ADHDの人はプログラミングが苦手?ADHDの特性との相性について
更新日:2023年03月10日
ADHD(注意欠陥・多動症 以下ADHD)など発達障害のある方は、プログラマーに向いていると言われることがあります。ADHDと言っても特性の現れ方や程度は人それぞれです。またプログラマーもプログラミングの対象によって、仕事の内容が異なります。本記事では、ADHDの特性とプログラマーの仕事内容から、向いていると言われる理由について考えてみます。
目次
ADHDの特性
ADHDは、「不注意」「多動性」「衝動性」を主な特性とする発達障害の一種です。特性の現れ方によって、「不注意優勢型」と「多動性・衝動性優勢型」、「混合型」の3つに分けられます。ADHDに関連する行動としては次のようなものがみられます。
不注意
・忘れ物や失くし物が多い
・ケアレスミスが多い(細かいことを見過ごしてしまう)
・気が散りやすい
・約束を忘れてしまう
・話しかけられても気づかない
・集中するのが難しい
・途中で投げ出してしまう
・締め切りを守ることができない
・スケジュールやタスクの管理ができない
多動性・衝動性
・無意識に身体が動いてしまう
・落ち着きがない
・他人の話を遮って一方的に話す
・順番を待つのが苦手
・感情のコントロールが苦手
ADHDはプログラマーに向いている?
ADHDの人がプログラマーに向いているかどうかを考える前に、プログラマーはどんな仕事をしているのか確認してみましょう。
プログラマーとは、プログラミング言語を使って、コンピューターでさまざまシステムやソフトウェアを作る「プログラミング」をする仕事です。具体的には、システムエンジニアが設計したシステム仕様書を基に、プログラマーがプログラムを組んでシステムを作り上げます。
前章で解説した通り、ADHDの特性はいろいろあり、人によって現れる特性の種類や強さが異なります。そのためADHDだからプログラマーに向いているとも、プログラマーに向いていないとも言えません。自身がプログラマーの仕事に興味があるのかや、特性や性格が合っているかを考えることが大切です。
「プログラマー」といっても職種や仕事内容はさまざま
Webサイトやゲーム、AIなど、何に対してのプログラムを組むのかによって、プログラマーとひと言でいっても、さまざまな種類があり業務内容や専門性が大きく違います。
Webプログラマー
「Webプログラマー」は、ホームページ上のさまざまなプログラムの開発業務を行う職種です。
使用するプログラミング言語は、Java、PHP、Ruby、Python、JavaScriptなどが代表的なものですが、HTMLやCSSの知識も必要です。
アプリケーションプログラマー
「アプリケーションプログラマー」は、パソコンやタブレット端末、スマートフォンなどにインストールされるアプリケーションを開発する職種です。スマートフォンなどモバイル端末が普及したことによってニーズが高まっています。
OSによって使用するプログラミング言語が異なりますが、主なものには、Swift、Visual Basic、Kotlin、Flutter、Java、C#、Objective-C などがあります。
ゲームプログラマー
「ゲームプログラマー」は、ゲームの開発をするプログラマーです。大きく分けると「ブラウザゲーム」「スマホゲーム」「コンシューマーゲーム」の3つがあり、それぞれ使用する言語や環境が異なります。代表的なプログラミング言語は、C++、C#、JavaScript、Swift、Ruby、Luaなどです。
業務系プログラマー
「業務系プログラマー」とは、経理システムや勤怠管理システム、在庫管理システムなど、企業の業務に関わるプログラムを開発するプログラマーです。使用するプログラミング言語は、Java、VB、C#、JavaScriptなどですが、プログラミングのスキルや知識だけでなく、企業の業務について理解する必要があります。
汎用系プログラマー
「汎用系プログラマー」は、企業や政府機関などの大規模な基幹システムの開発を行うプログラマーです。使用する言語は、COBOL、Java、FORTRAN などですが、中でも事務処理のシステムに使用されることが多いCOBOLの理解は欠かせません。
オープン系プログラマー
オープン系とは、汎用系と反対にUNIX、Linux、Windowsなどで動作するシステムを指します。このオープン系システムで稼働するアプリケーション開発を担当するのが「オープン系プログラマー」です。使用するプログラミング言語は、C言語、C++、Java、PHP、VB.net などです。
通信系プログラマー
「通信系プログラマー」は、ルーターなどのネットワーク機器、インターネットを使用して通話するシステムなどのプログラムの開発を行うのが仕事です。C言語、C++、Java などのプログラミング言語を使用しますが、通信規約やプロトコルの知識も必要です。
ADHDがプログラマーに向いているケースや理由
ADHDの人の中には、プログラマーに向いている特性を持つケースがあります。
興味があることに集中できる
ADHDの方には、興味があるものに対して過剰に集中する「過集中」の特性が現れやすい傾向にあります。プログラミングに興味がある場合には、高い集中力を発揮して知識を吸収できたり、短時間に多くの作業を行える可能性があります。
プログラムを完成させれば問題ない
ADHDには過集中の反対に、集中するのが難しいという特性が現れるケースもあります。IT業界は、仕事を完成させれば問題ないという風潮があります。
つまり、なかなか集中できない時があっても、プログラミングを完成させれば問題ないのです。もちろん、仕事には納期があるので、締め切りを守る習慣を身につけなければなりません。
視覚優位を活かせる
ADHDの方の特性でよく見られるのが「視覚優位」です。視覚優位とは、耳から入ってくる会話や音の情報よりも、目で見る情報の方が理解や記憶しやすい特性のことです。 プログラミングの実務では、問題やエラーが頻繁に発生します。解決にはインターネットで検索する力が必要です。視覚優位であれば問題なく検索が行えます。
プログラミングが苦手?向いていない?と感じたら
自分がプログラマーに向いているかどうか、プログラマーとして働けるかどうかわからないという方は、次の点をチェックしてみましょう。
本当にプログラミングに興味があるのかをよく検討する
そもそもプログラミングに興味がない、楽しくないと感じる人はプログラマーに向いていない可能性があります。本当にプログラミングに興味があるのかよく検討しましょう。
まだプログラミングに触れたことがない人は、無料体験などでまずはプログラミングに触れてみるのがおすすめです。
プログラミングの適性があるか確かめる
プログラミングに向いていないと感じている場合には、その理由を深堀りすると良いでしょう。理由がADHDの特性であったとしても、プログラミングに向いていないとは限りません。職場環境によって、プログラミングが上手くできないこともあります。
ADHDに理解のある職場を選ぶ
プログラマーを目指す、プログラマーとして仕事を続けるには、自身が働きやすい環境の職場を選ぶことも大切です。障害者雇用枠は、障害者に対する配慮や理解がある企業が多いため比較的働きやすいといえます。
しかし、一般雇用枠と障害者雇用枠にはそれぞれメリットとデメリットがあるので、自身の考えや体調に合わせて選択しましょう。就労移行支援事業所や障害者に特化した転職エージェントサービスに相談するのもおすすめです。
atGPジョブトレについて
「atGPジョブトレ IT・Web」は、障害者のためのIT・Web専門就労移行支援サービスです。障害者の転職サービスで実績No1のatGP(アットジーピー)が運営しているので、ITやWebの専門知識やビジネススキルに加えて、障害や症状への対処法も身につきます。
教室には、現役で活躍しているWebデザイナーやITエンジニアの講師が常駐していて、一人ひとりのペースに合わせてサポート、未経験からでも実践的なスキルが身につきます。
まとめ
今回はADHDの特性とプログラマーの仕事内容との相性について解説しました。
ADHDだからといってプログラマーに向いていないということはありません。しかし、一方では自身の障害や症状を理解するとともに、周囲に配慮やサポートを求めることも必要です。
もっとも重要なのはプログラミングに興味があるかどうかです。未経験でプログラマーの仕事に興味のある方は、まずは無料体験などでプログラミングを体験してみましょう。