身体障害者が受けられるサービスや割引を上手に利用して経済的不安を解消しよう
更新日:2023年02月14日
身体に障害のある方は、障害の程度によりさまざまな場所で割引を受けることができ、この割引は障害のある方の同伴者に適用されることがあります。なぜ、身体障害者はこのような割引を受けることができるのでしょうか。ここでは、身体障害者割引の概要やその対象、どのような機関で身体障害者割引を利用できるかについて解説していきます。
目次
身体障害者割引とは
身体障害者割引とは、身体障害者がさまざまな機関を利用する上で受けることができる割引のことをいいます。この身体障害者割引を受けるためには、障害者手帳が必要で提示を求められます。
身体障害者割引は、身体障害のある方の経済的負担の軽減し、身体障害者の暮らしを支え、社会参加を支援することを目的としています。
身体に障害のある方は移動に車が不可欠だったり、介助者が必要だったりするため日常生活を送る上において身体に障害のない方よりも必要なコストが高くなりがちです。その結果、外出やレジャーなどによる社会参加が経済的に難しくなってしまいます。
このような身体障害者の経済的負担を軽減して自立と社会活動への参加を支援するために、身体障害者割引という制度が設けられているのです。
受けることができる身体障害者割引は、障害の程度により異なることもあります。これは障害の程度により日常生活を送るために必要なコストが異なり、障害の程度が重ければ重いほどコストが高くなると考えられているためです。
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身体障害者割引の対象は?
身体障害者割引の対象は、身体障害者手帳を持っている方です。
身体に障害があっても、身体障害者手帳の交付を受けていない方は対象となりません。そのため、身体障害者割引を利用したいと思っている方は、身体障害者手帳の交付を受けるようにしましょう。
お住いの自治体や障害の等級、受けたいサービスの種類によっては同伴者(介助者)も含めて割引を受けることができるケースもあります。どの程度の割引を、どの範囲の方まで受けることができるかという点については、お住まいの自治体の障害福祉窓口にサービスを受ける前に確認しておくことをおすすめします。
身体障害者手帳の取得方法などの詳しい内容については、下記のページで詳しく解説しているので、ご参考にしてください。
身体障害者割引を受けることができる交通機関にはどのようなものがある?
身体障害者割引を受けることができる交通機関には、どのようなものがあるのでしょうか。
ここでは、割引を受けることができる交通機関について詳しく解説していきます。
JR
JR線を利用する場合には、割引の種類に第1種と第2種の2種類があり、割引の方法が異なります。
身体障害者と介護者が一緒に利用する場合、身体障害者が第1種であるときは普通乗車券や回数券、普通急行券、定期乗車券を半額で購入することができるというものです。
ただし、12歳未満の第2 種障害者と介護者については、定期乗車券についてのみ半額で購入することが可能です。
身体障害者と介護者が一緒にJR線を利用する場合には、この2者が同一区間の乗車券を購入する必要があります。また、割引の対象となる介護者は1名までとなっています。
身体障害者が1名で利用する場合には、片道の営業キロが100キロを超える場合に限り、障害の第1種・第2種を問わず、普通乗車券を半額で購入することができます。
切符の購入は、係員がいる窓口で障害者手帳を提示する必要があります。
高速道路
高速道路を利用する場合には、身体障害者自らが運転する場合と、重度の身体障害者が同乗し、身体障害者本人以外が運転する場合に事前に登録されて自動車一台に対して利用料の半額が割り引かれます。
高速道路の障害者割引を利用する際には、利用する車やETCカード、ETC車載機などを事前に登録しておく必要があります。この登録された車本体や、ETCカード、ETC車載機以外では、身体障害者割引は適用されません。
登録事項に変更があった場合には、お住まいの自治体の福祉担当窓口で変更の申請手続きを行う必要があります。
タクシー
タクシーを利用する場合、身体障害者手帳を提示することで利用料金の10%が割引になります。
身体障害者手帳での割引は、全国的に実施されているので個人タクシーであっても、タクシー会社のタクシーであっても全てのタクシーでこの割引を利用することが可能です。
飛行機
ANAとJALでは、搭乗時の年齢が満12歳以上であり障害者手帳の交付を受けている場合に、身体障害者本人と介助者1名まで割引料金で搭乗することができます。
ANAやJALなどの大手航空会社以外のローコストキャリアでも、航空会社により割引を受けることができるケースもあるため、飛行機を利用する場合には事前に利用したい航空会社に障害者割引はあるのか、あるのであれば対象者と割引率について問い合わせてみるとよいでしょう。
公営の公共交通機関
自治体が運営している公共交通機関の場合、障害の程度によって身体障害者本人の運賃が半額になったり無料になったりします。
東京都のケースでは、都内に在住している身体障害者に対して「都営交通無料乗車券」が発行されるため、東京都が運営している交通機関を無料で利用することが可能です。
このような割引は自治体により異なるため、お住まいの自治体の福祉担当窓口にどのような割引を受けることができるか問い合わせてみましょう。
身体障害者割引を受けることができる施設
身体障害者が割引を受けることができる施設には、以下のようなものがあります。
ホテル
ホテルの中でも都道府県や市区町村が運営しているホテル(宿泊施設)の中には、身体障害者割引を実施しているホテルも少なくありません。
また、バリアフリーの設備を備えた部屋が用意されていることが多いので、身体障害者も利用しやすくなっています。
休暇村協会が全国で運営しているホテルでは、客室1名1泊につき1,500円程度が正規の宿泊料金から割り引かれることが多いようです。
割引率や割引金額は施設により異なるため、利用を検討しているホテルに直接問い合わせるとよいでしょう。なお、民間のホテルや旅館で身体障害者割引を行っているところは、まだ少ないのが現状です。
映画館
全国の映画館で映画を見るときには、通常1,800円から1,900円の料金が必要になりますが、身体障害者手帳を提示することによりほとんどの映画館で身体障害者本人の料金が割引されます。
また、介助者の料金が割引される映画館もあるため、利用しようとしている映画館に直接問い合わせてみましょう。
公共施設
自治体が運営する美術館や博物館、スポーツセンターなどの公共の施設は、障害者料金が設定されていたり、中には無料で利用できる施設もあります。
このような割引などは、介助者1名まで適用されるケースが多いようです。
無料で利用できる公共施設には、東京都現代美術館や国立科学博物館、国立西洋美術館などがあります。
しかし、このような施設でも「企画展」だけは身体障害者であっても有料になることもあるため、注意しましょう。
その他の身体障害者割引
その他の身体障害者割引には、以下のようなものがあります。
公共料金
公共料金の中には、身体障害者の障害の程度により減免されるものがあります。
割引される公共料金は、上下水道料金、携帯電話の基本使用料等の料金、104番(電話番号案内料)があります。
上下水道の減免は市区町村により割引の条件や割引額が異なります。
携帯電話の基本料金の身体障害者割引を行っているのは、docomo、Softbank、auの大手三大キャリアです。
これらのキャリアでも割引の内容はそれぞれ異なるため、キャリアの窓口に問い合わせてみましょう。
NHK受信料
身体障害者が世帯構成員であり、世帯全員が市町村民税(住民税)が非課税の場合には、NHK受信料が全額免除となります。
しかし身体障害の種類が視覚または聴覚障害である場合や、重度の身体障害者が世帯主である場合には、半額免除となります。
保育園
身体障害者がいる世帯の保育園の利用料金は、自治体により保育料の割引が行われていることもあります。
お住まいの自治体の窓口に問い合わせてみることをおすすめします。
介護サービス
身体障害者は、居宅介護(ホームヘルプサービス)、重度訪問介護、短期入所(ショートステイ)、日帰りショートステイ(地域生活支援事業)のサービスを受けることができます。
その費用は、障害者総合支援法の規定に基づき原則としてかかった費用の1割を負担する必要がありますが、所得に応じて負担上限月額が設定されています。
身体障害者が受けることができるその他のサービス
身体障害者が受けることができるその他のサービスには、以下のようなものがあります。
障害者控除
身体障害者が働いている場合、または身体障害者と生計を同じくしている場合には利用できる控除のことで、所得から一定額が控除されます。
そのため、住民税や所得税の軽減につながります。
医療費のサポート
医療費のサポートには心身障害者医療費助成制度というものがあり、都道府県や市町村によって身体障害者の医療費の自己負担額が助成されます。
身体障害者の等級や障害の内容によっては、利用できないこともあるためお住まいの自治体の福祉担当窓口に問い合わせてみるとよいでしょう。
就労移行支援
就労移行支援とは、障害者総合支援法に定められた障害福祉サービスの一つで、企業等で働きたいという希望のある身体障害者の働くために必要な知識やスキルなどを高めるサポートを行ってくれるサービスのことをいいます。
このサービスを受けることができるのは、企業等への就職を希望する方で満18歳以上65歳未満の障害や難病を抱える方で、障害者手帳を持っている必要はありません。
利用できる期間は原則として24ヶ月となっています。