障害年金とは?対象となる障害から申請の流れまで徹底解説!
更新日:2022年09月06日
障害年金は、年金の一種ですがどうしたらもらえるのか、どのような場合にもらえるのかといった詳しいことを知っている方は少ないと思います。
病気やけがによって生活や仕事が制限されるようになった場合に受け取ることができる年金が障害年金ですが、障害者手帳の交付を受けるだけでは障害年金を受け取ることはできず、障害者手帳とは別に手続きをする必要があります。
また、障害年金を受給するためには受給要件を満たす必要もあります。
ここでは、障害年金とはどのようなものかということに関する詳しい解説や、障害年金の種類や交付までの流れについて解説していきます。
目次
障害年金とは
障害年金とは日本の公的年金のひとつであり、公的年金制度に加入している方の中でけがや病気により生活や就労が制限されてしまった場合に受給することができる年金です。
加入している年金制度によって、受給できる障害年金の種類は異なります。
障害年金は先天性の障害だけではなく、うつ病やがんなどの後天的な病気や障害を抱えた場合にも受給することができます。
後天的な病気やけがで障害年金を受給する場合には、初めて医師の診療を受けた時に加入していた公的年金で支給される障害年金の種類が決まります。
障害年金の種類と受給要件
障害年金には、国民年金の加入者が対象になる「障害基礎年金」を、厚生年金の加入者であれば障害基礎年金にプラスして「障害厚生年金」を受給することができます。
ここではこの2種類の年金の違いと、受給要件について解説していきます。
障害年金の種類
障害年金の種類には、前述したように国民年金の加入者が受給することができる「障害基礎年金」と、厚生年金の加入者が障害基礎年金にプラスして受け取ることができる「障害厚生年金」があります。
どちらの年金を受け取ることができるかは、その病気や障害で初めて医療機関を受診した日にどちらの年金に加入していたかによって決まります。
病気や障害が軽いものであると認定され障害年金を受給できない場合であっても、「障害手当金」という一時金を受け取ることができます。
この障害手当金は、「初診日から5年以内に回復したものの、何らかの障害が残っている場合」に請求することができます。
障害年金の受給要件
障害年金を受給するためには、初診日要件、保険料納付要件、障害認定日要件の3つの要件を満たしている必要があります。
まず1つ目の要件の初診日要件とは、初めて医師や歯科医師の診療を受けた日がいつであるかということです。
初診日に自営業、昼間学生、専業主婦などの場合であっても国民年金に加入していること、国民年金の加入者であって国内に居住している60歳以上65歳未満の人、会社員などの厚生年金の加入者であること、公務員などで共済年金に加入していることのいずれかの要件を満たしている必要があります。
ただし、病気やけがで病院を受診した初診日が65歳の誕生日以降の場合には、原則として申請を行うことができません。
2つ目の要件に、保険料納付要件があります。
この保険料納付要件とは、原則として初診日の前日の時点で初診日の月の前々月までに被保険者期間がある場合には、当該の被保険者期間中に初見料を3分の2以上納付していることです。
つまり、20歳になった月から初診日の前々月までの期間のうち3分の2以上の保険料納付月数がなければならないということです。
しかしこれには特例があり、65歳未満であり初診日が令和8年の4月1日までである場合には、特例として初診日の前々月までの直近の1年間に保険料の滞納月がない場合に障害年金の申請を行うことができます。
3つ目の要件は、障害認定日要件です。
障害認定日とは、初診日から1年半経過した日またはその期間内にその傷病が治った(症状が固定した、または治療の効果が期待できない状態に至った場合を含む)日です。
この障害認定日に、障害が日本年金機構が定める障害等級表の1級または2級に該当しているという要件を満たしている必要があります。
先天性の障害がある人や、未成年で国民年金に加入する前にけがや病気で障害を負ってしまった場合にも、障害年金を申請することができます。
障害年金の申請対象となる障害について
障害年金の申請対象となる障害には、どのようなものがあるのでしょうか。
ここでは、障害年金の申請の対象となる障害について解説していきます。
精神障害
精神障害とは、何らかの脳の器質的な変化や機能障害が起こることにより、さまざまな精神症状や身体症状、行動の変化が見られる状態のことを言います。
具体的な症状としては、気分や意欲の低下などがあります。
精神障害の中で障害年金の申請を行うことができるのは、うつ病・統合失調症・認知障害・てんかん・知的障害・発達障害などがあります。
ただし、人格障害(パーソナリティー障害)と神経症は原則として障害年金支給の対象外となります。
外部障害
外部障害とは、眼や聴覚、手足などの肢体の障害のことをいい、このような障害は障害年金の申請を行うことができます。
内部障害
内部障害とは、腎臓機能障害、心臓機能障害、呼吸器機能障害、ぼうこう・直腸機能障害、小腸機能障害、ヒト免疫不全ウイルスによる免疫障害、肝臓機能障害の7つの障害のことをいい、身体障害者福祉法で定められた身体障害の総称のことを言います。
これらの内部障害がある人も、障害年金の申請を行うことができます。
障害年金の申請の流れ
ここでは、障害年金の申請の流れについて解説していきます。
1.必要事項や必要書類の準備
まず、障害の原因となった病気やけがで初めて医療機関を受診した日と、公的年金の加入期間を確認し、自分が申請を行う要件を満たしているか確認しておきましょう。
その後、必要書類を準備します。
必要書類には、医師に依頼する書類と申請者が用意する書類の2つがあります。
医師に依頼する書類は、受診状況等証明書と診断書です。
受診状況等証明書は初診日を証明するための書類で、診断書は障害の具体的な内容を証明するために必要になります。
申請者が用意する書類には、病歴・就労状況等申立書と年金請求書があります。
病歴・就労状況申立書とは、障害についての具体的な状態を記載する書類で、申請者本人やその家族が記載します。
年金請求書は障害年金を申請するための書類で、市役所や年金事務所でもらうことができます。
申請を行うためにはこれらの書類以外にも年金手帳や預金通帳、戸籍謄本や住民票も必要になり、加算対象者がいる場合には申請する際にさらにこの加算対象者の在学証明や配偶者の所得証明も必要となります。
2.病歴・就労状況申立書の作成
病歴・就労状況申請書の作成を行います。
この書類の内容は、診断書だけでは分からない症状や日常生活及び就労について、どのような困りごとがあるかということを記載します。
3.書類の提出と審査
準備した書類を、年金事務所または市区町村役場の年金窓口に提出します。
書類を提出する前に、コピーを取っておくことをおすすめします。
その後審査が行われますが、その審査に要する期間は障害基礎年金の場合は3か月程度、障害厚生年金の場合は3か月半程度です。
審査の内容は、保険料納付要件を満たしているか、初診日が客観的に証明されているか、診断書に記載されている障害の状態が障害年金の障害等級に該当するかといったことです。
4.障害年金の受給開始
障害年金の審査の結果、支給が決まった場合に請求者のもとに支給決定通知書と年金証書が送付されます。
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障害年金の申請に必要な書類について
障害年金を申請する際には、障害基礎年金と障害厚生年金の場合で、申請に必要な書類が異なります。
ここでは、それぞれの障害年金の申請時に必要な書類を挙げていきます。
障害基礎年金の申請に必要な書類
1.年金手帳など基礎年金番号が分かるもの
2.世帯全員の住民票
3.医師の診断書
4.受診状況等診断書
5.病歴・就労状況等申立書
6.受取先の金融機関の通帳など
7.請求者本人の所得証明書(20歳前障害の場合)
8.障害者手帳(交付を受けている場合)
9.戸籍謄本
18歳到達年度までの子ども(20歳未満で障害がある子どもも含む)がいる場合には、以下の書類も必要になります。
1.戸籍謄本
2.子の収入が確認できる書類(子どもが義務教育終了前の場合は不要、高等学校在学中は在学証明書)
3.医師または歯科医師の診断書(20歳未満で障害がある子どもがいる場合)
障害厚生年金の必要書類
1.年金請求書
2.年金手帳など基礎年金番号が分かるもの
3.世帯全員の住民票
4.医師の診断書
5.受診状況等診断書
6.病歴、就労状況等申立書
7.受取先金融機関の通帳等
18歳到達年度末までの子ども(20歳未満で障害がある子どもを含む)がいる場合には以下の書類も必要になります。
1.戸籍謄本
2.配偶者の収入が確認できる書類
3.子の収入が確認できる書類(20歳未満で障害がある子どもがいる場合)
4.医師または歯科医師の診断書(20歳未満で障害がある子どもがいる場合)
障害年金の支給額
障害年金の支給額は一律ではなく、加入している公的年金の種類や障害の程度、配偶者・子どもの有無により支給額が変わります。
具体的な金額は、以下の計算式から求めることができます。
障害基礎年金
1級の場合 780,100円×1.25+子の加算
2級の場合 780,100円+子の加算
子の加算額は第1子、第2子各224,500円
第3子以降は各74,800円
注:子どもは18歳到達年度の末日まで、1、2級の障害がある場合には20歳未満の子どものことを言います。
厚生障害年金
1級の場合 (報酬比例の年金額)×1.25+配偶者の加給年金額
2級の場合 (報酬比例の年金額)+配偶者の加給年金額
3級の場合 (報酬比例の年金額) 注:最低保証額585,100円
報酬比例の年金額は
平成15年3月以前の加入期間については
平均標準報酬月額×(7.125÷1000)×平成15年3月までの加入期間の月数
平成15年4月以降の加入期間については
平均標準報酬額×(5.481÷1000)×平成15年4月以降の加入期間の月数
の計算式で求めることができます。