聴覚に障害がある方の困りごととそれらを軽減するための方法とは
更新日:2022年12月12日
難聴とは耳が聞こえにくい、または全く聞こえない状態のことをいい、日常生活にさまざまな不都合を生じさせます。その不都合は社会生活に大きな影響を与えるため、普通の人と同じように生活したり仕事に就いたりすることが困難になるケースもあります。このように難聴の方の中には、困りごとを抱えている人が少なくありません。しかし耳が聞こえない、または聞こえにくいということをカバーするための工夫をすることで、日常生活や仕事をスムーズに行うことができるようになる可能性があります。ここでは、難聴の方が生活をスムーズに行うための工夫や、困りごとが出てきた際に相談することができる機関について解説していきます。
目次
聴覚障害とは
聴覚障害とは、音を聞くまたは感じる経路に何らかの障害があるため、人が話す言葉や周囲の音が全く聞こえなくなったり、聞こえづらくなる状態のことをいいます。
聴覚障害には、異常がある部位の違いによって3つの種類があります。
それは外耳や中耳の異常により内耳に音がうまく伝わらない伝音性難聴、内耳や蝸牛神経、脳の異常によって音を感じにくくなる感音性難聴、伝音難聴と感音難聴の両方の性質が組み合わさった混合性難聴です。
いずれの難聴も補聴器の使用が有効ですが、それ以外にも伝音性難聴の場合には薬物治療や外科手術、感音性難聴の場合には薬物療法及び人工内耳手術が有効な治療方法です。
聴覚障害がある方の困りごとの例
聴覚障害がある方は、日常生活を送る上でさまざまな困りごとを抱えているケースがほとんどです。
ここでは、その困りごとの例を紹介していきます。
生活音を聞き取ることができない
聴覚に障害がある方は、生活音を聞き取ることができません。
自分の起こす生活音がどの程度の大きさであるか本人は知ることができないため、知らないうちに隣人に迷惑をかける結果となりご近所トラブルに発生してしまう可能性や、インターフォンの音に気付くことができないといった問題が起こる可能性が高くなります。
人と会話するのが難しい
聴覚障害を持つ方のコミュニケーション方法としては、筆談、手話、口話の3つがあります。
筆談はほとんどの人とコミュニケーションをとることができますが、コミュニケーションのスピードが非常に遅くなります。
手話については、理解してくれる一般の方が少ないという問題があります。
そして口話ですが、コロナ禍にある現在ではマスクをする機会が多いため相手の口元を見ることが難しく、スムーズにコミュニケーションをとることが難しくなっています。
周囲の情報を得ることが難しい
聴覚障害の方は、周囲の情報を得ることが難しいといった問題もあります。
周囲の音による情報には、電車のアナウンスや車のエンジン音などが含まれるため、日常生活を送る上で大きな不便を感じてしまいます。
聴覚障害がある方は、音による重要な情報をキャッチすることができない可能性があるため、時には命に関わる問題になるケースもあります。
障害が外見から分かりにくい
聴覚の障害は、外見から判断することができません。
そのため、その人に聴覚障害があると知らない人にとっては「声を掛けても無視された」などと誤解されることもあります。
複数人での会話の流れを理解しにくい
聴覚に障害がある方でも、一対一のコミュニケーションであれば比較的問題なく行うことができます。
ただし、複数人での会話の場合には今、そして次に誰が発言するか分からないため、会話の内容を把握することができず、会話全体の流れを理解しにくくなってしまいます。
音声通話ができないため緊急時の対応が難しい
聴覚障害の方は、音声のみによる会話が難しいケースがほとんどです。
そのため、110番や119番に通報することや、エレベーターの非常停止ボタンを利用して、音声によって状況を伝えることができません。
聴覚障害がある方が生活の不便を軽減させるポイント
ここまで解説してきたように、聴覚障害の方は生活していく上で不便を感じるシーンが非常に多いことがお分かりいただけたと思います。
しかし、さまざまな工夫をすることで日常生活の不便さを軽減することができます。
ここでは、その工夫について解説していきます。
スマートウォッチや光るチャイムを活用する
聴覚障害の方は、メールや電話の着信音やタイマーの終了ブザーの音を聞き取ることができません。
このような場合にスマートウォッチと活用することで、音をスマートウォッチの振動に変えて感知することができます。
また、来客がインターフォンを押すと音の代わりに光が点灯するタイプの物を利用することで、来客が来たことを知ることができます。
ヘルプマークを身に付ける
聴覚の障害は、外見からは分かりません。
そのため、周囲の人に声掛けを無視されたなど、あらぬ誤解を受けるケースもあります。
そのような事態を避けるために、目立つ場所にヘルプマークを付けることで周囲の人と円滑なコミュニケーションをとることができるようになります。
音声文字認識ツールを活用する
会議など複数の人がそれぞれ重要な発言を行うシーンでは、聴覚に障害を持つ方が誰がどのような発言を行ったかをきちんと聞き分けることは非常に困難です。
そのような際には、パソコンやスマートフォンに音声文字認識ツールをダウンロードして利用することをおすすめします。
聴覚に障害があることを周囲に伝えて理解を得る
聴覚障害にはいくつかの種類や障害の程度があり、それによって周囲にお願いする配慮にも違いが出てきます。
そのため、職場の上司や同僚に自分の聴覚にどのような障害があるのかを伝え、理解を得ることも大切です。
約束や大切なことはテキストにして残す
仕事の打ち合わせなどのスケジュールや、友人との大切な約束など忘れてはいけないことや間違って伝わってしまうと困ることについては、極力筆談を用いてテキストとして残しておきましょう。
この場合は筆談ボードなどのようにすぐに消すことができるものではなく、メモ帳など書いた内容が残り、持ち運びがしやすいものを利用することをおすすめします。
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困りごとがあるときの相談窓口
聴覚障害の方が困りごとを抱えるようになった場合には、以下のような機関の相談窓口に行くと相談に応じてもらうことができます。
各自治体の障害者福祉相談窓口
各自治体の役場には、障害者福祉相談窓口が設置されています。
この窓口に困りごとの相談を行うことで、解決することができる可能性が高くなります。
また、この窓口では対応できない内容の困りごとであれば、その困りごとに対応している機関を紹介してもらうことも可能です。
病院やクリニックの相談窓口
病院やクリニックには、聴覚に障害がある方の相談に応じてくれる窓口を設置しているところもあります。
聞こえやその他聴覚の病気に関わること以外の相談であっても、応じてもらうことができる窓口もあります。
聴力障害者情報文化センター
聴覚障害者情報文化センターとは、聴覚に障害がある方のコミュニケーションに関わる困りごとについて相談できる機関です。
コミュニケーションに関する困りごとがある場合には、まずこの機関に相談してもらうことをおすすめします。
聴覚障害者が受けられる支援制度
聴覚に障害を抱える方が受けることができる支援制度には、以下のようなものがあります。
障害年金
障害年金とは、病気やけがによって生活や仕事が制限されるようになった場合に受け取ることができる年金のことで、聴覚に障害を抱える方もその障害の程度によっては受け取ることが可能です。
障害者手帳による支援や福祉サービス
障害者手帳の交付を受けることで、JRやバス、美術館など公共の施設の利用料金の割引を受けることができます。
補装具費用支給制度
聴覚に障害を抱える方が日常生活を送る上で必要な補聴器などの補装具を購入する場合、補装具費用支給制度により費用の一部または全額を自治体から支給してもらうことができます。
この制度を利用する際には障害者手帳が必要となり、一定以上の等級であることが求められます。
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