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障害者雇用のメリット・デメリットとは?企業側の義務や対策を解説

更新日:2026年08月18日

障害者雇用とは、企業や自治体などが、障害者手帳を持つ人専用の雇用枠を設けて募集することです。障害のある人が、障害のない人と同じように就職・転職しようとする際に不利になってしまうことがあるため、障害のある人が働きやすくするための制度です。障害者雇用は、雇用する側にとってどのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。ここでは、障害者雇用で雇用する側のメリットとデメリットなどについて解説していきます。

障害者雇用の専門チームによる監修記事

本記事は、国内最大級の障害者転職支援サービスを運営するatGP(アットジーピー)が監修しています。2,000社以上の支援実績に基づいた実務情報を提供します。

障害者雇用とはどのようなものなのか

障害者雇用とは、どのようなものなのでしょうか。ここでは障害者雇用について詳しく解説するとともに、障害者雇用を行う側のメリットや、障害者雇用を行わない場合に雇う側が被るデメリットなどについて詳しく解説していきます。合わせて、障害者を面接する場合に注意すべき点についても解説を行います。

 

障害者雇用については、「障害者雇用促進法」によってさまざまな規則が定められています。障害者雇用促進法とは、障害者の雇用と在宅就労の促進について定められた法律で、障害がある人の職業の安定を実現するために制定されたものです。

 

障害者雇用促進法は1960年に制定された「身体障害者雇用促進法」を基とした法律で、何度も改正されながら現在の形になりました。その内容は障害の有無に関わらず、全ての人がそれぞれの希望や能力に応じて、全ての地域で自立し尊重される生活を送ることができる共生社会の実現を目指すものです。

 

厚生労働省の「障害者雇用促進法の概要」では、その目的は「障害者の雇用義務等に基づく雇用促進のための措置、職業リハビリテーションの措置等を通じて、障害者の職業の安定を図ること」とされています。そしてその内容は大きく分けて、雇用側に対する措置と障害者本人に対する措置の二つが定められています。

 

雇用側に対する措置

雇用側に対する措置では事業主に雇用義務制度が設けられており、障害者を雇用した場合には障害者作業施設設置等助成金や障害者介助等助成金などの助成金が支給されます。

 

雇用すべき障害者の人数も定められており、2026年7月現在の法定雇用率は民間企業で雇用者全体の2.7%、国や地方公共団体、特殊法人等で雇用者全体の3.0%、都道府県等の教育委員会で雇用者全体の2.9%となっています。ただし、一定の要件を満たす特例子会社を設立した場合などには、グループ全体で雇用率を算定できる特例が認められています。

 

この定められた人数の障害者を雇用していない場合(常用労働者100人を超える事業所等)、不足1人につき月額5万円の「障害者雇用納付金」が徴収されます。逆に、法定雇用率を超えて障害者を雇用している事業所等に対しては、超過1人につき月額2万9千円の「障害者雇用調整金」が支給されます。

 

また、事業主には毎年6月1日時点の障害者雇用状況をハローワークへ報告する義務があり、達成状況が不十分な企業に対しては行政指導が行われ、改善が見られない場合には企業名が公表されます。

 

このほか、在宅で働く障害者に仕事を発注する事業主に対して支給される「在宅就業障害者特例調整金・特例報奨金」などの制度も用意されています。

 

 

雇用される障害者本人に対する措置

事業主に対する措置以外に、雇用される障害者本人に対する支援措置も定められています。ハローワーク、地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センターなどの公的機関が連携し、職業生活における自立を幅広く支援しています。

 

ハローワーク:障害の態様に応じた職業相談・紹介、求人開拓などを実施

地域障害者職業センター:専門的な職業リハビリテーションやジョブコーチ支援などを実施

障害者就業・生活支援センター:就業面と生活面の一体的な相談・支援を実施

 

なお、障害者雇用率(法定雇用率)のカウント対象となるのは、身体障害者手帳、療育手帳(知的障害)、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている方です。手帳を所持していない場合であっても、発達障害や難病のある方は職業リハビリテーションや差別禁止、合理的配慮の提供対象となります。

 

障害者雇用にまつわるメリット・デメリットをはじめ、最低限知っておきたい基礎知識をご紹介する資料がダウンロードできます。

 

この資料でわかること
・障害者雇用とは?
・障害者を雇用するメリット
・障害者を雇用しないデメリット
・障害者雇用が進まない企業が抱える課題
・課題を解消するポイント
・押さえておくべき障害者雇用の法律・制度

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法定雇用率の最新数値・引き上げスケジュール(2024年・2026年改定対応)

民間企業における障害者の法定雇用率は段階的に引き上げられており、2024年4月に2.5%へ改定された後、2026年7月からは2.7%へと引き上げられました。現在は2.7%が最新の法定雇用率として適用されています。

 

この引き上げに伴い、対象となる企業の規模も順次拡大してきました。2024年4月からは常用労働者40.0人以上の企業に雇用義務が課されていましたが、2026年7月からは37.5人以上の企業へと拡大しています。新たに雇用義務の対象となった企業を含め、より一層の体制整備と積極的な雇用推進が求められています。

出典:厚生労働省 法定雇用率引き上げと支援策の強化について

 

障害者雇用の現状と統計データ

厚生労働省が公表した「障害者雇用状況の集計結果」などの公的データをもとに、民間企業における障害者雇用の現状や人数の推移、障害種別ごとの傾向について解説します。

 

1. 雇用障害者数と実雇用率は過去最高を更新

民間企業に雇用されている障害者数は順調に増加しており、雇用障害者数は70万人を突破して22年連続で過去最高を更新しました。また、全体の労働者に占める障害者の割合を示す実雇用率も2.41%に達しており、企業による障害者採用の取り組みが着実に進んでいることが伺えます。

 

一方で、法定雇用率の引き上げ(2024年4月に2.5%、2026年7月に2.7%へ改定)に伴い基準が高くなったことから、法定雇用率を達成している企業の割合は46.0%にとどまっています。雇用義務がある企業のうち半数以上が基準未達成となっており、さらなる採用・定着支援が急務となっています。

 

2. 障害種別ごとの雇用傾向

雇用されている障害者の内訳を障害種別(身体・知的・精神)で見ると、それぞれ以下のような特徴と推移が見られます。

 

身体障害者:雇用障害者全体の半数以上(約36万~37万人)を占めており、最も大きな割合を維持しています。ただし、高年齢化が進んでいることや新規求職者の増加が緩やかであることから、構成比としては横ばい~微減の傾向にあります。

 

知的障害者:約15万~16万人規模で推移しており、製造業やサービス業、農園事業などを中心に安定した雇用の伸びを見せています。

 

精神障害者:近年最も高い伸び率(前年比10%~15%以上の増加)を示しています。発達障害を含め手帳取得者が増加していることや、短時間勤務など柔軟な働き方が広まったことを背景に、企業の採用意欲が特に高まっている領域です。

 

3. 企業規模による達成状況の格差

企業規模別で雇用状況を比較すると、大規模企業ほど対応が進んでいる傾向が見られます。

 

従業員1,000人以上の大企業:実雇用率・法定雇用率達成割合ともに高く、障害者専任部署の設置や特例子会社(特障害者雇用率適用子会社)の活用、職務切り出しのノウハウが蓄積されています。

 

中小企業(常用労働者37.5人~300人未満など):法定雇用率の達成率が4割台~半数未満にとどまる企業が多く存在します。「どのような業務を切り出せばよいか分からない」「受け入れ体制や配慮ノウハウが不足している」といった課題を抱えている企業が多く、中小企業における雇用ノウハウの構築や専門サービス・助成金の活用が大きな課題となっています。

 

出典:厚生労働省 令和7年 障害者雇用状況の集計結果

企業が障害者雇用に取り組む5つのメリット

障害者を雇用した場合、企業側には法的義務の遵守以外にもさまざまなメリットがあります。主な5つのメリットについて詳しく解説します。

 

【人材確保】障害に関わらず優秀な人材の確保と継続雇用

少子高齢化に伴う労働力不足が深刻化する中、障害者雇用は単なる「法的義務の履行」にとどまらず、企業の持続的な成長を支える戦略的な「人材確保策」として重要視されています。障害の有無に関わらず意欲と能力のある人材を迎え入れ、長く活躍してもらうための2つの大きな理由を解説します。

 

1. 障害の有無にかかわらず優秀な人材がいるため

障害者のなかには、特定の分野で高い能力や専門性を備えた人材が数多く存在しています。

 

専門知識やスキルの活用:身体障害者の場合、視覚や肢体などの身体的制約があったとしても、デスクワークや専門スキルを要する業務において一般的な従業員と同等、あるいはそれ以上の成果を上げることが可能です。

 

特性を生かした強み:知的障害や精神障害を持つ人材の中には、細かい作業に対する高い集中力や、ルーチンワークを正確かつ丁寧にこなす優れた資質を持つ人が多く存在します。

 

独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が公開している「障害者の職場定着と戦力化」においても、現場における障害者の働きぶりは次のように高く評価されています。

 

仕事ぶりはゆっくりだが、丁寧なので、間違いが少なく信頼できる
勤怠が安定しており、一定の作業量を確実にこなしてくれる

 

このように、一律の採用基準にとらわれず個々の強みを見極めることで、企業は即戦力となり得る優秀な人材を確保し、深刻な人手不足の解消につなげることができます。

 

2. 既存の従業員が障害を患ったときに雇用を維持できるため

障害者雇用を通じて整備された業務フローや職場環境は、将来的に既存の従業員を守る安全網(セーフティネット)として機能します。

 

中途障害・病気への柔軟な対応:既存の従業員が業務上の事故や病気で身体障害を負ったり、メンタルヘルスの不調(うつ病など)を患ったりした場合でも、すでに社内に障害者向けの配慮や切り出し業務が存在していれば、離職を防ぎ雇用を維持できます。

 

定着率とエンゲージメントの向上:長年自社に貢献してきた経験豊富な人材を失わずに済むだけでなく、「体調や環境に変化があっても働き続けられる会社」という安心感が生まれるため、全社的な従業員の職場定着度やエンゲージメント向上にも寄与します。

 

障害の有無に捉われない就労環境の構築は、多様な人材の確保のみならず、社内の大切な人材資産を長期的に守る強力な基盤となります。

 

【企業価値向上】CSR活動から企業イメージ・ブランド力の向上へ

障害者雇用への積極的な取り組みは、単なる法令遵守にとどまらず、企業の社会的責任(CSR)を果たす重要施策として評価されます。多様性を認める企業姿勢を示すことで、ステークホルダーからの信頼を獲得し、ブランド価値や企業イメージの向上が期待できます。

 

社会的評価・認知度の向上:ESG投資やSDGsへの関心が高まる中、障害者が活躍する職場環境の整備は、投資家や取引先からの好印象・評価につながります。

 

競争力の強化:自治体や公的機関のコンペティションにおいて、法定雇用率の達成状況が入札時の加点対象となるケースがあり、直接的な事業機会の拡大にも寄与します。

 

【組織力強化】多様性(ダイバーシティ)の推進と組織の活性化

障害者雇用の推進は、性別や年齢、障害の有無に関わらず個々の能力を発揮できる多様性(ダイバーシティ)に富んだ組織づくりに直結します。多様な人材がともに働く環境を整えることで、従来の枠組みにとらわれない新しい発想や価値の創出が期待できます。

 

心理的安全性の高まりと生産性向上:障害のある社員に対して指示や作業手順を分かりやすく伝える工夫を重ねる中で、全社的に配慮と配慮の姿勢が生まれます。コミュニケーションが活性化し、誰もが安心して発言できる職場環境が整うことで、結果として組織全体の生産性向上が見込めます。

 

多様な人材確保の土台づくり:多様な人材を受け入れるノウハウを蓄積することは、人手不足時代における組織の強靭化にもつながります。

 

参考:厚生労働省「障害者雇用のすすめ~ 障害者雇用に取り組まれる事業主の皆さまへ ~」

 

【生産性向上】「業務の切り出し」を通じた既存業務フローの効率化

障害者雇用の受け入れに向けた「業務の切り出し」は、社内全体の既存業務や運用フローを見直し、最適化を図る絶好の機会となります。

 

コア業務への集中:定型的な業務やアシスタント作業を切り出して障害者へ集約することで、既存社員は企画・営業・顧客対応などのコア業務に集中できるようになり、業務の質と生産性が高まります。

 

業務の可視化と標準化:作業手順のマニュアル化やタスクの細分化が進むため、業務の属人化を防ぎ、組織全体のオペレーション効率化やミス軽減にも貢献します。

 

 

【コスト削減】障害者雇用に関する助成金・優遇制度の活用

障害者を雇用する企業に対しては、就職支援や職場適応、環境整備、能力開発など、採用から定着に至る各フェーズに応じた多様な助成金制度が用意されています。

 

これらの制度を適切に活用することで、設備導入や指導員の配置に伴う初期費用・運用コストを大幅に軽減することが可能です。また、法定雇用率を達成することで未達成時に発生する納付金(不足1人につき月5万円)の支払いを回避できるため、企業全体のトータルなコスト削減に大きく寄与します。

 

主要な助成金の種類と概要は以下の通りです。

 

特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース/発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース等)

高齢者や障害などで就職が困難な人を、ハローワークなどの紹介により雇用保険の一般被保険者として雇用する場合に支給されます。勤務時間や障害の程度等に応じ、助成額は30万円~240万円、支給期間は1年~3年となります。

 

トライアル雇用助成金(障害者トライアルコース/障害者短時間トライアルコース)

障害者を試行的に雇い入れる場合や、週20時間未満から段階的な移行を目指して試行雇用を行う場合に受給できます。1人あたり月最大4万円(重度障害者等の場合は最大5万円)、最長12か月まで受け取ることができます。

 

障害者雇用安定助成金(障害者職場定着支援コース)

職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援計画に基づき定着支援を行う事業主に支給されます。訪問型支援(1日あたり8千円~1万6千円)や、企業在籍型支援(対象者1人あたり月額3万円~12万円)など、支援形態や事業規模に応じて助成されます。

 

障害者雇用安定助成金(中小企業障害者多数雇用施設設置等コース)

障害者を新規5人以上雇用し10人以上継続雇用する計画を作成し、受入施設等を整備した中小事業主に、整備費用等に応じて助成されます。

 

障害者雇用納付金制度に基づく助成金

障害者の雇用にあたり、作業施設の整備やバリアフリー化工事、介助者等の配置を行う事業主に対して、費用の一部が助成されます。

 

人材開発支援助成金(障害者職業能力開発コース)

障害者の職業能力向上・開発を目的に、教育訓練施設の設置・更新や体系的な職業訓練を実施する事業主に対して助成されます。

 

人材確保等支援助成金(テレワークコース等)

障害者の特性に配慮した在宅勤務やフレックスタイム制など、柔軟な雇用管理・働き方の改善を行って長期就労(職場定着)を図る事業主に対して助成されます。

【成功事例】障害者雇用で事業メリットを創出した企業の取り組み

厚生労働省および独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)が公表している『障害者雇用職場改善 好事例集』より、障害者の特性を活かした工夫や環境整備により、業務の効率化や品質向上、企業全体の課題解決につながった成功事例をご紹介します。

 

事例1:スマートフォン活用によるコミュニケーション改善と職域拡大(運送業 A社のケース)

運送業を営むA社では、聴覚障害のある従業員を大型トラックのドライバーとして雇用するにあたり、コミュニケーション手段の確保が課題となっていました。
そこで同社は、スマートフォンやタブレット端末を効果的に活用し、チャットアプリや視覚的な指示書を用いた連絡体制を整備しました。
その結果、文字による正確なコミュニケーションが定着し、誤認識や聞き間違いによるミスが防止されました。視覚的な情報共有の仕組みは健常者の従業員にとっても分かりやすいと評判になり、安全運航の徹底と業務効率化が同時に達成されたことで、新たな職域の拡大にもつながりました。

 

事例2:個別マニュアル作成とサポート体制による定着と作業精度向上(製造業 B社のケース)

電子部品製造を営むB社では、高次脳機能障害や記憶障害のある従業員に対し、ジョブコーチや周囲の社員が連携して作業工程の可視化を行いました。
行き先別の携帯用指示カードや、図・写真を取り入れた作業マニュアルを作成して活用した結果、指示出しの工数が大幅に削減され、一人でスムーズに作業を行えるようになりました。
この「指示の明確化・可視化」の取組は、新入社員や他部署の教育コスト削減にも大きな効果を発揮し、職場全体の作業精度向上と業務改善に寄与しています。

障害者雇用の課題・デメリット

障害者雇用を行わない(法定雇用率を未達成の)場合、企業側には以下のような直接的なデメリットが発生します。

 

障害者雇用納付金を納める必要がある

常用労働者100人を超える企業で法定雇用率を達成していない場合、不足1人につき月額5万円(※条件により緩和措置あり)の「障害者雇用納付金」が徴収されます。

 

ハローワークによる行政指導が入る

雇用状況が不十分な企業に対しては、ハローワークから雇入れ計画の作成勧告や実地指導などの行政指導が行われます。

 

企業名が公表される

行政指導や勧告を受けても雇用状況に改善が見られない場合、厚生労働省(ハローワーク)によって企業名が公表されます。企業名が公表されると、社会的信用やブランドイメージの低下、採用活動への悪影響が生じるおそれがあります。

 

合理的配慮の提供義務と環境整備のハードル

障害者が快適に働ける職場環境を構築する際、設備の改修や個別サポートに伴う費用や手間などのハードルは、多くの企業にとって大きな課題となります。

 

2024年4月施行の改正障害者差別解消法により、民間事業者にも合理的配慮の提供が義務化されました。企業は障害者からの申し出を受け、過重な負担にならない範囲で適切な配慮を行う必要があります。

 

主な環境整備と合理的配慮の具体例

 設備・ハード面:

車いす用スロープ設置、通路幅の拡張、多目的トイレの整備

 情報・ソフト面:

視覚障害者向け音声案内ソフトや点字の導入、筆談具の配備

 勤務形態の柔軟化:

通院や体調に配慮したフレックスタイム制や時短勤務の導入

 

こうした対応には初期費用や維持費がかかるため、一般的な雇用よりコストが増加し、経済的負担を感じる企業も少なくありません。そのため、施工会社等に事前見積もりを依頼して費用感を把握することが重要です。

 

負担軽減策として、バリアフリー化工事に使える「障害者作業施設設置等助成金」や、介助者配置を支援する「障害者介助等助成金」などの助成制度も用意されています。

 

これらの投資は障害者支援にとどまらず、全従業員にとって働きやすい環境(ユニバーサルデザイン)を作るための有効な設備投資でもあります。助成金を活用しながら、段階的に整備を進めることが求められます。

 

現場でのコミュニケーショントラブルと定着への不安

障害者雇用を進める上で、現場でのコミュニケーショントラブルやそれに伴う早期離職・不定着への不安は、多くの企業が直面する大きな課題です。

 

社内の障害理解が不足している場合、お互いの配慮不足から以下のようなトラブルが発生するリスクがあります。

 

現場で生じやすいトラブルの例

相互理解の不足による孤立:

特性に応じた指示出しや会話ができず、障害のある従業員が孤立してしまう

事情への不理解と不満:

通院による欠勤や早退、勤務時間の短縮に対し、周囲の理解が得られず非難の声が出る

配慮に対する不公平感:

合理的配慮や業務量の調整が「特定社員の優遇」と捉えられ不満が生じる

 

こうした摩擦が放置されると、職場全体の士気低下やハラスメント、業務効率の悪化を招き、結果として障害のある従業員の不定着につながります。

 

コミュニケーショントラブルを防ぎ、定着率を高めるためには、障害のある本人のサポートだけでなく、受け入れ側の周囲(上司・同僚)への働きかけが欠かせません。

 

事前研修や勉強会を通じた障害特性の共有、業務指示の可視化、相談窓口の設置など、組織全体で多様性を受け入れる風土を醸成することが重要です。お互いの違いを尊重し歩み寄る環境をつくることが、障害の有無を問わず全従業員にとって働きやすい職場環境の実現につながります。

失敗を防ぐ!課題・デメリットを乗り越えるための3つの解決策

障害者雇用に初めて取り組む企業や、過去に定着支援でつまずいた経験のある企業が、急に雇用人数を増やそうとしてもスムーズに進まない可能性があります。課題やデメリットを乗り越え、障害者雇用を成功へ導くための3つの解決策を解説します。

 

【サポート体制】配慮事項の共有と、現場の負担を軽減する仕組みづくり

障害のある方が実際に働く現場では、本人の障害特性や必要なサポート内容を明確にし、適切に共有・フォローできる仕組みづくりが不可欠です。

 

受入部署だけでなく組織全体で「どのような配慮があれば働きやすいか」「周囲はどうバックアップできるか」を整理・共有しておくことで、現場の困り感を解消できます。配慮事項のチェックシート作成や業務手順の可視化を進め、一部の担当者に負担が偏らない相互サポート体制を構築しましょう。

 

【社内理解の促進】トラブルを防ぐ!受け入れ前の研修と風土醸成

現場での摩擦や不満を防ぐには、雇用開始前の社内理解の醸成が欠かせません。「特別扱いされている」といった誤解や偏見を無くすため、全社員を対象とした研修や勉強会を実施しましょう。

 

同じ障害名であっても特性や得意・不得意は人それぞれであること、業務調整や合理的配慮は誰もが活躍するための環境整備であることを伝えます。管理職だけでなく全社で正しい知識を共有し、多様性を柔軟に受け入れる風土を育むことが、雇用後のトラブル防止と士気向上につながります。

 

【専門機関の活用】採用から定着まで伴走する「障害者雇用支援サービス」の導入

業務の切り出しや社内理解の醸成、採用・定着支援まで一貫してサポートする「障害者雇用支援サービス」の活用も非常に有効です。専門ノウハウを持つ外部機関と連携することで、自社支援の質を高めつつ担当者の業務負担を大幅に軽減できます。ただし、業者へ任せきりにせず、自社にもノウハウを蓄積する主体的な姿勢が成功のポイントです。

 

公的な相談窓口としては、厚生労働省の「障害者のテレワーク雇用に関する無料相談窓口(企業向け)」なども活用できます。自社内での出社型雇用だけでなく、在宅勤務・テレワークでの雇用を検討している企業を対象に、専門のアドバイザーが業務選定から環境整備、採用・定着管理まで最大5回のオーダーメイド支援を無料で実施しています。

 

厚生労働省 障害者のテレワーク雇用に関する無料相談窓口(企業向け)

障害者雇用はSDGs達成への第一歩!関連する目標と企業の意義

SDGs(持続可能な開発目標)は「誰一人取り残さない(Leave no one behind)」という理念を掲げており、障害の有無に関わらず誰もが自分らしく暮らせる社会を目指しています。

 

企業が障害者雇用に取り組むことは、単なる法定雇用率の達成や社会的責任(CSR)にとどまらず、SDGsの複数のゴール達成に直接貢献する重要な施策です。ここでは、障害者雇用と特に関わりの深い3つの目標と、その背景について解説します。

「1.貧困をなくそう」との関連

障害者の安定雇用の創出が、経済的自立と貧困解消につながる
日本の障害者における相対的貧困率は、一般的な国民平均と比較して非常に高い水準にあるとされています。働く意思や能力がありながらも就職機会に恵まれなかったり、低賃金の非正規雇用にとどまらざるを得なかったりするケースが少なくありません。

 

企業が障害者雇用を推進し、安定した就労機会と適切な対価(給与)を提供することは、障害者自身の経済的自立を直接的に支えます。経済的基盤が確立されることで、生活保護への依存度を下げ、障害者の生活困窮を防止・改善することになり、「目標1:貧困をなくそう」の達成に大きく貢献します。

 

「8.働きがいも経済成長も」との関連

働きがいの実感と、多様な人材活用による企業の持続的成長
SDGsのターゲット8.5では、「障害者を含むすべての男性及び女性の、完全かつ生産的な雇用及び働きがいのある人間らしい仕事(ディーセント・ワーク)」の達成が明記されています。

 

障害者が自らの強みや適性を活かせる職務に就き、社内で社会的役割を果たすことは、本人にとって大きな「働きがい」につながります。また、人口減少に伴う深刻な人手不足に直面する現代社会において、障害者を戦力として迎え入れ、適切な配置やICT活用などの合理的配慮を行うことは、労働力の確保や組織全体の生産性向上をもたらします。障害者雇用を通じた多様な働き方の推進は、企業と社会全体の持続的な経済成長を支える原動力となります。

 

「10.人や国の不平等をなくそう」との関連

障害の有無による不当な区別や差別をなくし、対等な社会参加を実現する
「目標10」は、年齢、性別、障害、種族、ルーツ、宗教、経済的状態などにかかわらず、すべての人々が社会的・経済的・政治的に包含(インクルージョン)されることを目指しています。

 

障害者が能力を発揮する機会を等しく得られるよう、車いす用設備の整備や業務ツールの導入といった「合理的配慮」を行うことは、社会的な障壁を取り除く「平等の機会保障」そのものです。企業が障害者雇用を通じて社内の意識改革やバリアフリー化を進めることで、差別や偏見が解消され、誰もが対等に活躍できるインクルーシブな職場環境・社会の実現へと近づきます。

障害者を面接するときに気を付けるべきこととは

障害者を面接するときには、一般の人を面接するときと同じような質問に加えて、障害に関する質問を行う必要が出てきます。

 

まずは仕事に取り組む姿勢や、これまで起こったさまざまな出来事に対してどのように対応してきたかなどの一般的な採用面接で問われる質問ももちろん必要です。

 

それ以外に自分の障害をどのように捉えているか、どのような経緯で障害を負い、現在どのような状況にあるのか、障害を負った後に働いた経験があるか、障害に対して配慮してほしい点はどのようなことかといったこともきちんと把握しておく必要があります。

この時に面接している障害者が、これらの質問にきちんと答えられているかをよく観察する必要があります。

 

障害に関する質問はデリケートなものが多いのですが、これらにきちんと答えられるということは、その障害者が自分の障害をしっかりと受け入れ、向き合えているという証になるからです。

障害に対して配慮してほしい点についてもきちんと答えられるということは、業務遂行に対してまじめに考えているとも言えます。

 

面接に臨む障害者が、障害の種類や程度に関わらず、自身が仕事に臨むうえで可能な事・不可能な事を客観的に捉えているかどうかといった点を重点的に見ることをこころがけるとよいでしょう。

 

「障害者雇用の基礎知識」資料が無料ダウンロードできます

障害者雇用については、「障害者雇用促進法」という法律で義務付けられていますが、障害者雇用促進法には、他にも障害者差別の禁止や合理的配慮の提供の義務などが定められています。

障害者雇用にまつわるメリット・デメリットをはじめ、最低限知っておきたい基礎知識をご紹介します。

 

この資料でわかること
・障害者雇用とは?
・障害者を雇用するメリット
・障害者を雇用しないデメリット
・障害者雇用が進まない企業が抱える課題
・課題を解消するポイント
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▼サンプル

まとめ

ここまで障害者雇用について定めた障害者雇用促進法、障害者雇用を行った際のメリット、障害者雇用を行わなかった際のデメリット、障害者を面接する際の注意点について解説してきました。

 

日本の障害者雇用では、民間企業や国、地方公共団体にとって義務であり、規定の人数の障害者を雇用しない場合には障害者雇用納付金を納める必要もあります。

 

一方で、法律に捉われずに障害者雇用を考えた場合、積極的に障害者雇用を推進していくことは、会社内の多様性を認め合い、助け合いの精神をはぐくむためにとても重要な事です。

 

障害・障害者に対するしっかりとした知識を持って障害者雇用を行い、積極的に社会貢献ができる企業づくりに役立てていきたいものです。


OUR PHILOSOPHY

「誰もが自分らしくワクワクする人生」を目指して。

私たちゼネラルパートナーズは、2003年の創業から20年以上にわたり、2,000社を超える企業様と向き合い、1万件以上の障害者雇用を支援してきました。

障害を「よく知らない」ことから生まれる差別や偏見の壁を壊していくことで、活躍の機会が生まれ、人材不足の解消やDE&Iの浸透にもつながると信じています。

人材紹介・求人サイト・スカウト・面接会・総合コンサルティングなど、幅広いサービスの提供を通して、新たな価値や機会を創造することに挑戦し続けます。

株式会社ゼネラルパートナーズ

障害者採用の成功への3ステップガイド

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ライター:atGPLABO編集部(監修:戸田重央)

障害者専門の人材紹介として15年以上の経験とノウハウを活かし、障害者の雇用、就労をテーマとした情報発信活動を推進しています。

【監修者:戸田 重央プロフィール】
株式会社ゼネラルパートナーズ 障がい者総合研究所所長。

企業の障害者雇用コンサルタント業務に携わった後、2015年より聴覚障害専門の就労移行支援事業所「いそひと」を開所、初代施設長に。
2018年より障がい者総合研究所所長に就任。新しい障害者雇用・就労の在り方について実践的な研究や情報発信に努めている。

その知見が認められ、国会の参考人招致、新聞へのコメント、最近ではNHKでオリパラ調査で取材を受ける。
聴覚障害関連で雑誌への寄稿、講演会への登壇も多数。

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