発達障害のある方の生活面や仕事面の困りごとを解決するライフハック
更新日:2022年12月12日
発達障害のある方は、「対人コミュニケーションが苦手」「忘れ物が多い」「ミスが多い」「衝動的に行動してしまう」など、生活面でも仕事面でもさまざま困りごとを抱えています。
しかし、少し工夫することで、そんな困りごとを軽減することが可能です。本記事では発達障害のある方の困りごとを解決するライフハックについて紹介します。
目次
発達障害とは
「発達障害」とは、生まれつき脳の機能の発達に偏りがあって、行動面や情緒面において特徴がある状態です。そのため親が育児に関して悩んだり、本人が生きづらさを感じるケースもあります。
発達障害には、「自閉症スペクトラム障害(ASD)」「注意欠陥・多動性障害(ADHD)」「学習障害(LD)」の種類があり、いくつかの症状を併せ持つこともあります。
自閉症スペクトラム障害(ASD)
自閉症スペクトラム障害の症状は、人によって軽度から重度まで幅がありますが、次の2つの症状が特徴です。
・コミュニケーションや対人関係が苦手
・特定のことに強い関心やこだわりがある
約59人に1人の割合で発生して、女性より男性の方が4倍多いという報告もあります。
注意欠陥・多動性障害(ADHD)
注意欠陥・多動性障害(ADHD)の主な症状は、次の3つです。
・不注意(集中力がない、ミスが多い)
・多動性(じっとしていられない・待てない)
・衝動性(行動の制御ができない、思いつくと行動してしまう)
不注意だけ、多動性と衝動性だけが見られる場合も、両方の症状が見られる場合もあります。
学習障害(LD)
学習障害(LD)とは、全般的に知的な発達には問題がないものの「読む」「書く」「計算する」などの学習に困難が見られる状態を指します。
発達障害がある方の日常生活のよくある困りごと
前章で紹介した通り、発達障害には大きく分けて「自閉症スペクトラム障害(ASD)」「注意欠陥・多動性障害(ADHD)」「学習障害(LD)」の3つの種類があって、それぞれ症状が異なるため日常生活で困ることも違います。
自閉症スペクトラム障害(ASD)の方の困りごと
自閉症スペクトラム障害(ASD)の方の中には、聴覚が過敏な人がいます。特定の音に対して過剰に反応したり、一般の人が気にならないような音が、耐えられないほど大きく感じられ、その結果イライラしたり疲れてしまいます。
曖昧な情報を理解するのが苦手です。日本には「暗黙の了解」のようなはっきりと言葉にしない文化があります。自閉症スペクトラム障害(ASD)の方は、例えば「適当にやっておいて」「あれやっておいて」などが理解できず、空気が読めないと言われがちです。
自閉症スペクトラム障害(ASD)の方は、表情と感情を結びつけることが苦手で、周囲の人は何を感じているのかわからないということがあります。また相手の表情が意味していることを理解するのも苦手です。
先の見通しが立たないことに不安を感じやすく、急な予定変更やスケジュール変更があると、不安からパニックを起こすことがあります。
注意欠陥・多動性障害(ADHD)の方の困りごと
不注意の症状が強く現れる方は、「すぐに気が散って、仕事や課題に集中できない」「もの忘れしたり、失くしものをすることが多い」「単純なミスが多く、期限内に仕事を終わらせるのが難しい」などで困っている人が少なくありません。
多動性と衝動性が強く現れる方は、「思いつきで行動してしまう」「静かにしなければならない時にじっとできない」「優先順位をつけることが苦手」「複数のダスクを同時にこなせない」などで、仕事で困るケースがあります。
学習障害(LD)の方の困りごと
仕事では読み書きや計算をする機会が多く、業務に支障が出てることがあります。困りごとの例としては、「資料やマニュアルを読むのに時間がかかる」「メモが取れない」「自分の考えをまとめるのが苦手で提案ができない」「上司の指示や注意が理解できない」などです。
発達障害の方のためのライフハック
発達障害の方は、障害によってさまざま生きづらさを感じています。しかし、小さな工夫で乗り越えられるケースもあります。発達障害の方のためのライフハックを紹介します。
日常生活での工夫
・コミュニケーションや対人関係が苦手な人のライフハック
自閉症スペクトラム障害(ASD)の方は、コミュニケーションや対人関係が苦手
です。このような悩みに関しては、同じ趣味を持つ仲間や同じ悩みを持つ仲間と過ごす時間を作ることで治療的な効果があると言われています。
・感覚が敏感な人のライフハック
自閉症スペクトラム障害(ASD)で感覚が敏感な場合には、特定の刺激を避けるようにしましょう。聴覚が敏感な方は、静かな場所に移動したり、耳栓やイヤーマフなどを利用しましょう。
・忘れ物や失くしものが多い人のライフハック
忘れ物が多かったり、失くしものをすることが多い場合には、「物の置き場所を決める」「持ち物をセットにする」「移動中の物の持ち方を決める」などを試してみましょう。
良く使うものは物は置き場所を決めておくことで、失くすことが防げます。出かける前には「お財布・携帯電話・定期券」などセットにして持っているかを確認すると忘れ物が減ります。
移動中に電車の網棚や座席など無意識に物を置かず、必ず手に持つなど決めておくと置き忘れが少なくなります。
・スケジュールやタスクの管理が苦手な人のライフハック
スケジュールややるべきことなどの情報管理するのが苦手な人は、時間、場所、目的別に全ての情報を書き出しましょう。手帳型の年間カレンダーやカレンダーのアプリが便利です。また学習障害(LD)の方は、パソコンやスマホを活用することで、苦手な読み書き計算の負担を減らせます。
仕事上での工夫
・仕事の段取りがうまくできない人のライフハック
注意欠陥・多動性障害(ADHD)の人は、衝動性が強いため目についた仕事から手をつけてしまい、先にするべきことを忘れてしまう傾向にあります。タスクをすべて書き出して、優先順位をつけて、見えるところに貼るようにしましょう。優先順位が決められない人は、上司や同僚に決めてもらいましょう。
・片づけられない人のライフハック
片づけられず物を失くしやすい人は、しまう場所を決めて、保管場所の一覧表を作って目につく所に貼っておきましょう。
・仕事の指示を聞き取りにくかったり、理解が難しい人のライフハック
上司や同僚からの仕事の指示は、口頭ではなくメモやメールなど文章で伝えてもらえるようにお願いしましょう。図やフローチャートなどを使ったマニュアルを作ってもらったり、自分で作ると間違いが減ります。
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困ったときの相談窓口
発達障害のある方が日常生活や仕事で困ったときには、「発達障害者支援センター」「障害者就業・生活支援センター」「相談支援事業所」「就労移行支援事業所」に相談してみましょう。
発達障害者支援センター
「発達障害者支援センター」は、発達障害のある方を総合的に支援する専門機関です。運営しているのは、都道府県や指定都市または都道府県知事などが指定した社会福祉法人や特定非営利活動法人などです。
施設によって異なりますが、専門職員の他に、社会福祉士や臨床心理士、言語聴覚士、精神保健福祉士などがいることもあります。
障害者就業・生活支援センター
「障害者就業・生活支援センター」は、障害のある方の就業面や生活面における相談支援を一括で行っている機関です。名前の間に「・」があることから略して「なかぽつ」と呼ばれています。
原則利用できるのは、障害者手帳や療育手帳を取得している人ですが、社会生活が困難な場合には利用の対象となることがあるので相談してみましょう。
相談支援事業所
障害のある方を支援する機関やサービスには、いろいろな種類があります。その中で何を利用したら良いのか相談できるのが「相談支援事業所」です。「相談支援事業所」で受け付けている相談は、「基本相談支援」「計画相談支援」「地域相談支援」「障害児相談支援」の4つに分けられています。
「基本相談」では、幅広い相談に応じているので困ったらまずは相談してみましょう。
発達障害のある方の就職や転職の相談には、「就労移行支援事業所」の利用もおすすめです。「就労移行支援事業所」は、障害がある方が、一般企業に就職するのをサポートする通所型のサービスです。
職業スキルやコミュニケーション力、体調管理方法など、発達障害のある方が働くために必要な知識やスキルを身につけることができます。
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