障害年金はいくらもらえる?金額の計算や申請方法について解説
更新日:2024年03月29日
障害年金は、一定の障害状態になった際に国から給付される公的年金です。障害基礎年金と厚生障害年金の2種類があり、受給者数は年々増加しています。平成30年には障害基礎年金が208.8万人、厚生障害年金が62.9万人の受給者がいました。障害状態になると社会参加が困難になり、収入が減少する可能性があるため、国の社会保障制度を活用することが重要です。今回は障害年金給付に該当する障害状態になった時の申請方法や金額などについて詳細にご紹介していきますので、是非お役立ていただきたいと思います。
目次
障害年金とは
障害年金の支給額はいくら?それぞれの計算方法
障害年金の支給額は加入している公的年金(国民年金、厚生年金)、障害の程度(等級)、配偶者・子供の有無などで変わります。以下は年金別、等級別の支給額です。
具体的な金額の出し方
【厚生年金】
1級:報酬比例の年金額×1.25+配偶者の加給年金額(223,800円)※65歳未満の配偶者
目安額は約96万~約192万円
2級:報酬比例の年金額+配偶者の加給年金額(223,800円)※65歳未満の配偶者
目安額は約72万~約144万円
3級:報酬比例の年金額 ※配偶者加給年金なし
最低保証額583400円
【国民年金】
1級:976,125円+子どもの加算
2級:780,900円+子どもの加算
報酬比例の年金額とは?
報酬比例の年金額とは、これまでに納付した厚生年金保険料をもとに計算される年金額のことです。毎月の厚生年金保険料と月数によって変わることから、長期間納めるほどもらえる金額は多くなります。加えて配偶者や子供の有無によっても、もらえる金額は変わります。
これまでに納付した厚生年金保険料をもとに計算される年金額
報酬比例の年金額=A+B
A=平成15年3月以前の加入期間の金額
平均標準報酬月額×7125/1000×平成15年3月までの加入期間の月数
B=平成15年4月以降の加入期間の金額
平均標準報酬額×5481/1000×平成15年4月以降の加入期間の月数
【国民年金】
1級:972,250年+子の加算(子2人まで1人につき223,800円、3人目以降1人につき74,600円)
2級:777,800円+子の加算(子2人まで1人につき223,800円、3人目以降1人につき74,600円)
この場合の「子」とは18歳になった後の最初の3月31日までの子、または20歳未満で障害等級1級・2級の障害の状態にある子のことです。
障害年金における「障害等級」とは
障害年金には障害の程度に応じた独自の等級があります。この等級は障害者手帳の等級とは必ずしも一致するわけではないことを覚えておきましょう。以下、障害年金における1~3の等級をご紹介します。
1級:
第三者の介助がないと日常生活のことがほとんどできない状態です。身の回りのことはかろうじてできるが、それ以上の活動はできないか、制限されています。 入院や在宅介護を必要とし、活動範囲がベッドの周辺に限られるような方が相当します。
2級:
第三者の介助が必ずしも必要ではないが、日常生活は極めて難しく、また労働による収入を得ることができない程度です。家庭内で軽食などを作る動作はできるが、それ以上の活動はできないか、制限されています。入院または在宅で活動の範囲が病院内や家屋内に限定される方が相当します。
3級:
労働に著しい制限を受ける(例えば◯時間以上活動することが難しいなど)、または制限することが求められる状態です。日常生活は可能ですが、就労時は制限があり負担が重い仕事は難しい方が相当します。
ケースごとの障害年金支給額シミュレーション
次にケースごとの障害年金支給額について2例挙げてみますのでご参考にしてください
【ケース1】Aさん(50歳)/自営業
・加入中の公的年金:国民年金
・家族構成:配偶者有、子供2人
・障害の程度:2級に相当 …
Aさんの場合、自営業(飲食店)であるため、加入年金は国民年金のみとなります。従って、配偶者がいても加給がありませんが、子供二人は加算対象となります。
該当する程度が2級で子供が2人いる場合、支給額は以下のとおりです。
2級:年額777,800円
子の加算:1人目223,800円+2人目223,800円
年間支給額:777,800+223,800+223,800=1,225,400円
【ケース2】Bさん(38歳)/サラリーマン
・加入中の公的年金:厚生年金(平成19年加入、加入期間16年)
・家族の構成:配偶者(35歳)有、子供1人
・障害の程度:1級に相当…
・報酬比例の年金額:45万円
Bさんは大学卒業後、ずっと同じ会社に勤めていて、重度の身体障害を発症し、障害の程度は1級となっています。加入期間が25年(300月)未満の場合、加入期間は300月とします。報酬比例の年金額は詳細な設定を省いて45万円と算出されたと仮定します。Bさんの障害厚生年金の計算は以下のとおりです。
障害厚生年金
400,000円(報酬比例の年金額)×1.25(1級)+223,800円(配偶者加給年金)=773,800円
障害基礎年金
1級:972,250円
子の加算:1人223,800円
年間支給額:972,250+223,380=994,630円
Bさんのケースでは、
773800(障害厚生年金)+994630(障害基礎年金)=1,768,430円
を障害年金(年額)を受給することができます
障害年金の種類と受給要件
障害年金の種類
障害年金は「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の2種類に分かれています。
病気やケガで初めて診察を受けた際に国民年金保険に加入していた場合は「障害基礎年金」、厚生年金に加入していた場合は「障害厚生年金」受給対象となります。就労しながら厚生年金保険に加入し、その被保険者となっていた場合には障害基礎年金にプラスして障害厚生年金が支給されます。
ちなみに、障害厚生年金に加入している場合、加入期間中に障害が治って、障害年金の1~3級に該当しないような軽い障害状態にあると認められた人は、「障害手当金」という一時金が受け取れるようになっていますので、障害年金の対象とならない場合も、障害手当金の請求対象にならないか確認するようにしましょう。障害手当金は初診日から5年以内に病気やケガなどが回復したものの、何らかの障害が残っている場合に請求できます。
受給要件
障害基礎年金
・初診日が国民年金の加入期間中にあること
・20歳未満や、60歳~65歳未満の人で国民年金に加入していない場合は、初診日が日本 国内であること
・初診日の前日において保険料の納付要件を満たしていること
-初診日に65歳未満かつ、初診日の2か月前までの1年間に保険料の未納がないこと
-初診日の2か月前までにおいて、国民年金(厚生年金、共済年金の組合期間をふくむ)の加入期間の2/3以上で保険料を納付または免除されていること
-20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は納付要件はない
・障害の状態が障害認定日(その障害の初診日から1年6か月を過ぎた日)、または20歳 に達した時に障害基礎年金で定める障害等級表の1~2級に該当していること
障害厚生年金
・初診日が厚生年金の加入期間中にあること
・初診日の前日において保険料の納付要件を満たしていること
-初診日に65歳未満かつ、初診日の2か月前までの1年間に保険料の未納がないこと
-初診日の2か月前までにおいて、厚生年金(国民年金、共済年金の組合期間をふくむ)の加入期間の2/3以上で保険料を納付または免除されていること
・障害の状態が障害認定日(その障害の初診日から1年6か月を過ぎた日)、または20歳 に達した時に障害基礎年金で定める障害等級表の1~3級に該当していること
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障害年金の申請・流れ
STEP1 必要事項・必要書類の準備
・初診日や加入している公的年金の確認
・必要書類の準備(年金請求書、基礎年金番号通知書のコピー、年金証書・恩給証書のコピー、戸籍謄本・戸籍抄本、住民票、所得証明書・課税証明書、学生証・在学証明書のコピー、障害基礎年金の子の加算に係る確認書、預金通帳・キャッシュカードのコピー、診断書・レントゲンフィルム・心電図、受診状況等証明書、病歴・就労状況等証明書、その他など)
STEP2 病歴や、就労状況申立書の作成
・仕事に支障が出ている状況や、発症~診断までの状況を記入
STEP3 書類の提出と審査
・障害基礎年金⇒最寄りの年金事務所、年金相談センター、お住いの市町村役場へ提出
・障害厚生年金⇒最寄りの年金事務所、年金相談センターへ提出
2~3ヶ月程度で審査結果の通知(年金決定通知書)とパンフレット「年金を受給される皆様へ」が届く
STEP4 障害年金の受給開始
まとめ
今回は障害年金について詳しく取り上げさせてもらいました。
障害者年金には障害基礎年金(国民年金)と障害厚生年金(厚生年金)の2種類があります。自営業の場合は公的年金は国民年金のみになりますが、加入は任意です。被雇用者の場合は働いている事業所が厚生年金強制加入の対象であれば被保険者となります。
意外と障害年金については一般では認知度が低く、障害年金というものがあるが内容は知らないという人、もしくは障害年金自体を知らないという人も実はたくさん存在します。年金を含む多くの社会保障制度や給付制度は申請方式ですので、知らなければ損をすることになります。障害年金は厚生障害年金と障害基礎年金合わせても、フルタイムの労働収入には到底およびませんが、他の社会保障制度と合わせて受給できれば必要最低限の生活の足しにはなります。いざ、自分や家族が障害年金の対象となった時にスムーズに申請できるように制度を把握しておきたいものです。