発達障害の人はお金を上手に使うのが苦手?浪費をしないためのコツやポイントとは
更新日:2024年05月28日
発達障害の人の中には、お金の管理があまり得意ではない人が少なくありません。欲しいものがあると衝動買いをしてしまったり、ゲームに課金しすぎてしまったりなどの理由で、生活費が足りなくなってしまうこともあるでしょう。金銭管理が得意ではないために、借金を負ってしまう発達障害の人も少なくありません。発達障害の方が浪費をしないためには、どのような方法があるのでしょうか。ここでは、発達障害の人が浪費や借金をしないための金銭管理のコツやポイントについて解説していきます。
目次
発達障害の特性
発達障害は大きく3つの種類に分けられ、それぞれに異なる特徴があります。
ここでは、発達障害の特徴について解説していきます。
ADHD
ADHDは、「注意欠如、多動症、多動性障害」とも呼ばれ、集中力がない(不注意)、じっとしていられない(多動性)、思いつくと行動してしまう(衝動性)といった症状が見られる障害です。症状の現れ方によって「不注意優勢型」、「多動・衝動性型」、「混合型」の3つに分類されます。
ADHDの人は、その特性により授業中や仕事中に集中することが難しかったり、忘れ物が多かったりするために、学校や職場の人に叱られることが多くなりがちです。
あまりに叱られることが多いと自信を失ってしまい、追い詰められてしまうこともあるのでADHDの特性を理解して接することが大切です。
ASD
ASDの特徴として、人とのかかわりが苦手、場の空気を読み取り比喩や皮肉、相手の気持ちや暗黙のルールなどを理解することの難しさ、言われたことを表面的に受け取ってしまうといった物があります。
また、物の配置や物事の順番、勝敗、自分のやり方への強いこだわりがあり、興味や関心の極端な偏りなどもあります。
それ以外の特徴として、手先が不器用、感覚刺激に過敏または鈍いといったものがあります。
LD
LDとは学習障害のことで、知的な発達に遅れがないにも関わらず、読みまたは書き、計算などある特定の課題の習得だけが他に比べて上手くいかないという障害のことをいいます。
LDの中の読字障害を例に挙げると、読字障害は文字が読めないのではなく文章を読むのが極度に遅く、読み間違いが多いという特徴があります。
特定の苦手とする分野以外では発達の遅れが見られないため、努力不足であるとみなされて支援の必要性が認知されにくい障害です。
発達障害の人によくあるお金の困りごと
発達障害の人の中には、お金の使い方が苦手であるためお金に関する困りごとを抱えている人も少なくありません。
ここでは、発達障害の人に良くあるお金の困りごとについて紹介していきます。
衝動買いや無駄遣いをしてしまうため浪費が激しい
発達障害の人の中でも特にADHDの人は、衝動性が強いために衝動買いをしやすいという傾向があります。
何か欲しいものがあったら、一般の人であれば「今はお金がないから今度にしよう」「今すぐ必要なものではないから今買わなくてもいいだろう」と思うことができますが、ADHDの人の場合には、金銭的な後先を考えることなく購入してしまうことが多くなります。
また、ギャンブルにはまりやすいという傾向もあります。
お金の管理や計算が苦手
ADHDの人やASDの方も、お金の管理が非常に苦手な人が多くなっています。
ADHDの場合、「不注意」という特性があるため、家計簿を付けるなどの方法でお金の管理をしようとしても、継続することが難しいケースがあります。
また、ASDの人の場合も、将来を見据えてしっかりとお金の管理を行うことが難しい人が多い傾向があります。
借金癖ができてしまう
ASDの方は物事に関するこだわりが非常に強く、そのこだわっていることについてはとことんまで追求し実現しようとする傾向があります。
このような特徴が原因で、借金をしてでもこだわっているものを手に入れようとするため、このようなことを繰り返すうちに借金が増えるケースも多く見られます。
詐欺被害に遭いやすい
ASDの人は、他人の気持ちを推察するのが非常に苦手なので、相手が良い人か悪い人か見抜くことが難しい人が多くなっています。
また性格が素直であるため、人を信用しやすく疑うことが苦手という方も少なくありません。
人が話した内容をその言葉通りに受け取ってしまうため、詐欺師のうその言葉も簡単に受け入れてしまい騙されてしまうことも多々あります。
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上手にお金を使うコツとポイントとは
発達障害の人がお金を上手に使うためには、コツやポイントがあります。
ここでは、そのコツやポイントを紹介していきます。
衝動買いをする機会を減らす
衝動買いをすることが多いADHDの方は、衝動買いをする機会を減らすことが大切です。
いろいろなお店に行けばついついさまざまな欲しいものを衝動買いしてしまうため、日常的に行く店を決めて、「ここでしか買わない」というルール作りをし、衝動買いをする機会を減らします。
クレジットカードや電子決済は用途と限度額を設定しておく
衝動買いをしてしまうことが多いADHDの人や、物事に対するこだわりが強いため「借金してでもそれを買いたい」と思っているASDの人は、まずクレジットカードを持たない、持っても限度額を低く設定しておく、電子決済は利用しないことなどをおすすめします。
クレジットカードを持っておらず電子決済も利用しなければ、簡単にローンを組むことはできず、またクレジットカードを持っていても利用限度額を低く設定しておけば、大きな借金をしなくて済むでしょう。
お金の使い道を事前に決めてしまう
発達障害の人は、お金があるといつの間にか使い果たしてしまうという傾向があります。
それを防止するためには、給料をもらった時点でその使い道をあらかじめ全て決めておくという方法が無駄遣いをしないための効果的な方法です。
家賃、食費、光熱費、娯楽費などそれぞれ金額を決めて、それぞれの使い道を書いた封筒に入れて管理するという方法が効果的です。
家族に管理してもらう
どうしてもお金の管理ができない場合には、家族に管理してもらいましょう。
困ったときの相談窓口
発達障害の人がお金に関する困りごとを抱えた場合には、以下の機関が相談に応じてくれます。
発達障害者支援センター
発達障害者支援センターとは、発達障害がある人とその家族が安心して生活をすることができるよう、総合的な支援を行う地域の拠点として平成14年度より国の施策として発足した機関です。
発達障害のある人やその家族からの相談に幅広く応じてくれるため、どのような内容の相談でも受け付けてくれます。
相談の内容によっては、必要な支援機関やサービスにつないでもらうことができます。
障害者就業・生活支援センター
障害者就業・生活支援センターとは、障害がある人の身近な地域において就業面と生活面の一体的な相談と支援を行う機関です。
障害がある人の自立と、安定した職業生活の実現を目指して設立されました。
「障害者特有の悩みをどこに相談すればよいか分からない」「お金がなくて生活に不安がある」という方が、将来の見通しを建てるために最初の相談先としての役割を果たします。
この障害者特有の悩みの中にはお金の悩みも含まれているため、発達障害の人のお金の使い方についての相談にも応じてもらうことができます。
相談支援事業所
相談支援事業所は、障害がある人の相談を専門に受け付けている機関です。
具体的には障害がある人本人やその家族などの相談に対応したり、必要な情報を提供したり、福祉サービスの利用をサポートしたりといった支援を行ってくれます。
相談に応じてくれるのは、福祉の仕事の経験があり障害者支援について勉強した相談支援専門員なので、お金の問題でも安心して相談することができます。
発達障害がある人が受けられる支援制度
発達障害の人が受けることができる金銭的な支援制度には、以下のようなものがあります。
自立支援医療制度
自立支援医療制度は、心身の障害を除去または軽減させるための医療について、医療費の自己負担額を軽減する公費負担医療制度です。
この制度を利用することで、発達障害の症状の軽減のためなどの治療費を低く抑えることができます。
障害年金
障害年金は、病気やけがによって生活や仕事などが制限されるようになった場合、現役世代の方も含めて受け取ることができる年金のことをいいます。
障害年金には障害基礎年金と障害厚生年金があり、病気や怪我で初めて医師の診療を受けた時に国民年金に加入していた場合には障害基礎年金を、厚生年金に加入していた場合には障害厚生年金をそれぞれ受給することができます。
障害者手帳による支援や福祉サービス
障害者手帳とは、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の3つの種類の手帳を総称したものです。
制度の根拠となる法律等はそれぞれ異なりますが、いずれの手帳を交付されている場合であっても障害者総合支援法の対象となり、また自治体や事業者が独自に提供するサービスが受けられることもあります。
就労移行支援
就労移行支援とは、障害がある方の社会参加をサポートする国の支援制度で、障害者総合支援法に基づいた就労支援サービスの一つです。
一般企業への就職を目指す65歳未満の人を対象に、就職に必要なスキル向上のためのサポートを行ってくれます。
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