在宅就業障害者支援制度の対象者や調整金などの概要について
更新日:2023年03月08日
在宅ワークに大きな焦点が当てられている昨今、障害者の在宅就業者支援制度にも大きな関心が寄せられています。現状では主にIT機器を利用した仕事の発注が多く行われているようで、具体的にはシステム・プログラム開発、CAD・作図、DTP・イラスト作成、原稿作成・データ入力、翻訳、事務などが多く発注されています。これ以外に軽作業なども発注されます。これらの業務を在宅で就労している障害者に発注することで、その費用に対して調整金や報奨金と呼ばれる補助金が支給されるのが在宅就労障害者支援制度です。今回はこの制度の対象者や調整金などについて詳しく解説していきます。
目次
在宅就業障害者支援制度とは
まず最初に在宅就業障害者支援制度の概要をご紹介します。
在宅就業障害者支援制度は、障害者雇用促進法(障害者の雇用の促進等に関する法律)の「障害者の在宅就業に関する特例」に基づいた制度です。
在宅就業障害者に該当する障害者に対して、仕事を発注する事業主が一定の条件を満たした場合に在宅就業障害者調整金を支給するものです。2006年に制度化されました。
常時雇用する労働者が100人以下の企業は、特例調整金ではなく、特例報奨金の支給対象となります。
特例調整金・特例報奨金の申請・支給等の取り扱いは独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構がおこなっています。
在宅就業障害者調整金:常時雇用する労働者が100人を超える事業主
特例報奨金:常時雇用する労働者が100人以下の事業主
※各金額、算定式については後述
厳密には、自宅等において就業する障害者(在宅就業障害者)及び在宅就業障害者に対する支援を行う団体(在宅就業支援団体)に仕事を発注した事業主に対して、その額に応じて、事業所の規模により障害者雇用特例調整金、もしくは特例報奨金を支給します。
事業主が在宅就業障害者へ仕事を発注することを促し、在宅就業障害者の仕事の確保を支援するための制度なのです。
まとめると、以下の2つのケースについてこの制度は適用されます。
・企業が在宅就業障害者に直接仕事を発注する
・企業が在宅就業支援団体を介して在宅就業障害者に仕事を発注する
対象となる障害者は?
在宅就業支援制度の対象となるのは以下の障害者となります。
身体障害者
身体障害者障害程度等級表の1~6級までに掲げる身体障害がある者及び7級に掲げる障害が二以上重複している者、並びにぼうこう又は直腸の機能の障害、小腸の機能の障害及びヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能の障害で永続し、かつ、日常生活が著しい制限を受ける程度であると認められるもの
知的障害者
児童相談所、知的障害者更生相談所、精神保健福祉センター、精神保健指定医、障害者職業センターにより知的障害があると判定されたもの
精神障害者
精神障害者保健福祉手帳の所持者で症状が安定し、就労が可能な状態にあるもの
自宅以外の勤務も対象!対象となる勤務場所
在宅就業障害者支援制度では、障害者の就業する場所は”在宅”は自宅のみに制限されているわけではありません。自宅でなくても作業ができる場所が提供されればよいのです。
障害者が物品製造等業務を実施するために必要な施設及び設備を有する場所
在宅就業支援団体関係業務取扱要領では、以下のような条件があります。
・作業を直接発注する事業主の事業所は対象に含まれない
・在宅就業支援団体を通じて発注した場合は事業主の事業所は対象となる
・障害者が訓練をおこなうための施設、設備を有する場所はこれに含まれない
就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練等が行われる場所
”就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練等が行われる場所”とは、障害者総合支援法に規定される訓練等給付の対象になる以下の事業所です。
・就労移行支援事業所
・就労継続支援事業所B型(工賃向上計画を策定して、A型事業所に移行計画があるか、支援計画を策定して雇用への移行を目指す利用者がいること)
・地域活動支援センター(生産活動の機会を提供していて工賃向上計画を策定して、A型事業所に移行計画があるか、支援計画を策定して雇用への移行を目指す利用者がいること)
就労継続支援事業所B型に似ているA型の事業所が入っていないことについては理由が書かれていませんが、A型の場合は利用者と雇用契約を結び仕事を提供する施設であるため該当しないと考えられます。
障害の種類及び程度に応じて必要な職業準備訓練が行われる場所
”障害の種類及び程度に応じて必要な職業準備訓練が行われる場所”とは、具体的には障害者雇用支援センターを指しています。
全国に14施設しか設置されていない(2021年12月現在)ことから、認知度が低い施設ですが、都道府県知事の指定した民法法人によって運営される就労移行支援事業所で、一般就労を目指す障害者に対して職業準備訓練や、職場への定着支援などをおこなっています。
在宅就業障害者雇用制度の利用方法について
大まかな制度の利用の流れは以下になります。
①対象となる在宅就業者に直接、または在宅就業支援団体をとおして在宅就業者に仕事を発注する
⇩
②在宅就業者から納品を受ける、または在宅就業支援団体とおした場合、同団体から納品を受ける
⇩
③在宅就業者に、在宅就業支援団体をとおした場合は同団体に対価を支払う
⇩
④独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構に特例調整金・特例報奨金の申請をする
⇩
⑤条件に適合する場合、独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構より特例調整金・特例報奨金の支給がおこなわれる
在宅就業支援団体の利用方法について
在宅就業支援団体とは、2007年の障害者雇用促進法の改正により設けられた在宅就業障害者支援制度において障害者と事業主を仲介し、障害者には仕事の発注や各種相談支援、事業主には発注した仕事に対して納期や品質を管理、保障する役割を担います。
2021年12月現在では21の団体が厚生労働省により登録を受けています。これらの多くは就労移行支援事業所や就労継続支援事業所B型であり、厳格な条件をクリアした事業所といえるでしょう。
これらの在宅就業支援団体を介して、障害者に発注する場合、特に利用条件などはありません。
以下の独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構のホームページのリンクに団体の一覧があり、各団体のホームページにリンクされています。
一覧にも基本情報は掲載されていますので、ご参考にしていただき、発注したい仕事内容に適した団体に直接相談し、発注することができます。
これらの団体はそもそも就労系の事業所であり、障害者が一般就労するための訓練や作業を提供しています。それぞれの受注できる仕事に特徴がありますので留意して利用しましょう。
厚生労働大臣に申請、登録を受けている団体|障害者の在宅就業支援サービス チャレンジホームオフィス|高齢・障害・求職者雇用支援機構
特例調整金・特例報奨金の算出方法
特例調整金の算出方法
特例調整金は、以下の方法で算出されます。
特例報奨金の算出方法
特例報奨金は以下の方法で算出されます。
2015年(平成27年)までは年間105万円(1ヶ月分相当として35万円×3ヶ月)以上の発注がなければ 特例調整金・特例報奨金は支給されませんでしたが、改正後は小口の発注も支給対象となるよう、35万円 (1ヶ月分相当)に引き下げられています。
また、法定雇用率未達成企業については、特例調整金の額に応じて障害者雇用納付金が減額されること、 特例調整金・特例報奨金については、発注元企業が自社で雇用している障害者である労働者数に応じて支給限度額が設定されいることも覚えておきましょう。
まとめ
事業主の皆様におかれましても、コロナ禍で自社の従業員の働き方を見直された部分があると思います。中には、IT機器を導入しリモートワークに大きく舵を切った方も多く存在します。
それは、行政からの働きかけもあったかもしれませんが、従業員の新型コロナウイルス感染への危機感もあったのではないでしょうか。
これを機に、在宅就業障害者支援制度の利用に興味を持っていただければ幸いです。
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