てんかんの方が一人暮らしをする場合に必要なこととは?費用や準備などを解説
更新日:2024年06月17日
てんかんがある方の中には、一人暮らしをしたいと思っている人もいらっしゃると思います。そのような方が実際に一人暮らしをするためには、まずどのようなことから始めればよいのでしょうか。またてんかんの特性を十分理解して、一人暮らしをしていく上でどのような支援が必要なのか、また必要な支援はどこで受けられるのかということを知っておく必要があります。ここではてんかんの方が一人暮らしを始める際にしなければいけないことや、一人暮らしをする際の注意点について解説していきます。
目次
一人暮らしをする際に必要なこと
てんかんの方が一人暮らしをする際には、どのような作業や手続きが必要なのでしょうか。ここでは、てんかんの方が一人暮らしをする際にしなければならないことについて解説していきます。
物件探し
まずは、一人暮らしをする物件探しを行います。
物件探しを行う際には不動産会社に相談するという方法もありますが、普段お世話になっている支援員や相談員に相談するという方法もあります。
また不動産会社に相談する場合には、障害者に親身になって相談に乗ってくれる不動産会社を探して相談すると、障害者が生活しやすい物件が見つかる可能性が高くなります。
生活必需品や家具の購入
一人暮らしを行う物件が決まったら、その物件で使用する生活必需品や家具などを揃える必要が出てきます。
これらを揃えるためには家具店やホームセンターを利用することが多いのですが、初期費用を低く抑えたい場合には、リサイクルショップなどを利用するのがおすすめです。
住所変更などの必要書類を役所に提出する
引越しを行うと、住所変更などの書類を役所に提出する必要が出てきます。
このような手続きは、引越し作業で忙しかったり、手続きが煩雑で自分で行うことができなかったりする場合には、家族などに代理で行ってもらうこともできます。
料理、掃除、洗濯、水道光熱費などの支払い、服薬管理などの日常生活をひとりで行う
一人暮らしをした場合、一般の方と同じように料理、掃除、洗濯、水道光熱費の支払いといった日常の家事の他に、てんかんの方は服薬管理も自分で行わなければなりません。
服薬管理を自分で行うことができないと、てんかんの発作が起こる可能性が高くなるので、一人暮らしをする前に自分で服薬管理ができるようにしておきましょう。
一人暮らしにかかる費用はどれぐらい?
一人暮らしにかかる生活費の平均は、総務省の家計調査によると17万8542円となっています。
自分の収入と、障害年金を受給している場合にはその合計を計算してその金額で生活していくことができるか、一人暮らしをする前に一度確認しておきましょう。
また、都市部で一人暮らしを行う際には家賃が高額になるため、それに伴って一人暮らしに必要な費用も高額になります。
自分が一人暮らしをしようと思っているエリアの、単身者用の物件の家賃相場を把握しておくようにしましょう。
てんかんの方が一人暮らしをする際の注意点
てんかんの方が一人暮らしをする際には、どのような点に注意すれば良いのでしょうか。
ここでは、てんかんの方が一人暮らしをする際の注意点について解説していきます。
障害の程度を考慮する
てんかんの重症度は、人によって千差万別です。
子どもの時期に発病し数年に一度程度のサイクルで発作を起こしていても、成人になると完治する良性の特発性てんかんもありますが、発作を頻繁に繰り返しさまざまな脳機能障害が進行する症候性てんかんもあります。
しかし、てんかんのある方の60%から70%は抗てんかん薬を服用することで発作が止まり、大半のてんかんのある方は日常生活に支障をきたす状態ではありません。
服薬により普通の生活を送れる方がいる一方で、服薬を行っても発作を完全に抑えることができない方もいるため、自分のてんかんがどのような状態であるかをしっかりと確認しておく必要があります。
発作が起きた時の対処を決めておく
てんかん発作の症状は人によって千差万別ですが、個人個人で見てみるとてんかんの発作の前兆はいつもと同じであることがほとんどです。
このような前兆を感じた時点で、周囲の安全確保を行うなど発作が起きた時の対処法を決めておきましょう。
一人暮らしをサポートしてくれる人や障害の特性に合わせて生活の工夫を行う
てんかんの方が一人暮らしをする際には、薬でコントロールできない発作が起こった場合などに備えて、定期的に安否確認などを行ってくれる人を確保しておくことをおすすめします。
また、てんかんの発作が起こっても怪我や命の危険を極力避けるために、湯船には浸からず椅子に座ってシャワーを使う、調理は火を使わずにIHや電子レンジを使うといった工夫を行う必要があります。
一人暮らしについての相談先
てんかんの方が一人暮らしをする際に困りごとが出てきた際には、以下の機関に相談することができます。
自治体の福祉担当窓口
てんかんの方が一人暮らしを行う上で困りごとが出てきた場合には、まずは自治体の福祉担当窓口に相談してみましょう。
自治体の福祉担当窓口では、障害者の暮らしや福祉サービスに関する一般的な相談に応じてくれます。
抱えている困りごとをどこに相談すればよいか分からない場合にも、自治体の福祉相談窓口に相談すると、相談の内容に合った相談先を紹介してくれます。
基幹相談支援センター
基幹支援相談センターとは、障害者やその家族のサポートを行っている施設で、てんかんの方の相談にも応じてくれます。
相談支援事業所や居住サポート事業所と併設されているケースが多く、その地域における相談支援の中核的な役割を果たす機関です。
特定相談支援事業所
特定相談支援事業所では、基本相談支援として一般的な相談に対応しており、てんかんの方の暮らしに関する悩みの相談や、福祉サービスについての情報提供を行っています。
また、障害者総合支援法が定める福祉サービスを利用する際に必要な「サービス等利用計画」の作成が必要ですが、この作成も特定相談支援事業所に作成を依頼することができます。
一般相談支援事業所
一般相談支援事業所では基本相談支援と、病院や施設から出て地域で生活していくことを目指す人たちの地域相談支援を行っています。
地域相談支援には、地域移行支援と地域定着支援があります。
地域移行支援は、施設や病院などから地域生活に移行する際の住居の確保などに関するサポートや相談を行います。
地域定着支援は一人暮らしの方や、同居家族がいる場合でもその家族を含めた障害や病気などの関係で、支援対象者が緊急時に対応できない場合に、サポートや相談を行ってくれます。
一人暮らしをする際に受けられる支援制度
てんかんの方が一人暮らしをする際に利用することができる支援制度には、以下のようなものがあります。
地域生活支援事業
地域生活支援事業とは、てんかんの方が自立した日常及び社会生活を営むことができるよう、地域の特性や利用者の状況に応じて支援するというものです。
支援の具体的な内容は、円滑な外出をするための移動の支援や、住居を必要とする人のために安価で居室等を提供するなどの日常的な支援を行います。
この支援事業は自治体が主体となって取り組んでいるものなので、利用を希望する際には自治体の窓口に相談しましょう。
相談支援事業
相談支援事業とは、相談支援事業所がてんかんの方の日常の困りごとに関する相談に応じてくれる福祉サービスのことをいいます。
福祉サービスを利用したいがどこに行って何をすればよいか分からない、自分にどのようなサービスを利用できるか分からないといった悩みを相談することができます。
その他の支援
その他の支援として、一人暮らしを行う障害者が自立した生活を送るためのサポートを行う自立生活援助、重い障害があって常に介護を必要とする障害者であっても地域で生活できるよう、入浴や排泄、食事の介護や家事の援助、生活に関する相談やそれに対する援助、外出時の移動のサポートなどの総合的なサポートを受けられる重度訪問介護などの支援があります。
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まとめ
ここまで、てんかんの方が一人暮らしをする際にしなければならないことや生活上の注意点、困りごとが出てきた際に相談できる機関や利用できる福祉サービスについて解説してきました。
てんかんの方が一人暮らしをする場合には、一般の方とは異なる生活上の工夫を行うことが必要であり、また支援や相談が必要な場合にはそれぞれ応じてくれる機関があります。
てんかんの方が一人暮らしを続けていく上で困りごとが出てきた場合には、一人で悩まずに相談できる機関に困りごとを相談し、解決していくことをおすすめします。