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認知症のある方の精神障害者保健福祉手帳の申請方法・取得するメリット

更新日:2024年07月25日

認知症は、脳の病気や障害などが原因で認知機能(記憶、判断力など)が低下し、社会生活に支障をきたす状態を指していて、精神障害に位置づけられます。認知症によって日常生活や社会生活が制約される場合には「精神障害者保健福祉手帳」を申請できる場合があります。本記事では「精神障害者保健福祉手帳」が交付される対象、手帳を取得するメリット、申請方法などについて解説します。
 

精神障害者保健福祉手帳とは?

「精神障害者保健福祉手帳」は、一定程度の精神障害の状態であることを認定するものです。「精神障害者保健福祉手帳」を持っている方には、自立と社会参加を促進するためさまざまな支援が行われます。

 

「精神障害者保健福祉手帳」の対象

「精神障害者保健福祉手帳」の対象となるのは、何らかの精神障害で長期にわたって、日常生活や社会生活が制約されている方です。具体的には次のものが含まれます。

 

・統合失調症

・うつ病や躁うつ病などの気分障害

・てんかん

・薬物依存症

・高次脳機能障害

・自閉スペクトラム症(ASD)、学習障害(LD)、注意欠陥・多動性障害(ADHD)などの発達障害

・認知症やストレス関連障害などその他の精神疾患

 

認知症は、記憶障害や見当識の低下などの症状が出る病気のため、精神障害に位置づけられます。そのため、日常生活や社会生活が制約される場合には、「精神障害者保健福祉手帳」の対象になります。

 

精神障害者保健福祉手帳の等級

「精神障害者保健福祉手帳」は、障害の程度によって1級から3級まで分けられています。

参考:国立精神・神経医療研究センタ「こころの情報サイト」
 
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精神障害者保健福祉手帳を取得するメリット

「精神障害者保健福祉手帳」を持っている方への支援やサービスは、住んでいる地域や事業者によって異なりますが、代表的なものとしては次のようなものがあります。

 

所得税、住民税の控除

納税者本人、同一生計配偶者または扶養親族が「精神障害者保健福祉手帳」を持っている場合には、一定の金額の所得税や住民税の控除を受けることができます。

また、同じ家計で生活し同居している配偶者や扶養の親族がいる特別障害者は「同居特別障害者」として、さらに控除額が多くなります。

相続税の控除

「精神障害者保健福祉手帳」を持っている方が財産を相続する場合には、以下の特例が受けられます。

贈与税の非課税

「精神障害者保健福祉手帳」を持っている方本人が贈与を受ける場合、以下の特例が受けられます。

*障害者への贈与にあたって、信託銀行との間で「特定障害者扶養信託契約」を結ぶ必要があります。

 

自動車税・自動車取得税の軽減(1級の方のみ)

「精神障害者保健福祉手帳」を持っている本人が所持しているか、その方のためにもっぱら使用する自動車で、一定の基準に該当する場合は、申請により自動車税、軽自動車税、自動車取得税が軽減される場合があります。

 

地域や事業者によって行われていることがあるサービス

・鉄道、バス、タクシーなどの運賃の割引

・公共料金などの割引

・NHK受信料の減免
・上下水道料金の割引

・公共施設など入場料の割引

・携帯電話料金の割引

・心身障害者医療費助成

精神障害者保健福祉手帳の申請方法と有効期限

「精神障害者保健福祉手帳」の申請は、市区町村の障害福祉担当窓口で行います。申請は本人以外の家族などが代理で行うこともできます。

 

申請後、精神保健福祉センターで審査が行われて、認定されると「精神障害者保健福祉手帳」が交付されます。申請してから交付されるまでは、通常1〜2ヶ月ほどかかります。申請に必要な書類は次の通りです。

 

申請に必要な書類

1.申請書

2.診断書または精神障害による障害年金を受給している場合はその証書等の写し

3.本人の顔写真

 

※診断書は、精神障害の初診日から6か月以上経ってから、精神保健指定医(または精神障害の診断または治療に従事する医師)が記載したもの。てんかん、発達障害、高次脳機能障害等について、精神科以外の科で診療を受けている場合は、それぞれの専門の医師が記載したもの。

 

精神障害者保健福祉手帳の有効期限

「精神障害者保健福祉手帳」の有効期限は、交付日から2年が経過する日が属する月の末日です。2年ごとに診断書または年金証書等の写しを添えて、更新の手続きを行って、障害など等級に定められた精神障害の状態にあることを、都道府県知事に認定を受けなければなりません。
 
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就職や転職時のメリット

「精神障害者保健福祉手帳」を取得するメリットについては先ほど紹介しましたが、他にも障害者雇用枠で就職や転職ができるというメリットもあります。

 

事業主には、従業員に占める身体障害者・知的障害者・精神障害者の割合を「法定雇用率」以上にする義務があります。そのため、障害者雇用枠を設けて採用を行います。「精神障害者保健福祉手帳」を取得することで、一般雇用枠と障害者雇用枠の2つの働き方が選択できます。また障害によりすぐに企業に勤めることに不安がある場合には、「就労移行支援事業所」を利用することもできます。

 

「atGP(アットジーピー)」は、障害者の求人転職情報・雇用支援サービスです。障害者雇用枠での求人を探せる他、就労移行支援サービス「atGPジョブトレ」では一般企業で働き続けるためのスキルが身につきます。

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まとめ

認知症は、記憶障害や見当識の低下などの症状がある病気のため、精神障害に位置づけられています。認知症によって日常生活や社会生活が制約される場合には、「精神障害者保健福祉手帳」の対象です。

 

「精神障害者保健福祉手帳」を取得すると、取得税や住民税の控除など、自立した生活を支えるためのさまざま支援やサービスが受けられます。ご自身や周りの方が認知症になってしまったら、早めに「精神障害者保健福祉手帳」の申請手続きを行いましょう。
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ライター:atGPLABO編集部(監修:戸田重央)

障害者専門の人材紹介として15年以上の経験とノウハウを活かし、障害者の雇用、就労をテーマとした情報発信活動を推進しています。 【監修者:戸田 重央プロフィール】 株式会社ゼネラルパートナーズ 障がい者総合研究所所長。 企業の障害者雇用コンサルタント業務に携わった後、2015年より聴覚障害専門の就労移行支援事業所「いそひと」を開所、初代施設長に。 2018年より障がい者総合研究所所長に就任。新しい障害者雇用・就労の在り方について実践的な研究や情報発信に努めている。 その知見が認められ、国会の参考人招致、新聞へのコメント、最近ではNHKでオリパラ調査で取材を受ける。 聴覚障害関連で雑誌への寄稿、講演会への登壇も多数。

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