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身体障害がある方が受けられる手当や福祉サービス、仕事選びのポイント

更新日:2023年06月01日

身体に障害がある方が日常生活を送ったり仕事をするには、さまざま支援や援助が必要となります。行政や公的機関では、障害のある方が地域で自立した生活を送れるように各種の支援やサポートを行っています。これらの制度や内容を理解して上手く活用することが大切です。 金銭的な支援としては、「特別障害者手当」や「障害年金」、そして身体障害者手帳を取得することで受けられる助成や割引、福祉サービスがあります。本記事では身体障害がある方が受けられる手当や年金、福祉サービスなどについて解説します。
 

身体障害の症状の種類

障害者自立支援法では、障害者を「身体障害者」「知的障害者」「精神障害者」、そして「障害児」に分けています。このうち「身体障害者」は、身体障害者福祉法において、次の身体上の障害があって、都道府県知事から身体障害者手帳の交付を受けた人と定義されています。

 

①視覚障害

②聴覚または平衡機能の障害

③音声機能、言語機能、そしゃく機能の障害

④肢体不自由

⑤内部障害(心臓、じん臓、呼吸器の機能障害、ぼうこう・直腸、小腸、肝臓の機能障害、HIV免疫機能障害)

 

身体障害者手帳の交付は、都道府県知事、指定都市や中核市の市長が指定する医師の「診断書・意見書」に写真を添え、居住地域の福祉事務所または市役所に申請します。

 

身体障害のある方が受けられる手当や支援制度


身体に障害がある方が自立と社会参加を促すための支援制度として、いろいろな手当やサービスがあります。代表的なものを紹介します。

 

特別障害者手当

特別障害者手当は、身体または精神に重い障害があって、日常生活を送る際に常に特別の介護が必要な人を対象に、手当が支給される国の制度です。障害のために必要な精神的や物質的な負担を軽減して、障害者福祉の向上を目的としています。

 

支給される手当の額は、月額27,980円です。現在の金額は令和5年4月から適用されていますが、物価の変動などにより随時見直されているので、今後も変更される可能性があります。

 

対象となるのは、先ほども述べた通り、身体または精神に重い障害があって、日常生活を送る際に常に特別の介護が必要な人で、在宅の20歳以上の人です。20歳未満の人や施設に入所している人、病院や診療所に継続して3か月以上入院している人は申請できません。

 

また、特別障害者手当には所得制限があり、受給者本人の所得が所得限度額を超える場合や、受給者の配偶者や扶養義務者の所得が所得限度額を超えている場合は支給されません。

 

特別障害者手当を受給するには、障害の程度が政令で定める基準以上であることが条件となります。障害者手帳を持っていなくても、医師の診断書で著しい重度の障害が認められれば対象になることがあります。受給の申請については、居住している市区町村の窓口に相談してみてください。

 

参考:厚生労働省「障害児福祉手当及び特別障害者手当の障害程度認定基準について」

https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T221018Q0044.pdf

 

障害年金

年金には「老齢年金」「遺族年金」「障害年金」の3つの種類があります。このうち障害年金は、病気やケガによって日常生活や仕事が制限される状態になってしまった時に受け取ることができる年金です。

 

さらに障害年金には、「障害基礎年金」と「障害厚生年金」があります。障害の原因となった病気やケガで初めて医者の診療を受けた時に、国民年金に加入していた場合には「障害基礎年金」、厚生年金に加入していた場合には「障害厚生年金」の請求ができます。

 

障害年金は、障害の程度によって1級から3級の3段階に分かれていて、受け取れる金額が異なります。また障害厚生年金は、障害厚生年金を受け取るより軽い障害が残った場合には、障害手当金という一時金が支給される場合があります。

 

身体障害者手帳

身体障害者手帳は、身体に障害がある方に交付される手帳で、取得することでさまざま福祉サービスを受けられます。

 

●障害福祉サービス

住んでいる自治体やサービスを提供する事業所によって内容は異なりますが、主な助成や割引サービスには次のようなものがあります。詳しくは、自治体の障害福祉課やサービスを提供する事業所などにお問い合わせください。

 

・医療費の助成

・車いすや補聴器などの補装具の助成

・住宅リフォーム費用の助成

・公共交通機関の割引

・公共施設利用料の割引

・NHK受信料の割引

・携帯電話基本料の割引

 

●税金の控除

納税者本人か控除対象配偶者、扶養親族が身体障害者手帳を取得していると、一定金額の所得控除を受けて所得税や住民税が軽減されます。

 

控除には、「障害者控除」「特別障害者控除」「同居特別障害者控除」があって、身体障害者手帳の等級によって控除される金額が変わります。他に相続税や贈与税でも特例が受けられます。

 

また、障害者本人または生計を共にする人が所有する自動車の自動車取得税、自動車税、軽自動車税の減免を受けられることがあります。減免の内容や対象となる障害の等級などは、自治体によって異なります。

 

参考:国税庁「障害者と税」

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/03_2.htm

 

身体障害のある方の収入源・働き方について

身体障害のある方の働き方には、障害のない方と同様に企業などに就職して、雇用契約を結んで働く「一般就労」と、就労支援施設などで福祉サービスを受けながら働く「福祉的就労」があります。

 

福祉的就労とは

福祉的就労とは、「就労継続支援A型事業所」や「就労継続支援B型事業所」で働くことを指します。

 

「就労継続支援A型事業所」は、利用者(障害者)と事業所との間で雇用契約を結ぶため、最低賃金以上の給与の支払いや社会保険の加入などがあります。利用できるのは、原則として18歳以上65歳未満の障害のある人です。利用期間には制限がありません。

 

「就労継続支援B型事業所」は、雇用契約を結ばずに働いた分だけ工賃を受け取る働き方です。雇用契約を結んでいないため、自身の障害や健康状態に合わせて自分のペースで働くことができます。A型事業所同様に、利用期間の制限はありません。

 

「就労継続支援A型事業所」「就労継続支援B型事業所」ともに、利用する時には市区町村に利用申請を行う必要があります。まずは住んでいる市区町村の障害福祉窓口に相談してみましょう。

 

身体障害のある方が利用できる就職・就労支援

身体障害のある方の就職や就労に関して支援している機関やサービスには、「ハローワーク」「障害者職業センター」「障害者就業・生活支援センター」などがあります。

 

このなかで「障害者就業・生活支援センター」は、ハローワークや行政機関、就労移行支援事業所、障害者就労支援センター、障害者職業センター、保健所、医療機関などの関係機関と連携しながら、就業面と生活面を一体的に支援する機関です。就業するにあたっての課題やニーズに応じて、生活面も含めた支援を行っています。

 

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atGPについて

身体障害のある方の就職をサポートするサービスには、民間企業が運営する就職支援サービスもあります。atGP(アットジーピー)は、株式会社ゼネラルパートナーズが運営する障害者の就職・転職を支援するサービスです。

 

就労移行支援サービス「atGPジョブトレ」は、うつ病、発達障害、統合失調症、聴覚障害、難病の5つの障害を障害別に分けて特化した実践的トレーニングで、職場で活躍できるスキルが身につきます。

 

「atGPエージェント」は、障害者の就職転職に特化した人材紹介サービスです。障害者の就職転職に詳しいキャリアプランナーが、希望の条件や障害の状況に合った求人を紹介します。応募書類の添削や面接対策、就職後の職場定着までサポートします。
atGPエージェント
身体障害があって、就職や転職が上手く行かなくて悩んでいる、どのように就職活動を進めて良いのかわからないという方は、まずは気軽に相談してください。

まとめ

厚生労働省の発表した「障害者の就労支援について」によると、民間企業に雇用されている身体障害者は35.6万人でその数は年々増加していますが、働きたくても働けない身体障害者の方も少なくありません。

 

本記事では、身体障害がある方が受けられる手当や年金、福祉サービスなどについて、そして働き方について解説しました。身体障害によって働きたくても仕事が見つけられないと困っている方は、ハローワークや障害者職業センター、障害者就業・生活支援センター、障害専門の就職支援サービスなどに相談してみましょう。
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ライター:atGPLABO編集部(監修:戸田重央)

障害者専門の人材紹介として15年以上の経験とノウハウを活かし、障害者の雇用、就労をテーマとした情報発信活動を推進しています。 【監修者:戸田 重央プロフィール】 株式会社ゼネラルパートナーズ 障がい者総合研究所所長。 企業の障害者雇用コンサルタント業務に携わった後、2015年より聴覚障害専門の就労移行支援事業所「いそひと」を開所、初代施設長に。 2018年より障がい者総合研究所所長に就任。新しい障害者雇用・就労の在り方について実践的な研究や情報発信に努めている。 その知見が認められ、国会の参考人招致、新聞へのコメント、最近ではNHKでオリパラ調査で取材を受ける。 聴覚障害関連で雑誌への寄稿、講演会への登壇も多数。

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