ケアレスミスが多いのは病気?ADHDのある方向け対策
更新日:2025年10月23日
「ADHD」の方は、仕事でケアレスミスをしてしまうことがよくあります。ミスをするのは「不注意」と「多動性・衝動性」といった「ADHD」の特性が影響している部分もありますが、対策をすることで減らすことができます。本記事では「ADHD」の方が仕事でやりがちなミスやケアレスミスを起こさないための対策、「ADHD」に向いている仕事などについて解説します。
目次
仕事でやりがちなミス
完璧な人間はいません。どんな優秀な人でも、どんなに経験が豊富な人でも、仕事でミスをしてしまうことはあります。
人材支援サービスの株式会社ビズヒッツは、働く男女500人を対象に「仕事でやりがちなミスに関する意識調査」を実施して結果を公表しました。
この調査結果によると、「仕事でやりがちなミス」の上位7位までは以下の通りです。
1位:入力ミス・書き間違い
2位:やるべきことを忘れる
3位:確認不足・見落とし
4位:連絡・報告漏れ
4位:作業・操作ミス
6位:思い込みで仕事を進める
7位:見間違い・聞き間違い
ケアレスミスの多さと病気との関係
アンケート結果で多かった「仕事でやりがちなミス」のほとんどは、ケアレスミスです。ケアレスミスとは、注意不足や不注意が原因で起こる些細なミスのことです。ケアレスミスは、十分に注意すれば防ぐことができます。
しかし、「ADHD」の特性がケアレスミスの頻度に影響している可能性もあります。「ADHD」の特性には「不注意」と「多動性・衝動性」があり、どの特性が強く現れるかで「不注意優勢型」「多動性・衝動性優勢型」「混合型」の3つのタイプに分けられます。
不注意優勢型とケアレスミス
「不注意優勢型」の方は、ひとつのことに集中することが難しい、気が散りやすい、物事を順序だてて考えることができないなどの特性があり、これらが仕事でケアレスミスにつながる場合があります。
多動性・衝動性優勢型とケアレスミス
「多動性・衝動性優勢型」の方は、「じっとしていることが難しい」「衝動的な感情や行動を抑えることが苦手」といった特徴があります。そのため仕事では、 確認せずに進めてしまう、作業に飽きてしまう、確認できないなどが原因でケアレスミスにつながることがあります。
大人になってからADHDに気づくこともある
「ADHD」などの発達障害は、神経発達の特性により生じるものであるため、大人になってから発達障害になるわけではありません。
多くの場合、「ADHD」の特性は子どもの頃から現れています。子どもの頃は、特性を個性としてとらえたり、周囲がフォローするため、家族や本人も「ADHD」と気づかずに大人になることがあります。しかし、就職すると仕事でミスを多くするようになり、その時に初めて「ADHD」に気づくケースがあります。
自分が「ADHD」かどうか知るには、セルフチェックを行う方法があります。セルフチェックは、自分自身の症状を把握する参考になりますが、あくまで目安にとどまります。「ADHD」の疑いがある場合には、専門医を受診して正確な診断を受けることが重要です。
ADHDのケアレスミス対策
前章で説明した通り、「ADHD」の方は、その特性から仕事でケアレスミスを起こしやすい傾向があります。しかし、次のような対策をすることで、ミスを減らすことができます。
優先順位を決めて1つずつ終わらせる
「ADHD」の方は、物事に優先順位をつけて作業を進めるのが苦手な場合があります。やるべき仕事が複数ある場合には、上司や先輩などに確認して優先順位をつけます。タスクをリストにして、一つずつ順番に作業するとスムーズに進行できます。
置く場所を決める
「ADHD」の方は、片付けや整理整頓が苦手な傾向があるため、必要なものがすぐに見つけられなかったり、大切な書類や資料を失くしてしまうことがあります。そのようなミスを防ぐには、物を置く場所を決めるようにしましょう。
確認を必ずする
確認をすることで仕事のケアレスミスは防げます。しかし「ADHD」の方は、特性である不注意のため、確認作業を忘れてしまうことがあります。どんな細かなことでも、必ず確認する習慣をつけましょう。
ADHDの人が仕事を選ぶときのポイント
前章で紹介した対策を行っても、「ADHD」の特性によってケアレスミスをしてしまうことがあるかもしれません。「ADHD」の方が仕事を選ぶ際のポイントは、自分の特性を理解して、その特性を活かせる仕事を選ぶことです。
発想力や独創性が活かせる業務を選ぶ
「ADHD」の特性は短所ばかりではありません。発想力がありクリエイティブなのは「ADHD」の方の大きな長所です。この長所を活かせる仕事には、デザイナーやイラストレーター、コピーライターなどがあげられます。
働き方に自由度のある会社や業務を選ぶ
「ADHD」の方は、時間管理やスケジュール管理が苦手です。この特性を補うにはフレックス制度やリモートワークなど、働き方に自由度がある会社や仕事を選ぶのがおすすめです。また、自分の興味がある仕事や得意分野を活かせる仕事にも向いています。
ADHDの人が支援を受けるには
「ADHD」の方は、仕事だけでなく日常生活や人間関係などでも多くの悩みを抱えることがあります。そんな時に、支援が受けられる場所や福祉サービスを紹介します。
発達障害者支援センター
「発達障害者支援センター」は、発達障害のある方への支援を総合的に行う専門的な機関です。発達障害者と家族が豊かな地域生活を送れるように、保健、医療、福祉、教育、労働などのさまざまな関係機関と連携してさまざまな相談に応じています。
障害者就業・生活支援センター
「障害者就業・生活支援センター」は、障害者の職業生活の自立を目的として、雇用や保健、福祉、教育など地域のさまざまな関係機関と連携して、就業面と生活面を一体的に支援する機関です。
就労移行支援事業所
「就労移行支援」は、障害者総合支援法に定められた障害福祉サービスの一つで、一般企業に就職を希望する障害のある方たちに、就職に必要なスキルや知識を習得や就職活動、職場定着のサポートを行っています。
障害の特性に合わせたコース制の就労移行支援
「atGP(アットジーピー)ジョブトレ」は、障害者の転職サービス業界No.1の「atGP」が運営する就労移行支援サービスです。
「うつ病コース」「発達障害コース」「統合失調症コース」「聴覚障害コース」「難病コース」の障害に特化したコース制なので、自分の強みや特性を活かしながら、働き続けるための知識が身につきます。
また、障害者の就職のプロに相談しながら進める「atGPエージェント」や自分で障害者向けの求人を探す「atGP転職」など、「atGP」の他のサービスも活用することで就職の可能性が広がります。
まとめ
「ADHD」の方は、「不注意」と「多動性・衝動性」の特性を持っているため、仕事でケアレスミスをしてしまうことがあります。しかし、対策を行うことでミスを減らすことができます。また、自分の特性が活かせる会社や仕事を選ぶことが大切です。なお、「ADHD」かどうか気になる場合は、専門医への相談をお勧めします。