業の障害者雇用コンサルタント業務に携わった後、2015年より聴覚障害専門の就労移行支援事業所「いそひと」を開所、初代施設長に。 2018年より障がい者総合研究所所長に就任。新しい障害者雇用・就労の在り方について実践的な研究や情報発信に努めている。 その知見が認められ、国会の参考人招致、新聞へのコメント、最近ではNHKでオリパラ調査で取材を受ける。 聴覚障害関連で雑誌への寄稿、講演会への登壇も多数。

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