高次脳機能障害になったら取得できる障害者手帳の種類と条件について
更新日:2023年08月28日
高次脳機能障害という後遺症は一般的にはそんなに知られていません。しかし、日本人の死因のトップ3として知られる脳血管障害、ガン、心臓病の中で脳血管障害と関連してよく耳にする病気です。高次脳機能障害には認知機能に関するさまざまな症状があるのですが、果たして高次脳機能障害になった時、障害者手帳を取得できるのかは当事者や家族にとって大きな関心があるのではないでしょうか。結論から先に述べますと、高次脳機能障害になった場合、障害者手帳を取得できるかどうかは、その原因や発症年齢によって異なる、と言う事になります。この項では高次脳機能障害でどのような症状が出た時にどのような障害者手帳が取得できるのかについて詳しくご紹介していきます。
目次
高次脳機能障害とは
高次脳機能障害は障害者手帳を取得できる?
次に、本稿の核心的な部分、高次脳機能障害でどのような障害者手帳が取得できるか、ですがその原因や発症年齢によって異なります。
そもそも障害者手帳とは、障害が原因で生活が困難な方をサポートするためのもので、
日本には現在、「身体障害者手帳」「精神障害者保健福祉手帳」「療育手帳」の3種類があります。
精神障害者保健福祉手帳
うつ病や統合失調症など慢性的な精神疾患がある場合、または発達障害がある場合に取得できる障害者手帳です。高次脳機能障害の症状(記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害)が原因で、日常生活に制約があり、社会生活に復帰できない場合に申請できます。
手帳を受け取るには、初診日に認められてから症状が6ヵ月以上続いている必要があります。
精神障害者保健福祉手帳について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください
精神障害者保健福祉手帳とは?取得のメリット・デメリットや申請方法を解説
身体障害者手帳
身体障害等級表では、言語障害も対象としています。高次脳機能障害のうちでも失語症の症状が重い方や、他に手足の麻痺などがあり、基準を満たす場合は「身体障害者」となるため、身体障害者手帳の申請が可能となります。都道府県によって障害認定基準が異なるため注意が必要です。
症状により、精神障害者保健福祉手帳と両方取得することも可能です。
身体障害者手帳について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください
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療育手帳
発症や受傷が18歳未満で、指定機関で知的障害(知能指数がおおむね70~75以下)と判定された場合に申請できる手帳です。
療育手帳の取得者の多くは先天的な脳機能障害が原因ですが、18歳までに脳の損傷を受け(後天的要因)、後に知的な遅れが認められたときにも交付される場合もあります。
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療育手帳について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください
障害者手帳を取得することのメリット
医療費の負担軽減や税金控除が受けられる
所得税や住民税、相続税の控除など税金面での負担軽減、補助具購入費の助成、医療費の助成、障害福祉サービスの利用など、さまざまな公共福祉が利用しやすくなります。また、各種公共交通機関や動物園、水族館などの文化施設、遊園地などの娯楽施設などでも独自の障害者割引を実施していますので、事前に調べてから利用するとよいでしょう。
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障害者雇用枠での就労が可能になる
障害者手帳を取得することで、障害者雇用促進法における障害者雇用枠での就労が可能になるため、就労面での社会復帰がしやすくなっています。
ハローワークや、国の認可を受けた障害者専門の就職・転職エージェントを利用して障害者雇用枠で就労すると、企業が障害の特性などを把握した上で雇用しているため、働く環境や体調などの面で配慮を受けやすくなっています。また、2024年度から一般事業所での障害者雇用については合理的配慮が義務化されるため、より一層、働きやすくなると期待されています。
障害者手帳申請に必要なもの
基本的には申請書、本人確認ができる書類(パスポートや個人番号カードなど)、診断書などが必要となります。
法律に基づいて交付される「身体障害者手帳」と「精神障害者保健福祉手帳」に関しては、指定医による診断書が必要なため、各市区町村の障害福祉窓口で確認するとよいでしょう。
療育手帳は各自治体の裁量で発行されるものであって、年齢に応じて児童相談所や知的障害者更生相談所等で検査が実施され、具体的に日常生活動作などがどの程度制限されるかによって等級が決定されます。
各種手帳は申請から交付まで約1~2ヶ月の期間がかかるのが一般的です。手帳取得が前提となる制度やサービスの利用を考える場合、計画的に申請をする必要があります。
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まとめ
高次脳機能障害は脳血管障害や脳への外傷などから、言語、記憶、注意、情緒など認知面での影響がある脳機能障害のことです。高次脳機能障害は障害者手帳の対象となるのかの答えは、「その症状や程度によって」身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳、療育手帳のどの手帳の対象にもなり得るというのが結論です。
手帳を取得することに対してはメリットとデメリットの両方がありますし、個人の置かれた状況や考え方もあるかと思いますので、慎重に判断していただきたいと思います。しかし、手帳を取得された場合はそのメリットを最大限に活用して、就労やその他の社会参加を豊かなものにしていただきたいと願っています。