障害者の割引制度にはどのようなものがあるのか詳しくご紹介!
更新日:2024年05月02日
障害者になると国の社会保障制度においてさまざまな支援を受けることができます。その一例として、障害年金、障害者総合支援法下の各種給付およびサービス、特別児童扶養手当にける給付などがあります。
しかし、社会保障制度や福祉サービスだけで、他者と同じような社会参加が保障されるのかといえばそうでもありません。
今回は、そんな障害者の社会参加の負担を少しでも軽減し、促進するための障害者割引制度を詳しくご紹介します。どのような割引があり、どれぐらい割り引かれるのか?よくご理解いただき障害を持つ方の円滑な社会参加のためにこれらの割引制度をご利用いただきたいと思います。
目次
障害者割引とは
障害者割引とは公私さまざまなサービス利用時に、一定の条件下で割引金額を適用し、障害のある方が障害のない方同様に社会参加できるようにするためのサービスです。
どのような障害であっても、障害を抱えた場合には障害がない人同様に自立して生活し、今までのように社会参加することは困難になります。多くのことが介助者や付き添いがなければできないことが多く、また満足に就労できない状態では経済的な負担も大きいため、多くの障害者割引は介助者や同伴者がいることを前提にその負担を軽減し、社会参加を促す目的のためにあると言ってよいでしょう。
現状では、主に公共の交通機関と公私の施設利用料の割引が多く見受けられます。どのような割引があるのかは後述していきます。
障害者割引の対象者
障害者割引を受けるためには身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳のいずれかを取得してそれを提示する必要があります。制度によっては事前に手帳のコピーが必要な場合もあります。実際に障害者でも手帳を提示できなければ証明ができないため、それで割引を実施すれば公平性を欠くことになります。そのため、通常、どのようなサービスも手帳を忘れれば割引はないのが当然と考えるべきです。自治体や企業によっては柔軟な対応をすることがありますが、最初からそれに期待するべきではありません。
公共の交通機関や施設利用の場合は介助者や同伴者も割引の対象になることも多いですが、公立の施設でも、自治体や障害者手帳の種類によって割引の条件や割引率は異なってきますし、特に企業などが設置する施設などの割引は設置者によって条件や内容はまちまちですので理解が必要です。
事前にお住まいの自治体では障害者に対してどういう優遇や割引があるのかは、最寄りの障害福祉窓口、またはその自治体の役所のホームページ等で確認できます。また住んでいる自治体から出て公共の交通機関や施設を利用する場合も必ず事前に障害者割引について調べておくことがトラブルを避けるためには望ましいでしょう。
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障害者割引を受けられる交通機関の一例
JRの旅客運賃割引
身体障害者手帳および療育手帳についてはそれぞれに「旅客鉄道株式会社旅客運賃減額」という欄があり、身体障害、知的障害を手帳の等級などから第1種障害者と第2種障害者に分けて割引額を定めています。割引額は以下のとおりです。
・第1種障害者とその介護者について普通乗車券、回数乗車券、普通急行券を50%割引
(回収乗車券以外は他の鉄道会社線とまたがってもよい)
・第1種障害者と12歳以下の障害児についてはその介護者とともに定期乗車券を50%割引
・第1種障害者と第2種障害者が単独で利用する場合に普通乗車券を50%割引
片道の営業キロが100キロを超える場合に限る(他の鉄道会社線にまたがってもよい)
ただし、「旅客鉄道株式会社旅客運賃減額」とは厳密にはJR各社を指していて、この割引条件、減額はJRのみにおいて適用されます。他の鉄道会社の割引はJRに準じた割引を実施する会社が多くありますが、違う設定をしている会社もありますので、各鉄道会社のホームページや手帳を発行している自治体に確認するようにしましょう。
なお、「旅客鉄道株式会社旅客運賃減額」では精神障害者については言及されておらず、割引の対象にはなっていません(2022年5月現在)
航空旅客運賃割引
以前は航空旅客運賃割引は、第1種身体障害者および第1種知的障害者で12歳以上である人が介護者と利用する場合は、各航空会社の国内線において設定された割引額が適用されることとなっていました。
しかし、平成30年に厚生労働省より「障害者に対する航空旅客運賃の割引について」(通知)が出ており、今後は程度の関係なく身体障害者、知的障害者とその介護者1名ついて割引を適用することとなり、精神障害者にも同様の割引が令和2年より実施されています。
バス・タクシーの割引
バスやタクシーについては、ほとんどの市町村で、一定の条件下で障害者割引を実施しています。市町村で割引乗車券等を発行していて、割引率はおおむねJRの運賃割引に準じるようですが、条件や割引率が違うこともありますので、各市町村の障害福祉課などにご確認ください。民間のタクシー会社については独自の障害者割引を設定していますので、各会社に確認が必要です。
高速道路など
身体障害者が自ら運転する時、または重度の身体障害者や知的障害者が乗車する自動車を介護者が運転する場合料金を50%割引としています。この場合の重度とはJRの旅客運賃割引の第1種としています。
この割引を受けるためには市町村の障害福祉関係窓口にて申請をおこない、手帳に適用を受けた車両ナンバー、有効期間、および本人か介護者の運転なのかが記載されます。登録すればETCカードも利用できます。
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障害者割引を受けられる施設・サービスの一例
ホテル等の宿泊施設
民間のホテル、旅館などの宿泊施設については各事業所ごとの設定となります。障害者割引がない施設も存在します。また、自治体の公設の宿泊施設や、保養所として提携している施設も障害者割引がありますので自治体や施設に直接確認してください。
テーマパーク
例えば、人気の東京ディズニーランド・ディズニーシーでは2021年10月より、ワンデーパスポートの料金に障害者割引を設けています。身体・知的・精神の各手帳の提示が必要となります。
東京ディズニーランド・ディズニーシーの障害者割引料金
大人:7400円(通常料金9400円)
中人:6200円(通常料金7800円)
小人:4400円(通常料金5600円)
こちらは関西の人気テーマパーク、ユニバーサルスタジオジャパンの割引料金
大 人:平日4600円(通常料金8400円) 土日祝繁忙期4600円(通常料金8900円)
子ども:平日2900円(通常料金5400円) 土日祝繁忙期2900円(通常料金5700円)
対象は身体・知的・精神の各手帳およびミライロID(障害者手帳アプリ)の提示
映画
各映画館にて障害者割引を適用しています。大手の例を見てみましょう。
TOHOシネマズの割引料金
障害の程度に関係なく、身体、知的、精神の各手帳またはミライロID(障害者手帳アプリ)提示で本人と介護者1人の大人通常料金が1000円に割引されます。
ほとんどの映画館ではTOHOシネマズ同様の割引を実施しています。
美術館、博物館など
国立の美術館、博物館などは一律、各種障害者手帳の提示で障害者本人と介護者1人が無料となります。また、国立劇場での観劇は障害者手帳の提示により、本人と介護者1人につき2割引、新国立劇場のみ、本人2割引、第1種で介護が必要な場合は介護者1人は無料となります。
その他、地方自治体の公立施設などは自治体ごとに対象者、条件、割引率を設定していますので、施設や自治体の役所に確認しましょう。
カラオケ(大手チェーン)
ジャンカラ:各種障害者手帳提示で本人と介護者2名までシニア会員料金を適用
ビッグエコー:各種障害者手帳またはミライロID(障害者手帳アプリ)提示で室料50%割引(グループ全員に適用)
公共料金など
NHKの放送受信料の減免:身体・知的・精神障害者がいる、構成員全員が町村民税非課税の世帯は全額免除。視覚・聴覚障害者が世帯主、重度身体障害者、重度知的障害者が世帯主の場合は半額免除となっています。
郵便関係では、点字郵便物、特定録音物等郵便物は3kgまで無料、心身障害者団体が発行する第三種郵便物の承認を受けた定期刊行物(1kgまで)は毎月3回以上発行の新聞紙50gまで8円、その他50gまで15円となります。
携帯電話利用料金等
NTTドコモ、ソフトバンク、auでは身体、知的、精神の各手帳の所持者にそれぞれ障害者用プランを用意しています。割引率や条件については各社のホームページやショップでご確認ください。
身体障害者が福祉電話(例:シルバーホン)を利用する場合、その工事費や利用料を一般の半額程度に減免することができます。
障害者割引以外での支援
医療費の面では各市町村において 心身障害者医療費助成制度等の名称で原則、身体、知的、精神の各手帳を所持する障害者に対して利用費の助成をおこなっています。助成の範囲、助成額などはお住まいの市町村の障害福祉関係部署にお問い合わせください。
また、国税庁では以下の税金に障害者控除を設けています。
所得税の障害者控除:障害者の場合は27万円、特別障害者の場合は40万円を所得税から控除する。
相続税の障害者控除:障害者が相続人であるとき85歳に達するまでの年数1年につき10万円、特別障害者の場合は20万円を控除する。
心身障害者扶養共済制度に基づく給付金の非課税:各自治体で実施される心身障害者扶養共済制度に基づいて支給される給付金については所得税が掛からないというものです。