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仕事も生活も快適に!ADHDの方のためのライフハックについて

更新日:2024年05月28日

仕事や生活におけるタスク(やるべきこと)を効率的におこなうためのライフハック、ちょっとした準備だったり、工夫で今までよりも効果的に、そして楽にタスクをやりやすくします。誰しも、仕事や生活上のタスクでわずらわしさや、効率の悪さを感じることはあります。これまでの日本の会社組織では結果と同様にその会社の文化やタスクの達成プロセスを重んじることが多かったのですが、最近では純粋に効率や結果、そして労働者の個別性が尊重されつつあります。多くの障害がない人にも認知度が高いライフハック、当然、さまざまな障害特性で悩んでいる障害者にとってもとても有効な手段と言えます。今回は発達障害であるADHDを持つ方に知っていただきたいライフハックについてご紹介していきます。
 

ADHDとは

ADHD(注意欠如・多動性障害)は自閉症スペクトラム障害や学習障害と同じく発達障害の一つです。ADHDの特徴としてはその日本語名のとおり、注意欠如と多動性、そして衝動性を主症状とする障害です。

 

注意欠如とは、集中力が持続せず、長く同じことを続けることができないことで、多動性はじっとしていられず、体を動かしてしまったり、一か所にじっとしていることが困難、そして衝動性は考えるより先に行動してまいがちで、いきなり行動するため、他者に不快感を与えたり、空気が読めないと感じられてしまいます。

ADHDをふくむ発達障害の原因は行動などをコントロールしている神経系になんらかの原因がある脳の機能障害で、先天的な障害です。特に前頭葉の働きが弱いことが関係しているといわれています。

仕事がやりやすくなるライフハック

タスクを可視化する

仕事上のタスクを可視化することでケアレスミスの防止や、スケジュール管理がしやすくなります。つまり、タスクの流れや内容を頭で覚えるのではなく、実際に書いていつでも確認できるようにします。具体的なポイントをいくつか挙げてみます。

 

・付箋やメモ帳に書いて、いつも視界に入る位置に置いておく

ポイントはいつでも確認できるというところですので、すぐに取り出せるコンパクトなメモ帳、スケジュール帳、スマホ、とっさに言われるような単発的なタスクなら付箋に書いて手に貼っておくなど、すぐに書き込めて、すぐに確認できる媒体を使うことです。

 

・メモをするタスクはできるだけ細分化して書くこと

例えば「請求業務をする」だけでなく、「請求書の確認」「経理に連絡する」などやるべきことを順番立てて書くと混乱しにくく、スムーズに作業がしやすいのです。なるべくそのタスクの過程を細分化して書くようにします。

 

・ 1つ作業を終わらせたら付箋を捨てたり、チェックマークをつけていくことでタスク管理がしやすくなる

 

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遅刻が多い場合の対処

ADHDがあると、目的地に着くまで色んなものに気を取られてついつい時間をロスしてしまいます。何故遅刻してしまうかの原因を見つけ、ルールを決めながら対処していく必要があります。

 

・目的地までの経路を吟味する

会社や人との約束で時間を守りたい場合、その目的地までの経路に自分の興味を引く場所や物があるところは避けて通る、また寄り道しにくい交通手段は何かを考えて移動します。

 

・時間のロスをあらかじめ計算に入れる

起床時間のずれや、道中どうしても寄り道したり、立ち止まることが止められないようであれば、そのロスする時間もあらかじめ予定に組み込んでしまい、目覚ましを更に早くセットし、早く出発するようにします。

 ADHDがある方のタスク管理の詳細についてはこちらのリンクをご覧ください:ADHDがある方にもできるタスク管理の方法について詳しく解説 | atGPしごとLABO

 

遅刻でお悩みのADHDの方はこちらのリンクをご覧ください:発達障害、ADHDの方必見!遅刻を回避するためのコツ | atGPしごとLABO

日常生活のライフハック

部屋の片付けをする方法


計画的にものごとをおこなうのが難しいことや、好きなものをやり始めると没頭してしまうことが多くあるため、部屋の掃除、整理整頓ができないというケースが多く見られます。ここでは部屋を片付けるための具体的な方法をご紹介します。

 

1.まず空き箱を2~3個用意して一時的に箱の中に物をしまっていく

2.箱の中の物を1つずつ本来しまうべき場所にしまっていく

必要な物か、不要な物か、たまに使う物なのかなど分類しながらやっていくとよい

3.不要なものは捨てて、たまに使う物や捨てるのを保留にしておきたい物は空き箱の中に  置いておく(空き箱に名前を書いておくと後から見ても分かりやすい)

4.たまに使う物や保留にした物は数日間様子を見て、再度2~3の手順で整理する

 

忘れ物を無くす方法

どうしても、衝動性や集中力が欠如することから、タスク管理同様に持ち物の管理にも困っている方は多く、頻繁に落とし物、忘れ物で困っているという方は以下のことを試してみてください。

 

・持ち物リストを作成する

例えば、小中学校の時間割表のように、仕事やお出かけする際の持ち物リストを作っておき、自分の部屋に貼っておきます。もちろん、スマホがいいという方はスマホのメモ機能などを使うとよいでしょう。スマホであれば職場や学校から帰る際も見やすいでしょう。それを見ながら忘れ物の確認をすることをルーティン化します。

 

・持ち物の置き場所を決めていく

どうしてもその時、その時で無意識に物を置いてしまいがちです。そのためどこに置いたのかわからなくなることが多いため、持ち物はそれぞれ置く場所を決めておくようにします。できればタンス、.収納、机などの引き出しやドアには何を入れる場所なのかタグをつけると効果的です。持ち歩くバッグもポケットが多いものを選び、何を入れるポケットなのか決めておくようにします。 

 

金銭管理の方法


ADHDの方は「衝動性」「先延ばし」「計画通りに物事を進めることが苦手」などの障害特性が関係して金銭管理が難しいのも特徴の一つです。そんなADHDの方の金銭管理の具体的なポイントをご紹介します。

 

【上手な金銭管理の方法】

1.行動範囲を限定して「衝動買い」を減らす

例:日常的に行く店を決めて「ここでしか買わない」といったルールを設ける

 

2.日常生活の買い物は現金で、大きなお金は持ち歩かない(使いすぎ防止)

これも一般的によく使われる方法ですが、お金を持ち歩かなければ使うことはできません。いつも財布には必要最低限の現金だけ入れるようにします。

 

3.電子決済・カード決済は上限額を決め、それ以上引き出せないようにする

電子マネーやクレジットカードなどは月額上限を設定することができます。特に電子マネーは簡単に作れますし、チャージ方式のものを選べばチャージされた金額しか使うことができませんのでおすすめです。また、電子マネーの種類によっては使えるお店が限定されます。

 

4.「ほしいものリスト」を作り、事前に買いたいものを取捨選択する

ADHDではない人でも買い物では気持ちが高揚し、衝動買いしたい気持ちになることは多いのです。そういう時に事前に必要なもの、欲しいものを吟味しリスト化しておけば衝動買いを軽減することができます。

人間関係をラクにするライフハック

「人間関係がうまくいかない」ときのよくある理由

ADHDの障害特性の一つにスケジュール管理がうまくできないことがあります。そのため、人との約束を忘れてしまったり、ダブルブッキングをしてしまうこともあります。そうなると他者との信頼関係を築くのが困難になります。

 

また、 物事の優先順位をつけるのが苦手なため、誰との予定を優先すべきか、どの相手と関係を続ければいいか分からなくなり、人間関係の持続をやめてしまうケースも少なくありません。

 

礼儀やマナーが分からず「空気が読めない」「非常識」などの印象を持たれ、人間関係がうまくいかないということもよくあります。

 

ADHDの長所となる「社交性」を活用し、人間関係をよい方向へ

このように人間関係がうまくいかない場合、逆にADHDの特性を活かして人間関係をよくすることも考えられます。

 

ADHDの方は社交的で人当たりのよい方が多いです。初対面でも物おじせずに人と仲良くなれる方は色々な人と知り合えるチャンスも多く、どんな相手にも自分の考えや意見を言えることは会議を円滑に進めたり、人間関係を良好に保ったりする手助けにもなります。自分から人へアプローチすることが苦手だったり、人見知りする人も多いことを考えれば、この「社交性」は大きな長所となり得ます。

 

上手な人間関係の築き方

・ 手帳やアプリを使ってスケジュール管理する

自分に合った(継続していける)方法で仕事やプライベートのスケジュールを管理しましょう。スケジュール管理が苦手な人の多くは手帳かスマホの機能を使い、定期的に確認するようにしています。どちらでもやりやすい、持続できる方法を選びましょう。また、スマホのアプリにもさまざまなものがありますので、自分に合ったものを使いましょう。

 

・発言をする前に考える

友達やパートナーと話したり、職場の会議で発言をする時に、数秒間「今言っても問題ないか」時間をつくるようにして、落ち着いて考えてみましょう。相手を傷つけたり、驚かせないか、今話すべきことなのか、一旦そういう時間を持つ癖をつけましょう。

 

・自分の体調・メンタルの状態をよく確認する

自身の心身の状態を把握するように心がけ、なるべく良い状態に保ったり、状態が悪いときはゆっくり休むなど、コントロールできれば、それだけ人との関わりも冷静になれます。

 

・カウンセリングや専門機関に相談する

障害特性からくる行動などの悩みは自分だけで解決できないことが多くあります。当然、人間関係がうまくいかない、関わりたくないなどの問題は深刻です。そういう場合は専門家であるクリニックでカウンセリングを受けたり、障害者の支援をする障害者就業・生活支援センターなどの専門機関などに相談するとよいでしょう。人間関係のトラブルやコミュニケーション方法なども含め、的確なアドバイスがもらえます。

 

自分の体調と上手く付き合うライフハック

仕事やプライベートで疲れやすいときは、頑張らない日を作る

ADHDをふくむ多くの障害者は自身の障害特性から心身ともに疲れやすく、神経もすり減らすことが多いのです。意識して心身ともに休ませる日、頑張らない日を作ることもストレス解消には必要です。あまり神経を張り詰めてがんばると、そこから二次障害としてうつ病などの精神疾患になる人も多いことを覚えておきましょう。

 

「集中しない時間(心や体を休める時間)」をつくって、スケジュールを決める

一日の流れの中でも、心身を休め、リラックスする時間を作るようにし、ルーティン化しましょう。一日の終わりである、帰宅後、食事をしたり、お風呂に入った後などがおすすめです。リラックスできたら次の日や今後のスケジュールの確認や管理表の作成をします。リラックスすることで冷静にスケジュールを組み立てることができます。

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まとめ

今、日本はアフターコロナへの転換期にあるといってもよいでしょう。それ以前に、ワークライフバランスや働き方改革などを国も打ち出してきました。効率的に仕事をすることがようやく浸透しだしたのです。2000年代になって「ライフハック」が日本でも関心を持たれるようになったのは、若い世代を中心に仕事のやり方が効率性重視に変化している表れではないでしょうか。ADHDなどの障害を抱えながら働き、社会の中で活動する場合も「ライフハック」と言ってしまえば流行に乗せられているような感じもしますが、実際、自分に合ったやり方というのは効率性の追求であり、自分を楽にし仕事の質や量も改善されることを指します。ぜひ、自分に合った「ライフハック」を見つけてください。
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ライター:atGPLABO編集部(監修:戸田重央)

障害者専門の人材紹介として15年以上の経験とノウハウを活かし、障害者の雇用、就労をテーマとした情報発信活動を推進しています。 【監修者:戸田 重央プロフィール】 株式会社ゼネラルパートナーズ 障がい者総合研究所所長。 企業の障害者雇用コンサルタント業務に携わった後、2015年より聴覚障害専門の就労移行支援事業所「いそひと」を開所、初代施設長に。 2018年より障がい者総合研究所所長に就任。新しい障害者雇用・就労の在り方について実践的な研究や情報発信に努めている。 その知見が認められ、国会の参考人招致、新聞へのコメント、最近ではNHKでオリパラ調査で取材を受ける。 聴覚障害関連で雑誌への寄稿、講演会への登壇も多数。

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