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ナルコレプシーの症状・原因・治療法・仕事との関わり方

更新日:2024年10月22日

仕事中に耐えられないような強い眠気に襲われる。気づいたら居眠りしている。そんな症状がある方は「ナルコレプシー」の可能性があります。「ナルコレプシー」は、睡眠障害の一種です。一般的にはあまり知られていないため、本人が病気だと自覚していないまま過ごしているケースもあります。本記事では「ナルコレプシー」の症状や原因、診断方法、治療法、職場で注意すべき点などについて解説します。

ナルコレプシーとは?

「ナルコレプシー(Narcolepsy)」は、耐え難いような過度の日中の眠気や、歩行中や食事中など通常は寝ることがない状況で居眠り(睡眠発作)を特徴とする睡眠障害です。1880年にフランスの医師ジェリノー氏によって名付けられました。ナルコ(Narco)は「眠り」、レプシー(Lepsie)は「発作」という意味です。日本では「居眠り病」と呼ばれています。

思春期から青年期(〜30代)までに発症するケースが多く、発症に男女差はありません。情動脱力発作を伴う「ナルコレプシー」の日本人における有病率は、およそ600人に1人と報告されています。

 

頭部外傷や手術、大出血、ウイルス感染など、大きな身体的社会的ストレスが加わった直後に発症するケースがあります。原因については、はっきりわかっていませんが、ナルコレプシーの患者さんは、脳脊髄液中のオレキシンという物質の濃度が非常に低いとされています。これは脳の視床下部にあるオレキシンを作る細胞の働きが低下していることが関係していると考えられています。

ナルコレプシーの症状

ナルコレプシーの主な症状には、次のようなものがあります。

 

日中の過度の眠気

最も基本的な症状は日中の過度の眠気です。食事中や歩いている最中、大事な試験や商談中、上司との会話中など、普通の人であれば居眠りなどしない状況でも眠ってしまいます。

 

多くの場合は十分に睡眠をとっても眠気が軽減しません。ほとんどの患者さんは、時刻を問わず前触れもなしに起こるコントロールできない突然の眠気(睡眠発作)に襲われます。眠らないようにと頑張っても、短時間で眠りに落ちてしまいます。

 

情動脱力発作

喜怒哀楽など突発的な感情の高まりが引き金となって、意識消失を伴わない筋力低下が一時的に起こることがあります。これを「情動脱力発作」と呼んでいます。発作の症状は、急に腰や膝が折れたり、持っているものを落としたり、顎や頬が緩むなどです。発作が起こる時間は通常は1〜2秒程度で、長くても数分で回復します。

 

睡眠麻痺

「睡眠麻痺」は、入眠時または睡眠から覚醒した時に、数秒から数分間、体を動かそうとしても動かすことができなくなる現象で、日本では金縛りと呼ばれる状態です。筋肉が弛緩し体に力が入らない「レム睡眠」の時に、脳だけが突然目覚めることによって発生すると考えられています。 睡眠麻痺は、ナルコレプシーの患者の4人に1人にみられます。

 

幻覚

寝入りばなや目覚めるときに、実際には存在しない物や音を鮮明に感じる幻覚を見ることがあります。寝入りばなに起こる幻覚を「入眠時幻覚」、目が覚めた時に起こる幻覚を「出眠時幻覚」といい、ナルコレプシー患者の約3分の1に、入眠時幻覚が見られます。

 

夜間の睡眠障害

ナルコレプシーの患者は、夜間に何度も目が覚めてしまい、一夜を通して眠り続けることはあまりありません。その結果、寝てもすっきりとした感覚が得られず、日中はさらに眠たくなる可能性があります。

ナルコレプシーの診断方法

前章で紹介したような症状があっても、他の病気の可能性もあります。そのため、医師がナルコレプシーの診断をする際には、次の検査を行います。

 

睡眠ポリグラフ検査

脳波や筋電図、心電図、眼電図、鼻の気流、酸素飽和度、胸郭と下肢の動きなどを一晩中計測します。

この検査によって、眠気の原因となる睡眠時無呼吸症候群や周期性四肢運動障害など、他の睡眠障害を除外することができます。また、ナルコレプシーの方にみられる特徴的な脳波の有無を確認します。

 

睡眠潜時反復検査

日中の眠気の重症度を評価するための検査です。2時間ごとに20分間の仮眠テストを5回行い、睡眠に入るまでにかかる時間(睡眠潜時)を測定します。また、睡眠ポリグラフ検査により、レム睡眠が起こったかどうかを判定します。ナルコレプシーの患者さんは、少なくとも2回のレム睡眠がみられます。

ナルコレプシーの治療法

ナルコレプシーを根治する治療法はありませんが、夜に十分な睡眠を取ることや、覚醒状態を維持する薬は効果があるとされています。

 

非薬物療法

一般的な対策としては、規則正しい生活習慣を心がけ、夜に十分な睡眠を取ることが大切です。また、毎日同じ時間(午後)に(10〜30分程度)の短い昼寝をするようにします。情動脱力発作がある方は、笑いや怒り、恐怖など、発作を誘発する刺激を避けるようにしましょう。

 

薬物療法

日中の眠気を軽減するには精神刺激薬という覚醒を高める薬を使用します。精神刺激薬は、脳の大脳皮質を刺激して覚醒水準を高めます。精神刺激薬には交感神経刺激作用があるため、服用開始時には動悸、口の渇き、胃の不快感、食欲抑制、頭痛、不安、焦燥感などの副作用が出ることがあります。

ナルコレプシーの症状が出てる人の職場での対策

日中の過度な眠気など、前章で紹介したような症状が出ている人は、職場でどのような対策をしたら良いのでしょうか。

 

医師に相談する

睡眠障害と言っても、ナルコレプシー以外に不眠障害や睡眠呼吸障害、過眠症、概日リズム睡眠障害などさまざまな種類があり、それぞれ原因や症状、対策が異なります。ナルコレプシーの症状に当てはまるからといって、自己判断せず必ず専門医の診断を受けましょう。

 

職場に伝えておく

ナルコレプシーの主な症状である日中の眠気は、自分では制御できないほど過度な眠気です。気持ちの問題でなんとかできるというわけではありませんが、周囲の人から「怠けている」と周囲から誤解されることがあります。誤解を避けるため、症状について職場の人たちに伝えておきましょう。

 

夜に十分な睡眠を取るために、残業やシフトの配慮が必要であれば、主治医と相談して職場に伝えましょう。睡眠発作が出た時には、10〜30分程度の昼寝をすると症状が軽減されます。休憩時間の取り方についても相談してみましょう。

 

業務内容への配慮を求める

自動車の運転、機械作業、高所作業、危険物の取り扱いなどの業務は、睡眠発作が突然起こると危険や事故が予想されます。職場に症状についての理解を求め、業務の変更を検討してもらいましょう。

 

日中の眠気は精神刺激薬で症状を軽減できます。適切なタイミングで服薬や通院ができるように、職場に配慮を求めることも大切です。

ナルコレプシーの人に向いている仕事や職場環境

ナルコレプシーの人には、短時間の昼寝が有効です。そのため、仕事量や時間を自分で調整しやすい仕事や職場環境が向いています。

 

フリーランス

フリーランスは、企業に雇われることなくスキルや専門性を活かして、クライアントから直接業務を請け負います。職種には、ITエンジニアやWEBライター、WEBデザイナー、イラストレーター、カメラマンなどがありますが、納期まで成果物を納品するフリーランスの働き方であれば、自分で時間を調整しやすいでしょう。

 

フリーランスは、自宅で仕事をするケースが多く、休憩や昼寝の時間を取りやすいといったメリットがあります。

 

デスクワーク

事務職やデータ入力・プログラマーなどのデスクワークの仕事は、身体的な負担が少なく、比較的自分のペースで仕事をすることができるためナルコレプシーの方に向いていると言えるでしょう。

 

ナルコレプシーの方に向いていない仕事

ナルコレプシーは突然眠気に襲われるため、常に集中することが必要な自動車の運転や機械作業、危険物の取り扱いなどの仕事には向いていません。睡眠発作が起こると重大な事故を引き起こす可能性があります。

ナルコレプシーの人が利用できる支援機関

ナルコレプシーの方が利用できる支援機関を紹介します。

 

就労移行支援事業所

就労移行支援は、企業などで働きたい障害や難病のある方に、さまざまなサポートを行う福祉サービスです。就労移行支援は、事業所に通って就職に必要なスキルや知識を身につけます。スケジュールに沿って、事業所に通うことで、生活のリズムを整えることができます。

 

ナルコレプシーだけで障害者手帳を取得するのは難しいですが、障害者手帳がなくても就労移行支援事業所を利用できる可能性があるので、まずは相談してみましょう

 

なお、うつ病が重度のケースでは精神障害者手帳を取得できることがあります。精神障害者手帳を取得した方は、ハローワークや障害者就業・生活支援センターなどで就職に向けた支援を受けられます。

atGPについて

「atGP(アットジーピー)」は、障害や難病のある方の就職・転職を総合的にサポートするサービスです。自分に合った求人を検索できる他、障害者の就職転職のプロが二人三脚でサポートするサービス、自分に合ったスカウトを受け取れるサービス、働き続けるためのスキルが身につく就労移行支援サービスが用意されてます。

 

「atGPジョブトレ」は、うつ病・発達障害・統合失調症・聴覚障害・難病の5つの障害に特化したコース制の就労移行支援サービスです。障害別のコース制だから、自身の障害とうまく付き合いながら働き続けるスキルが身につきます。

まとめ

「ナルコレプシー」は、睡眠障害の耐え難いような過度の日中の眠気や、歩行中や食事中など、通常は寝ることがない状況で居眠り(睡眠発作)してしまうのが主な特徴です。「ナルコレプシー」の方は、規則正しい生活習慣を心がけ、夜に十分な睡眠を取ることが大切です。

日中の眠気は、精神刺激薬で症状を軽減できますが、自動車の運転や高所作業、危険物の取り扱いなどの業務は、発作が起こると危険や事故が予想されます。医師から「ナルコレプシー」と診断されたら、職場に伝えて業務内容の変更や休憩時間などの配慮をお願いしてみましょう。

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ライター:atGPLABO編集部(監修:戸田重央)

障害者専門の人材紹介として15年以上の経験とノウハウを活かし、障害者の雇用、就労をテーマとした情報発信活動を推進しています。 【監修者:戸田 重央プロフィール】 株式会社ゼネラルパートナーズ 障がい者総合研究所所長。 企業の障害者雇用コンサルタント業務に携わった後、2015年より聴覚障害専門の就労移行支援事業所「いそひと」を開所、初代施設長に。 2018年より障がい者総合研究所所長に就任。新しい障害者雇用・就労の在り方について実践的な研究や情報発信に努めている。 その知見が認められ、国会の参考人招致、新聞へのコメント、最近ではNHKでオリパラ調査で取材を受ける。 聴覚障害関連で雑誌への寄稿、講演会への登壇も多数。

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