統合失調症などの精神障害(疾患)を抱える方の日常生活について
更新日:2023年05月17日
統合失調症などの精神障害を持っている方は、日常生活でもさまざまな不便を抱えていたり、何かのきっかけで体調を崩してしまったりすることも少なくありません。また、就転活を行う際にも一般の方と同じように就活を行っても、上手くいかないこともあります。そのようなときには、どのようなことに注意して体調を整えたり、就転活に臨んだりすれば良いのでしょうか。ここでは、統合失調症などの精神障害を持っている方の生活をスムーズに行う際の注意点と、就転活を行う際に受けられる支援について解説していきます。
目次
主な精神障害の特性と症状
ここでは、主な精神障害の特徴とその症状について解説していきます。
統合失調症
統合失調症とは、以前は「精神分裂病」と呼ばれていた病気で、脳の機能的な異常により幻聴や妄想といった症状が認められます。
妄想や幻聴といった目立つ症状は陽性症状と呼ばれていますが、この病気になるきっかけは周囲への過敏さや緊張感などを感じることだと言われています。
妄想や幻覚に行動や思考が左右されてしまうと、自分が病気を抱えているということも分からなくなってしまい、強制的な入院が必要になることもあります。
気分障害(うつ病、双極性障害)
気分障害とは、長期間に悲しみで過度に気持ちがふさぎこむうつ病と、喜びで過度に気持ちが高揚する躁病、またはその両方を示す感情を繰り返す障害のことを言います。
うつ病と躁病は、気分障害の両極にある状態です。
悲しみや喜びは日常生活の中で普通に経験する感情なので、気分障害の特徴である抑うつ状態や躁状態とは異なります。
抑うつ状態のみが見られる場合には単極性障害やうつ病と呼ばれ、抑うつ状態と躁状態が交互に見られる場合は双極性障害と呼ばれます。
不安障害、パニック障害
不安障害には、人に注目されることや人前で恥ずかしい思いを怖がるあまり人と話すことだけではなく電車やバス、繁華街など人が多くいる場所に強い苦痛を感じる社会不安障害(社会恐怖)、つまらないことだと分かっていてもある行為を辞めることができず、繰り返し同じことをしていないと不安でたまらなくなる強迫性障害、学校のことや家族のことなど生活上のさまざまな事柄が気になりすぎて、極度の不安や心配を抱えるようになる状態になってしまう全般性社会障害の三つの種類があります。
またパニック障害は、これといったきっかけがないにもかかわらず、パニック発作と呼ばれる動悸、発汗、頻脈、過呼吸、このまま死んでしまうのではないかといった強い不安感に襲われます。
てんかん
てんかんとは、脳にある神経細胞の異常な電気活動によって引き起こされる「てんかん発作」を繰り返し引き起こす障害です。
てんかん発作は、突発的に運動神経や感覚神経、自律神経、意識、高次脳機能などの神経系が異常に活動することによって現れます。
そのため脳のどの部分に異常な電気活動が起こっているかによって、体の一部が硬くなる、手足のしびれや耳鳴りがする、動悸や吐き気を生じる、意識を失う、言葉が出にくくなるなどのさまざまな症状が生じます。
高次脳機能障害
高次脳機能障害は、脳卒中などの病気や頭部に対する外傷により脳の一部が破損するなどの原因で起こる障害です。
高次脳機能障害の症状には、集中力が続かない注意障害、新しい出来事を覚えられない記憶障害、言いたい言葉が出てこなかったり聞こえていてもその意味が分からなかったりする失語、物事を段取り良く進めるための優先順位を付けられない遂行機能障害、身体の片側に注意が回らないため見落としたりぶつかったりしやすい半側空間無視、感情や欲求のコントロールができなくなったり人柄が変わってしまったりする感情と社会行動の障害があります。
精神障害を持つ方が日常生活で気を付けるべきこととは
精神障害を持つ方が日常生活をスムーズに送るためには、気を付けるべきことがあります。
ここでは、その気を付けるべきことについて解説していきます。
精神障害について正しい知識を身に付け、自己管理に役立てる
自分が持っている精神障害についての正しい知識を身に付けることで、日常生活をスムーズに送るために役立てることができます。
例えば、症状を予防したり薬物療法に対する知識をしっかりと身に付けておくと、精神障害の症状の悪化を防ぎ、適切な治療を受けることができます。
また、症状に対する理解を十分に深めることで、自己肯定感を高めることができ症状の悪化を予防することも可能です。
定期的に医師の診断を受ける
症状が改善したからといって、医師の許可なく受診をやめてしまってはいけません。
継続的に医師の診察を受けることで、精神障害によって生じる症状の再発を防止することができます。
十分な睡眠をとるように心がける
十分な睡眠は、脳や身体の回復や再生に必要不可欠です。
そのため、睡眠時間はしっかりと確保するようにしましょう。
また、精神障害の方は睡眠不足により症状が悪化することも多いため、十分な睡眠をとることが大切です。
不規則な食生活を避け、バランスの良い食事を心がける
不規則な食生活を続けていると、健康な人でも何らかの病気になってしまう可能性が高くなってしまいます。
そのため、精神障害の方も心身の健康を保つためにバランスがとれた食事を摂り、身体の健康維持に必要な栄養素をしっかりと摂るようにしましょう。
また、食事の時間が不規則になってしまうと、生活のリズムも崩れてしまうため、症状の悪化につながってしまう可能性があります。
バランスのとれた食事を規則正しい時間にとることで、心身のバランスを整えましょう。
薬の服用を怠らず、定期的に受診する
精神障害の治療には、薬物治療が欠かせません。
服薬を怠ると症状の悪化につながるため、医師の指示通りに服薬することは非常に大切です。また定期的に受診することで、症状の変化や薬の副作用がないかといったことが確認できます。そのため、医師の指示通りの服薬と定期的な受診を欠かさないようにしましょう。
ストレスを軽減するためにリラックスする時間を持つ
ストレスは、症状を悪化させる原因になります。
自分がリラックスする方法を見つけ、その時間を確保してストレスを軽減し、症状の悪化を予防することができます。
自分の限界を理解し、無理をしないようにする
仕事などで無理をしてしまうと、症状の悪化を招いてしまいます。
自分がどこまでできるかをしっかりと把握し、適度な休息をとることで症状の悪化を防ぎましょう。
外出時には身の安全を守るため、周囲の状況に注意を払う
精神障害の方は、周囲の状況を正しく判断することができないケースがあります。
外出を行う際には周囲の状況に十分な注意を払い、身の安全を守ることが大切です。
自分の感情をコントロールするために、リフレッシュする時間を作る
精神障害の方は、自分の感情のコントロールが難しくなることもあります。
リフレッシュする時間をもちストレスを軽減することで、感情のコントロールをしやすくすることができます。
人間関係に悩んだ場合には、専門家に相談する
人間関係に関する悩みは、精神障害を持つ方にとって大きなストレスになることがあります。
このような問題を自分一人で解決するのは難しく、症状が悪化してしまうことも考えられるため、専門家に相談することをおすすめします。
専門家に相談し適切なアドバイスを受けることで、ストレスを軽減することができます。
「どうやって仕事を探せばいいんだろう・・」そんなあなたには簡単1分でタイプ別にわかる!仕事の探し方診断がおすすめです。
精神障害を持つ方を支える社会制度
精神障害を持つ方が利用できる支援には、以下のようなものがあります。
障害年金
病気や怪我で障害を持つようになった人の生活を補うために、加入している保険から支払われるお金です
自立支援医療(精神通院費用の公費負担)
障害者総合支援法により定められた精神障害を持つ人の医療費の負担を軽減する制度で、精神障害による通院にかかる費用の原則一割のみを本人が負担する制度です。
精神障害者保健福祉手帳
精神障害者保健福祉法に規定される精神障害者及び発達障害者が取得できる手帳で、民間の施設や公共交通機関などの料金の割引を受けることができます。
特別障害者手当
特別児童扶養手当法に規定されている、20歳以上の重度障害者に支給される手当です。
特別障害者給付制度
一定の時期に、国民年金に加入していなかった人を対象とした特別な給付金です。
就労移行支援事業所
国からの補助を受け、障害がある方や難病を抱えている方の就職をサポートするサービスです。