障害者雇用の仕事内容はどんなもの?職場を選ぶ際のポイントもご紹介
更新日:2025年03月13日
障害者雇用とは、事業者が障害のある方を対象とした雇用枠を設けて、障害者を採用する制度です。障害者雇用で働く場合、「障害に対する合理的配慮が受けやすい」「周囲からの理解が得られやすい」などのメリットがあります。では、どのような業界や職種で障害者雇用が多いのでしょうか。障害者雇用での求人の探し方や職場選びのポイントと合わせて解説します。
目次
障害者が雇用されやすい業界と職種
障害者雇用では、どのような産業や職業で雇用されている方が多いのでしょうか。ここでは厚生労働省が公表した「令和5年度 障害者雇用実態調査の結果」から、障害者の種別ごとに雇用数の割合が多い産業と職業を紹介します。
身体障害者
産業別に身体障害者の雇用割合を見ると、「製造業」が最も多く、次いで「卸売業・小売業」、「サービス業」となっています。
1位:製造業(21.3%)、2位:卸売業・小売業(21.2%)、3位:サービス業(14.9%)
職業別に身体障害者の雇用割合を見ると、「事務的職業」が最も多く、次いで「生産工程の職業」、「サービスの職業」となっています。
1位:事務的職業(26.3%)、2位:生産工程の職業(15.0%)、3位:サービスの職業(13.5%)
知的障害者
産業別に知的障害者の雇用割合を見ると、「卸売業・小売業」が最も多く、次いで「製造業」、「サービス業」となっています。
1位:卸売業・小売業(32.9%)、2位:製造業(15.4%)、3位:サービス業(13.2%)
職業別に知的障害者の雇用割合を見ると、「サービスの職業」が最も多く、次いで「運搬・清掃・包装等の職業」、「販売の職業」となっています。
1位:サービスの職業(23.2%)、2位:運搬・清掃・包装等の職業(22.9%)、3位:販売の職業(16.8%)
精神障害者
産業別に精神障害者の雇用割合を見ると、「卸売業・小売業」が最も多く、次いで「製造業」、「サービス業」となっています。
1位:卸売業・小売業(25.8%)、2位:製造業(15.4%)、3位:サービス業(14.2%)
職業別に精神障害者の雇用割合を見ると、「事務的職業」が最も多く、次いで「専門的、技術的職業」、「サービスの職業」となっています。
1位:事務的職業(29.2%)、2位:専門的、技術的職業(15.6%)、3位:サービスの職業(14.2%)
発達障害者
産業別に発達障害者の雇用割合を見ると、「卸売業・小売業」が最も多く、次いで「サービス業」、「製造業」となっています。
1位::卸売業・小売業(40.5%)、2位:サービス業(14.6%)、3位:製造業(10.2%)
職業別に発達障害者の雇用割合を見ると、「サービスの職業」が最も多く、次いで「事務的職業」、「運搬・清掃・包装等の職業」となっています。
1位::サービスの職業(27.1%)、2位:事務的職業(22.7%)、3位:運搬・清掃・包装等の職業(12.5%)
障害者雇用に向いている仕事内容
前章では、障害のある方が多く雇用されている産業や職業を厚生労働省の調査結果から紹介しました。では、具体的にどのような仕事内容が障害のある方に向いているのでしょうか。
身体障害者
身体障害の方は、障害の特性から動作や移動が制限される方が多いです。そのため、デスクワークなど身体的な負担が少ない仕事や移動が少ない仕事が向いているといえます。
具体的には次のような仕事がおすすめです。
企業によっては「在宅勤務」が可能な場合もあるので、障害によって通勤が難しい場合は、「在宅勤務」を希望してみましょう。
知的障害者(含む発達障害者)
知的障害は、「軽度」「中度」「重度」「最重度」の4つに分けられています。一般的には、「知能水準」と「日常生活能力(自立機能、運動機能、意思交換、移動など)の到達水準」を基に判定されています。
・軽度の知的障害の方に向いている仕事
同じ「軽度」であっても、一人ひとり個人差があり「得意なこと」や「苦手なこと」は人それぞれ異なります。しかし、一般的には次のような仕事が向いていると言えるでしょう。
・中度~最重度の知的障害の方に向いている仕事
中度~最重度知的障害の方も、「得意なこと」や「苦手なこと」は人それぞれ異なります。軽度の方と同様に個々の特徴に合わせて、卸売業・小売業や製造業、サービス業などで働くことは可能です。
また、一般企業で働くことが難しい場合には「就労継続支援事業所」で働く方法もあります。
精神障害者
精神障害には、「統合失調症」「気分障害」「依存症」(症状により「てんかん」「高次脳機能障害」なども)の種類があり、それぞれ特性が異なります。そのため、一括りにこのような仕事内容が精神障害の方に向いているとは言えませんが、次のような条件の仕事に就いている方が多いようです。
障害者雇用での仕事探し
障害者雇用の求人を探す方法には、どのようなものがあるのでしょうか。主な方法を紹介します。
ハローワーク
ハローワークは正式名を公共職業安定所といい、仕事を探している人や求人を行う事業主に、さまざまなサービスを提供する国の機関です。ハローワークには、「障害専用窓口」が設置されており、障害者の就職活動を支援するため、障害について専門的な知識を持った職員や相談員が、就職に関する相談に対応してくれます。
対象となるのは、障害や難病で長期にわたって、職業生活に相当の制限を受け職業生活を営むことが著しく困難な人で、障害手帳を持っていなくても利用できます。
障害者に特化した求人情報サイトや就職エージェント
求人情報サイトは、サイト上にたくさんの企業が求人広告を掲載して、それを見た求職者が応募できる仕組みのサービスです。基本的に求職者は無料で利用でき、職種や勤務地など仕事に関するキーワードを入力すると、多数の求人の中から条件にマッチした求人情報が表示されます。求人情報サイトの中には、障害者の求人に特化したサービスもあります。
就職エージェントは、専任の担当者が就職活動のサポートを行うサポートです。個別相談を通じて、その人にマッチした求人を紹介してくれます。また、求人紹介だけでなく履歴書の添削や面接指導など、幅広いサポートが受けられます。就職エージェントには、障害のある方に特化したサービスもあります。
就労移行支援
就職することに対して自信が無かったり不安な場合には、就労移行支援を利用するのもよいでしょう。就労移行支援は、一般就労を希望する障害のある方を対象に、働くために必要なスキルや知識を身につけるトレーニングや、就職活動のサポートを行う障害福祉サービスです。
障害者が職場を選ぶときのポイント
障害のある方が職場を選ぶときに、確認しておくべきポイントを紹介します。
障害に理解がある職場を選ぶ
障害に対する理解がある職場を選ぶことで、さまざまな配慮が受けられる可能性があります。配慮を受けられることで、働きやすい環境が整い安定して働くことができます。障害に理解があるかどうかは、次の点で判断できます。
・障害者雇用の実績があるか
障害者雇用の実績があり、障害者が長く勤めている職場は、障害者に対する理解があると考えられます。可能であれば実際に働いている方から、直接話を聞くと良いでしょう。
・企業理念や経営方針を確認する
企業理念や経営方針を見ることで、その企業が障害者雇用にどの程度積極的に取り組んでいるか判断できます。また、企業の会社案内や公式サイトなどに、障害者雇用に対する取り組みが記載されている場合は、障害に対する理解が高いと考えられます。
職場環境やサポート体制を確認する
障害のある方が働きやすい環境や困った時に相談できるサポート体制などが整備されているかを、職場見学をして確認しましょう。
自分の障害について理解する
自己分析を行って、自分の障害特性や長所・短所、できることできないことを十分に理解して、説明できるようにしておきましょう。企業に自分について詳しく伝えることで、適切な配慮を受けやすくなります。