民間企業による障害者雇用の状況と想定される今後の傾向とは
更新日:2023年03月08日
1960年に制定された「身体障害者雇用促進法」を基にして定められた「障害者雇用促進法」は、名称の変更や段階的な改正を経て現在の形になりました。 2020年4月1日に施行された改正の内容は、企業に対して「事業主に対する給付制度」と「優良企業主としての認定制度」の2つの措置が新しく盛り込まれています。 このように障害者雇用促進法が改正されていく中で、民間企業での障害者雇用の現状や今後想定される傾向にはどのようなものがあるのでしょうか。 ここでは、障害者雇用の現状と将来について解説していきます。
目次
民間企業における障害者雇用の状況
厚生労働省が調査した令和3年における障害者雇用状況の集計結果(令和3年 障害者雇用状況の集計結果 (mhlw.go.jp))によると、民間企業では障害者雇用数と実雇用率はともに過去最高を記録しており、障害者雇用数は59万7,786.0人で前年と比較すると3.4%、人数にすると1万9,494人増加、実雇用率は2.20%で前年と比較すると0.05ポイント上昇しています。
このように、雇用障害者数と実雇用率は18年連続で過去最高を更新していて、企業の障害者雇用が進められているということが分かります。
法定雇用率の達成率は47.0%で、こちらは前年と比較すると1.6ポイント低下しています。
障害者雇用の状況を企業の規模ごとに見てみると、雇用されている障害者の人数は令和3年より新たに報告の対象となった43.5から45.5人未満の規模の企業では62,175.0人で前年よりも3,825人の増加、100人から300人未満の企業では114,905.0人となり前年より1,706人の増加、300人から500人未満の企業では51,657.5人と前年より851人の増加、500人から1,000人未満の企業では67,920.5人と前年より1,332.5人の増加、1,000人以上の企業では299,048.0と前年と比較して9,717.5人増加しており、企業の規模の大小を問わずに前年より増加しました。
雇用されている障害者のうち、身体障害者は359,067.5人と前年と比較して0.8%の増加、知的障害者は140,665.0人と前年比4.8%の増加、精神障害者は98,053.5人と前年比11.4%増加しており、精神障害者の伸び率が特に多いことが明らかになりました。
障害者雇用で想定される今後の傾向
障害者雇用で想定される今後の傾向については、障害別で見ると障害者雇用の主力であった身体障害者の求職申込件数は依然として多く、今後も継続していくと思われます。
また、2018年から精神障害者の雇用が義務化されたことや、適応障害などの精神障害に関する認知度の高まりや心療内科・精神科を受診する際の心理的ハードルが低くなったことから、精神障害者手帳の所持者数は今後さらに増加していくことが予想されます。
そのため、いかに精神障害者が働きやすい職場を整備し雇用の場所を広げていくかという点が今後の大きな課題となると思われます。
今後必要となる障害者雇用のポイント
今後必要となる障害者雇用のポイントとしては、2021年3月1日に法定雇用率が2.3%に引き上げられましたが、2023年にはさらに引き上げられるという可能性もあるため、今後も企業の障害者雇用はますます進むものと思われます。
しかし、すでに障害者雇用に熱心に取り組んでいる企業では、従来と同じ方法では新たな業務の創出が困難なため、新規の障害者雇用を行うことが困難であるという声も聞かれます。
また、テレワークの普及など健常者の働き方も変化を見せてきていることから、障害者雇用を行う際にも、雇用方法の見直しや職場における障害者に対する理解の促進や労働環境の整備など、障害者を受け入れる企業側の体勢を整える努力も求められています。
さらに2021年5月に障害者差別解消法が改正されたことにより、障害者を雇用した企業は合理的配慮を提供する法的義務が課せられることになりました。
そのため、企業には雇用義務だけではなくより一層の障害者への理解が求められるようになります。
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