知的障害・ASD・ADHDの方の自己分析と自己理解のやり方
更新日:2023年04月13日
知的障害、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如・多動症)などの発達障害を持つ方にとって、自己分析や自己理解が重要です。日常生活や職場で役立つからです。自分の障害の特性を客観的に理解し、弱みを把握することで、障害の良い面を活かし、スムーズな生活が送れます。本稿では、知的障害、ASD、ADHDを持つ方が自己理解と自己分析を行う方法を解説します。
目次
自己理解・自己分析とは
自己理解・自己分析とは、自分の経験を振り返り、障害の特性や関連する出来事を客観的に見つめ直すことです。特に就職・転職を考える際、職業経験の振り返りが重要です。自己理解・分析が不十分なまま仕事に就くと、職場とのミスマッチや早期退職のリスクが高まります。
障害特性を理解し、自分の強み・弱みを把握することで、ミスマッチを防げます。知的障害や発達障害を持つ方は、自己理解や長期ビジョンの描画が苦手な傾向があります。それゆえ、自分に合わない仕事を選ぶことが多いです。
しかし、障害の良い特性を活かす仕事に就けば、一般の方以上に活躍できることも珍しくありません。自己理解・分析を通じて、障害の良い特性を活かす仕事を見つけることが重要です。
自己理解や自己分析の重要性
自己理解や自己分析を行うことは、自分に合った職場で長期に渡って就労するために非常に重要です。しっかりと自己理解と自己分析を行った結果、どのようなメリットが得られるかを以下に紹介していきます。
自分に合う環境や仕事などが分かる
自己理解や自己分析をしっかりと行うことで、自分の障害が持つ良い面と悪い面を把握できます。そのため、この障害の良い面を活かすことができる仕事を選ぶことで、一般の方と同程度に、または一般の方以上に優れた能力を発揮することができる可能性があります。
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周囲に自分のことを理解してもらいやすくなる
自己理解や自己分析を行うと、自分の障害の特性を客観的に把握できるようになります。そのため、職場の人に正しく自分の障害が持つ特性を説明することができるようになるため、周囲の人からの理解を得やすくなります。
自己制御力が向上する
自己分析や自己理解を行うと、いつ・どのようなときに自分の調子が悪くなるかということを把握できるようになり、またその対処方法についても知ることができます。調子が悪くなりそうなシーンを避けたり、また調子が悪くなっても対処方法をしっかりと知っていれば、パニックになることなく上手に自己制御を行うことができるようになります。
自己理解や自己分析が難しい場合の対処法
発達障害や知的障害を持つ方は、自己理解や自己分析を以下のステップで行いましょう。
1.自分の障害の特性や症状を知る
まずは、自分の障害に関する正しい知識を身に付けましょう。 自分の障害にどのような特性があるかを、客観的に把握することが大切です。
ASDを例に挙げると、特定の分野や興味があることへのこだわりが強いという特性があります。 発達障害にはASDの他にADHDとLD(学習障害)というものがありますが、これらの発達障害にもそれぞれ特有の特性があります。 これらの発達障害の特性の現れ方は人により異なるので、自分が持つ特性を正しく把握する必要があります。
2.障害による困りごとをまとめる
困ったことや悩みをリスト化し、自分で解決できるものと助けが必要なものに分け、具体的な支援方法を考えます。
発達障害や知的障害を持つ人は、普段の生活を送る上で困ったことや悩んだことも少なくないと思います。 この段階では、その困り事や悩み事をまとめてみましょう。 そしてこれらの困り事や悩み事に対して、自分一人で対処することができることと周囲の人の助けが必要なことに振り分けていき、助けが必要な困り事や悩み事に関しては、周囲の人にどのように助けてほしいかを具体的に伝えられるように準備しておく必要があります。
3. 自分の強み・弱みをまとめる
障害に関する自己理解や自己分析がしっかりと出来たら、次は自分の強みと弱みについて考えてみましょう。
まずは「自分ができること(得意なこと)」と「できないこと(苦手なこと)」をそれぞれ紙などに書き出します。
発達障害や知的障害の特性は、環境によって強みにも弱みにもなるため、自分の強みと弱みを把握しておくことで、「自分の特性を活かして働くことができる職場」を見つけやすくなります。
弱みに関しては、困り事や悩み事が起きた時と同様に自分で対応できることと周囲の人の助けが必要なことに振り分けて、周囲の人に求める具体的な助け方を明確に伝えられるように準備しておきましょう。
例えば、口頭での指示などをうまく理解することができないため、チャットなど文章を用いた方法で指示をしてほしいなどのように、具体的な方法を提示して自分が持つ特性の弱みをカバーしてもらえるようにしましょう。
4.障害の特性や強みを活かせる環境を考える
ここまで、自分の持つ障害の特性の強みと弱みを自己理解・自己分析してきました。 その結果、自分の強みについても理解が深まったと思います。
自分の特性の中で強みになることを、どのような場面で発揮できるか、どのような環境であれば自分らしく働くことができるかということについて考えてみましょう。
ASDの特性に「こだわりが強い」というものがありますが、この特性は徹底して数字を管理する経理職や、自分の好きな分野の仕事に没頭して行える環境の仕事が合うと考えられます。 また、コツコツとした単純作業を行う、マニュアルにしっかりと沿った仕事ができるといった特性がある方は、工場などでの製造教務や事務職などでその強みを発揮することができるでしょう。
atGPとは
まとめ
ここまで、知的障害や発達障害を抱える方の自己理解・自己分析の重要性やその方法について解説してきました。
自己理解・自己分析をしっかりと行うことで自分の強みと弱みを明確にし、また自分の特性を客観的に知ることで、長期就労が可能な職場を見つけやすくなります。
知的障害や発達障害を抱える方は、ぜひじっくりと自己理解・自己分析を行い、自分の特性の強みと弱みを理解したうえで、それに合った仕事を見つけるようにしましょう。