適応障害で退職!伝え方や流れ・確認すべきポイント
更新日:2024年09月20日
適応障害はストレスが原因で発症する病気です。症状によっては、日常生活だけでなく仕事を続けるのが困難になる場合もあります。そこで本記事では、適応障害で退職を決意する前にできる対策、適応障害で退職をする流れ、退職後に後悔しないように確認すべきポイントなどについて紹介します。
目次
適応障害とは
適応障害は、ストレスが原因でさまざまな精神的・身体的な症状が起こる病気です。仕事や恋愛、人間関係、病気、家庭などの状況や出来事が、その人にとって「とても辛い」「耐えがたい」とストレスを感じて、その結果として気持ちや身体面に症状が現れ、健康的な生活ができていない状態を言います。
適応障害の主な症状には、不眠や喉の異物感・胸の圧迫感・息苦しさ・動悸・手足や口の周りのしびれ・吐き気・咳・難聴・食欲低下など人によってさまざま形で現れます。
ストレスの原因も、個人的なものから災害など地域全体に関わることまでさまざまですが、適応障害の場合は、ストレスの原因がはっきりしているため、その原因から離れると症状は次第に改善していきます。しかし、ストレスの原因を取り除けない状況の場合には、症状が慢性化することもあります。
「どうやって仕事を探せばいいんだろう・・」そんなあなたには簡単1分でタイプ別にわかる!仕事の探し方診断がおすすめです。
→【LINEおともだち追加】で診断してみる
適応障害で退職を決意する前にできる対策
働いている人が、適応障害を発症する典型的な例としては、長時間労働やパワハラなどのストレスを我慢しすぎて調子を崩してしまうケースです。
職場や仕事のストレスが原因で適応障害を発症してしまった場合、辛くて会社に行けなくなってしまうことがあります。中には退職することを考える方もいることでしょう。この章では適応障害で退職を決意する前にできる対策について紹介します。
精神科・心療内科を受診する
適応障害の初期は、多くの方が気分が落ち込んだり、眠れないなどの不調を感じます。軽い抑うつ状態であっても、次第に重症化してしまうことがあるので注意が必要です。職場や仕事のストレスが原因で、精神的・身体的な症状が現れた場合には、精神科や心療内科など専門医に相談しましょう。
また、労働者が50人以上の企業には、産業医を選任することが法律で定められています。産業医がいる場合には、産業医に相談する方法もあります。
抑うつ気分や不安、不眠などの症状があってうつ病に近い状態の場合には、症状に応じて抗うつ薬や安定剤、睡眠薬などが処方されることがあります。また心理療法や精神療法が適応障害の症状改善に効果があるケースもあります。
休職をする
適応障害の症状を改善するには、「休養」と「環境調整」が有効です。職場のストレスが原因で適応障害を発症してしまった場合には、仕事から離れてしっかりと休む「休職」によって症状の改善が期待できます。休職が必要かや復職のタイミングについても、主治医や産業医に相談してみましょう。
上司に相談する
職場や仕事でのストレスが原因の場合には、配置転換や短時間労働など働く環境を変えることで、症状が良くなることがあります。上司に自身の症状を説明して、ストレスを感じにくい働き方ができないか相談してみましょう。また、診断書に部署や配置を変えることが望ましいと記載してくれる場合もあります。主治医に相談してみましょう。
職場以外に相談する
ストレスの原因によっては、職場の上司に相談しづらい場合もあることでしょう。その時には外部の相談先を利用するのがおすすめです。
・労働条件相談ほっとライン
労働条件相談ほっとラインは、違法な時間外労働や過重労働など労働基準関係法令に関する問題について、専門知識を持った相談員が、相談対応や各関係機関の紹介などを行う電話相談です。誰でも無料で利用できます。
ホームページ:https://www.check-roudou.mhlw.go.jp/lp/hotline/
・法テラス
法テラスは、法律問題を解決するために国が設立した総合案内所です。職場や労働に関する相談も受け付けています。
ホームページ:https://www.houterasu.or.jp/
適応障害で退職する時の流れ
前章で紹介した対策をしても、適応障害の症状が改善されず、現在の会社で働き続けることが困難な場合には、退職や転職を決断するケースもあるでしょう。
主治医や産業医に相談する
抑うつ状態など精神的に安定していない状態では、重要な決断を急がないことが重要です。
休職を取ってゆっくり休養した上で、家族や主治医・産業医に相談しましょう。
退職の意思を上司に伝える
退職を決断した場合、まずは直属の上司に退職の意思を伝えます。その際には、退職の意思と退職の理由、希望する退職日、自分が関わっている業務の状況などを話します。強く引き止められるケースもあるかもしれませんが、大切なのは退職の意思が固いことを伝えることです。
職場のルールに沿って手続きする
企業によって退職する日の何日前までに、退職の意思を伝える必要があるかが異なります。一般的には1カ月前〜3カ月前ですが、就業規則に記載されているので事前に確認しておきましょう。
退職の希望が受け入れられたら、その後は職場のルールに沿って、業務の引継ぎや雇用保険や年金、税金など退職の手続きを進めます。
「どうやって仕事を探せばいいんだろう・・」そんなあなたには簡単1分でタイプ別にわかる!仕事の探し方診断がおすすめです。
→【LINEおともだち追加】で診断してみる
退職を後悔しないよう退職前に確認すべきポイント
退職は人生における重大な決断です。退職してしまってから後悔しないように、次のポイントについて事前に確認しておきましょう。
自身の経済状況を把握する
現在の職場を退職して、すぐに転職先が見つからないと、無収入の状態が続くことになります。貯金が底をつけば、生活するのに必要な費用を払うことができません。退職金が支給されるかや現在の貯蓄の状況など現在の資産、家賃や光熱費・通信費・食費などの支出額を正確に把握しておきましょう。
適応障害でも受けられる支援制度を確認する
適応障害が理由で退職した場合でも、受けられる支援制度があります。退職前に確認しておきましょう。詳しくは次の章で紹介します。
適応障害でも受けられる経済支援制度
適応障害によって休職や退職をすると、経済面で大きな不安を持つことになります。その不安がストレスとなり、適応障害の症状が重くなることもあるので、支援制度を積極的に利用しましょう。
傷病手当金
傷病手当金は、病気やけがで休業中に健康保険の被保険者と家族の生活を保障するために設けられた制度です。病気やけがによって働くことができず、会社から十分な報酬が受けられない場合に支給されます。
会社を休んだ日が連続して3日間あったうえで、4日目以降の休んだ日に対して支給されます。 ただし、休んだ期間に会社から傷病手当金の額より多い報酬額の支給を受けた場合には、傷病手当金は支給されません。
支給される1日あたりの金額は、基本的に「支給開始日の以前12ヵ月間の各標準報酬月額を平均した額」÷30日×(2/3)で計算されます。
失業手当(基本手当)
失業手当とは、雇用保険の被保険者の方が、離職して失業中も生活を心配しないで、新しい仕事を探し、1日も早い再就職を目指すために支給されるものです。一般的には失業手当や失業保険と呼ばれていますが、制度上の正式名は基本手当です。
失業手当を受給するために必要な要件は、次の3つです。
・雇用保険に加入し、保険料を支払っている
・離職の日以前2年間に12カ月以上の雇用保険の被保険者期間がある(特定受給資格者等の場合は離職の日以前1年間に6カ月以上) ・ハローワークで求職の申込みを行い、就職する積極的な意思があり、いつでも就職できる能力があるにもかかわらず、職業に就くことができない失業状態にあること |
自立支援医療制度(精神通院医療)
自立支援医療制度は、心身の障害を除去・軽減するための医療について、医療費の自己負担額を軽減する公費負担医療制度です。対象となるのは、更生医療・育成医療・精神通院医療で、適応障害やうつ病、躁うつ病などの気分障害、パニック障害、強迫性障害などの精神疾患の方は精神通院医療の対象となる可能性があります。
自立支援医療制度を利用するには、指定自立支援医療機関(受給者証に記載された医療機関)で治療や調剤、訪問看護などを受ける必要があります。
生活保護制度
生活保護制度は、さまざまな理由によって生活に困窮している人に対して、健康で文化的な最低限度の生活を保障し、自立した生活ができるよう援助する制度です。世帯の収入だけでは、国が定める最低生活費に満たない場合に受けられます。その場合は、不足する額を保護費として支給し最低生活を保障します。
適応障害でも利用できる就労支援機関
適応障害で現在の職場を退職した後、新たな働き先を見つける際に利用できる機関やサービスを紹介します。
ハローワーク(公共職業安定所)
ハローワークは、仕事を探している人に対して職業紹介や求職相談、雇用保険の手続きなどさまざまなサポートを無料で行う、国が運営するサービス機関です。厚生労働省が所管していて全国に500か所以上設置されています。
ハローワークには、障害者関連の窓口があり、障害について専門知識のあるスタッフが、キャリアや転職の相談、職業紹介などサポートしてくれます。失業手当を受けるための手続きもハローワークで行いますので、退職したらまず最初に相談に行きましょう。
障害者就業・生活支援センター
障害者就業・生活支援センターとは、障害のある人の「仕事」と「生活」を一体的に支援する公的機関です。
利用できるのは障害のある人で、具体的には、身体障害・知的障害・精神障害・発達障害のある人や難病の人などで、就労を希望またはすでに就労されている方が対象です。
原則、障害者手帳を取得している人や申請中の人が対象ですが、手帳がなくても日常生活や社会生活に困難を抱えている場合には、利用できることもあるので、障害者就業・生活支援センターに相談してみましょう。
就労移行支援
就労移行支援は、障害のある人が一般企業に就職して、安定して働き続けられるようにトレーニングやサポートを提供する、障害者総合支援法に基づくサービスです。利用できるのは「65歳未満の人」「障害や難病がある人」「一般就労を希望している人」です。
障害別コース制の就労移行支援サービス
「atGP(アットジーピー)ジョブトレ」は、「うつ病コース」「発達障害コース」「統合失調症コース」「聴覚障害コース」「難病コース」の5つの障害に特化したコース制の就労移行支援サービスです。
障害別コース制なので、それぞれの障害に特化したプログラムやサポートで、自身の障害と付き合いながら働き続けるスキルが身につきます。また、就職活動のサポートや職場定着のサポートも受けられます。
また、障害者の転職サービス業界No.1の「atGP(アットジーピー)」では、自分で求人を探す検索サービス、障害者の就職・転職に精通したキャリアプランナーが条件にマッチした求人を紹介するサポート、マッチした求人情報を紹介するサービスがあり、自分のスタイルに合わせて就職・転職活動が進められます。