障害者でも一人暮らしはできる?ひとり暮らしをする際に必要なことと注意点を解説
更新日:2023年03月10日
障害者の中には、一人暮らしをしたいと思っている方や一人暮らしをする必要に迫られている方もいらっしゃると思います。
しかし障害者が一人暮らしをする場合には、健常者が一人暮らしする際とは異なる点があることに注意しなければいけないことがあります。
ここでは、障害者が一人暮らしをする際に必要なことや一人暮らしにかかる費用、障害者が一人暮らしをする際に注意点などについて解説していきます。
目次
ひとり暮らしをする際に必要なこととは
障害者が一人暮らしをする際には、どのようなことをする必要があるのでしょうか。ここでは、障害者が一人暮らしをする際にしなければならないことについて解説していきます。
物件探し
一人暮らしをするためには、まず物件を探さなくてはいけません。
物件探しを行う際には不動産会社に相談するという方法もありますが、普段お世話になっている支援員や相談員に相談するという方法もあります。
また不動産会社に相談する場合には、障害者に親身になって相談に乗ってくれる不動産会社を探して相談すると、障害者が生活しやすい物件が見つかる可能性が高くなります。
生活必需品や家具の購入
一人暮らしを行う物件が決まったら、その物件で使用する生活必需品や家具などを揃える必要が出てきます。
これらを揃えるためには家具店やホームセンターを利用することが多いのですが、初期費用を低く抑えたい場合には、リサイクルショップなどを利用するのがおすすめです。
住所変更などの必要書類を役所に提出する
引越しを行うと、住所変更などの書類を役所に提出する必要が出てきます。
このような手続きは、引越し作業で忙しかったり、手続きが煩雑で自分で行うことができなかったりする場合には、家族などに代理で行ってもらうこともできます。
料理、掃除、洗濯、水道光熱費などの支払い、服薬管理などの日常生活をひとりで行う
一人暮らしをして日常生活を行う際には、料理や掃除、洗濯などの家事全般を自分で行うと同時に、水道光熱費などの支払いを行う必要があります。
また、障害者が一人暮らしをする際に特に重要になるのは、毎日の服薬管理です。
これらを自分一人で行うことができないと、一人暮らしは難しいと言わざるを得ないでしょう。
ひとり暮らしにかかる費用はいくら?
一人暮らしにかかる生活費の平均は、総務省の家計調査によると17万8542円となっています。
自分の収入と、障害年金を受給している場合にはその合計を計算してその金額で生活していくことができるか、一人暮らしをする前に一度確認しておきましょう。
また、都市部で一人暮らしを行う際には家賃が高額になるため、それに伴って一人暮らしに必要な費用も高額になります。
自分が一人暮らしをしようと思っているエリアの、単身者用の物件の家賃相場を把握しておきましょう。
障害者がひとり暮らしをする際に注意すべき事とは
障害者が一人暮らしをする際には、いくつか注意しておかなければならない点があります。
ここでは、その注意点について解説していきます。
障害の程度を考慮する
一人暮らしを行う前に自分が抱える障害の程度についてしっかりと把握し、一人暮らしが本当に可能なのかを考慮する必要があります。
身体障害者の場合にはバリアフリー機能など障害の特性にあわせた特別な設備が必要か、精神障害者の場合には症状の波がどのくらいあるかといったことや食事の準備などの家事が無理なく行えそうかどうかという点を、一人暮らしをする前に十分に考慮しておく必要があります。
民間の賃貸住宅への入居は難しい
障害者が民間の物件を借りたいと思っても、なかなか見つけられないこともあります。
その原因は審査に通りづらいこと以外にも、障害の特性に合った物件を見つけるのが難しいためです。
障害を理由にして審査を通さないなどの差別は、現在では法律で禁止されていますが、まだまだ十分に理解が進んでいるとは言えない地域もあります。
また、全ての物件がバリアフリー化されているわけではないため、障害の特性にあわせた設備が整っていること以外に家賃や立地などの条件で絞り込むと、一人暮らしに適した物件を見つけるのが難しくなってしまい、入居まで時間がかかることもあります。
自立した生活を送るためにはサポートや工夫が必要なケースもある
完全に自立して一人暮らしを行うことが難しい障害を抱える人でも、サポートを受けたり障害の特性に合わせて物件の設備や生活方法を工夫したりすることで、スムーズに一人暮らしを行うことができるケースもあります。
そのため、自分が一人暮らしをするにあたってどのようなサポートや設備が必要かをしっかりと把握しておきましょう。
障害者がひとり暮らしをする際に相談できる機関
障害者が一人暮らしをする際には、困りごとが出てきたときに相談できる機関を知っておく必要があります。
ここでは、障害者の一人暮らしの困りごとを相談することができる機関を紹介していきます。
自治体の福祉担当窓口
障害者が一人暮らしを行う上で困りごとが出てきた場合には、まずは自治体の福祉担当窓口に相談してみましょう。
自治体の福祉担当窓口では、障害者の暮らしや福祉サービスに関する一般的な相談に応じてくれます。
抱えている困りごとをどこに相談すればよいか分からない場合にも、自治体の福祉相談窓口に相談すると、相談の内容に合った相談先を紹介してくれます。
基幹相談支援センター
基幹支援相談センターとは、障害者やその家族のサポートを行っている施設です。
相談支援事業所や居住サポート事業所と併設されているケースが多く、その地域における相談支援の中核的な役割を果たす機関です。
障害者の生活に関わる総合的かつ専門的な相談支援や、病院や施設と連携した地域移行・地域定着支援、障害者に対する虐待や権利の用語に関する相談支援を行っています。
基幹相談支援センターでは、成年後見人制度の利用相談にも対応しています。
補助を受けなければ成年後見制度を利用することが難しい場合に、申し立てに必要な費用や後見人への報酬の一部または全部を補助するなどの利用支援を行っています。
特定相談支援事業所
特定相談支援事業所では、基本相談支援として一般的な相談に対応しており、障害者の暮らしに関する悩みの相談や、福祉サービスについての情報提供を行っています。
また、障害者総合支援法が定める福祉サービスを利用する際に必要な「サービス等利用計画」の作成が必要ですが、この作成も特定相談支援事業所に作成を依頼することができます。
一般相談支援事業所
一般相談支援事業所では基本相談支援と、病院や施設から出て地域で生活していくことを目指す人たちの地域相談支援を行っています。
地域相談支援には、地域移行支援と地域定着支援があります。
地域移行支援は、施設や病院などから地域生活に移行する際の住居の確保などに関するサポートや相談を行います。
地域定着支援は一人暮らしの方や、同居家族がいる場合でもその家族を含めた障害や病気などの関係で、支援対象者が緊急時に対応できない場合に、サポートや相談を行ってくれます。
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障害者が一人暮らしをする際に受けられる支援制度
障害者が一人暮らしをする際には、受けることができる支援制度があります。
ここでは、その支援制度について解説していきます。
地域生活支援事業
地域生活支援事業とは、障害者が自立した日常及び社会生活を営むことができるよう、地域の特性や利用者の状況に応じて支援するというものです。
支援の具体的な内容は、円滑な外出をするための移動の支援や、住居を必要とする人のために安価で居室等を提供するなどの日常的な支援を行います。
この支援事業は自治体が主体となって取り組んでいるものなので、利用を希望する際には自治体の窓口に相談しましょう。
日常生活支援事業
日常生活支援事業とは、社会福祉協議会が提供しているサービスで認知症を患っている高齢者や知的障害者、精神障害者などの判断力が衰えている方を対象として、福祉サービスの利用に関する情報提供や利用援助、金銭管理の援助といったサポートを行っています。
その他の支援
その他の支援として、一人暮らしを行う障害者が自立した生活を送るためのサポートを行う自立生活援助、重い障害があって常に介護を必要とする障害者であっても地域で生活できるよう、入浴や排泄、食事の介護や家事の援助、生活に関する相談やそれに対する援助、外出時の移動のサポートなどの総合的なサポートを受けられる重度訪問介護などの支援があります。