何をすべき?うつ病の回復期に大切な体力づくりに欠かせないこと
更新日:2022年08月10日
日本の精神疾患患者がどれくらいいるかご存じでしょうか?平成26年の厚生労働省の調査では外来と入院を合わせて400万人(18歳未満を含む)を超えています。その中でもうつ病を含む気分障害は全体の約1/3を占めており、他人事ではなく、誰にでも起こりうる病気と考える時期に突入しようとしています。しかし、うつ病などの精神疾患があっても国の障害者雇用制度を利用し、病気とうまく向き合いながら働いている方が多いのも事実です。今回はうつ病の方が治療を進める中で、社会復帰を視野に入れながらやるべきこと、”体力づくり”の重要性や方法についてご紹介していきます。
目次
うつ病の方が社会復帰するまでの4段階
うつ病の方が発症してから治療等を経て社会復帰、主に就労をすることを視野に入れた場合、その段階は以下のように4期に分けることができます。
①要治療期
うつ病であると病院で診断されたら、 まず治療に専念しましょう。症状の安定化を優先させる時期です。心身ともに回復するまではとにかくゆっくり休息をとることを心掛けます。とにかく医者の指示に従い、通院、服薬、その他の治療を進めていきます。
②リハビリ期(回復期)
仕事を休職したり、辞めたりするとストレスは著しく緩和されるでしょう。しかし、逆に体力面では、定期的な外出をしなくなるため衰えていきます。休養で衰えた体力の回復や、認知機能のリハビリを目標とする時期です。
③職場環境調整期
現実的な社会復帰に向けて、職場との労働環境の調整を進める時期です。休職をしていたのなら、職場への復帰を模索する段階です。退職をしている場合は、転職への準備を始める時期です。
④再発予防期
うつ病には完治という言葉がありません。寛解という言葉を使いますが、治ったと思い込んで今までの生活に戻ると、多くの人が再発してしまいます。そのため、治療の継続や定期的なストレスチェックなどを行い再発を予防をしながら働く必要があります。
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体力回復(体力づくり)の重要性
休職期間が長くなると、生活リズムが崩れたり、運動不足、孤独感などで引きこもりがちになり、基礎体力が落ちていくことになります。できれば、運動と気分転換を兼ねて、一日一度は外出し、家の外に出ることに慣れておくほうがよいでしょう。
生活リズムの崩れは睡眠や食欲に影響します。できれば、リハビリ期には仕事をしていなくても朝一定の時間に起きて、夜も一定の時間に寝ることを心掛けましょう。どうしても運動のために外出する気になれなくても、話しやすい人と会う約束をしたり、買い物に出掛けるなども体力回復につながります。
基礎体力が落ちたまま就労してしまうと、一日の疲れを一晩で回復することができなかったり、疲れやすい、通勤が辛いなどでストレスが溜まり再発の可能性が高くなります。
体力回復をすることは、社会復帰・日常生活においても重要な要素となります。心の健康が悪くなると体の健康も悪くなり、逆に体の健康が悪いと心の健康も悪くなりやすいという相互関係にあることを理解しておきましょう。
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休養中の体力づくり
うつなどの精神疾患になった場合は必ず主治医の指示に従うようにしましょう。まずは主治医と健康状態について相談し、状態を把握します。そのうえで、通院、服薬、その他の治療を主治医がよいと言うまで継続することが大事です。そのためには主治医を信頼し、よいと言われるまで通院をし、最後まで治療を受けることです。途中でよくなったと思い通院しなくなったり、服薬をやめたりすること、勝手に仕事を再開したり、再就職するなどは却って症状を悪化させ、また長い間、苦しい思いをすることになりかねません。
そのうえで、主治医がよいというタイミングで社会復帰に向けて体力づくりを始めます。
心の状態を整えることから始める
とはいうものの、いきなり運動をすることはお勧めできません。まずは心の体力をつけるところから始めます。
運動をするように勧められたとしても、それを楽しめる、継続できる心になっていなければ続けることは難しいでしょう。ですので、自分自身が不安やストレスを感じないように、自分の好きなことから始めてみるのがお勧めです。
例えば、一見、運動とは関係ありませんが、自分の心を前向きにするために例えば家事や掃除をしてみる、部屋の模様替えをしてみるなども心の体力をつける一つの方法です。
自宅でできるストレッチやマッサージを取り入れる
どうしても外出するのが難しい場合は、家でできることから始めることも考えましょう。
例えば、ストレッチやマッサージはそれだけでも筋肉を動かしたり、エネルギーを消費する運動にもなります。いきなり、トレーニングジムなどに通うより、軽く体を動かし、ほぐすことに慣れていきましょう。徐々に体を慣らしていってから、ジム通いやランニング、好きな運動につなげていくのが理想的です。ストレッチやマッサージは運動前や運動後に取り入れることによって、体の疲れをためにくくする効果がありますので、体力づくりの継続に有効なのです。
外出して、少しずつ頻度や時間を長くしていく
長く外に出ていないと、体力的にもしんどいですが、精神的にも外出するのが不安であったり面倒だったりします。そんな時は、体力づくりという目的を忘れて、自分自身が外に出やすい理由や目的を作ればよいでしょう。例えば、家族やパートナー、ペットとの散歩、買い物、食事、ドライブなど、ストレスのない外出で慣らしていき、徐々に外出の頻度や時間を増やしていきましょう。
ウォーキングやランニングなどの運動を取り入れる
このようにして、外出に慣れ、意欲が出てきたら、本格的に体力づくりのためにランニングやウォーキングなどの運動を取り入れていきましょう。
最初は「朝10~20分散歩する」「スクワットを10回やる」など自分ができる範囲で始めるとよいでしょう。量的には1日30分~1時間ほどの運動を、週3日程度できるようになれば十分です。
健康のためなど、他者に課された運動、特にトレーニングやエクササイズのような単純な内容の繰り返しはダイエット同様に飽きてしまいがちです。自分が楽しめて、運動にもなるようなスポーツがおすすめです。例えばテニスやサッカー、野球など学生のころにやっていたスポーツを再開する、ボウリングやダーツなどのゲーム要素がある運動をするなどが長く続けるコツです。
健康状態を保つためには「食事」と「睡眠」にも気をつける
運動と共によい健康状態を保っていくには「食事」と「睡眠」はとても重要です。ほとんどの精神障害者は発症した時点で食事と睡眠のバランスが大きく崩れていることが多いです。
栄養バランスのよい食生活を心がける
まず、食事に関しては、理想のバランスに揃える簡単なコツとして、食卓に以下のような3色の食材を揃えるようにしてみるとよいでしょう。
・ごはん、パン、麺類などの主食となる、糖質中心の「黄」
・肉、魚、卵、大豆などメインのおかずとなる、たんぱく質中心の「赤」
・野菜、きのこ、海藻などの副菜となる「緑」
生活習慣の見直し・改善
仕事をしていない間は規則正しい生活をするのは難しいものですが、生活習慣を整えることで、睡眠、食事の時間などが安定すると、行動や考え方も積極的になれたりします。生活習慣を整えるために以下のようなことに注意してみましょう。
・毎日できるだけ同じ時間に起き、太陽光を浴びる
・ 就寝4~5時間前にストレッチを取り入れる
・ 寝つきが悪いからといって飲酒はしない
・ 大豆食品やカルシウムの接種を心がける
社会復帰に向けて支援機関の活用もおすすめ
うつ病からの社会復帰では、利用できる制度やサービスは最大限に利用しましょう。
このような障害者を支援する障害福祉サービスの中に就労移行支援事業というものがあります。就労移行支援事業所の支援内容は、通常の事業所に雇用されることが可能と見込まれる障害者に対して、就労につながるさまざまな訓練を行います。
利用期間:原則として2年以内で、場合によっては最大1年間の延長が可能
対象者:企業等への就労を希望する者(65歳未満)
本人の利用希望があることが要件です。障害支援区分の認定は不要で、障害者手帳が必要なのは身体障害のみとなっています。
就労移行支援サービスは利用者のニーズにあったプログラムを提供してくれるので是非利用して社会復帰を目指しましょう。
うつ病からの社会復帰はatGP ジョブトレで
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