【更新版!】障害者雇用率ランキング2020 ~上位の企業と障害者雇用の現状~
更新日:2023年11月13日
ここ数年、障害者の社会参加の機運が高まる中、毎年、東洋経済新報社から発表される障害者雇用率の高い企業のランキングがとても注目を浴びています。毎年秋に発表される同社の2022度のランキングを基に、障害者雇用率の高い企業上位20社までをご紹介するとともに、障害者雇用の現状についても触れていきます。障害者が就労について考える上で、どのような企業が障害者雇用に対して意欲的なのかを知ることは就職活動を進めるための大事な情報となります。
目次
障害者雇用率と障害者雇用の現状について
今回の障害者雇用率上位のランキングを見ていくにあたり、簡単に障害者雇用率制度と障害者雇用関係の最新のデータをご紹介したいと思います。
障害者雇用率制度は「障害者の雇用促進等に関する法律」(1960年)に基づき、障害者の雇用促進を図るために定められた制度です。同制度は「障害者の雇用促進等に関する法律」の改正の度に対象となる障害が身体、知的、精神(発達)障害と段階的に広がっていきました。2018年の改正(平成30)では民間企業の法定雇用率を2.2%としており、2021年(令和3年)に0.1ポイント増の2.3%に引き上げられました。
民間企業の障害者雇用率は2024年(令和6年)6月から2.5%に、さらに2026年(令和8年)4月には2.7%に段階的に引き上げられることが決まっています。現在、対象となるのは43.5人以上の従業員を雇用する事業主で、2026年4月の段階では、従業員37人に1人の割合で障害者の雇用が義務付けられることになります。
法定雇用率を達成すると障害者雇用調整金が雇用する人数によって支給され、法定雇用率が達成できない場合、101名以上の労働者を雇用する事業主は障害者雇用納付金を不足する人数分を国に支払うことになっています。
2022(令和4)年の障害者雇用状況の資料を見てますと、2022年の民間における雇用障害者数は613,958,085人で前年よりも2.7%(16,172人)増加し、実雇用率も前年度よりも0.05ポイント上昇し2.25%といずれも過去最高を記録しています。また法定雇用率を達成した企業は48.3%と全体の約半分で、昨年度より1.3ポイント上昇しています。この約半分という数字が多いのか少ないのかはそれぞれの捉え方によると思いますが、障害者の社会参加への動きは今までの日本にはなかった広がりを見せています。それは民主主義社会における人権への理解が進んだと考えることもできますが、2006年に国連で採択された「障害者権利条約」の批准に向けた日本国内の障害者関連制度の整備や、東京オリンピックの後に開催されたパラリンピックに向けた政府関係諸機関のアピール、少子高齢化による労働人口の減少などの諸要因が重なり、障害者の就労を後押しする力になっているのは確かと言えるでしょう。
障害者雇用については、「障害者雇用促進法」という法律で義務付けられていますが、障害者雇用促進法には、他にも障害者差別の禁止や合理的配慮の提供の義務などが定められています。
障害者雇用にまつわるメリット・デメリットをはじめ、最低限知っておきたい基礎知識をご紹介します。
この資料でわかること
・障害者雇用とは?
・障害者を雇用するメリット
・障害者を雇用しないデメリット
・障害者雇用が進まない企業が抱える課題
・課題を解消するポイント
・押さえておくべき障害者雇用の法律・制度
障害者雇用率ランキング2020トップ20
冒頭で触れましたように、データ出典は東洋経済新報社『「障害者の雇用率」が高い上位100社ランキング』https://toyokeizai.net/articles/-/620319(2022年09月22日)となります。同ランキングは2020年の調査値です。以下、その中から企業名と雇用率(%)を上位20位まで記載します。
第1位:ゼネラルパートナーズ(17.90)
第2位:エフピコ(12.708)
第3位:エイベックス(7.40)
第4位:MRKホールディングス(6.90)
第5位:キトー(6.80)
第6位:JSP(5.54)
第7位:関通(5.40)
第8位:ファーストリテイリング(4.71)
第9位:デコボコベース(4.42)
第10位:AOKIホールディングス(4.40)
第11位:白鳩(4.30)
第12位:日本電気硝子(4.2292)
第13位:いなげや(4.20)
第14位:リヒトラブ(4.11)
第15位:ヤマト・インダストリー(3.88)
第16位:アルビス(3.86)
同第16位:ホクリヨウ(3.86)
第18位:新日本科学(3.86)
第19位:良品計画(3.78)
第20位:ダイジェット工業(3.73)
同記事ではタイトルどおり、上位100位までをランキングしていますが、情報量が多くなりすぎるため、上位20位までにしぼって掲載しました。さらに上位10社については次の項でどのような企業なのか詳細にご紹介します。一般企業の法定雇用率が2.3%だということを考えると上記の上位20社の企業でさえ3.73%と高い障害者雇用率を誇ります。ちなみに100位の企業でも2.89%の法定雇用率以上の数値となっています。
障害者雇用率の高さがこのような紙面に載ったり、厚生労働省や自治体に表彰されることは、社会的に優良企業として認知が高まり、企業側にとっても経営上のメリットにつながります。単に就労したい障害者が増えるだけでなく、障害者の家族や関係者がその企業の商品を買ったり、サービスを利用するという効果も考えられます。これからご紹介するランキング上位の企業の中には最初から障害者の保護者や関係者などが設立した企業もあれば、人材確保が困難な状況での一手と考えたり、社会的認知度を上げたいなどさまざまな背景があると考えられますが、当初の理由がどうであれ、このように障害者の社会参加の機会が創出されることにより、障害者の理解が広がっていくのです。
障害者雇用率が高い企業ランキングトップ10に入った事業所
ここでは今回ご紹介したランキング20位までの企業のうち、トップ10に入った事業所を詳しくご紹介していきます。
第1位:株式会社ゼネラルパートナーズ
株式会社ゼネラルパートナーズは2003年に設立された企業です。この会社の主な事業内容は障害者の就職・転職に関するサービスです(障害者の就労に関する情報発信を含む)。具体的な事業としては障害者の求人情報・人材紹介サービスと、就労移行支援事業、就労定着支援事業、就労継続支援A型事業など、複数の障害者総合支援法下のサービスを展開しています。障害者雇用率17.90%は断トツの1位です。
第2位:株式会社エフピコ
株式会社エフピコは広島県に本社を置く、主に食品容器(トレー、総菜などの容器)製造を行なう一部上場企業です。業界でのシェアは1位で広島有数の大企業ですが、障害者雇用率上位の常連企業でもあり、2019年は13.78%で第2位、2018年は15.73%だったので少し率が落ちたのですが、雇用する障害者数は362人と非常に多く、取引先の障害者雇用のサポートまでやるという徹底ぶりです。
第3位:エイベックス株式会社
比較的若い層にもその所属歌手などで認知度の高いエイベックスが第3位にランクインしています。言わずと知れた音楽を中心としたエンターテインメント企業ですが、こちらも障害者雇用率上位の常連で、2019年は7.09%で21人の障害者を雇用しており、2018年は8.59%でした。エイベックスでは現場アシスタントや事務職に障害者を積極的に採用していて、フレックスタイムなど働きやすい職場環境を提供しています。
第4位:MRKホールディングス
MRKホールディングスは、ボディメイク関連事業、マタニティ・ベビー関連事業、美容関連事業、婚礼・宴会関連事業を運営している企業です。RIZAPグループの子会社でもあります。2018年には11.25%で5人、2019年には10.00%で5人の障害者を雇用しています。
第5位:株式会社キトー
株式会社キトーは関東に本拠を置く、老舗機械メーカーで障害者雇用率は6.80%、雇用している障害者の人数は34人となっています。製造している機械は工場などで荷物を吊り上げるチェーンブロックや、ホイスト式クレーンなどで、国内シェアも第1位、従業員も2000人超の大企業です。「障がい者雇用マスタープラン」を5年ごとに見直し、障害者の個性に合った配属や家族との連携など福祉的な視点を取り入れているので、応募する側も安心できます。
第6位:JSP
JSPは、自動車の軽量化部材、高機能断熱材、食品容器、各種緩衝材、梱包材などの発泡材を扱う企業です。主にグループの特例子会社であるJPPモールディングで障害者を雇用しています。2019年には5.54%で48人、2020年には5.54%で49人の障害者を雇用しています。
第7位:関通
株式会社関通は、兵庫県尼崎市西向島町に本拠を置く、EC・通販物流支援サービスを中心とした物流サービス事業を展開する日本の企業です。CSR活動として、発達障害児を対象とした放課後等デイサービスを運営しています。2019年には5.33%25人、2020年には5.40%で31人の障害者を雇用しています。
第8位:株式会社ファーストリテイリング
エイベックスと並んで世間の認知度が高い、山口県に本社を置くファーストリテイリングが第5位にランクインしています。障害者雇用率は4.71%、1101人の障害者を雇用しています。言わずと知れた、ユニクロ、GUの運営会社で、障害者を積極的に採用している企業としても定評があります。原則的に1店舗1人以上の障害者雇用を目標とし、達成しているようです。全国に多くの店舗がある分、求職する側も地域で働く可能性が広がる嬉しい会社です。
第9位:デコボコベース
デコボコベース株式会社は「凸凹が活きる社会を創る。」をビジョンに掲げる、児童発達支援、放課後等デイサービス、自立訓練(生活訓練)事業、就労移行支援事業、メディア事業などを運営する企業です。本年度の調査が初のランクインで、障害者雇用率は4.42%です。
第10位:AOKIホールディングス
AOKIホールディングスは、スーツのAOKIでおなじみの、神奈川県横浜市に本社を置くメンズ・レディスの衣料品及び服飾品の企画販売を主軸事業とする企業です。
連結していない、AOKIホールディングス単体での障害者雇用率は4.4%で、2020年には5人の障害者を雇用しています。
「障害者雇用の基礎知識」資料が無料ダウンロードできます
障害者雇用については、「障害者雇用促進法」という法律で義務付けられていますが、障害者雇用促進法には、他にも障害者差別の禁止や合理的配慮の提供の義務などが定められています。
障害者雇用にまつわるメリット・デメリットをはじめ、最低限知っておきたい基礎知識をご紹介します。
この資料でわかること
・障害者雇用とは?
・障害者を雇用するメリット
・障害者を雇用しないデメリット
・障害者雇用が進まない企業が抱える課題
・課題を解消するポイント
・押さえておくべき障害者雇用の法律・制度
▼サンプル
優良企業は社会的責任を重要視する
優良企業というのは総資産や利益のみで測れるものではありません。ビジネスの世界にはCSRという一般人には耳慣れない言葉があります。
CSR(Corporate Social Responsiblity)は企業の社会的責任という意味です。ビジネスだけではなく労働者や地域社会に対する責任、貢献という意味ですが、障害者や女性の雇用、または幹部への登用において日本は明らかに欧米諸国に遅れています。
障害者の実雇用率は改善されてはいるものの、まだまだ障害者の社会参加への理解不足の現れと言ってもよいかもしれません。そのような現状での障害者の就職活動は、会社の規模や知名度だけではなく、企業が従業員や地域社会に目を向けているかは大事な指標と言えるのではないでしょうか。