HSPがめんどくさいと周囲から思われる理由と対処法について
更新日:2024年05月17日
HSPは、アメリカの心理学者エイレン・N・アーロン博士が、1996年に提唱した心理的概念で「非常に感受性が強く、敏感な気質を持った人」のことです。徐々にHSPという言葉や概念が広まるにつれ、「HSPの人は面倒くさい」とネガティブな発言が見られるようになりました。なぜHSPの人は周囲から面倒くさいと思われるのでしょうか。その理由と対処法について解説します。
目次
HSPの特徴
アーロン博士の提唱では、HSPの方には「DOES(ダズ)」と名付けた4つの特徴があるとされています。
D:Depth of Processing(深く処理をする)
簡単に結論の出るような事であっても、じっくりと悩んでしまう。あらゆる可能性を想定するため考え事をする時間が長い。そのため必要以上に疲れてしまう。
O:Overstimulation(過剰に刺激を受けやすい)
刺激に過剰に反応してしまい常に気が張っている状態。小さなことが気になって寝つきがわるくなることもある。
E:Emotional response and empathy(全体的に感情の反応が強く共感力が強い)
他の人の気持ちに自分の気持ちも引きずられてしまう。周囲の人の機嫌がとても気になる。
S:Sensitivity to Subtleties(些細な刺激を察知する)
音や光、匂いなど五感の感覚が鋭く強い刺激が苦手。他の人が気づかないような些細な刺激や変化にすぐ気づく。
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HSPが面倒くさいと思われる理由
HSPの方が周囲の人たちから面倒くさいと思われるには、さまざまな理由があります。
HSPの特性が理解されていない
統計的には人口の15〜20%がHSPの特性に当てはまるとされています。最近になってHSPの概念が広まってきましたが、HSPではない約8割の人から共感を得ることは難しいでしょう。理解を得られないことで被害者意識が強くなったり、HSPではない人との差に自己嫌悪を感じる人も少なくありません。
マイペースだと思われがち
HSPの方はじっくり考えてから行動しがちなため、スピード感が求められる仕事では、仕事が遅いと思われたり、周囲のペースを乱してしまうこともあります。また、刺激を受けて疲れてしまい、休んでいると周囲から批判されることもあります。
他の人の気持ちを考え過ぎてしまう
HSPの方は、他の人の小さな言動や表情、しぐさなどで敏感に相手の気持ちを汲み取ることができます。その反面、いろいろな事を考えてしまい、自分の本当の気持ちが伝えられなかったり、なかなか行動に移せないことがあります。
些細な刺激や変化に過剰な反応をしてしまう
HSPの方は、感覚が鋭く外部からの刺激に敏感に反応してしまいます。他の人が気づかないような、些細な刺激や変化にも気づいてしまうことから、周囲が気を遣ってしまい面倒くさいと思われることがあります。
自称HSPが増えている
HSPは生まれつきの気質であり病気ではありません。最近ではインターネットや書籍などのHSP診断を利用することで、自分がHSPであるかどうかセルフチェックすることができます。
ただし、セルフチェックはあくまでも主観でしかないため、自分がHSPであると主張すれば「自称HSP」になることができます。「自称HSP」の中には、周囲に過度な配慮を求めたり、仕事ができないのはHSPの特性であると言い訳したり、HSPを悪用する人もいます。
HSPの人が良好な人間関係を保つコツ
HSPの概念が広まってきたとはいえ、周囲の人から理解されない場面も多くあるのではないでしょうか。そんな時に、HSPへの理解を求めたり、HSPであることを言い訳にしても、ますます面倒くさいと思われることになりかねません。HSPの方が周囲の人と良好な人間関係を保つには、次のようなポイントを意識して行動してみましょう。
苦手な人とは距離をとる
HSPの方は、相手の気持ちを考えすぎてしまうため、苦手な相手にも嫌われないようにと無理して合わせがちです。そのような行動は結果的に人間関係の悩みを増やしたり、ストレスとなって疲れる原因となります。
HSPの方は、感情の反応が強く共感力が強いため、他の人の気持ちに自分の気持ちも引きずられてしまう傾向にあります。次のような人とは距離をとるようにしましょう。
・感情の起伏が激しい人
・他の人の悪口や愚痴を言う人
・自己主張が強い人
刺激から受けるストレスを軽減させる
HSPの方は、他の人が気づかないような些細な音や光、匂いなどの刺激にも敏感に反応してしまいます。それらの刺激が無くなるように周囲に求めると、面倒くさい人と思われてしまいます。自分でできる範囲で工夫して、刺激から受けるストレスを軽減させましょう。また、これがあると落ち着くという物を身近に置くのもおすすめです。
・1人で過ごせる時間を作る
・数分間目を閉じる
・光が気になる時にはサングラスをする
・耳栓やイヤーマフで音が聞こえないようにする
・パソコンやスマートフォンの電源を切る
他の人からどう思われているのか気にしない
周囲の人の小さな言動や表情、しぐさなどを敏感に察知して、嫌われないように行動してしまうHSPの方は、知らず知らずにストレスを溜めてしまいがちです。他の人からどう思われているかやどう評価されているのかを気にすると憂鬱な気分になってしまいます。
良好な人間関係を保つには、他の人の気持ちに配慮するだけでなく、自分の気持ちに正直に行動することも大切です。人の性格や価値観はそれぞれ異なっていて、全ての人に好かれるのは難しいと理解しましょう。
人間関係がうまくいかない人とは、「この人とは相性が合わなかったんだ」と割り切って距離を取るようにしましょう。
周囲にHSPであることをカミングアウトしない
周囲の人に自分がHSPであることを伝えても、相手がHSPの概念について理解していないかもしれません。カミングアウトする目的が「心配して欲しい」や「配慮して欲しい」「つらさをわかって欲しい」であったとしても、HSPについて理解していない人からすると甘えているだけと受け取られかねません。
そのため必ずしも周囲にHSPであることをカミングアウトする必要はありません。カミングアウトする時には、なぜカミングアウトするのか、その目的をはっきりさせて、理解を期待しない、理解されなくても気にしないことが大切です。
HSPに向いてる仕事に転職する
これまで解説してきた通り、HSPの方は職場環境や人間関係によって、ストレスを感じやすい傾向にあります。苦手な人や物を避ける努力をしてもつらいと感じる場合は、ストレスを我慢せずに自分に合う仕事や職場を探すことも大切です。
HSPの方が職場でストレスなく働くには?
HSPの方が職場でストレスなく働くには、次のポイントを意識してみましょう。
自分の特性を理解する
繊細で優しい気持ちを持つHSPの方は、上手くいかないことがあっても、相手を責めずに自分のことを責めがちです。そのため、自分に自信が持てず、仕事ができないと悩んでいる人が多いのではないでしょうか。
自分の特性を理解することで、能力が発揮できる環境や良好な人間関係を保つコツが見つかる可能性があります。まずは自分の強みと弱みを整理してみましょう。一般的にHSPの方は次のような強みと弱みがあると言われています。
HSPの方の強みの例
・共感力が高く、人の痛みがわかる。
・細かいところに気がつく
・丁寧に仕事を進める
・心配性なので危機管理能力が高い
HSPの方の弱みの例
・決断するの時間がかかる
・他の人の感情が気になりすぎる
・敏感で疲れやすい
・マルチタスクが苦手
自分なりにルールを決める
HSPの方は他人の感情に敏感で、自分のミスで周囲に迷惑をかけると、本当に申し訳ない気持ちになってしまいます。また自分の感情にも敏感で、小さなミスを指摘されただけでもひどく落ち込んでしまいます。そのため仕事に関しては完璧主義になり無理をしがちです。
無理をしてストレスを抱え込んでしまうと、精神的にも身体的にも不調になってしまいます。以下のような自分なりの仕事のルールを決めて無理をし過ぎないことが大切です。
・余裕がない時には仕事の依頼を断ってもいい
・困った時には他の人に頼っていい
・仕事が遅れていても休憩時間がしっかりと休む
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自分にあった仕事を見つけるには
HSPは生まれつきの気質であり、病気や障害ではありません。しかし、繊細なHSPの方は職場でストレスを抱え込みやすく、うつ病や統合失調症、睡眠障害などの精神疾患になってしまうことがあります。
本記事で紹介した「良好な人間関係を保つコツ」や「職場でストレスなく働く方法」を試しても、職場や仕事がつらいと感じる場合には自分に合った仕事や職場を探すことが必要かもしれません。
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