コミュニケーションスキルとは?コミュニケーションがうまくいかない要因とスキルの高め方
更新日:2023年03月10日
コミュニケーションスキルは、相手との意思疎通を図る上で必要な技術で、人間関係を築く上で欠かせません。しかし、他人とのコミュニケーションが苦手、自分にはコミュニケーションスキルが足りないと感じている方もいるのではないでしょうか。今回は、コミュニケーションがうまくいかない原因とコミュニケーションスキルを高める方法について紹介します。
目次
コミュニケーションスキルとは
「コミュニケーションスキル」とは、相手とコミュニケーションを取ることを目的として、情報を共有して、相手に対して適切な働きかけやレスポンスができる技術のことです。ビジネスシーンはもちろん、日常生活においても重要なスキルのひとつです。
コミュニケーションスキルと類似する言葉に「コミュニケーション能力」がありますが、厳密にいうと能力とは潜在的なものを指していて、スキルとは後から獲得や改善ができるものを指しています。つまりコミュニケーションスキルは、訓練することで高めることができるのです。
コミュニケーションスキルは、相手との信頼関係を築く上で重要な役割を果たします。相手の気持ちや考えがわからず、意思疎通ができていない状態では信頼関係は作れません。コミュニケーションを重ねて、相手のことを知り相手にも自分を知ってもらうことで、信頼関係は生まれます。
信頼関係は心理的な安心感を生み、コミュニケーションを円滑にします。そして、気兼ねなく質問や相談ができるようになります。
コミュニケーションの手段
コミュニケーションの手段には、大きく分けて「言語」と「非言語」の2つの手段があります。言語とは、文字通り言葉によるコミュニケーションを指し、非言語とは身振り手振りや姿勢、動き、表情、声のトーンのことです。
コミュニケーションによって伝わることを100%とすると、言語で伝わることの割合は7%で非言語は93%といわれています。人とコミュニケーションを交わす際には、言葉だけでなく表情や姿勢、声のトーンなどにも気を配る必要があります。
コミュニケーションスキルは、次の3つのスキルから構成されています。
①伝える力
自分の言いたいことや思っていることをきちんと、そして相手にわかりやすく伝えるスキルのことです。伝えるスキルには、頭の中で考えていることを言葉に変えて、それを相手に分かりやすい表現で伝える言語化能力が必要です。
伝える力には、言葉だけでなく非言語コミュニケーションも重要な役割を果たします。非言語コミュニケーションには、「言葉では表しきれない思いを伝える」「相手の距離感を縮めて信頼関係を築く」などの効果があります。
②聴く力
聴く力とは、相手の伝えたいことを理解するスキルです。聴く力には、まず相手の話を最後までしっかりと聴くという姿勢が大切です。聴く力には、相手の感情や言葉の裏側に隠された本心をくみ取る上で、非言語的コミュニケーションを読み取るスキルも必要となります。
③交渉する力
ビジネスだけでなく、日常生活においても目的を達成するために、相手と交渉する場面があります。交渉は、自分の目的を一方的に達成するだけでなく、相手の立場や状況を考えてWinーWinの関係にすることが大切です。交渉には相手との信頼関係が必要で、相手の立場を理解するための聞く力と、自分の意思を理解してもらうための伝える力が必要になります。
スムーズなコミュニケーションに必要なこと
スムーズなコミュニケーションを交わすために、必要なことは何かを解説します。
①相手に興味を持つ
コミュニケーションでは、自分の考えを伝えるだけでなく、相手を理解することが大切です。そのためには、まず相手に興味を持つ必要があります。しかし、初対面の相手とコミュニケーションを取らなければならないような場合には、緊張で相手に興味を持つ余裕がないかもしれません。
自分と相手との共通点が見つかれば、それをきっかけに会話を弾ませることができます。簡単な質問を投げかけて、共通点を探してみましょう。
②わかりやすく伝える
コミュニケーションでは、わかりやすく伝えることが大切です。わかりやすく伝えるコツは、「何を伝えたいのか明確にする」「わかりやすい言葉で結論を伝える」「情報量を多くし過ぎない」「相手が理解しているか確認しながら話す」です。
論理的に伝えるために「5W1H」を意識した内容で話すと効果的です。「いつ(When)」「どこで(Where)」「だれが(Who)」「何を(What)」「なぜ(Why)」「どうやって(How)」が、会話に含まれているか確認しましょう。
③聞き上手になる
コミュニケーションスキルが高い人と言うと話し上手の人と捉えがちですが、相手との意思疎通では話すことと同様に、相手の話を聞く「傾聴力」というスキルも必要です。
相手の立場になって理解し、肯定的な態度を示しながら、話を遮らないタイミングで質問を投げかけて、相手の言いたいことや伝えたいことを引き出しましょう。
④相手との一体感を作る
コミュニケーションスキルが高い人が、相手とすぐに打ち解けたり、信頼関係を築けるのは「一体感」を作るようにコミュニケーションを交わしているからです。
心理学では、信頼関係を築くためのスキルとして「ミラーリング」や「ページング」があります。ミラーリングとは、相手の表情や姿勢、しぐさ、態度などを合わせる手法です。ページングは、相手の会話のスピード、声のトーン、口調を合わせることです。
コミュニケーションがうまくいかないときの要因
コミュニケーションが、うまくいかないときの要因は主に5つです。
①相手の話をよく聞いていない
コミュニケーションは、自分の話を一方的にするだけでなく、相手の話をよく聞くことが大切です。コミュニケーションがうまくできない人は、自分の話だけをしてしまう、相手の話を最後まで聞かない、話を聞いているようで頭の中では他のことを考えているということが少なくありません。コミュニケーションは、双方のやり取りで成り立ちます。相手の話をしっかりと聞く姿勢が重要です。
②思い込みで決めつけてしまう
相手の話をよく聞いていないことにもつながりますが、話を最後まで聞かずに思い込みで決めつけてしまう人もいます。相手が話している途中であるにもかかわらず、話の途中で遮ってしまい、相手の伝えたいことを勝手に決めつけてしまうケースです。コミュニケーションは、相手の気持ちや考えを理解することが大切です。思い込みを捨てて、相手の話をしっかりと最後まで聞くようにしましょう。
③相手に伝わりやすい表現を意識していない
私たちは学校や会社、施設などさまざまコミュニティーに属しています。コミュニティーの中では通じる言葉が、他の場所では伝わらないことがあります。コミュニティーの中で日常的に使っている専門用語は、コミュニティーに属さない人にとってはわからない言葉になっていることがあります。障害者や障害者雇用に関わる用語にも、専門的な言葉が多くあります。相手が理解しているとは限らないため、誰でもわかるような表現で話をしているかどうか意識することが大切です。
④伝わっているかを確認していない
コミュニケーションでは相手に何を伝えたかより、「相手に何が伝わったか」「相手が何を受け取ったか」が大切です。コミュニケーションがうまくいかないケースでは、伝えることに意識が向きすぎて、相手に伝わっているか確認していないことがあります。
⑤非言語コミュニケーションの不足
言語と非言語の要件がコミュニケーションに与える影響について実験した結果で有名なものに「メラビアンの法則」があります。メラビアンの法則によると、話の内容など言語情報がコミュニケーションに与える影響は7%、声のトーンや会話のスピードなど聴覚情報が38%、見た目など視覚情報が55%で、非言語コミュニケーションが重要とされています。相手との一体感を作るためにも、非言語的コミュニケーションを意識することが大切です。
コミュニケーションスキルを高めるためには
コミュニケーションスキルは、意識や訓練で高めることができます。コミュニケーションスキルの向上には、次の方法が効果的です。
①結論から話すことを意識づける
簡潔にわかりやすく話の内容を伝えるには、結論から先に話すことを意識するのが効果的です。この手法を「PREP法」といいます。
Point(結論・要点を述べる)→Reason(理由を述べる)→Example(事例・具体例を伝える)→Point(もう一度結論・要点を述べる)
このように最初と最後にそれぞれ結論を話すことで、相手に何を伝えたいのか印象づけることができます。
②会話のスピードや声の大きさ、トーンを合わせる
コミュニケーションを取る際には、自分のペースではなく相手に合わせることを意識することが大切です。相手の表情や姿勢、しぐさ、態度などを合わせるミラーリングや相手の会話のスピード、声のトーン、口調を合わせるページングなどで、相手に合わせるようにすると一体感を作ることができます。
③質問で相手の話を引き出す
コミュニケーションでは、何を話すかに意識が向きがちですが、実際にはいかに相手の話を引き出すかが重要です。相手の話を聞きながら相づちしたりうなずくことで、傾聴して共感していることを示すことは重要です。しかし、それだけでは相手が一方的に話すことになります。会話の途中で関連した質問を投げかけることで、話題が広がり相手の話を引き出すことができます。