適応障害になってしまったときに時短勤務で復職や就職・転職する方法とは
更新日:2023年03月08日
適応障害とは、日常生活や仕事から受けるストレスが原因で心や体に不調が現れてしまう精神疾患です。適応障害を起こしてしまった場合には、休職をして体調を回復させるための治療を行ったり、仕事がストレス源となっている場合には転職を行うことがありますが、復職直後や転職してしばらくの期間は体力や集中力に不安が残る方もいらっしゃるため、時短勤務で働くことも少なくありません。ここでは時短勤務とは何かといったことやそのメリット・デメリット、時短勤務の状態からフルタイムへと勤務時間を増やしていくためにしておくべきことなどについて解説していきます。
目次
時短勤務とは
時短勤務とは、一日のうちに定められた勤務時間よりも短い時間働く勤務形態のことをいいます。
一般的なフルタイムの勤務時間は7.5時間から8時間ですが、時短勤務の場合にはこれを6時間に短縮したり、出勤や退勤時間を変更したり、またフレックス制度を導入したりすることで、勤務時間の調整を行います。
2009年に育児・介護休業法の改正によって、各企業に時短勤務制度の導入が義務付けられましたが、これは育児と介護のための時短勤務のみ義務化されているので、怪我や病気による時短勤務は義務化されていません。
しかし、多くの企業で怪我や病気によりフルタイムで働くことが難しくなってしまった場合には、時短勤務で働くことができるよう規則として定められています。
企業によってその内容はまちまちですが、体調不良などによりフルタイムで仕事をすることが難しい場合には、退職を考える前に時短勤務で働くことができないか会社の規則を確認してみることをおすすめします。
適応障害の症状と原因
適応障害の原因はどのようなもので、どのような症状が現れるのでしょうか。
ここでは、適応障害の症状と適応障害を発症してしまう原因について解説していきます。
症状の現れ方は人によって異なる
適応障害の症状の現れ方は、人によって異なります。
心や体の不調として症状が現れる方もいれば、行動の変化として現れる方もいらっしゃいます。
心に現れる症状としては、憂鬱さや不安感、焦燥感に苛まれる、怒りを自分で制御することができない、判断力や思考力が低下するというものがあります。
体に現れる症状には、動悸がする、異様な発汗がある、不眠、頭痛、手が震える、めまい、食欲不振といったものがあります。
行動に現れる症状としては、遅刻や無断欠勤が増える、人と会うことを避けるようになる。電話に出ることができなくなる、メールの返信内容を考えて書くことができなくなる、暴飲暴食をしてしまう、食事が摂れなくなってしまう、相手かまわず喧嘩をするようになる、危険運転をするようになるといったものがあります。
適応障害にはこのようなさまざまな症状があるため、同じ適応障害を患っていても現れる症状は人により大きく異なります。
適応障害の症状を引き起こす大きな原因はストレス
適応障害の原因は、大きなストレスを感じることです。
自分の仕事や生活上に起こった出来事や、自分が現在置かれている状況から大きなストレスを受けることが原因となり、前述したさまざまな症状が現れます。
適応障害の原因となるストレス源がはっきりしている場合には、環境を変えるなどの方法でストレス源から遠ざかることで、半年程度で症状の改善が見られることがほとんどです。
しかし、適応障害の中にはうつ病の前段階のものもあるため、必ず専門の医師の診断を受ける必要があります。
適応障害で時短勤務をすることは可能?
適応障害を抱えている方が、時短勤務で働くことは可能なのでしょうか。
ここでは復職する場合と、就職や転職を行う場合とに分けて解説していきます。
復職をする場合
休職を経て復職する場合にいきなりフルタイムで働くと、そのことがストレスとなり適応障害が再発してしまう恐れがあります。
特に仕事にストレスの原因がある場合には、このような傾向が強いためまずは時短勤務で復職することをおすすめします。
しかし、病気やけがによる時短勤務は企業に対して法律で義務付けられていないため、自分が務めている企業に時短勤務の制度があるか確認しておく必要があります。
企業によっては復職時に「リハビリ勤務(慣らし勤務)」制度を設けているところもあるため、このような制度がある場合には積極的に利用して徐々に休職前の状態に戻ることができるようにすると良いでしょう。
復職のタイミングは、自分一人で判断してはいけません。
まずは主治医に復職に関する相談を行い、許可が出たら上司などと復職の時期や時短勤務の制度を利用することができるかどうかを相談するという流れになります。
転職または就職をする場合
適応障害になってしまい転職または就職をする場合には、時短勤務が可能な求人を探すことから始めましょう。
時短勤務が可能な求人の多くは、障害者雇用枠での求人です。
そのため、このような求人を探すことで時短勤務で働くことが可能になります。
しかし障害者雇用枠で採用された場合でも、週に20時間から30時間以上勤務しないと、企業側の障害者雇用人数にカウントされないため、最低でもそれだけの時間は勤務する必要があります。
仕事や職場の雰囲気に慣れてきたら、徐々に勤務時間を増やしてフルタイムで仕事をすることも不可能ではありません。
時短勤務を行う場合のメリットとデメリット
時短勤務には、メリットとデメリットがあります。
ここでは、そのメリットとデメリットについて解説していきます。
メリット
時短勤務を行うことで、職場に縛られる時間が少なくなり、ワークライフバランスがとりやすくなります。
平日に通院することも可能になるため、休日は十分に休んで体力を回復させたり、趣味に没頭して適応障害の大敵であるストレスを発散させたりすることができます。
また、時短業務で復職や就職・転職を行う場合には、比較的簡単な内容の業務を任されたり、業務量を少なくしてもらったりという配慮をしてもらうことができるため、心身の負担が少ない状態で業務を行うことができます。
デメリット
時短勤務の一番のデメリットは、働く時間が短くなる分給与も少なくなるということです。
もし生活に支障をきたすようであれば、障害年金の申請を行うなどの対策をとるようにしましょう。
また、時短勤務中は負担の少ない業務を行うケースが多く、重要なスキルを身につけることができないため、フルタイムで復職した時にスキルアップやキャリアアップに時間がかかるというデメリットもあります。
勤務時間を増やしていくためには
時短勤務から徐々に勤務時間を増やしていき、フルタイムで働くことができるようになった場合に備えて、時短勤務中に気を付けておくべきことがあります。
ここでは、その気を付けておくべきことについて解説していきます。
自分にとって何がストレス源となっているのかを具体的に把握する
適応障害は、強いストレスに晒されることによって発症します。
そのため、何が自分のストレス源となっているかを具体的に把握し、なるべくそのストレス源に近づかないことで適応障害の再発を防ぐことができます。
ストレス源から遠ざかることができるように調整を行う
ストレス源を具体的に把握していても、自分の力だけで遠ざかることが難しいケースもあります。
そのため、周囲へストレス源に関する相談や説明を行う必要があるのですが、このときに具体的にどのような配慮が必要なのかを詳しく話すことができるよう準備しておく必要があります。
規則正しい生活を心がける
時短勤務で復職や就職・転職をした場合には、勤怠を安定させることも非常に重要になります。
勤怠を安定させるために規則正しい生活を行うことは非常に重要なので、この点をしっかりと守るようにしましょう。
ムラなく業務を遂行する
与えられた業務は、ムラなく遂行するようにしましょう。
そうすることで、職場でも適応障害から回復したことが認められ、徐々に任せてもらえる業務が増えていきます。
適応障害が完全に良くなるまで治療を止めない
時短勤務であっても復職や就職・転職をしたら、もう適応障害は完治したと考える人もいるかもしれません。
そのような場合に自己判断で治療を止めてしまった場合には、適応障害が再発してしまう可能性が非常に高くなります。
必ず医師の許可が出るまで治療を続けるようにしましょう。
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