ASD(自閉症スペクトラム)に向いてる仕事や長所を活かす職業は?
更新日:2025年01月15日
以前は知られていなかったASD(自閉症スペクトラム)。今ではメディアに取り上げられることも多くなってきました。ASD(自閉症スペクトラム)の方は仕事や人間関係などで悩みやストレスを抱えている方も多く、中には「仕事を続けられない…」という悩みを持つ方もいらっしゃいます。そこで、この記事では、ASD(自閉症スペクトラム)にあった仕事の仕方や選び方について説明します。
目次
ASD(自閉症スペクトラム障害)とは
まずASD(自閉症スペクトラム障害)を知らない方の為に、ASD(自閉症スペクトラム障害)について説明します。
ASDとは?アスペルガー症候群と自閉症の違い
ASD(自閉症スペクトラム障害)と一言でいってもその症状は様々ですが、大きくわけて2つ(アスペルガー症候群、自閉症)に分類されます。
この2つの違いについて見ていきましょう。
【アスペルガー症候群】
ASD(自閉症スペクトラム障害)のうち、知的な能力が正常範囲以上で、言語発達の遅れも無い方
【自閉症】
ASD(自閉症スペクトラム障害)のうち、言語発達に遅れがある方
参考:どんぐり発達クリニック ASD、自閉症・アスペルガー症候群
「自閉症」というと、家や自分の殻に引きこもっている人、という間違った知識を持っている方も多くいますが、それは違います。上記に書いたように発達障害であるASD(自閉症スペクトラム障害)の症状の一つです。
では次に、ASD(自閉症スペクトラム障害)の症状について見ていきましょう。
ASD(自閉症スペクトラム障害)の症状
ASD(自閉症スペクトラム障害)の方は社会生活において必要な3つの能力
・社会性:他人と関係をつくる能力
・コミュニケーション力:会話を通して意思を伝える能力
・想像力:他人の心を想像する能力
に障害を抱えています。
例えば、
1.空気を読む・雰囲気を感じるといった、周囲の状況から必要な振る舞いを察することが苦手
2.相手が話をしているのに自分の話だけを一方的に話をしてしまう
3.建前や冗談が通じず、言葉どおりに受け取ってしまう
4.曖昧な表現や、相手の感情など目に見えない物を察することが苦手
といった、社会性の障害(1)コミュニケーションの障害(2、3)、想像性の障害(4)が挙げられます。
では、このような障害を抱えている場合にどの様な仕事を選ぶと良いのでしょうか?働き方は? そして周囲の人間はどう接したら良い?
それぞれの疑問に答えていきます。
ASD(自閉症スペクトラム)の長所・短所
合う仕事を見つけるためには強みと弱みを理解することが必要です。
ASD(自閉症スペクトラム障害)の長所
・集中力が高い、持続できる
・几帳面さを備えている
・視覚情報に強い
ASD(自閉症スペクトラム障害)の短所
・「もっと自分で考えて」や「真面目にやって」等の誤解を受ける
・暗黙の了解を推し量ることが苦手
・仕事に対し「協力的でない」と誤解を受ける
・自分に合った仕事や職場環境がわからない
・マルチタスクや割り込み業務が苦手
ASD(自閉症スペクトラム障害)の長所を活かせる仕事
ASD(自閉症スペクトラム障害)に合った職業
ASDの方の特性を活かせる職種をご紹介します。
以下の仕事は、ASDの方の長所である「高い集中力」「几帳面さ」「視覚情報処理能力」などを活かすことができます。
データアナリスト
情報収集やデータ分析を行う仕事で、パソコンと向き合う時間が多い職種です。数字から仮説を立て、売上データなどを分析する作業を繰り返し行います。細かな数値を正確に扱う必要があり、ASDの方の高い集中力と正確性が活きる仕事です。
プログラマー
仕様書に基づいてプログラミングを行う仕事です。論理的な思考と正確性が求められ、一つの作業に集中して取り組む必要があります。また、イレギュラーな対応が少なく、手順が明確なため、ASDの特性と相性が良い職種です。
経理事務
会社の収支やデータを管理するルーティンワークが中心です。業務がパターン化されており、決まりに従って正確に作業を進める必要があるため、ASDの方の几帳面さと集中力が活かせます。
Webデザイナー
視覚情報の処理が得意なASDの方に向いている職種です。デザインの細部にこだわれる特性を活かすことができ、また一人で黙々と作業を進められる環境も多いです。
コーダー
Webデザインをコーディングする仕事です。決められたルールに従って正確に作業を進める必要があり、ASDの方の特性が活きます。また、対人コミュニケーションが比較的少ない環境で働くことができます。
仕事選びの際には参考にしてみて下さい。
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ASD(自閉症スペクトラム)の方が仕事で抱えやすい悩みと対策
ASDの方が仕事で抱えやすい悩みとしては以下のものがあります。
・悩み①仕事のゴールイメージを描きづらい。仕事の依頼者のゴールイメージとズレやすい
・悩み②暗黙の了解を推し量ることが苦手で、曖昧な表現がわからない
・悩み③共同作業や分担をする場面で、自身がどう行動すると良いかを察することが苦手で、「協力的でない」と誤解を受ける
・悩み④自分に合った仕事や職場環境がわからない
・悩み⑤マルチタスクや割り込み業務への対応が苦手
下記では、それぞれの悩みにあった解決方法についてまとめます。
悩み①仕事のゴールイメージを描きづらいもしくは仕事の依頼者のゴールイメージとズレやすい
そのため、「もっと自分で考えて」や「真面目にやって」等と言われてしまい誤解を受けることがある。
【対策】
・自分が立てた仕事の計画と進捗状況を小まめに報告する
・小まめな報告を通じ、仕事の依頼者のゴールイメージとズレが無いかを確認、ズレが生じている場合にはストレートに指摘してもらえるように相手に頼んでおく
暗黙の了解を推し量ることが苦手で、曖昧な表現がわからない
【対策】
・指示はわかりやすくストレートに伝えてもらえるように相手にあらかじめ伝えておく
共同作業や分担をする場面で、自身がどう行動すると良いかを察することが苦手で、「協力的でない」と誤解を受ける
【対策】
・その苦手さを周囲にあらかじめ共有し、具体的な指示を出してもらえる様に会社や上司に頼んでおく
・自ら積極的に指示をもらいにいくと更に対策となる
自分に合った仕事や職場環境がわからない
【対策】
・自己分析等を行うだけではなく、実際に業務を行う等の体験から学びを得る
・体験だけでなく体験後に周囲からのフィードバックを得ると更に対策となる
マルチタスクや割り込み業務への対応が苦手
【対策】
・頭の中だけで処理せずにメモを取ると良い
・頼まれた仕事について相手と認識の相違が無いかを確認するため、メモを取った内容を声に出して読み上げて相手に確認を取ると更に対策となる
これらがポイントと解決方法になります。
ASD(自閉症スペクトラム障害)の方は上記ポイントで挙げた弱みの部分で仕事での失敗を繰り返し、自己肯定感が低くなっていることがあります。
仕事をするのが怖い、と思うようになる方もいます。
ですが、自分の弱みを理解し対策をすることで、ASD(自閉症スペクトラム障害)の方も充分に活躍ができます。
この記事を参考に、仕事をして充実した生活を送ってくださいね。
ASDの方を採用した実績のある企業様も多数いらっしゃいますので、是非求人を見てみてくださいね。
→求人を探してみる。
ASD(自閉症スペクトラム)の仕事探しのポイント
ASDの方が仕事を探す際は、以下のポイントに注目することが重要です。
-
業務内容と特性のマッチング
- ルールやマニュアルが明確に定められているか
- 自分の得意分野や興味のある仕事か
- 視覚的・聴覚的な処理能力を活かせる仕事か
- 臨機応変な対応をあまり求められない仕事か
-
職場環境の確認
- 対人コミュニケーションの頻度と量
- 業務の進め方(チーム作業か個人作業か)
- 勤務時間の柔軟性
- 障害特性への理解度
-
支援体制の整備
- 障害者雇用枠の有無
- 職場での合理的配慮の実施状況
- メンター制度などのサポート体制
- 研修制度の充実度
ASD(自閉症スペクトラム)の仕事探しに利用できる就労支援機関
ASDの方の就労を支援する主な機関と制度をご紹介します。
就労移行支援
就職に必要な知識やスキルを習得するための訓練を提供します。期間は2年間で、一般企業への就職を目指す18歳~65歳の方が対象です。職場実習や面接訓練なども行います。
就労継続支援A型
雇用契約を結んで働きながら、職業訓練を受けることができます。最低賃金が保障され、より実践的な職業能力を身につけることができます。
就労継続支援B型
雇用契約を結ばずに、自分のペースで働きながら訓練を受けることができます。作業に応じた工賃が支給され、職業能力の向上を目指すことができます。
就労定着支援
就職後の職場定着をサポートする制度です。職場での困りごとや悩みについて相談でき、必要に応じて職場との調整も行います。定着支援員が継続的にサポートを提供します。

ライター:atGPジョブトレ
全国的にも珍しい障害特化型、ジョブ特化型就労移行支援事業所を運営しています。各障害に特化するからこそ効果のある就労支援プログラム、業種に特化するからこそ身につく実力。これまでに培ったノウハウから就職に役立つ選りすぐりの情報を日々発信して行きます。