聴覚障害者にプログラミングは向いている?プログラマーのお仕事と適性について
更新日:2023年08月03日
「聴覚障害があるけど、プログラマーになれる?」という疑問を持っておられる方もいらっしゃるかもしれません。プログラマーに限ったことではありませんが、会話でのコミュニケーションに問題がある場合、飲食などの接客業のような他者と話すことが不可欠な業種よりはIT関係などの専門職の方が1人でできる業務が多く、ストレスが少ないと言えるでしょう。そういう意味では、プログラマーはパソコンにプログラム入力をすることがメインの専門職ですので、聴覚障害があってもやりやすい仕事です。逆に言うと、障害の有無に関わらず、プログラマーという仕事に適性があるかどうかが重要です。この職種と自分の適性を十分に理解したうえでスキルを習得し、就職していただきたいと思います。ぜひ、ご参考にしてください。
目次
プログラミングとは
プログラマーはコンピューターを動かす「プログラム言語」を用いてさまざまなシステムやソフトウェアを作ること、つまりプログラミングをすることが主な業務となります。プログラムを作ることをプログラミングと言い、キーボードなどでプログラム言語を使い、ソースコードを入力することをコーディングと言います。
プログラマーだけでなく、その上位職である各種エンジニアやWebデザイナーなどでもプログラミングスキルを活かすことができますので、発展性のあるスキルと言えるでしょう。
プログラマーの仕事の特徴
他者とのコミュニケーションが少ない
プログラマーは基本的にパソコンに向かってコーディングをする作業やシステム構築などを行う仕事です。他者とのコミュニケーションが少なく、他者と関わることがストレスであったり、コミュニケーションが難しい障害がある方には魅力的な職業と言えます。
もちろん、事業所に就職すれば、上司や同僚がいますから、最低限のコミュニケーションは必要です。しかし多くの業界や職種と比べればIT関連はパソコンに向かって入力することがメインです。事業所の方針や、フリーランスとして働くことでほぼ他者と会話する必要がない環境を得ることもできます。
また、顧客や事業所内での連絡は他の業種よりも電話以外のSNSや連絡・情報共有アプリ、メールなどが比較的許容されています。
多様な働き方ができる
プログラミングが主要業務であるため基本的には結果主義の仕事です。職場によっては勤務時間が自由に決められたり、納期を自分の希望に近い時期に決めることができます。障害がある方でも働きやすい職場が多いのも特徴です。出社がほとんど必要のない雇用形態もあります。
取り扱う分野が豊富
プログラマーの中でも取り扱える分野や言語が豊富にあるため、自分が興味のある分野を見つけることができるのもこの仕事の魅力です。例えばWeb系、社内システム系、セキュリティ系、アプリケーション、サーバーシステムの構築など、プログラマーと一口に言っても様々です。
エラーやバグ対応で長時間労働になるケースもある
設計書に沿って作ったプログラムでも、エラーやバグが発生することも多く、修正対応に長時間かかる場合もあります。また、そのようなバグが顧客に納品してから発見されることもあります。そういう場合は現場に赴いて作業をすることもありますので、顧客と話すことも必要なケースがあります。なにもかもよいところしかない、という仕事はなかなか難しいのです。
プログラマーに向いている人の特徴
次に障害があるなしに関わらず、プログラマーに向いている人の特徴を挙げてみます。
・集中力が持続できる人
・論理的思考力がある人
・学習意欲がある人
・ものづくりが好きな人
・わからないことをすぐに調べる癖がある人
・長時間パソコンと向き合うことができる人
・柔軟な発想力がある人
一つのことに集中でき、持続できないと進まない仕事です。論理的に考え、解決し、わからないことはとことん追究するタイプの人が向いています。物事を少しずつ作り上げて達成する根気強さと、当然ながらずっと座ってパソコンの画面と向き合える忍耐力、持久力も必要となります。
プログラマーに向いていない人
・数学や英語が苦手な人
・パソコンが苦手な人
・体を動かす仕事が好きな人
・長時間集中力が続かない人
・構造を考えるのが苦手な人
・ものづくりに興味がない人
この仕事に就く場合はパソコンに興味があり、ある程度パソコンのソフトやインターネットを使用して知識があるこが大切です。また、パソコンやインターネット、プログラムに関する用語や言語は英語をベースとしていますから、英語が得意だと入りやすいでしょう。
聴覚障害の方の働き方や仕事探しに気をつけるポイント
コミュニケーションをとる際には、手話や筆談、字幕など情報の可視化が必要ですが、一般人はほぼ手話が使えないため、聴覚障害者の職場でのコミュニケーション方法は筆談が多いようです。
会議や打ち合わせでは議事録やメモをとり、テキスト形式で残しておくようにしましょう。また、周囲に自身の障害や症状についてあらかじめ共有し、コミュニケーションの方法について相談しておくと安心です。
基本的に就労する場合は合理的配慮について会社側と事前に話し合いがされ、上記のような点については自分ができることと、会社側ができることを確認しておく必要があります。この時、しっかりと自分に必要な配慮を伝えるためには自身の障害や症状についての自己理解を深めておくことが大切です。
障害を持つ方のプログラミング学習を支えるサービス
プログラミングを学習する手段はいくつかあります。参考までにプログラミングを習得できるサービスとその特徴をお伝えします。
就労移行支援
・体調・生活リズムの安定
・自己管理能力が身につく
・協調性・コミュニケーション能力の形成
・障害に理解のある人からサポートを受けられる
・就職支援を受けられるので就活がスムーズ
障害者総合支援法の障害者に対する就労支援サービスの一つです。一般の事業所に就労するのが困難な場合、一定の条件下で利用できます。提供する支援内容や習得スキルは各事業所によって違いがあります。最近はIT関連のスキルを習得できる事業所が増えています。
プログラミングスクール
・目的に合わせた言語を効率よく学べる
・独学に比べて挫折しにくい
・就職支援を受けられるので就活がスムーズ
いわゆるオフライン型のプログラマー養成所で、通学の必要があります。講師に直接聴くことができ、就職、転職のサポートがある所が多いので初心者でも安心です。費用はこの中では一番高くなります。
地域職業訓練センター
・職業に特化したトレーニング
・経済的負担が軽減される
・職業訓練センターの証明書が発行される
求職者等に対して各種の職業能力開発をおこなう公的な施設です。最近は各地域のセンターでプログラミング講座を実施するところが増えています。
オンラインプログラミング学習サービス
・いつでもどこからでも学ぶことができる
・コストを安く抑えることができる
・自分のペースで学習を進めることができる
オンライン型のプログラミングスクールのことです。オフライン型に比べて、費用は安く、働きながら、または自分の体調やペースに合わせて受講できるメリットがあります。一方で、自主的な参加や計画性がない場合なかなか学習が進まないことや、その場で講師に質問することができないなどのデメリットもあります。