パニック障害と診断された場合に、仕事はどうすれば良いのか
更新日:2024年05月28日
パニック障害は、誰でもなりうる病気です。パニック障害の発作、いわゆるパニック発作は、特定の場所やシーンで起こることが多く、一度発作を起こしてしまうとその場所に行くこと自体が恐怖に繋がり、やがて出歩くことすら困難になることもあります。そのような場合に、仕事に対してどのように対処すれば良いのでしょうか。ここでは、パニック障害になってしまった方の、仕事に関する対処法について解説していきます。
目次
パニック障害とは
パニック障害とは不安障害のひとつで、「パニック発作」「予期不安」「広場恐怖」という3つの症状があります
この3つの障害の中で最も特徴的な症状が、パニック発作です。
パニック発作とは原因不明の激しい不安感を突然感じ、動悸やめまい、呼吸困難などの症状が現れます。
また、再びパニック発作が起こってしまうのではないかという恐怖心や、発作の予兆を感じて不安感を感じることもあります。
パニック発作の3つの症状の特徴は、以下のようなものです。
1.パニック発作
いつ発作が起こるか予測できず、発作が始まると強い不安感に襲われ激しい動悸やめまい、呼吸困難などの身体症状が起こる
2.予期不安
パニック発作を何度も繰り返すうちに「次はいつパニック発作が起こるのか」という不安感を抱えるようになり、不安や恐怖感が強まる
3.広場恐怖
予期不安の症状が強くなると、発作を起こした場所やシチュエーションを避ける「回避行動」をとることが多くなるため、徐々に通勤などの外出に支障をきたすようになる
パニック障害と診断されたら
自分が安心できる場所や環境を確保する
パニック障害と診断されたら、まず自分が安心できる場所や環境を確保しましょう。
パニック発作を繰り返すと心身共に疲れ切ってしまうので、自分がゆっくりとリラックスできる場所で体調の回復を最優先にする必要があります。
パニック障害の知識と自己理解を深める
十分に休養し体調が回復してきたら、パニック障害に対する知識を深め自分自身の状態をしっかりと把握し、自己理解を深めます。
パニック障害とはどのようなものか、どのような状況でストレスを感じるのか、発作が起きてしまった場合にはどういう行動をとれば安心感を取り戻せるかといった対処方法を把握しておくと、周囲の方々にも自分がパニック障害であることについて伝えやすく、理解を得やすくなります。
服薬を自己判断でやめない
また、パニック障害になってしまったら精神科で処方される薬を飲む必要が出てくることが多いのですが、薬を飲むことを自己判断でやめてはいけません。
精神疾患のひとつであるパニック発作は、症状に波があるため調子がいいと感じる日でも主治医の指示がある限りは必ず薬を飲むようにしましょう。
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パニック障害になったら仕事はどうする?
パニック発作を起こしてしまうと、周囲の人を驚かせたり騒がせてしまう恥ずかしさと申し訳なさで外出するのが怖くなり、徐々に外で働くことに恐怖を覚えるようになります。
そのため、職場に行くことがつらくなってしまうことも少なくありません。
パニック障害は、我慢すれば発作をやり過ごせるといった性質の病気ではありません。
そのまま放置してしまうと、うつ病を併発してしまうおそれもあります。
うつ病を併発してしまう割合は、パニック障害の人の約半数であると言われています。
休職も選択肢のひとつ
パニック発作を発症してしまったら、長く働き続けるためにも一旦体調を改善する目的で、休職も選択肢のひとつとして考えておきましょう。
パニック障害になりやすい方は責任感が強い人が多く、いよいよ症状が重くなってしまいドクターストップがかかるまで休職せずにがんばり続ける方もいらっしゃいますが、働き続けることが唯一の選択肢ではないと考えることで、気持ちが少し楽になるでしょう。
休職できる期間は、それぞれの会社の就業規則によって異なりますが、大体3か月から6か月程度です。
自分が働きやすい環境を整える
休職から復職を目指すために、やっておきたいこともあります。
パニック障害は再発しやすいため、復職を希望する場合には主治医の許可を得る必要があります。
通勤に電車やバスなどの公共交通機関を利用する方は、通勤時間をずらしてラッシュアワーを避けることができないか上司に相談したり、なるべく自分が働きやすい環境を整えることが大切です。
就労支援や転職も視野に入れる
また復職支援プログラム、いわゆるリワークや就労支援などを利用して自分の適性や体調への適応力を見極めてみることも有効な手段です。
今の職場で働き続けることが難しい場合には、転職も視野に入れておきましょう。
その際には時差出勤ができる会社や、在宅勤務ができる会社を選ぶのがおすすめです。
また、出社の必要がある会社に転職する場合には、発作が起きた際の対処法をあらかじめ周囲の人に伝えておくと、パニック障害への理解が得やすいでしょう。
障害者雇用枠での就職を検討する
障害者雇用枠での就職を検討してみるのも、良い方法です。
障害者雇用を行っている会社は障害についての理解や配慮がある企業が多いため、自分が働きやすい環境をつくりやすいといったメリットがあります。
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パニック発作の対処法・発作が起こる前にできること
パニック発作が起きたとき、または起こりそうなときは頓服薬を飲むのが一番ですが、発作が出たときや起こる前に自分でできることには、以下のようなものがあります。
乗り物や部屋では出口に近い位置にいる
通勤などでバスや電車を利用している場合には、座る位置や立つ位置を扉の傍にすることをおすすめします。
このように扉の傍にいることで、「何かあったときにはすぐに逃げることができる」と考えることができます。
このような意識を持つことで、少しではありますが不安が軽減されます。
同じようなことで、教室でパニック発作を起こしてしまった学生が一番後ろの出入り口に近い場所に座ることで、パニックを起こさなくなったという例もあります。
「発作が起きても目立たない席なら安心して授業を受けることができる」という安心感が、パニック発作を抑えるのに役立った可能性が高いです。
そのため、大勢が参加する会議などの場合でも出入り口に近い席を選んで座るという工夫をすることで、パニック発作が起こりにくくなる可能性が高くなります。
他のことに意識を向ける
パニック発作が起こってしまった場合には、動悸が激しくなります。
自分が死んでしまうのではないかと感じて、思わず胸に手をあててしまったり、無意識に動悸に強く気持ちを集中させてしまったりしがちです。
このような場合に、パニック障害の方は「死んでしまうかもしれない」「動悸が激しい」「苦しくなったらどうしよう」と確認する行動を取ると、不安に対する無意識の「確認行為」が強く働きすぎて、自分で自分の不安や緊張を高ぶらせてしまう傾向があります。
つまり動悸が激しくなっていることを確認すると、余計に動悸がひどくなって不安感が止まらなくなってしまうのです。
それを変えるためには、他のものに意識を向ける必要があります。
意識の向け方としては、「声には出さずに頭の中で好きな歌を歌う」「時計の秒針を見て数を数えながら呼吸のペースを一定にする」「指を追って順番に数字を数えてみる」「音楽を聴く」「飴を舐める」などの方法があります。
深呼吸をして呼吸を整える
呼吸を整えることで発作が徐々に落ち着いてくることもあるので、意識的に深呼吸を行うのも発作が起こった場合の有効な対処法です。
4秒吸って6秒吐くなど、規則をつくってゆっくり呼吸を行うことが大切です。
パニック障害の方が活用できる支援機関
パニック障害の方が活用できる支援機関には、以下のようなものがあります
障害者就業・生活支援センター
障害者就業・生活支援センターは、障害者の職業生活における自立を図るため、雇用、保険、福祉、教育などの関係機関と連携し、障害者の身近な地域において就業面及び生活面に置ける一体的な支援を行い、障害者の雇用の促進と安定を図ることを目的とした機関です。
就労移行支援事業所
就労移行支援事業所は、事業所に通いながら就職に向けたサポートを受けることができる機関です。
就職に役立つ知識やスキルを学ぶことができ、就職の準備や就労支援員に就職や体調に関する相談をするなど、必要なサポートを受けることができます。
障害者職業センター
障害者職業センターには、障害者職業カウンセラーなどが配置されていて、ハローワーク、障害者就労・生活支援センターと密接に連携しながら、就職や職場復帰を目指す障害がある方や障害者雇用を検討している事業主の方、障害がある方の就労を支援する関係機関の方に対して、支援やサービスを提供する機関です。
ハローワーク
ハローワークは、障害がある方の就職活動を支援するため、障害について専門的な知識を持つ職員や相談員を配置し、仕事に対する情報を提供したり、就職に関する相談に応じてくれる機関です。
転職エージェント
転職エージェントとは、転職希望者と中途採用をしたい企業をマッチングしてくれる業者のことです。
転職エージェントに登録を行うと、ほとんどの場合専任のアドバイザーが求職の受付から転職までの全てのシーンにおいてサポートを行ってくれます。
転職エージェントの中には障害者専門の業者もあるので、パニック障害の方はこのような転職エージェントを利用することをおすすめします。
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